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第2回 ひとりと、みんな。

白川:
そもそも、失敗ってどうしてこわいんでしょう?


遠藤:
定義にもよると思います。
というか、失敗の定義は
それぞれ違うと思っていて。


白川:
そうですね。


遠藤:
「失敗展」ではあえて、
定義づけはしていません。
見てくれた人に委ねています。

私個人としては、
人に見られたり、迷惑をかけたり、
他者に影響を与えるものは
失敗なのかな、と思ってて。


白川:
なるほど。
人が関わるかどうか。


遠藤:
例えば、私がひとりでこけても、
私にとっては失敗じゃないんですよ。


白川:
ああ、そうなんだ。


遠藤:
こけたところを誰かに見られてたら、
「失敗」なんです。
でも、ひとりでこけてたら、
自分が痛いだけだから。
私にとっては、日常だし(笑)


白川:
あ、よくひとりでこけるんだね。


遠藤:
よくこけてます(笑)

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白川:
まとめると、遠藤さんの場合は
他者の目が入ると、失敗になる。


遠藤:
もともと、自分に自信がないのもあって、
変に気を遣われるのも嫌だし、
嫌われたりとか迷惑かけたりとか。
そんなことが、すっごくこわい。

それに、失敗したときに
誰かが助けてくれるってことも、
頭にまったくなかったんです。


白川:
ああー。


遠藤:
「失敗展」をやって、気付きました。
意外にみんな受け止めてくれるんだ!って。


白川:
やってみて、はじめて気付いたんだ。


遠藤:
それまでは、ずーんとひとりで
落ち込むことしか知らなかったんです。
失敗したときに助けてくれる人がいることも
当時は知らなくって。


白川:
それは、失敗しないと分からないもんね。
失敗しないうちは、
失敗しても助けてくれる人がいることを
知りようがないというか。


遠藤:
そうだと思います。
だから、悪いことばかりじゃないんですよ。


白川:
ぼくの場合、「失敗」は
「実体が見えない」から
こわいのもあるのかな、と。

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遠藤:
わかります。


白川:
それを突き詰めていくと、
「失敗すること」よりも
「失敗した」と言うことのほうが
こわいんじゃないかな、って思ったんです。

遠藤さんでいう、
こけるだけなら「失敗」なんですけど、
他者の目が入ると「失敗したな」って
思われてしまう。
そっちのほうが、ぼくはこわいんです。


遠藤:
なるほど!


白川:
それはつまり、「環境」ですよね。
逆に言えば、環境一つで変わるかもしれない。

ちなみに、最初に「失敗展」をしたとき、
「失敗展」をやる中での失敗ってありました?


遠藤:
もう、めちゃくちゃありますよ!!
何から言ったらいいか分からないくらい(笑)


白川:
そんなにあったんだ。


遠藤:
卒業制作は、ぜんぶ自費で行なうんですね。
私の場合、展示ひとつ自費でやるのは、
お金がない当時、大変でした(笑)

展示の備品を揃えるのも難しいくらいで、
いろんな人からペンとかパネルとか、
必要なものをかき集めて。


白川:
かき集めて(笑)


遠藤:
当日も、10時オープンだったのを
12時に遅らせてしまったり。


白川:
なにかトラブルが起きたんだ。


遠藤:
いえ、私が不安で、
泣きながら登校しただけなんです(笑)


白川:
それは大変だ(笑)


遠藤:
そしたら、学校のみんなが、
笑ってネタにしてくれて。
「失敗展でよかった!」って思いました。

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白川:
遠藤さんの人を巻き込む力は、
すごいですよね。
お会いするまでは、
技術だと思っていたんですが
話してみて、天性のものだと分かりました。


遠藤:
いや、私ができなすぎるんです(笑)


白川:
でも今お聞きしながら思ったのが、
ひとりでの失敗って
あまりこわくないのかもしれない。


遠藤:
そうかもしれません。


白川:
誰かを巻き込んだら、
こわさがドッとリアルになる。


遠藤:
それこそ、今の「失敗展」は
「やらかし隊」という、一緒に
つくってくれるメンバーがいるんです。


白川:
やらかし隊!いいなあ。


遠藤:
当日は「やらかし隊」のみんなに
スタッフをやってもらうことが多いんですけど、
お客さんが来なかったらどうしよう..
やらかし隊のみんながヘコむなあ..とか
私ひとりじゃなくなった、っていう
プレッシャーができました。


白川:
でもそれは、良くも作用しますよね。


遠藤:
そうなんです。
使命感というか、もっとがんばんなきゃ!って
ほどよいプレッシャーにもなります。

だから、「ひとりでやる」と
「みんなでやる」はぜんぜんちがうなあ。


(ひとりと、みんな。明日も、失敗について話します。)

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