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就職氷河期に技術者を育成しなかったことが原因で近年の技術者不足につながっていることは考えられるか?
1. 就職氷河期とは?
まず、就職氷河期の背景について簡単に説明します。就職氷河期は、1990年代後半から2000年代初頭にかけて日本の経済が不況に見舞われ、特に新卒の就職活動が厳しくなった時期を指します。この時期、企業は人員削減を行い、新卒採用を抑制しました。技術者を育成するための投資も減少したため、技術者不足が長期的に進行していったと言われています。
2. 技術者育成の欠如
就職氷河期において、企業はリストラを行う一方で、次世代を担う若手技術者の育成を怠りました。これは、技術者が企業の中で新たな技術を習得する機会を奪うことになり、若手の技術者が減少する原因となりました。特に、製造業やIT業界では、若手の技術者が企業内でのOJT(On-the-Job Training)や研修を受ける機会が限られ、その結果、スキルを向上させることができませんでした。
3. 技術者不足の現状
現在、技術者不足は深刻な問題となっています。日本の企業は、特にIT業界や製造業において、エンジニアや技術者の採用が難しくなっています。デジタル化が進む中で、AIやIoT、5Gなど新しい技術の開発には高度なスキルを持つ人材が必要ですが、過去の育成不足が影響していると言えるでしょう。
例えば、IT業界では、システムエンジニアやプログラマーの人材不足が深刻で、企業は人材の確保に苦しんでいます。また、製造業においても、製造技術者や機械設計のスキルを持つ人材が不足し、企業の競争力に影響を与えています。
4. 実例1: IT業界の技術者不足
IT業界では、就職氷河期に新卒採用を抑えた企業が多く、結果的に経験を積むことができなかった技術者が多くなりました。例えば、システム開発を担当している企業では、若手のエンジニアが少なく、即戦力となる中堅やベテランエンジニアに依存する構造になっています。しかし、この中堅やベテランエンジニアも退職後の引き継ぎが難しく、企業の技術力の低下を招いています。
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