M5&A5システム手帳併用のすすめ
0.こんな話です
DXだなんだとバズワードが出回っている中、手書きの手帳がアツいと思っているので、そんなお話をします。
結論としては、「スケジュール管理はスマホやPCに任せて、日記や思考整理には紙の手帳が便利。M5の小さい手帳に日記・雑記、A5の手帳に思考整理・読書ノートを書くのが楽しい。」というものになります。
自分がそう思うようになった前段階がいろいろあり、1.~9.はすべて前段階の話です。
タイトルのM5&A5手帳の話は10.以降なので、1.~9.は飛ばしていただいても大丈夫です。
1.いつの間にか手帳を使わなくなった
10年ほど前の大学生(文学部)だった私はアナログなメモ魔で、ミドリのダイヤメモやダヴィンチのミニ6手帳をいつもポケットに入れて思いついた言葉や日記をなんでも書いていました。
それが就職してサラリーマンになり結婚して、気がつくとほとんど手書きをすることがありません。
仕事ではタスク管理のためふせんを使いますが、タスクを完了すれば「よーしおさらばだ!」と言わんばかりに破り捨ててしまっています。
仕事が終わったあとはスマホでググったりSNSをスクロールしたり。
「そういえばスマホを持つ前はこういう時間に何をしてたっけ」と振り返ることすらないほど、当たり前にタイムラインと時間は過ぎていきます。
2.就活とスマホ
私の場合、スマホを使うようになったきっかけは就活でした。
先輩方から「スマホがないと説明会の予約とか全然勝負にならん」と聞いていて、これも世の流れよとソニエリのXPERIA miniという小さいスマホを買いました。
余談ながら、初期不良のため届いた代替品が初期不良で、その代替品も初期不良で、さらにその代替品も初期不良で交換したので、私のXPERIA miniは初めてのスマホであると同時に4代目のスマホでした。いい思い出です。
さてさて、テクノロジーの力のおかげで就職先が決まり、スマホは友人に勧められて始めたSNSを見たりYouTubeを流す、という形で私の時間に占める割合を少しずつ増やしていきました。
でも、ちょっといいアイデアが浮かんだ時はまだまだミニ6の手帳に書いていました。
本や新聞も「紙の方がディスプレイで読むより速い」という調査結果を信じて紙で読んでいました。
3.就職とiPad Air
スマホは就活きっかけでしたが、タブレットは就職がきっかけでした。
就職前にiPad Airを買って日経電子版を入れ「これで自分もデキるビジネスパーソンの仲間入りだな」と悦に入っていました。
「デキるビジネスパーソン」になれたかはさておき、日経新聞を細長く折りたたんでハリセンのようにして読むよりタブレットで読む方が快適でした。
就職後、初めての労働につかれた私は頭を使う読書をする気力もおきず、タブレットが映し出す動画を横目に見ながらスマホで気になったことをググっていました。
それでも、まだ日記はミニ6の手帳に書いていました。
4.就職とイカツイA5手帳と失敗
実は就職に合わせて、A5のガッシリした革のシステム手帳も買っていました。
就職先の最終面接で、人事役員のおじさまが持っていたザ・ビジネス用という黒革の手帳が記憶にあり、「勤め人はああいうものを使うのだな」と深く考えずに買いました。
結論から言うと、これはお金をどぶに捨てました。
仕事を始めて、まずスケジュールを月間・週間カレンダーのリフィルに書いていたのですが、スケジュールは基本Outlookで管理、しかも頻繁にリスケされるので紙の手帳にいちいち書き写すのは早々に止めました。
じゃあタスク管理に使おう、と思い、ステイタス・期限・内容を箇条書きするようにしました。
ですが、この用途に使うにはA5の手帳はあまりにもデカい。
隣の席のお姉さまの書類の雪崩に浸食(データで来た資料をなぜか印刷してる)されている新人の狭い机にも心にもゆとりなんてないのです。
結果、タスク管理はふせんに書くようにしました。
5.転職と結婚とiPad Pro
