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『モンテ・クリスト伯』デュマについて

小説を読むと、作品の中に著者が立ち現れて、
著者と読者の2人が対峙する。
という経験があるだろう。
『モンテ・クリスト伯』において、
主人公、モンテ・クリスト伯は、著者アレクサンドル・デュマ
そのものである。

モンテ・クリスト伯は、巨万の富を使って、
アラビアンナイトの世界から抜け出て来た人の様に
復讐を遂げていく。
その痛快さ。
伯爵が自分の正体を明かして、
復讐相手が取り乱し、
神の御心を知ったように、自らの罪をたちまち思い出すところは
スカッとする場面である。
但し、この小説は復讐を描いているだけでなく、
モンテ・クリスト伯の心の葛藤もきっちり描いている。

著者のデュマは奴隷の孫として生まれ、
本作や『三銃士』などの大人気作家としてパリに住んでいた。
その人気の為、80万フラン(8億円)の年収があった。
贅沢を尽くした「モンテ・クリスト荘」を建て、
「芸術劇場」を経営するなど、豪奢な生活をしていた。
彼の事を、浪費癖があると言う人も居たが、
パリの市民からとても愛されていたことから見て、
人々をあっと驚かせたり、楽しませることの好きな人
だったのではないか。
作品が何度も、デュマ本人が書いたものではないとして裁判にかけられ、
その裁判で負けることもあった。

【モンテ・クリスト伯の言葉】
この世には幸福もあり不幸もあり、ただあるものは、
1つの状態と他の状態の比較にすぎないものだということです。
きわめて大きな不幸を経験した者のみ、
きわめて大きな幸福を感じることが出来るのです。
マクシミリヤンさん、生きることのいかに楽しいかを知る為には
一度死を思ってみることが必要です。
では、なつかしいおふたかた、どうか幸福にお暮らしください。
そして、主が、
人間に未来のことまでわかるようにさせてくださるその日まで、
人間の知恵は、すべて次の言葉に尽きることをお忘れにならずに。
 待て!そうして希望せよ!

※”なつかしいおふたかた”とは、マクシミリヤンとヴァランティーヌのこと。この2人の恋愛物語がとても心を打つ純愛で、私としては2人がハッピーエンドを迎えてくれて満足でした。

以下、Wikipediaより

2002年、アレクサンドル・デュマ生誕200周年を記念してデュマの遺灰はパンテオンに移葬され、長年敬愛したユーゴーと同じく偉大なフランス人として祀られた。シラク大統領はインタビューに答えてデュマを讃えている。
「彼が出発した地点から到達した地点を見れば、それがいかに素晴らしいことかわかります。まだ奴隷制が廃止されていなかった時代に、奴隷の孫だった彼が成し遂げたことの大きさをわれわれが推し量ることを忘れてはなりません… デュマのパンテオンへの入場が、ある種の先入観を最終的に覆すことを心から願っています。われわれは、この天才的作者を人気があるという理由だけで二流だと決めつけたのです。それが侮辱か欠陥でもあるかのように!文化が万人のものであること、それを示すことがパンテオン移転の目的の1つです。『三銃士』か『モンテクリスト伯』の物語を読み直してください…これは偉大な作品です。『ブラジロンヌ子爵』の権力研究は真実で衝撃的な力に満ちています…デュマがパンテオンに入ることで、コレージュやリセの教材になることを心から願っています。」

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