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父と教科書とフィリピン

皆さんこんにちは。存在自体が猥褻物陳列罪のようちゃんです(`・ω・´)ゞ
今回はちょっと切なめ?のお話でございますm(__)m

とある日、自宅の治療室(実家は鍼灸院)を整理していたら、墨字の解剖学の教科書を発見(盲学校などでは印刷されているもののことを墨字って呼んでいました。)。あれ、父って全盲だから点字だったと思ったんだけどな~。

父「あぁ、盲学校在学中に失明したんだよ。」

私「なるほど。」

父は「ベーチェット病」という原因不明の難病にかかり、視力の低下のち失明したとのこと。朝起きたら目が見えなくなっていたと。

まじか。朝起きたら見えなくなっているってめっちゃ怖いやん・・・・

ちなみに父の持っていた教科書と私が盲学校時代に使っていた教科書が全く同じでした(笑)解剖学の教科書なのに字しかのっておらず、図は別の本にマジックで書かれたような太い線で筋などの図を見やすくしてありました。(全盲の方用に線が立体になった触図もあります。)

教科書は比較的新しく、ペラペラめくってみると、最初の10ページまではこまめにメモや線が引いてあり、なんやかんや父はまじめやったんやな・・と思わせる内容でした。(盲学校入学時は確か30代)そして、父が書いた字を生まれて初めて見ました。(私が生まれたころから父は全盲でしたので)

それだけでもちょっと感動してしまったのですが、ペラペラめくっていくと、だんだん文字や線がゆがんできており、そしてあるページを境に

ものすごくきれいなページになっていました。


私はすごく心が切なくなり、涙があふれてきました。

そうです。この時期に父は弱視から全盲になったのです。わずかに見えていたものも見えなくなり、私にはその時の絶望を想像することができません。

盲学校でも途中で墨字から点字に切り替える方はいらっしゃいますが、初めは相当苦労されます。何せ今まで使ったことないものを一からしないといけない。父もしばらくはテストなどは口頭(試験官に問題を読んでもらい、口頭で答える方式)でテストを受けていたみたいですが、卒業のころには点字をマスターし、点字でテストを受けていたみたいです。

私が生まれたころから父は全盲であり、しかもある程度障害を受容した状態でしたので、父の目のことは全然気にしてもいませんでした。

当たり前ですが、人それぞれにはいろんなドラマがあり、いろんな経験をされてきています。父もいろいろな経験をして今日に至るんだなと私は感動しながら父に話しかけました。

私「失明するってわかった時どうやったん。」

父「そやな。失明するってわかった時、悪友に誘われてフィリピンに行った。そして散々遊んできた。」


父よ。私の感動を返せ。

結論:なんやかんやいい人生やで(by父)

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ようちゃん(たなよう)
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