ハリーポッターと呪いの子鑑賞Review
ミュージカル以外の初めての観劇は、友人に誘われての「ハリーポッターと呪いの子」となりました。Londonに行ったときにあ〜流行ってるんだ〜位には思っていましたが、特に観る機会もなかったところ、先週に突然お誘い頂けてなんて私は幸せなんでしょう。ミュージカルじゃないので曲ごとの感想ではなくざっくりただ書き連ねます、必ずしも物語どおりに進行しないので悪しからず。
第1幕
組み分け帽子くん、まさかの擬人化。物語は組み分け帽子くんが帽子を取ってスタート。
舞台ってどんな感じかなと思うと、いきなりダンスから始まって、ミュージカルと魅せ方は大きく変わらないな〜などと思った
9 3/4番線のホームに着いた瞬間、パッと舞台の表情が変わるのがなかなか印象的。
物語の進みが非常に速く、ハリーとジニーが結婚したこと、ジェームズとアルバスの2人の子供がいること、ロンとハーマイオニーの間にもローズがいる事などはもうほぼ前提知識、というか分かってないと最初追えないかも
スコーピウス、かなりのオタク感と自信なさそうな感じ。マルフォイとは似ても似つかんね
アルバスも結構気難しそうな、周りに馴染めない、いうなれば虐められやすいタイプの子。
時間があっという間に過ぎ、気づけば4年生。
列車から脱出する際の演出も好きだった、ちゃんと浮いてるし、ちゃんとワゴンのおばさんもいる。
ここから段々人々がぶつかり合うシーンが多くなってくるんだけど、全体的にかなり早口。日本語ネイティブでも一部聞き取れない。早口で捲し立てて怒鳴ればいいってもんじゃないよなぁとはちょっと思った。そこをもっと上手く魅せて欲しいなぁ
動く階段も動かし方がスムーズでいいね、映画のシーンを彷彿とさせる出来。
ハリーのアルバスへの話し方、何だろうね、本当に何も分かってない父親感。自分の経験で全てを語っちゃうタイプ。うーん。もどかしい。
ポリジュース薬の演出、マジで謎。あんな一瞬で人が入れ替わるの?苦しみ方もかなり自然だし、すごい……
逆転時計の隠し場所の謎解きの場面も、人の吸い込まれ方がだいぶ自然だったなぁと
そして逆転時計の演出。本当にワープしている感じを出すのがすごい。時計が逆回りするだけじゃなくて、その前のセリフも再生されたり、到着時に舞台の画面全体が揺れたり……どうやってやってるの??
これは作品上しょうがないんだろうけど、大勢の観客とか監視がいる中でそんな簡単にセドリックが武装解除されちゃっていいんかい
ローズがいない世界に辿り着く経緯なんだけど、ここは正直炎のゴブレットをしっかり読み込んでいないと追えない部分。ん???え???もっとゆっくり説明して???ってなった。
マクゴナガル先生が忍びの地図の呪文唱えてるのほんとに面白かった。
見えないなら、見えなかったことにするマクゴナガル先生好き。
このシーンは、ちゃんと透明マントでも忍びの地図上に表示されることを知っていないと理解できなかったかも?
そしてもう一度逆転時計に触れる。鰓昆布どっから持ってきたん???
水から出るシーンほんとにリアルなんだけど、あれ本物の水…だよね???
そしてアンブリッジが校長、ヴォルデモートが生存する世界へ。
ディメンターが本当に不気味さがリアル。マジでゆらゆら浮いてるし、客席の方へも一体。あの役やってみたいな。
音楽についてなんだけど、全体的にいい曲だな〜って思った。妙な不安感を煽りつつも癖になるメロディ。サントラ欲しくなっちゃった。
第2幕
まさかの第2幕書き忘れてたので観劇から8ヶ月経ちましたが書きます
第2幕は物語を知らない状態で突入。原作を読んだ時はアンブリッジが出てきた瞬間鬱になって読むのやめた
第2幕へ。アンブリッジが最初に出てきてもうこっからどうすんの……という感じ。個人的にアンブリッジ大嫌いなので、もうここから悪夢の再来なのか……?と不安が募る
スネイプ先生、スコーピウスにそんなちょっと口説かれたくらいで了承しちゃっていいんですか??もうちょい粘らん?
