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旧枠Foilの世界
有難い事(?)に最近はオンライン/オフラインともに"旧枠Foil野郎"と認知頂いているようで、様々な場面でお声掛けやご相談を頂く機会が増えました。
世の中には私以上に旧枠Foilに知識も愛も深いコレクターの方々がいらっしゃるかと存じますが、微力ながら"旧枠Foil"の魅力布教に繋がればと久々に発信させて頂きます。
また、言葉の定義が曖昧なラインがございましたので、この場を通じて少しでもマニアックな界隈でのコミュニケーション活性化に貢献出来れば幸いです。
"旧枠Foil"とは
まずはじめに、旧枠Foilとはなんだろうか?
Magic: The Gatheringが1993年のリリースされてから2003年に【基本セット第8版】が出る手前の【α】~【Scourge】が旧枠期となるが、Foilカードが登場したのは1998年である。当時はこの光沢を持ったカードをプレミアムカードと呼んでいたし、公式もそのように謳っている。
そして、【基本セット第8版】の噂が流れ始めた頃から「カードデザイン(枠)が変わる」という衝撃的な情報は出回っていたが、発売直後から旧枠・新枠と呼ばれていたか記憶に無い。(当時は地域差もあっただろう)
しかし、今では公式も“Retro Frame | 旧枠”というフレーズを使用しているため、“旧枠Foil”という種の定義としては“Foil加工がされた旧枠デザイン”という括りで問題無さそうである。
※左下角に見られる“流星マーク”の有無は問わない
ここでもう一段階掘り下げてみる。
カードプールが膨らむ中で、新枠以降をグルーピングした“モダン”フォーマットが生まれた事により、長いMTGの歴史をプレモダン/モダンに二分割出来るようになった。
そしてモダン期にあたる第8版以降もプロモや復刻にて“旧枠Foil”は不定期に発行されてきた。
これにより“旧枠Foil”とルックスで一括りに纏めていたカード群内に“Pre-Modern Foil”という呼称設定する事で、オリジナルの旧枠のFoilを区別する事が可能になっている。
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今回はこの“Pre-Modern Foil”の魅力の一部を紹介していきたい。また、機会があればその他の”旧枠Foil“についても今後知見を広めながら探求していきたいと思う。
尚、“Pre-Modern Foil”のうち、【Odyssey】以前のカードには加工の継ぎ目が入ってしまっているエラーが存在する。2002年以降は製造工程が改善されたのか、継ぎ目が発現する事は無くなった。
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"Pre-Modern Foil"の世界
Prerelease | プレリリース
初代Foil封入エキスパンションである【Urza's Legacy】の話から始まるかと思いきや、その一つ前は【Urza's Saga】から、それもプレリリースから沼底は形成される。
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当時小学生だった私は、残念ながら《稲妻のドラゴン/Lightning Dragon》Foilを自らの手にするチャンスには恵まれなかったが、ショーケース内で一際目立ち輝いていた事は鮮明に覚えている。その横に何故か堂々鎮座していた《バルデュヴィアの大軍/Balduvian Horde》(世界選手権99プロモ)は現在私のコレクション対象になっており、当記事のバナー抜擢させてもらった。
話を戻すと、この始祖Foilとなった《稲妻のドラゴン/Lightning Dragon》は当時かなりチャレンジングな施策だったのかもしれない。左下角の流星は形・クオリティともにスタイリッシュとは程遠く、日付けとエキスパンションシンボルの箔押しにも個体差がある。今となってはプレミアムカードという領域に踏み出した事は英断だったかもしれないが、競技志向の強いMTGにおいて当時は賛否両論あった事だろう。
ことプレリリースプロモ達においては【Torment】・【Judgment】を除いてはそこまでプレイアブルな物も無く、特殊他言語の特別感もありコレクション要素が強い。(とはいえLightning Dragon以外はストレージに放り込まれている)
あと、《まやかしの預言者/False Prophet》はマナコスト・イラストしか印刷されていないテストプリントも有名。
Judge Gift | ジャッジ褒賞
Player Rewards Program | プレイヤー褒賞プログラム
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【Urza's Legacy】より通常パックに100枚に1枚の確率でFoilが封入されるようになる少し前、当時で考えても凄まじい3枚がジャッジ褒賞として配布されている。
元祖《稲妻/Lightning Bolt》のFoilはエキスパンションシンボルの無い“旧枠Foil”として非常に珍しい存在。《ガイアの揺籃の地/Gaea's Cradle》は存在感も取引金額額も一級品だが、テキスト欄の「p」と「l」の縦不揃いで真贋鑑定をしたりする事も有名な話である。
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個人的には国内Pro-Tour配布の《ボガーダンの鎚/Hammer of Bogardan》と《生ける屍/Living Death》は馴染み深く、流通量も多く出回っていた印象。
また、2011年以降は新枠時代カードの“旧枠Foil”版が配布されたが、《闇の腹心/Dark Confidant》の左下角には流星マークは無くテキスト欄背景にシャドー印刷が施されている。また、《火と氷の剣/Sword of Fire and Ice》《世界のるつぼ/Crucible of Worlds》を除いては光り方・カッティングエッジ・センタリングの精度に少し難がある印象。《動く死体/Animate Dead》は唯一のプレモダン期カードにおける新規イラスト採用ではあるが、配布方法のせいもあってか完美品にはなかなかお目に掛かれない。
