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タンデムランを楽しむために

爽やかな季節、バイクの二人乗り=タンデムランも最高です。
しかし、タンデムランには一人で乗る時とはまた違った難しさがあります。

安全最優先

まず大前提として安全が最優先事項です。
ライダーであるあなた自身の身体ももちろん大切ですが、後ろに乗せているパッセンジャーの命を自分が完全に預かっているんだという自覚を持って走行してください。

その上で、パッセンジャーがタンデムランを嫌いになることがないように気をつけたい点を挙げてみたいと思います。

大多数のライダーは、前に乗る経験は山ほど積んできていたとしても、後ろに乗った経験はほとんど無いのではないでしょうか。
なので『ライダーはパッセンジャーの事がほとんど分かっていない』という事実を素直に認めましょう。

タンデムランをする時に一番大切なのは『思いやり』です。

どんな時にパッセンジャーが怖い思いをしているのかを知るところから始まります。

注意点①
乗車、発進、ブレーキング

ライダーがバイクをしっかり支える体勢に入っていない時にパッセンジャーが乗ろうとするとバイクがフラつきお互いドキッとします。乗り降りする時はお互いに合図をしてからが鉄則です。
また信号待ちなど停止から発進する際もライダーが合図してあげないと、パッセンジャーは加速に備えるのが遅れて後ろに体が持っていかれ落ちそうになり、恐怖を感じます。
ブレーキもライダーはかけるタイミングが分かっていますが、パッセンジャーは知る由もないので減速Gに耐えかねて前方にズレてきてしまいます。
できるだけ加減速の操作をデリケートに行うことも必要なのですが、いくら繊細にライダーがコントロールをしたとしても、パッセンジャーの体に働く慣性は非常に大きな力であるため、身構えていなければ耐えられるものではありません。
できれば毎回、声がけや合図をしてあげてください。

注意点②
段差(橋の継ぎ目、マンホール等)

ライダーはマシンのほぼ中央に乗っているため、路面の段差などから受けるショックは前後のサスペンションがバランス良く吸収してくれます。
ですがパッセンジャーは後輪の真上に座っている関係で、リアタイヤからの突き上げをモロに食らってしまいます。
タンデム時は一人乗りの時よりリアサスペンションが沈み気味なのでフルボトムしやすい事もあり、そのショックがパッセンジャーの首や腰にダメージを及ぼす可能性があります。
路面のデコボコや、橋の継ぎ目にできた段差はもちろん、たとえマンホール程度のへこみであってもパッセンジャーには強い衝撃となる場合があります。
ライダーはできるだけ早くそれらを発見して、回避するか、合図をしてあげてください。

注意点③
ライダーとパッセンジャーの相違点

例えば、寒い季節のタンデムランでは、寒いと感じる身体の部位がライダーとパッセンジャーで異なっていることもあります。
ライダーはエンジンの熱で意外と太ももは寒くないですが、パッセンジャーはエンジンから遠くライダーよりもやや高い位置に座っているので太ももに風が当たって寒かったりします。

休憩のインターバルにも気を配ってください。パッセンジャーはライダーに遠慮をして休憩を取りたいと言い出せないことがしばしばあります。
ライダー自身も一人で走る時より疲労が蓄積しやすいはずなので、こまめな休憩を心がけましょう。

コミュニケーションが大事

現代はインカムがあるおかげで、昔よりも格段にコミュニケーションが取りやすくなっています。

ライダーが収集している路面の情報や、次の動作は逐一パッセンジャーに伝えるようにしましょう。

そうしてマシン・ライダー・パッセンジャーが呼吸を合わせ一体となった走りが出来たときには、きっとこれまでになかった満足感が得られると思います。

どうぞ思いやりの心を持って、安全に楽しいタンデムライフを送ってください。

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奥本雅史@二輪ライディングアドバイザー
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