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【リーンウィズで速くなる!? 《全20回》】その18 リーンウィズならではの尻荷重

尻荷重?

『尻荷重』なんていう言葉をライディング理論で聞いたことはありませんが、バイクをリーンウィズで走らせるときには、こういう感覚が確かにあります。

尻荷重とは『お尻でシートに荷重を載せる』ことです。

似た言葉にシート荷重というものがありますが、これは加速時にシートからリアタイヤへ向かって荷重を載せトラクションを稼ぐ場面(ハングオフのフォームで乗っている時に外側の太ももでシートに荷重を載せている場合など)で主に使われる言葉だと思いますので、ここではそれと区別するために尻荷重としました。

では尻荷重はどの場面で使うかというと、ブレーキング終了からコーナーへの進入にかけて、つまり通常はステップ荷重をするタイミングです。

例えば、コーナーに入る時、少しコーナーの内側方向へ腰をずらして、シートの右端や左端に荷重を載せれば、バイクを比較的簡単にバンクさせることができます。

バイクのシートには30センチ程度の幅があります。人間のお尻にもやはり30センチ前後の幅があります。

ですので、右のお尻と左のお尻に分けて荷重をかけることができれば、腰をずらさずセンターに座ったままで、自在にコーナリングをする事が可能となるわけです。

尻荷重に役立つトレーニング

左右のお尻へ分けて荷重を載せるためのトレーニングとして、ヨガの『安定座』が役に立つと思います。

やり方は、まずお尻を下ろして膝を左右に開いて座り、両足のカカトを恥骨の前へ置き、腹式呼吸をしながら『山のポーズ』と同じように頭を天に向けて伸ばすようにします。この時、左右のお尻に圧が均等にかかるように意識をします。

左右均等に圧を感じることができるようになれば、左右のお尻に分けて荷重を載せる感覚もだんだんわかってくると思います。そうするとシート上でお尻の右側、左側への荷重をコントロールすることができるようになってきます。

前後方向の移動を積極的に

尻荷重でバイクをコントロールするためにもう一つ重要なのは、前後方向の体の動きです。それは、直線では伏せ、ブレーキングから旋回にかけては上体を起こし、また加速に移る時は上体を伏せていく、という動きのことです。

直線で伏せる目的は、

①空気抵抗を減らすため
②重心を下げるため
③前輪への分布荷重を増やすため
です。

ブレーキングでは上体を起こすのですが、それは反対に、空気抵抗を増やし、重心を高い位置に上げて、前輪から荷重を抜くことが目的です。

それに加えて尻荷重時は、お尻からシートへ荷重をより載せやすくするという目的もあります。

上体を起こした後は、できるだけ力を抜いて、曲がりたい方のお尻に体の重みをグーッと委ねていきます。上体をしっかり起こしていないと、尻荷重の効果は弱まってしまいます。

逆ステップ

ですが、尻荷重だけではコーナリングのきっかけとして弱すぎるというシーンもあります。

Uターンやシケインの切り返しなど、大きく一気に方向を変えないといけないとき、または高速コーナーやスロットル一定で走行しているときなど直進安定性が強くなり倒しこむのに大きな力が必要なのにもかかわらず、ブレーキングをコーナリングのきっかけに使うことができない場合などです。

このような場合、イン側のステップを一生懸命踏もうとしても、なかなかマシンは寝てくれず、どんどん変なところに力が入っていって妙な体勢になってしまいます。

こんな時は、倒しこむ一瞬手前のタイミングで、クッと外側のステップを踏みます。

水面に浮かんでいるボートに立っているところを想像してみてください。

肩幅ぐらいに足を開いて立っている時、もし左にボートを傾けたいと思ったらどうしたらいいでしょうか?左足に力を入れて踏み、ボートを傾けようとしてもバランスが崩れてぐらついてしまうだけです。

ところが、一瞬右側を踏んでから左足に力を載せれば大きくボートを傾けることができます。これと同じく、一旦倒したい方と反対のステップに軽く力を入れれば、曲がりたい方向のステップに大きな力をかけることができます。

尻荷重、前後の動き、そしてこの逆ステップを習得すれば走りの幅がグンと広がります。安全に十分気を付けながら、練習してみてください。


【リーンウィズで速くなる!?】タイトルまとめ

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奥本雅史@二輪ライディングアドバイザー
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