新卒の会社で圧倒的成長の機会と貴重な経験を積ませていただいた後、ご縁のあった会社に転職し、その後ご縁のあった方と結婚しました。
新しい会社での仕事と結婚生活が始まる中で「iPad ProというやつはApple Pencilで手書きメモ取れて便利らしい」と聞き、例によって深く考えずに購入しました。
結果としては仕事のメモはすべてiPad Proのメモアプリで取るようになり、iPhoneとも共有されているので重宝しました。
仕事で紙を使うことはなくなりました。
そして、なんとなく人前で日記を書くのが苦手だったせいか、結婚してからは日記を自然と書かなくなっていました。
6.引越しと日記と空白
結婚して最初に住んでいた部屋が手狭になり、引越しをすることにしました。
引越し後に荷ほどきをして新しい部屋でのモノの置き場所を決めていると、ミニ6の手帳に書き続けていた日記やら雑記を見つけ、懐かしさに時間を忘れて読み返します。
学生時分のことは恥ずかしいような懐かしいような感じで、就職後は今と同じかと思っていても「そうだよな、あの時は5年目とか10年目の先輩はだいぶ年上に見えたっけ」と意外に変化がありました。
でも、その後はないのです。
職場で同僚と一緒にめちゃくちゃシンドイ案件をやったり、結婚を決めて新生活を始めた楽しかったり大変だったときのことが、記録として何も残っていないのです。
7.失われる時を記して
もちろん、日記なんてなくて困ることはないのです。
毎日の買い物の記録だったり、新聞報道の内容とそれへの所感とかをつけておけば、後世何かでデータが全部ふっとんだ後に「当時の庶民の生活についての貴重な記録」として博物館入りするかもしれません。
んが、そんなのは日記を書く当人にとってはどーでもいいことです。
ただ、私は、自分自身の楽しみとして、自分の考えや暮らしについての記録をまた始めたいと思いました。
日記に書くつもりだと日々のイベントや変化に敏感になりますし、「過去の自分が誰であったのか、過去の自分と今の自分とはどういった経緯でどのくらいの距離が離れていったのか」というストーリーを将来楽しみたいという動機です。
8.再開と安手帳
さあ、こうなったらまた紙の手帳を使うことに迷いはありません。
手始めに無印の文庫本ノートなど安い綴りの手帳を買って、「本当に自分が日記を書くか」と「手帳の機能として求めるものは何か」を考えてみました。
iPadやイカツイ手帳は勢いで買っていましたが、継続的な習慣にするための手帳となると知恵をしぼって決めたいものです。
結果として、久しぶりに書く手書きの日記は楽しく、通勤時間や家で自分ひとりの時間(これまでスマホをいじっていた時間)を使えば十分続けられることが分かりました。
そして、綴りの手帳への不満点から、自分が欲しい手帳のイメージも湧きました。
9.システム手帳と多機能からの解放
手帳の形式としては、絶対にシステム手帳にしようと決めました。
それは、綴りの手帳を使っていて下記の点が不満だったからです。
①紙を抑えながら書かないといけない
②不要なページも持ち運ばなければいけない
③順番を変更できない
システム手帳というのは「スケジュールもメモ用紙も路線図も何かを入れるポケットも」と欲張って肥大化しやすい特性がありますが、これはデジタル化の影響でちょっと変わってきました。
というのも、仕事・家庭どちらの予定もデジタルで管理しているので、システム手帳は従来担っていた「便利になんでもこなすオールインワン」という役割から解放されたのです。
システム手帳に自分が求める姿が「シンプルでページの差し替えが容易な薄いメモ帳」という目的に準じた明確な姿になりました。
新卒新人だったときに手帳でスケジュール調整しようとして苦労しましたが、そういう心配は不要になった訳です。
10.M5手帳とA5手帳と併用
手帳の用途を考える中で、自分が手帳に求める役割は2点でした。
①「日記・雑記のため持ち歩けるコンパクトさ」
②「思考整理のため余裕ある筆記スペース」
この2点は矛盾するので、サイズ違いの2冊を併用することにしました。
