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「鏡の国のアリス」と原神

鏡の国のアリス」は原神の根幹のストーリーのモチーフになっているかも知れない童話。
イギリスの作家ルイス・キャロルの有名な作品「不思議の国のアリス」の続編に当たります。今回はこの不思議の国のアリスについてざっくりと紹介していきます。


原神の世界にもアリスという人が存在します。クレーの母親で不老と言われている魔女です。アリスはテイワット観光ガイドを執筆しているように、テイワット中を旅して回っています。鏡の国のアリスもアリスが主人公。鏡の中に入れたら面白いんじゃない?と考えたアリスが実際に鏡の中の国に迷い込んでしまう物語。

物語の冒頭、アリスは家で2匹の飼い猫と遊んでいいます。そのうちの悪戯好きな子猫が毛糸の玉を解いてしまいました。アリスはその猫を叱りつけます。ほどけた毛糸の玉を直しつつ、妄想を始めるアリス…「鏡の中の国ってどうなっているのかしら?」

※ウェンティの伝説任務だったかに毛糸の玉を解いてしまった猫を追いかける話があったような気がします(うろ覚え)

気が付けばアリスは鏡の国に迷い込んでいました。鏡の国では全てが逆さになっています。文字はもちろん、時間さえも

※原神世界も逆回転しているものが多くあります。ダマーヴァンド山の砂嵐や螺旋も逆回転。

※世界樹も逆さまに生えているとティナリ師匠が言っている。おそらくテイワット大陸自体が逆さまもしくは反転しています。水に映し出された聖樹…意味深

「鏡の国のアリス」にはたくさんの詩が登場します。有名なものにこのジャヴァウォックの詩というものがあります。ご覧の通り、文字が逆さま(鏡文字)になっています。アリスはこの詩を鏡に映して読み取りました。

YKCOWREBBAJ
sevot yhtils eht dna ,gillirb sawT`
ebaw eht ni elbmig dna eryg diD ,
sevogorob eht erew ysmim llA .
ebargtuo shtar emom eht dnA

ジャヴァウォックの詩

この詩は「英語で書かれた最もナンセンスな詩」と言われています。英語を元に、作者が生み出した造語を並べた音遊び、ラップのような韻を踏んだものです。
※海灯祭で胡桃がラップを披露していました。さらに彼女が作った明らかにナンセンスな詩を吟遊詩人のウェンティがベタ褒めするというくだりがありました。 

それは「ジャヴァウォックという怪物が名前の無い主人公に殺される」という内容の詩でした。
この詩を読んだアリスは混乱します。 
 
「誰かが何かを殺したってことは分かるけど!まるで意味が分からないわ!」
そしてアリスは訳のわからない詩のことは放っておいて鏡の国を探索することにしました。

少し先に小高い丘が見えます。アリスはそこへ向かって歩き出しました。道は真っ直ぐ続いているはずですが、いざ進んでみるとその道は右は左へ曲がりくねり、いくら進んでも必ずスタート地点に戻ってしまいます。それを何度か繰り返すうちにアリスは花壇に行きつきました。

花壇には薔薇とオニユリが植えてあり、周りにはヒナギクが咲いています。花たちは人の言葉を話すことができました。アリスが花と話をしていると、赤の女王が通りかかります。アリスは赤の女王を追いかけて丘の上に登ることができました。丘の上から辺りを見下ろすと、芝生が小川で格子状に区切られているのが見えました。アリスはそれがチェス盤になっていることに気が付きます。

 

※ジュラバド遺跡に「神の碁盤」という巨大なチェス盤があります。(実際はチェス用のものではありませんが)

アリスと赤の女王はチェスの勝負をすることになりました。アリスは白のポーンの役目を与えられます。白のポーンは既に2マス目に置いてあり、アリスはそこからゲームを引き継ぐことになりました。赤の女王は「8マス目に辿り着いたらあなたは女王になれる」と言います。
アリスはゲームを始めますが白のポーンのマスに足を踏み入れた瞬間どこかへワープしてしまいました。アリスは自分が汽車に乗っていることに気が付きます。

※「神の碁盤」もワープ装置でした

実はこのチェスはアリスの鏡の国でのルート(行き先)を示す物だったのです。ここからアリスはチェスの駒の動き通りに鏡の国を巡ることになります。


※アリスは2マス目からスタートしました。原神も双子の旅人は初めカーンルイアに降臨しましたが、実際の冒険は2国目のモンドから始まっています。

※原神の公式トレーラーでは七国+カーンルイアの順に紹介され、その順にストーリーが進んでいます。8カ国目のカーンルイアに辿り着いた時、旅人(もしくはパイモン?)は王になれる?

