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【奈良の神社探訪】吉野 大名持神社
大名持神社(おおなもちじんじゃ)は、吉野町から東吉野村を経て松阪市、そして伊勢まで続く【旧伊勢街道】と、川上村、上北山村、下北山村を経由して三重県熊野市に至る【東熊野街道】の分岐点に近いところに位置している。昔の人達にとっても交通の要衝と言える場所である。
国道169号線を吉野川沿いに東へ辿って行くと河原屋という交差点があり、そのすぐ左手が大名持神社だ。
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大名持神社の御祭神は、大名持御魂神(おおなもちのみたまのかみ)で、これは大己貴命(おおなむちのみこと)または大国主命(おおくにぬしのみこと)の別名である。大国主命は、因幡の白兎を助けた神様で大黒様とも同一の神様。
一緒に祀られているのは大国主命の正妻、須世理姫命(すせりびめのみこと)と、少彦名命(すくなびこのみこと)。少彦名命は大国主命と共に国造りを進められた神様である。
この大名持神社は、標高249mの妹山(いもやま)の麓にある。
妹山は対岸にある背山(せやま)と対をなしており、万葉集にもこのように詠まれている。
大穴道(おほあなみち)
少御神(すくなみかみ)の
作らしし
妹背の山を
見らくし良しも
《訳》 大国主命と少彦名命がお作りになった妹背の山は、見るからに素晴らしい
そして人工美林の多い吉野にあって珍しい原生林に覆われている。これは“忌み山”として入山や伐採を禁じられていたためで、妹山という名もここからきていると言われている。
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妹山樹叢(いもやまじゅそう、樹叢とは植生によらない、自生した樹木が密生している林地)は、ツルマンリョウ・ルリミノキ・テンダイウヤク・ホンゴウソウ・ホングウシダなど珍しい暖地性の植物が自生しており、国の天然記念物の指定を受けている。
中でもツルマンリョウは屋久島などで成育する珍しい種で、学名のアナムティアは明治44年に京都大学の小泉博士が奈良でツルマンリョウを確認した大名持神社の名にちなんで命名されたとのこと。
また、神社前の吉野川 潮生淵(しおうぶち)には毎年6月30日に海水が湧き出るとの言い伝えがあり、この淵で禊(みそぎ)をする「大汝詣り(おなんじまいり)」が今日も受け継がれている。
ちなみに、妹山と背山は、浄瑠璃や歌舞伎の“妹背山婦女庭訓”(いもせやまおんなていきん)の舞台としても知られている。
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静謐な空間で、心を洗われるような素敵な神社である。
⛩️大名持神社
奈良県 吉野郡 吉野町 河原屋 86
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