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平成の怪物

また一人、野球界の大物が現役生活に別れを告げることになった。西武ライオンズの松坂大輔投手である。平成の怪物の愛称で親しまれた彼の功績を並べていくと改めてすごい人だと思う。そんな松坂投手も、現役生活の後半はほとんど怪我と戦っていた。引退を決めた理由も右腕のしびれ。自分の思ったところにコントロールできないどころか、自分の指先の感覚さえもままならない。そんな状態でボールを投げることがどれほどの恐怖だったか。想像を絶するものがある。

先日、日本ハムファイターズの斎藤佑樹投手も引退した。彼もまた怪我によるところが大きい。甲子園のスターたちの幕切れはやはり怪我だった。プロスポーツ選手である以上、怪我は避けられない事項なのだが、人々を感動させたあの甲子園での、異常な投球数が無ければ、もう少しやれたのではないか…と思う。ただ、松坂投手本人が会見の最後で語っていたように、延長17回を戦ったPL学園戦の印象が本人の中でも大きかったようだ。大変な試合をモノにすることで、その後の野球人生の支えになっていた。それはあそこまで極限まで追い込んだからこそわかる感覚であり、やはりあれが無ければ…と思うのは、野暮な話なのかもしれない。

最後の登板は打者1人に四球と、先の斎藤投手と同じ結果になった。最速は118km/h。やはり本来ならば試合のマウンドに立てる状態でなかったことが伺える。しかし、フォームは昔とあまり変わっておらず、110km/h台という数字によりもボールがいっているようにも見えた。高低のコントロールが付かなくなるくらいの状態ながらも、最後にマウンドに立つことができてよかったなと思う。

今の野球界では、若い投手がどんどん出てきているが、プロ入り後はかなり大事に育てられている印象がある。松坂投手のように1年目から華々しいデビューとはならないが、徐々に頭角を現し、気づけばチームの中心にいる。投手の肩・肘は消耗品。そういった考えが日本の野球界に浸透してきているのだろう。彼らがどこまで活躍できるかによって、現在の育成方針の回答が出るといえる。

「松坂世代」といわれたその本人の引退。野球の時代もまた一つ、ここで変わってゆくのであろう。

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