※執行官PVでチェスを打っていますが、この駒も旅人の巡った順に進んでいます。

列車の中でアリスは奇妙な格好をした紳士、カブトムシ、ヤギと相席することになります。アリスの耳元にはどこからかひっきりなしにダジャレを言う声が聞こえてきます。(ダジャレの声の主は蚊)

※風花祭でセノのダジャレにティナリ師匠がうんざりしていました

旅の途中でアリスは、足を踏み入れると自分の名前や自分の正体を忘れてしまう森や、ライオンとユニコーン、見た目がそっくりな双子など個性的な登場人物達に出会います

※森は世界樹?世界樹によってスカラマシュは自分の正体を忘れてしまっていました。

スメールの砂漠地帯にあるデーツの実(ロートスの実)は食べると「故郷に帰りたいという望郷の念や、主人の命令を忘れてしまう」という伝説があります。こちらは淵下宮の文献の中にある「忘憂蓮の比喩」に関連する記述があります。元ネタはギリシアの叙情詩「オデュッセイア」です。 

※ユニコーン=ドュリン。シナバースピンドルの武器ストーリーの中でドゥリンは一本角の白馬と呼ばれています。しかしドュリンは翼が生えているので実際にはユニコーンではなくペガサスです。翼があるのがペガサス、ないのがユニコーンです。

※ライオン=獅牙騎士?南風の獅子?ディシアも獅子ですが…

※双子はフォンテーヌのリネ&リネット?雷電影と眞?セノとレザーも双子っぽいです。そもそも旅人が双子ですね

アリスはしばらく双子と旅をすることになります。そして眠ったままの赤の王に出会いました。
アリスは赤の王に挨拶しようとしますが、双子は「赤の王を起こしたらダメ」だとアリスを止めます。なぜならアリスは赤の王の夢の中で作られた人物で、王が目覚めるとアリスもこの鏡の国も消えてしまうから
「そんなはず無いわ!」
と泣きだすアリスを双子がなだめます
「おいおい、そんな大声で泣いたら赤の王が起きてしまうだろ?君だってほんとは分かってるくせに!自分が"ほんもの"じゃないってさ!」
それを聞いたアリスはますます泣きじゃくります
「違う!私は"ほんもの"よ!」

※赤の王=キングデシェレト様?もしくは炎神?

夢の主が目覚めると夢境が崩壊するという設定はナヒーダ伝説任務にもあった

パイモン
「ここにもニィロウみたいな夢の主がいるってことか?」
「そいつの目を覚まさせれば、この夢境集合体も終わるんだな?」

僕はアルハイゼンが遮音機能の付いたヘッドホンをしているのは、彼がテイワットの「夢の主」なんじゃないか?という疑いを抱いてもいます。

ナヒーダ
「例えば外で大きな音がしたとする、すると夢の中では、あなたが大砲に入れられて飛ばされるシーンになるかもしれない」

〜中略〜

アリスはついに8つ目のマスに辿り付きました。いつの間にかアリスの頭の上には王冠が載っています。赤の女王と白の女王はアリスのために盛大な宴を用意してくれました。しかし、出された料理にアリスが手をつける前に給仕係に下げられてしまったり、せっかくのアリスのスピーチを誰も聞いていなかったりでもうしっちゃかめっちゃか
散々な扱いを受けたアリスは怒って赤の女王を捕まえ揺さぶります。すると赤の女王がどんどん小さくなって猫の姿に変わりました。アリスはそこでようやく自分が元の世界に戻っていた事に気が付きます。白の女王の正体はアリスのもう1匹の飼い猫でした。


※ウェンティが猫アレルギーなのはアリスを夢から醒めさせた原因が猫だったから?とも思っているがちょっと根拠としては薄い…

そして物語の最後は読者に問う形でこう締めくくられます。

「あの世界は赤の王とアリス、一体どちらの夢だったんでしょうね?」

この「鏡の国のアリス」のストーリー自体はかなりめちゃくちゃな内容。しかし、ナヒーダ伝説任務の中にもあったように「夢とはそういうもの」

パイモン
「確かに不思議だな…でも、夢って元々不思議なものだよな」

テイワットも茶色の猫耳おじさんがいたりエルフがいたり鬼がいたり…と訳がわからない状態。
そもそも「幻想大陸」テイワットという名前がついている。

そして以前から僕がよく言及しているスメールのテキスト「羊のおかしらのスズメとワニ」は鏡の国のアリスの中に似た話が出てきます。それが「大工とセイウチ」です。鏡の国のアリスに出てくる詩の中で最も長いと言われる詩です。以下に要約して載せます。

