皆さんこんにちは。
日本ハンドボールリーグ(以下JHL)に所属するトヨタ紡織九州レッドトルネードのマスコット、「レットルくん@rettorkun」です。
以後お見知り置きを。
唐突だが、この世には「上司」というものがいて、いつも部下に対して「何々しろ」と言う。構造上これが毎日続くのだから、ソリの合わない上司の下に就いた部下は辛い。
僕の友人のNは、まさにそんな「ソリの合わない上司を持った気の毒な部下」だった。
「俺はこれだけは誰にも負けない」
当時大学生だったNはそう言って、よく倖田來未のモノマネをした。
同じく大学生だった僕らはそれを見て、腹を抱えて笑い転げたものだった。
大学卒業後、社会人になってからはそれぞれの道へ。
会う機会は少なくなったが、どちらかが出張だなんだで近くに行く際には必ず連絡を取り合い、お酒を飲んだ。
話を聞く限り、Nの上司は良い上司とは言えない人だったが、僕がいくら「辞めろ」と言っても、Nは会社を辞めようとはしなかった。
「ここで辞めたら負けだから」
意地なのか何なのか、こんなやり取りが数年間続いた。疲弊していくNを見るのは、胸が痛んだ。
ある時、そんなNから電話があった。
声が明るい。
「式は来年の春な」
付き合っていた女性と籍を入れたという報告だった。あれだけ僕が言い続けても辞めなかった会社も、奥様の一言で辞めたらしい。アッサリと。
「アイツには報告したのか、アイツはどうだ」と話しているうちに、大学時代の話になり、僕はNに倖田來未のモノマネをねだった。
Nは快く、懇親の「倖田來未でぇ~すぅ!」をくれた。大学時代より、遥かに上手くなっていた。
「いやぁ、嫁さんがこれでよく笑ってくれるんだよ」
僕はNの奥様には会った事ないけれど、きっと気が優しくて賢くて、この熊のような大男のあやし方を知っている女性なのだろう。
「男って単純だね」
その通り。
男というのは、単純で簡単なのだ。
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