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#2 空中で暮らす世界 自由に空を飛んで移動するモビリティの未来

空中都市を行き来するなら、移動手段においても浮遊がマストになるはず。少し前まではSFの話だった空飛ぶクルマも、ここ数年のドローン技術の進化により、数年以内には実用化するのではと言われるようになりました。もっと気軽に空を飛んで移動できるようになれば、都市部での交通渋滞の緩和や、山間部の集落への移動など、現在の生活の中でも確実に多くのメリットが見込まれます。今回は「空中で暮らす世界」が訪れたときにも大活躍するであろう、空飛ぶモビリティの開発事例を紹介します。


実用化に向けて開発競争が激化するeVTOL

現在、最も空飛ぶクルマに近いモビリティとして注目されているのが“eVTOL”。ドローンと電気自動車の技術を掛け合わせたもので、垂直での離着陸ができるため滑走路を必要としません。そのため、空き地の少ない都市部でも導入できる新たな交通手段として注目されており、様々なスタートアップだけでなく、大手自動車メーカーや航空会社による開発競争が進んでいます。

アメリカの Joby Aviation* は、自社の開発するeVTOLを使用した都市部での空飛ぶタクシーサービスを2025年に開始することを目標にしています。例えば、ニューヨークのJFK空港からマンハッタンの中心部までは車だと約50分かかりますが、eVTOLであればヘリポート間をわずか7分で移動が可能に。特に交通渋滞が問題となっている大都市では、新たな交通網である空の活用が期待されています。Joby Aviationのプロトタイプ機は既にアメリカ連邦航空局(FAA)からの認証を受けてテスト飛行も行っており、2024年には実用機の製造を開始する予定です。日本では株式会社SkyDrive** が空飛ぶクルマを開発しており、2025年の大阪ベイエリアでの事業開始を目指しています。空飛ぶクルマが飛び交う未来は、すぐそこまできていると言えそうです。

eVTOLは人間が乗れるサイズの大型ドローン(画像引用元:https://techcrunch.com/2023/06/28/joby-aviation-receives-permit-to-fly-first-evtol-built-on-production-line/

スーパーヒーローになれるジェットスーツ

マンガやアニメの登場キャラクターには、空を飛んで移動できるヒーローが多く登場します。人間にとって空を飛んで移動することは古くからの憧れ。特殊なジェットスーツを装着することで空を縦横無尽に飛んでいく、そんなアメコミのスーパーヒーローのような技術も、実際に開発され始めています。

アメリカのJet Pack Aviation***は、装着することでロケットのようにその場で上昇して飛ぶことができる、小型のジェットエンジン搭載のバックパックを開発しています。エンジンは10分程度しか使用できないため、長距離の飛行はできませんが、まるでヒーローのように空を飛ぶ感覚、一度は味わってみたいものです。

同様にイギリスのGravity Industries**** もジェットスーツを開発していますが、こちらはよりスーツに近いタイプで、自分の腕の部分にジェットエンジンを装着して飛行するタイプ。飛行するときの重心制御が難しそうで、日常の移動方法というよりはスポーツに近い感覚かもしれません。時速約80kmでの飛行が可能で、最速スピードは時速136kmを記録しています。実際にイギリスまたはアメリカの訓練施設で、誰でもジェットスーツで空を飛ぶ体験ができるようなので、気になる方はぜひ試してみてください。

Gravity Industriesのジェットスーツを着て飛行するパイロットの様子(画像引用元:https://gravity.co/

またこんな開発もあります。ジェットスキーの競技選手だったFranky Zapataは、元々は水圧を利用して空を飛ぶことができるフライボードを開発していましたが、2016年にジェットエンジンを搭載した“Flyboard Air***** ”を発表。靴とボードが一緒になった、まさに空を飛ぶスノーボードのようなデバイスです。これで空を飛ぶにはかなり特殊な技術と訓練が必要になりそうですが、波に乗るような感覚で空を移動できるとすれば、新たなスポーツとして人気になりそうです。

ジェットエンジンのついたスノーボードのようなFlyboard Air(画像引用元:https://www.zapata.com/flyboardair/

まとめ

いくつか未来的なプロダクトを紹介しましたが、人間が空を飛ぶための技術開発では安全性の確保が第一。実用化されるまでにはまだまだ多くのイノベーションが必要でしょう。しかしながら、空飛ぶクルマや、空を自由に行き来できる空中浮遊の装備の開発が進んでいるという事実だけでも私たちをワクワクさせてくれます。さて、これらが実用化されるときに私たちのライフスタイルはどう変わっていくのでしょう。風に負けないファッションやヘアスタイルとは、新たなスポーツカルチャーとは、そしてそのユニフォームとは、大きな変化が起こりそうです。

≪参照記事/ウェブサイト≫
*Joby Aviation
https://www.jobyaviation.com/
 
**株式会社SkyDrive
https://skydrive2020.com/
 
***JetPack Aviation
http://jetpackaviation.com/
 
****Gravity Industries
https://gravity.co/
 
*****Zapata / Flyboard Air
https://www.zapata.com/flyboardair/

(文・高橋 功樹/未来予報株式会社)


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