#5-人生100年時代におけるシニア社員のための実践的なキャリアデザイン術
第3回:シニアに対する今後のキャリアデザイン研修を考える(その1)
「会社へのエンゲージメント」から「仕事へのエンゲージメント」へ
前回従業員に対する企業の役割が変わりつつあることを指摘しました。
これまで企業は、従業員のキャリアに関しては「自社で雇う」ことを保障し定年まで仕事を与えることをその役割としてきました。しかしながら、これからは「社会で活躍できる」ことを保障するために、従業員のキャリア開発を支援していくことが企業の役割となってきているのです。
これからの企業のキャリア支援もこの方向性を踏まえたものにしていく必要があります。「人生100年時代、現役80歳時代」においては、特定の企業だけで雇用を永続するという考え方は現実的には困難であるという前提のもと、キャリア研修も設計していく必要があるのです。
従来の「会社に対するエンゲージメント」を高める研修から「仕事へのエンゲージメント」を高める研修へのシフトです。
エンゲージメントとは、企業と従業員が信頼しあい、お互いに貢献しあう概念、または企業と従業員の愛着心を表す言葉です。
組織に対する単純なロイヤリティーや帰属意識を高めることとは異なり、個人と組織の成長の方向性が連動している、つまりお互いに貢献しあえるような関係の構築が重要です。
シニアにとっては、企業の掲げる戦略・目標を適切に理解するとともに、一企業の枠を超えて「人生100年」という見地から今の仕事の価値、位置づけを再認識し、自発的に自分の力を発揮する意欲を持つことが必要です。
これが「会社へのエンゲージメント」から「仕事へのエンゲージメント」へのシフトです。
従業員が特定の企業に限らず、働けるうちは働けることができるエイジレスな働き方の実現を会社としても支援していく方向です。