好きなアーティストのライブで、ぼくたちお客さんができること。
*きのうは、ハンバートハンバートのライブでした。前に見たのが二年前の大阪でのワンマンで、今回はバンド編成での登場。ハンバートハンバートの音楽は、ほんとうに、現代を生きるぼくたちを前向きに慰めてくれるような曲ばかりで、大好きなんです。自然と、涙がこぼれる。泣いているんじゃない、涙が勝手にこぼれてしまう、そんなやさしい音楽たち。こころが満たされる、という言葉がここまで似合うライブもないだろうと思うほど、素敵なライブでした。きっと、おじさんになってもおじいちゃんになっても好きだろうなぁ。
ぼくの座る、左斜め前あたりの少し離れたところに、メガネをかけた男性が座っていた。どうしてライブで、客席にいる、しかも少し離れたその方をおぼえているかって、その方の拍手の仕方がとても素敵だったんですよ。頭の上まで手を掲げて、拍手も、曲中の手拍子もする。ライブを楽しんでいるのはもちろん、好きなんだろうなということも、よろこんでいることも伝わって、それがすごくよかった。だって、わざわざ頭の上まで手を掲げて、手を叩くのって、ふつうにするより疲れるでしょう?
でもそれを惜しげも無く、ライブを聴いてよろこんでいる気持ちを、演者に伝えようとしているその姿に、ぼくはたびたび目を奪われてしまった。ぼくも「拍手はできるだけ高い位置でしなさい」という教えに則ってやっているけれど、それより上がいたのだ。しかも、あんなに気持ちよさそうに。負けじと、ぼくもいつもより上の方で手を叩いた。
ぼくが演者でステージの上にいたら、あんな拍手や手拍子はうれしいだろうなと思う。客席も段々になっているので、とくに後ろの人の迷惑にもならないし、仮に見えづらくたって許容範囲だ。なんならその人は、少し深めに腰掛けていたんだから。ああいう「拍手を高い位置でする」というのは、ぼくたちお客さんがちょっとの苦労でできる、演者へのお礼だなー。拍手はもちろんうれしいけれど、さらにうれしいでしょうよ。そういう「お客さん」も含めて、ハンバートハンバートのおふたりがもっと好きになった。良いライブ、良いアーティストは「お客さん」も含めて良い。し、良くあろうとする。だって、自分が好きなアーティストのお客さんなんだから。
ああいうのも、自分も惜しげも無く、ステージにいる人にめいっぱいうれしさを伝えるように、やっていきたいねー。そういう人たちがたくさんいる空間は、ほんっと素敵なものだろうね。やっぱり会場の空気は、演者と同じくらい、お客さんひとりひとりが知らず知らずに担っている役割だと思う。