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エフェクター修理 electro-harmonix_Micro synthesizer

※Xにポストしたものとほぼ同内容です。
エフェクターの修理・改造承ります。
ご依頼ご相談はXまたは以下からお受けしております。


エフェクター修理を受注しました。エレハモのMicro synthesizerです。木箱がカッコいいっす。そしてデカいっす。 不具合内容は音が極小とのこと。ギターを繋いで鳴らしてみると確かに、歪んだ音が微かに鳴るばかり。フットスイッチを押しても音は変わらず。

裏蓋を開けました。大きい基板が二階建てになっています。昔ながらの片面基板で作業しやすそう。 ひとまずテスターでジャックとスイッチの導通を確認して、問題なければ基板をチェックしていきます。検索で回路図が見つかったので、それを見つつあやしい箇所を探していきます。

フットスイッチの使い方が大胆で、2回路スイッチの1回路だけを使って、出力信号のみを切り替えているようです。入力信号は常時導通しているので、バイパス時にもエフェクター回路に信号が流れていきます。ノイズや音漏れが起きないか確認したいところ。場合によっては改造候補。

あとはエフェクトオン・オフのLEDがあると便利。ビンテージエフェクターに新たに穴を空けたくないので、パワーオンのLEDをエフェクトオンオフ用に使うというのはどうだろう。電源オンはスライドスイッチの位置でわかるし。 ただし前述の改造と両立する場合は3回路スイッチに交換する必要あり。

――以上余談。修理を続けます。

いったん蓋を閉めようとして気が付いた。穴の位置が合ってない!MADE IN USA!

蓋の穴を拡張してピタッと閉められるようにしたいっすな。削って良いか依頼者に確認します。


電源部の回路をシミュレーション。 バッファーとレギュレーターで安定した正負両電源を作っているようです。 +8Vと-10Vが出力されます。 出力側の平滑コンデンサーの容量が小さく、リップルノイズが気になります。逆流保護のダイオードを付けて当該コンデンサーの容量を増やしたくなります。


実機を調査。まずは付属アダプターの電圧をチェック。正常なもよう。 24Vのアダプターで30Vくらい出てますが、負荷をかけたら24V程度に落ち着くかと思われます。

各部導通チェック。スイッチが導通しません。スイッチの故障っぽいです。ネットで回路図を見つけておいたけど、要らなかったかも。

アウトジャックとエフェクト出力部を直結したら音出ました。スイッチ交換で直りそうです。

ゲイン調整。トリマーポットを回してゲインを調整します。この音量がそのままバイパスの音量になるのでループBOXを使って比較しつつトゥルーバイパスの音量と同じくらいになるよう調整。

もう一つのトリマーはsquelchと呼称されているらしく、attack delayの強さが変わるようです。アタックが遅れてフワーっとした音になる機能のようです。またノイズゲート的な動作もしているっぽいのでその辺も考慮しつつ良い感じのポイントにしました。

バイパスのハイ落ちはどの程度なのか?ループBOXを繋いだついでにチェックしました。(緑ランプが点灯している時がMicro synthesizerのバイパス音です)
ギターのトーンを絞るような落ち方ではないですが、キラキラした音域が落ち着いて眠たい音になる感じです。ビンテージっぽい音。

ではハイ落ち対策をしたら、エフェクト音には影響が出るのか?boss技バッファーを通してハイ落ちを防ぎつつエフェクトをかけてみました。緑ランプ消灯→直結 点灯→技バッファー有です。弾いてる感覚だと技バッファーありの方がパキッと音が前に出るけど奥行きが薄くなる感じもありました。

これ、音劣化しません?という部分がビンテージっぽいトーンを生むことがある、という知見を得ました。奥深きエフェクターの世界。。


スイッチ外しました。 これを手持ちの3回路スイッチに換えてもいいのですが、3回路も必要無いので1回路か2回路でよりソフトタッチなスイッチを探して付けた方が良いかもですね。一般的な3回路スイッチはガチャガチャ鳴るので。 これを機にいろんなスイッチを買ってきて比べてみます。

そしてスイッチ色々購入。
左から、 普通サイズの3回路(エフェクターでは最も一般的) 同2回路 ミニサイズ2回路 高級品carlingの2回路 carlingはさすがに素晴らしく、切替が静か。しかし高価。 汎用品ではミニサイズ2回路が割と静か。ストロークが短い。 普通サイズは3回路より2回路のほうが多少静か。という感じ。

スイッチ交換。 依頼者様に確認の上、今回はミニサイズスイッチを採用しました。

組み戻して行きます。二階建て基板を組み戻すのが意外と大変です。特に隙間からスペーサーをセットするのが難しいです。

組み戻しました。 音出しチェックOKだったので蓋を閉めます、がその前に蓋の穴を加工します。

細いヤスリで削って穴を拡張します。

蓋のアース線を取り付けます。

バッチリ蓋閉まりました。
受け取った時は歪んで隙間が出来ていましたが、今はピタッと納まっています。気持ち良い!

外したツマミを戻せば完成です。

Electro-Harmonix_Micro synthesizer 修理完了。
音の強弱に合わせてフィルターをかけられる面白いエフェクターでした。 フィルター類をオフにすれば極太ファズになるという、かなり素晴らしいエフェクターです。 今回の修理でビンテージサウンドについての知見が増えました。とても勉強になりました。


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