転んでも日本新

順大の三浦龍司選手、またやってくれた。ついに8’16"の壁も破る日本新記録である。しかも、途中の水濠で転倒して一旦3位まで落ちている。しかし、その後、一気に巻き返しスパートした。一人だけ別次元のスピードを見せつけた。本人曰く、「新たなレースプランでも」と言っているので、レースの引き出しがさらに増えたということだろう。まだ大学2年生。この先が末恐ろしい。

2, 3位に入った山口選手、青木選手も標準記録を突破し、五輪内定を勝ち取った。山口選手は正式記録が出た瞬間に泣き崩れていた。昨日の多田選手同様、ここまでの苦労が窺い知れる。青木選手は法政大時代に箱根の5区山登りで区間賞を取ったことで登りに強いイメージがあるが、本職のサンショーでもきっちり結果を残した。もっとも、本人はレース後のインタビューで狙うは次のパリ五輪だったから…と、すこし言葉に戸惑っている印象であった。プランを立てて競技に取り組んでいる選手なのだろう。

さらに大学生も頑張った。2年生の2人、青学の小原選手は学生歴代4位の8’27"80、早稲田の菖蒲選手は8’37”24と、どちらも自己ベストを更新している。菖蒲選手は昨年の全日本を走り箱根は惜しくもエントリーのみとなったが、すでに主要大会で走っている。しかし、小原選手は駅伝シーズンでは表に出てきていなかった。青学はこういった選手が他にも多くいて、相当底上げが進んでいると見受けられる。原監督も駅伝だけではないと、これで自信を持って言えそうである。

女子レースもレベルの高い内容となった。優勝した山中選手は大会記録に自己ベスト、上位3名は全員自己ベストと、この日本選手権に照準をしっかり合わせてきた。

今大会はハードル種目で好記録が目立つ。400mハードルは4人が標準記録を突破し、今日は上位2人が内定した。110mハードルも100mハードルも今年は日本記録が更新されたことで、意識の垣根が取っ払われた感じである。明日は、日本選手権の最終日。どんな幕切れになるか、楽しみな1日になりそうだ。

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