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孤独孤立の背景を冷静に分析した一冊〜『孤立不安社会』(石田光規)★4 (9月5日

■『孤立不安社会』★4(石田光規, 2018)

「社会調査から人々のサポート源を探ると、その中心は未だに家族・親族である。しかしその一方で、生涯未婚率や単身世帯率は上昇し、サポートの供給源は確実に削られている。サポート源喪失のリスクは孤立のリスクに置き換えられ、人々の孤独・孤立への感度を高めてゆく」p23
「近代社会の成立以降、私たちは自立・自律した諸個人が形成する社会をめざしてきた。それは、閉鎖的空間における半強制的なつきあいが縮減する過程でもあった。半強制的付き合いの縮小は、人びとに開放感をあたえると同時に、鬼子として孤立ー孤立死問題を産み落とした」p109
「高齢化の進展、単身世帯の急増、財政の逼迫により地域の互助に対する期待は年々高まっている。にもかかわらず、互助を期待しうる「濃密な関係」は、地域や近隣には見られない。つまり、孤立への打開策として、近隣に期待するのは難しいということだ」p166

『孤立不安社会』(石田光規, 2018)

 孤独孤立問題を考える上で、頭が整理される一冊です。

 孤独感へのサポートは、今でも家族が中心。しかし、個人主義を社会全体が目指したことで、半強制的な付き合いは良くも悪くも減少し、孤独孤立問題が生じている。他方、地域における「互助」は期待に反して限界がある。NPOは個人主義と地域互助を理想化しすぎている面があり、考えさせられます。

 家族主義が女性に負担を強いてきたような側面は乗り越える必要がありますが、家族が担ってきた役割をいかに保つかも併せて考えるべきでしょう。また、被災した地域を回っていて、地域コミュニティの必要性を信じる気持ちに変わりはありませんが、つながりから漏れてしまった方々への想像力も必要だと考えています。


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