#12-人生100年時代におけるシニア社員のための実践的なキャリアデザイン術
【第5回:シニア向けキャリアデザイン研修コンテンツはこれだ(2)】(その2)
キャリアを洗い出すための10の資料集め
① 人事記録/会社によっては、毎年入社以来の異動記録をまとめて配布しているところもあります。
② 名刺/今まで所属した部署の正式名称がわかります。また、資格・役職も記載されていますので、その部署にいたときの役割・ポジションがわかります。
③ 辞令/節目節目で会社から渡された異動辞令、賃金事例などです。これがあると異動年月、所属組織名、役職名、昇格年度などがわかります。
④ 受賞した「表彰状」/ビジネスパーソンの皆さんは、外部の表彰でないと価値がないと思いがちですが、そんなことはありません。営業成果、提案、小集団活動、安全衛生、防災活動、スポーツなど全てサラリーマンとしてこれまで活躍してきたことの証です。
⑤ 資格認定証/保有する資格すべてです。これも「国家資格でないから価値がない」「簡単な試験だから」「誰でも取れる資格だから」とご自身の思い込みの基準で取捨選択しがちですが、社内外を問わず、その人の実力を証明する貴重な資料です。
⑥ 免許証/交付日、更新状況がわかります。仮に今は利用していなくとも今後の活用可能性も十分あります。
⑦ 日記帳/個人のプライベートの日記帳、社用日記帳。
⑧ 社史/忘れかけている時代を客観的に振り返ることのできる貴重な資料です。総務部キャビネットなどに眠っていることがあります。研修の際には、準備して閲覧できるようにしておくことも有効です。
⑨ 過去のアルバム/写真は記憶を呼び起こします。ビジュアルな資料は、今までの各人の活動を一目で知らしめる強力なPRツールとなります。日経新聞の「私の履歴書」などでも、若い時代の仕事ぶりを紹介する写真が掲載されますが、言葉で説明されるよりも圧倒的な説得力を持ちます。
⑩ 論文、執筆原稿/業界雑誌での投稿、社内報への投稿・社内掲載記事なども有益な資料です。
将来キャリアの方向性の見定め方
人生100年時代、従来のキャリア戦略は通用しなくなりつつあることは、本連載の第1回、第2回でもテーマとして取り上げた通りです。そこで必要になるのが、自らの将来キャリアの方向性を示した羅針盤「キャリアデザインマップ」です。
その際には、前号でも解説させていただきましたが、将来キャリアを考える際には、60歳定年あるいは65歳定年再雇用終了までといった通常の枠組みの中で考えてはいけません。
今いる地面から一度飛び上がって「虫の目」から「鳥の目」に視点を変える必要があるのです。
視点を変換して、「人生100年時代、80歳現役」を目指して、中長期のキャリアの成長戦略を考えることで、今の仕事の位置づけ、重要性を再認識することができます。
キャリアデザインマップの具体的な作成プロセスについては、紙面の関係上省略させていただきますが、2019年10月出版の拙著「知らないと後悔する定年後の働き方」で、ツールを含めキャリアの方向性の見極め方等を紹介していますので、ご興味ある方はぜひご一読いただければと思います。
次回は 「シニア社員の活性化なしには企業の成長は望めない」をテーマに連載コラムのまとめを行いたいと思います。