海辺の岩に丸々太った牡蠣たちが張り付いています。それを狙う大工とセイウチ。しかし牡蠣を岩から剥がすのは大変な労力が必要です。そこで大工とセイウチは善人のふりをして、牡蠣たちを「一緒に散歩に行こう」と誘い出しました。牡蠣たちは喜んで大工とセイウチに着いて行きます。
「僕たちを誘ってくれるなんて、とても彼らはとてもいい人だ!」
牡蠣たちが騙されたことに気がついた時にはもう遅く、大工とセイウチは苦労せず牡蠣を捕まえることに成功しました。
大工は全く悪びれていませんが、セイウチは牡蠣に同情し、涙を流します。「こんなペテンを働くなんて」と大工を責めつつも、丸々太った大きい牡蠣ばかりを食べるセイウチ。涙をハンカチで拭うふりをして、口元を覆い隠し、自分が何個食べたかを大工に知られないように工作までします。

大工とセイウチ


おとなしくて優しい羊のおかしらは、七匹の子羊に、いちばん新鮮な水草が生えている池を探しに行かせた。
知恵あるスズメが七匹の子羊に出会い、どこへ向かっているのかと聞いた。幼い子羊たちは、スズメに目的地をそのまま告げた。
「僕たちは風のうわさであなたの知恵について聞きました。あなたは空から遠くを眺めることができるから、水草のありかを教えてくれませんか?」
知恵あるスズメも、水草が生えている池で自らの羽を整えたいと考えていることを、幼い子羊は知るすべがなかった。
「子羊たちよ、君たちは北の北へ向かうとよい。あそこは熱い日の光から遠く離れているから、あそこの水草が最も新鮮だと思う。」
こうして、先頭でみなを率いる子羊はスズメの言葉を信じ、北の北へ向かい、鎧を身にまとっているワニの前にたどり着いた。
ワニは大きな口を開いたが、それは子羊を飲み込むためではなく、彼らがこの荒れ果てた地を訪れた理由を聞くためだった。
「ここには最も新鮮な水草が生えていると、知恵あるスズメに教えてもらいました。」
「スズメは彼の知恵を使って間違った道を示した。でも、俺はそうしない。」
ワニは涙を流した。子羊たちが遭った不幸への同情を口にしながら、彼らを家まで送り返すことを決めた。
帰り道に、知恵あるスズメは再び子羊たちに出会い、ワニの善意に驚いた。
「私は知恵を間違ったことに使ったのが恥ずかしい。羊のおかしらの傍まで同行することを許してほしい。」
羊のおかしらが九つの影を目にして驚いた時、ワニは大きな口を開いた。
ああ!なんとみずみずしい腸! サクサクとして甘い胃袋! 飛び散る肉!
思うがままに流れる血! 食いちぎりやすい目玉!
ワニは再び涙を流した。羊のおかしらのおとなしさと優しさを口にしながら。
この物語の教訓は、おとなしい人を信じるな。知恵ある人を信じるな。涙を流す人を信じるな。

羊のおかしらとスズメとワニ

こんな感じでよく似ています。
花神もテキストの中で涙を流す描写があったので、キングデシェレト様は花神に騙されたのだと考えていますが…キングデシェレト様周りはごちゃごちゃしていて誰が嘘を付いているのかが分かりにくくなっているのでまだ答えが出せません…


こんな感じで「鏡の国のアリス」と原神の世界には共通点が多いことが分かります。多少こじつけの部分もあるかも知れませんが…

テイワット大陸は「鏡の世界」なのでは?と思う理由は他にもあります。
キャラクター画面の床を見てみると…

まるで鏡のように見えます
スメールの文献「千夜物語」の中にも鏡の宮殿の話が出てきます。またソロモン王は鏡の宮殿を使っています。
「プシュパの歌」のモチーフはソロモン王とシバの女王の伝説です。シバの女王がソロモン王の鏡の宮殿にたくさんの貢ぎ物を持って謁見に来るストーリーです。

アルハイゼンも「琢光鏡」という鏡を使用していますし、カーヴェも「天穹の鏡」という称号が付いています。
キングデシェレト様周りのギミックも鏡(プリズム)に関連した物が多いです。

ロード画面の星茸の説明には、空にある星の投影と書かれています。(うろ覚え、スクショ行方不明)
あと、ver.1.1のイベントでも命の星座は実際に存在する天体だとかなんとか言っていました

海灯祭の紙映戯
「役者と舞台は紙でできている」

僕が以前から命の星座が人の形をしていないキャラクターはテイワット大陸に実体が無いのではないか?と言っている一つの理由でもある。
まぁちょっとこれは本題からズレるので今回はここまで!


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