スネイプ先生の自己犠牲がまたここで出てくるのは非常にいいんだけど、もうちょい毒を吐いて欲しいんだよな…
こちらの世界のロン、ハーマイオニーも結婚なんてあり得ないというスタンスではある一方で、ロンは何か感じている様子?
黒板が回転してガラッと雰囲気が変わるところは舞台芸術の視覚の見せ所だなぁと思いつつ
現実に戻ってくるときにスコーピウスがびしょ濡れなんだけど、どこに水??どこにそんな穴が??って感じで正直仕組みが分かっていない
デルフィーニに対してもう少し心を許すきっかけになるシーンが欲しかったかと。物語的に大分「見えて」しまうような不自然な近寄り方ではあった
アルバスもそんなに簡単に逆転時計奪われちゃっていいんかい!!!反省したならもっと気をつけてくれ!!
という事でもう第3幕と言っていいような悪夢へ
あの変容ぶり、発狂ぶりはやはり舞台で一見する価値がある
観ている側も(初見なら)嘘だろ…と絶望するんじゃないだろうか
毛布の伏線回収は普通になるほど〜と思った。それでもポッターの俺の毛布あげる発言はなかなか堪えるものがあるけど
全体的にセットが豪華だなと思った。ミュージカルに比べて視覚で観せてる感は強い。教会の中を思い出してもそう思った覚えがある
大人になったマルフォイくん、本当にいい人。ちゃんと愛情を持って育てられた結果である。ポッターとかなり対照的に描かれているのもまたポイント。ただ言い合うときももうちょいゆっくり喋って欲しいかなぁ…シンプル聴こえない…
正直最後があっさりデルフィーニ倒されてしまった、原作があるとはいえもうちょい演出を派手にしてもいいのでは?できるでしょ?
日が差し込む9 3/4番線のレンガ造りの建物の背景は観劇から8ヶ月経ってもかなり明瞭に覚えている。微妙な距離感から始まるポッターとアルバスが最後の緊張感を出してくれてよい。こっちを目立たせたいから戦闘シーンはあっさりだったのか?
総評
ミュージカルじゃない、ということであまり見る気が最初は起きなかったが、素晴らしいの一言に尽きる。舞台演出がどれだけ凝っているんだろう、と驚嘆させられるレベルで視覚的に訴える作品である。飛び交う魔法、瞬間移動、舞台シーンの切り替え、ディメンターの迫力などどれをとっても一級品なのではないだろうか。ただ、前半は特に1-7巻のみならず呪いの子の原作まで読んでいないといささか追いつきづらい内容ではあった気がする。登場人物が多すぎるのに加え、そもそも2部作だった元々の舞台を100分×2の2幕構成にした時点でかなり内容が凝縮され、端折られているのは間違いない。前半だけ読んでいて救われたという気持ちだった。もし結末は知りたくないが本作品を一回の鑑賞で十分に楽しみたい、という場合については少なくとも原作の前半は読んで欲しいところである。
また、ミュージカル好きの性か、所々で「なんでここ歌わないんだよ!!!」と全力のツッコミを入れたくなった。感情を載せた歌詞のある音楽がない分、物語は間を開けずに進んでいくので、登場人物の心情にずぶずぶと浸っている場合ではないのである。舞台は待ってくれない。その点、ミュージカルは感傷的な私にとってキャラクターの切ない気持ちに思う存分溺れさせてくれる大変良い構成の舞台芸術である。本作品がミュージカルだったらどれほどリピートしただろうか。ゴールデンスニッチチケットを毎週のように狩りに行き、自制心を失った猟師の如く申し込みボタンを連打していたかもしれない。
というわけで最後は若干ミュージカル語りになってしまったが、別の形式の舞台芸術を見ることで、客観的にミュージカルを見直すきっかけにもなった。総じて、本作品はハリポタファン必見の超良作であることは間違いない。USJの杖持ってる人は絶対持っていって写真撮ろう。