当時はジャッジの方だけでなく、プレイヤーも申請しておくと褒賞を受けれた時代。素敵なトークンが送られてくるイメージの強いプレイヤー褒賞プログラムだが、初年度と翌年においては一定数の公認大会参加(たしか20回?)で《不毛の大地/Wasteland》が贈られた。枚数こそ出回っているが、継ぎ目あり率が結構高い印象。
Arena League Promo | アリーナリーグ
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基本土地の存在が有名で人気の高いアリーナリーグのプロモカード。ショップや大規模大会のサイドイベントとしてカジュアルに開催されていたリーグ戦の景品だが、土地以外でもお世話になった(なっている)カードが目白押し。
2001年の《森/Forest》~2002年最初の《島/Island》まではエキスパンションシンボルが[ARENA]になっておりコアファンが多い。
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また、エラーカードとしては2001年配布の《寒け/Chill》にテキスト欄の②の濃さが三種類存在する。
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また2000年5月に発売した【Prophecy】より左下角の流星マークのサイズが小さくなるのだが、【Arena League Promo】で2000年に配布された基本土地も小さい流星でプリントされている。故に【Mercadian Masques】の通常Foilは”Pre-Modern Foil”前期における大流星、【Arena League Promo】では後期の小流星となっており、【Mercadian Masques】の基本土地においては同じイラストで流星サイズが違うものが各一種類ずつ存在する。
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←通常Foil | アリーナFoil→
また、2003年に配布された【Scourge】からの2枚の前には【Onslaught】版としてNon-Foilのイラストが横に繋がる基本土地5種が配布されている。(Foilだったら無限に回収しただろう…) プレモダン期最後の一枚となった《エルフの逸脱者/Elvish Aberration》は左下角に流星の無い最初の一枚でもある。
Friday Night Magic (FNM) | フライデーナイトマジック
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『毎週金曜夜は店舗でMTGをしよう!』というプロモーションが、人によっては配布カード次第でノルマのように参加を強いられる事となったカジュアル大会 - FNM。当時スタンダード フォーマットしか遊んでいなかった私にはプライズの価値を正しく理解出来ていなかった…見返せばほとんどプレイアブルなラインナップで、今となっては全て5枚ずつ(プレイセット+ファイリング用)揃えたくなる逸品。
また、当記事執筆に際し知る事が出来たのだが、2003年3月配布予定だった《水晶スリヴァー/Crystalline Sliver》は盗難事故(?)が原因で正式に配布される事は無かったとの事。代わりに7月配布予定であった《解呪/Disenchant》繰上げ配布となったらしく、その為《解呪/Disenchant》にはカードNo.の印字が入らなかったらしい。(2003年FNMプロモの他カードには全て「X/12 F03」の印字がある)
"Pre-Modern Foil"と"Retro Frame Foil"
今回は"旧枠Foil"というバックリとしたプレミアムカード群の中で、少し歴史にも触れながらプロモーションカードにフォーカスしてみた。知らなかった情報に巡り合う事もでき、まだまだ奥の深い世界である事を再確認出来た。
昨今、『旧枠Foil仕様』のような形で通常パックの特別枠やプロモーションカードとして発行され続けており、古き良き時代のデザインに捕らわれ・惹かれる層が一定数存在する事も確かであろう。
「だったら全部旧枠でいいじゃん」という野暮なコメントは避けているが、"旧枠"デザインを"Foil"で刷る以上は多少製造クオリティには気を遣って頂きたいものである。特に【Time Spiral】のイラスト内まで光沢が出ている以上のものや、時折目にする燻んだ変な光沢の"旧枠Foil"風カードは見るに耐えない。
個人の感想には過ぎないが、決して歴史や思い出に捉われて「旧枠Foilを新規発行するな」と言いたいわけではない。欲しいカードで"旧枠Foil"がリリースされたら奴隷のように購入する。ただ、"旧枠Foil"として括る以上、"Pre-Modern Foil"のクオリティは維持してもらえるよう強く願っている。
最後に
"Pre-Modern Foil"という言葉は国内ではあまり聞き馴染みの無いフレーズだったと思うが、国外に目を向けるとこの区分にニーズがある事が窺える。特に"Pre-Modern Foil"と再録/イラスト違い等で重複が存在するカードを指す際には便利で、今後もこれに該当するラインナップが増えるだろう(と期待している)。個人としては現在唯一アクティブに取り組んでいるミドルスクール環境において、全ての"Pre-Modern Foil"を英語4枚セットでコンプリートを細々と目論んでいる。あくまでもプレイセットではあるが、表面の状態・継ぎ目無し・許容範囲内でのセンタリングには拘って集めているので、これからも世界各地の店舗ショーケースやストレージを漁り続けたいと思っている。
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相変わらず誰の役にも立たなそうなニッチな駄文となりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。
また次回。