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コロナ危機をチャンスに、中高年サラリーマンの活路を見出す「働き方」戦略(最終回)

▽テレワークになじまない仕事

今回のテレワーク経験によってテレワークになじまない仕事、条件等もおぼろげながら分かってきました。

まず、テレワークでなじみにくかったのは、「直に会って行う必要のある業務」、例えば「前任者・後任者間の業務の引き継ぎ」です。

4月は多くの会社で人事異動の時期でしたが、前任者・後任者間の業務引き継ぎは、オンラインでは圧倒的に効率が悪かったと思います。結局業務をよく知る前任者がそのまま仕事をこなしどうにか乗り切ったケースも多いのではないでしょうか。

既に信頼関係が構築されている場合やお互い既知の情報が多い場合には、オンラインでも互いに行間の情報を補足・想像しながら進めることができます。

ところがこうした土俵を持たない中途入社組や新入社員を交えてのオンライン業務は、人間関係を含め蓄積情報が少なく、前提となるスムーズなコミュニケーションが成り立ちにくくなります。

私は今回、ある企業において、オンラインでの新入社員研修を担当しました。また、全体研修の後、1対1でのリアルな個別研修も経験しました。

ここで分かったことは、オンラインを通じて受けた印象と直接会った本人の印象が全く違っていたということです。やはりオンラインを通じて得られる情報は、一部に過ぎません。直に会ってのやりとりが情報量も多く効率的です。

▽シニアが担うべき仕事はこれだ

あえてこうしたテレワークになじまない仕事を狙い目として、自らのスキルを徹底的に磨き上げていってはいかがでしょうか。

例えば「業務の引き継ぎ」です

会社としては優先度も重要度も高い業務であるが、日々のタスクに追いかけられている若手・ミドル層の従業員にとっては、「やっても評価されない“労多くして益なし”業務」と考えられています。

この隙をついて長年培った自らのノウハウ、職場に蓄積されたノウハウを標準化し「業務の伝承者」として引き継ぎのプロを目指すのも一つの戦略です。

また、職場の雰囲気づくり、職場の一体感の醸成に貢献し、テレワークでも仕事ができる業務環境を整備する、いわゆる「チームビルディングのプロ」として活躍していくことも考えられます。

テレワーク時代だからこそ求められるこうしたスキルを磨いていくことが中高年にとって生き残りのカギになるのです。

▽個人事業主的な働き方

また、コロナ禍の最中、3月31日に希望する人が70歳まで働けるよう、企業に対して就業機会確保の努力義務を課す改正高年齢者雇用安定法(通称「70歳定年法」)が成立しました。

ところが70歳近くになって、台風のときも大雪のときも遠距離通勤を続ける人生は、ご自身の希望に本当に合っているのでしょうか?

私は、7年前に会社員を辞め、今は個人事業主として業務委託契約を締結してサラリーマン時代も担当していた人事の仕事をしています。独立業務請負人(インディペンデント・コントラクター)と呼ばれる働き方です。

独立後にサラリーマンの友人から「どんな働き方をしているのか」としばしば聞かれましたが、個人事業主として業務を請け負う働き方はなかなかイメージしてもらえなかったのが実態でした。

今は簡単です。

というのもサラリーマン諸氏が今回強制的に体験したテレワークの働き方が、私の個人事業主としての普段の働き方そのものだからです。

仕事の内容、状況に応じて在宅で仕事することもあれば実際に出社してサラリーマン同様職場で働くこともあります。個人事業主の場合、一切時間管理されないのがサラリーマンとの違いです。

先ほどの70歳定年法は、定年延長や継続雇用制度の導入など従来の制度に加え、企業が、独立した元従業員に業務を委託することなども想定しています。個人事業主として働く環境はできつつあるのです。

テレワークを経験したシニアサラリーマンの皆さんがまず感じたことは、通勤がない世界の快適さだと思います。

毎日出社することを当たり前とせずに自分の強みを軸として、個人事業主としての働き方をセカンドキャリアとして想定されてはいかがでしょうか。

今回図らずもテレワークを体験できた中高年にとって個人事業主として働くことは決して遠い夢物語ではありません。7年前に実際に個人事業主としてテレワーク的な働き方を始めた先達(?)としてぜひおすすめしたいと思います。

最後に中高年からの働き方戦略の基本ポイントを挙げてこのコラムを終了とといたします。

 ■「細く、長く、エイジレスで」

 ▻「一獲千金」「一旗あげる」ではなく、「長く続くことで面積として最終的に収支が取れればいい」と考える

 ■「経験こそ商品」

 ▻今まで培ってきた経験・スキルこそがシニアの財産。この資産を徹底的に活用することで若手との違いを出す

 ■「はじめは現状維持」

 ▻現状そのまま継続した場合に想定される給与水準を維持することを目指す

 ■「キャリアは複線化」

 ▻一か所に依存することなく、複数の関与先と仕事をしていくことを目指す。一か所に依存しない働き方は精神的にもストレスフリーで健全

 ■「雇用形態にこだわらず多様な雇用ポートフォリオを実現する」

 ▻「雇用」にこだわることなく、業務委託、請負、派遣などあらゆる働き方を組み合わせて目標とするキャリアビジョンを実現する

ぜひご自身のキャリアを徹底的に洗い出し、アフターコロナにおけるご自身のキャリアデザイン(キャリアの方向性を示す羅針盤)を作っていただければと思います。

■■【全てをここに】20180826-2【キャリアベースマスタ資料】



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