①M5(マイクロ5という12×8cmの小さな手帳)
持ち歩き雑記帳かつ目標管理用
②A5(A4用紙の半分で22×17cmの大きな手帳)
思考整理や読書ノート
具体的な手帳としては「シンプル」「薄い」「開くと平たくなる」という要素に絞って調べて、一枚革に金具がついただけのPlotterというシリーズに決めました。
また、ある程度たまったら保存バインダーに移動してそちらで保管しています。
11.M5手帳と構成
ここ数年で流行ってきている、システム手帳としては最小クラスのサイズです。
私は目的に合わせて、前から下記のような構成にしています。
①バンドリフター
手帳が勝手に開かないようバンドがついたリフィルです。
②Future Log
「バレットジャーナル」という手法の一部分だけを使っていて、年~月単位でやりたいことの書き出しとトレース目的です。
1ページの真ん中を横線で区切り、1ページで2か月・見開き4か月を見れるようにしています。
書き方としては、各月の中で空白の□と内容をメモ、進捗に応じて□の中を下記のように変えていきます。
このルールは最初のページに書いています。
・空白 :計画
・/ :仕掛
・X :キャンセル
・> :延期
・< :前倒し
③読書予定リスト
複数の本を同時に読んでしまう癖があるので、読む予定/最中の本のタイトルを書いておきます。
「あ、これは仕事関係だから今月中旬までに読みたいな」とか「そうだ、この小説は途中で飽きちゃってた、うっちゃっとこう」と思いだすきっかけにします。
④カレンダーリフター
これは②と③を区切るために入れています。下に出っ張りがあるので、すぐに④を開くことができます。
⑤日記と雑記
これがページ数の9割で、シンプルに日付と日記、そのとき思ったこと、ちょっと素敵な言い回しなんかをメモしていきます。
何も考えずに手を動かして書き殴ります。
⑥ペンホルダーリフター
ペンを差しておけるホルダーです。いつでもペンがあって安心。
12.A5手帳と構成
M5の方が目標管理と無心にアウトプットすることを目的にしているのに対して、こちらは自分の頭に対しての外付けHDDのような役割です。
構成は下記です。
①ペンホルダーリフター
M5と同じくペンを差しておけるホルダーです。
②読書ノート
読んだ本についての備忘です。
基本的には下記情報をまとめます。
1) 『タイトル』(作者・役者, 出版年月日, 出版社)
2) 読了日
3) 評価(面白さ、勉強になるか、再読の価値、の3点を五つ星で書く)
4) あらすじ(小説など)、目次(評論など)
5) 引用、要約
6) 感想や考えたこと
③バンドリフター
M5と同じく手帳が勝手に開かなくするものです。
④思考整理
『0秒思考』という本で紹介されたやり方を参考にしています。
気になっているキーワードと書く日付を上に書いて、それについての情報や自分の考えを1ページにまとめます。
頭の中でモヤモヤしていることや、世の中で流行りの考え(DXとかSDGsとか)についてガーッと書いていきます。
単純に吐き出して頭をスッキリさせる、世の流行を自分ごととして考えたらどうか?というのを一度まとめてみることで、脳みそのデフラグをする感じです。
13.やってみた印象
手帳ごとに役割が明確なので、戸惑うことなく着手できています。
スマホやタブレットへの依存度を下げられて、先のことを考える時間を作れたのもメリットです。
一方で難しいなと思っているのは、A5の読書ノートです。
特に読書ノートの引用は、ついついページ数を書いたり正確な文言を引用しようとして時間がかかってしまっています。
ただ、「論文書くときに引用するぞ!」という用途ではなく、あくまで自分が以前読んだ本の内容をストックしておくという目的なので、もっとずぼらな引用でいいように思っています。
目的に即してあえてクオリティを下げる勇気、大事にしたいです。
取りとめもなく徒然なるままに書きましたが、運用方法が変わったりしたらまた投稿したいと思います。