ホテルマーケットの速報分析(2020年3月)
新型コロナウイルス(Covid-19)感染の拡大により、各国政府が海外渡航の禁止や緊急事態を宣言する中で、不動産・REITセクターにおいても特にホテル・商業施設を中心に大きな影響を受けています。
本記事では、RESTARが提供する不動産・地理情報データプラットフォームREMETIS内のJ-REIT各社が開示する月次のホテル運営状況に関する情報を活用して、日本国内におけるホテルマーケットへの定量的な影響の分析を行ってみました。
2020年3月時点のホテルマーケット
新型コロナウイルス(Covid-19)の感染拡大とそれに応じた海外渡航の禁止や様々な経済活動の自粛により、宿泊施設利用の需要が大幅に減少しています。
日本全国のJ-REITが保有するホテル稼働率の平均値は、2020年2月では前年同月の89%から78%までの下落におさまっていました。しかし、2020年4月7日の緊急事態宣言発令以前の2020年3月において、前年同月の92%から51%まで大きく下落しています。
客室1室あたりの売上(Revenue per available room: RevPAR)は、当該稼働率及び1日あたり平均客室単価(Average Daily Rate: ADR)の下落の影響も受け、2020年3月においては前年同月比で約60%もの下落となっています。
令和元年版営業状況等統計調査(一般社団法人日本旅館協会)によると、ホテル業界における平均的なコスト構造に関して、比較的固定的に発生すると考えられる人件費及び賃料等を含む管理費の合計は売上の約50%程度の水準になります。このため、RevPARが60%下落していたとすると、毎月の人件費及び賃料等を含む管理費をもカバーできない水準までの売上の減少が、全体平均で生じていると考えられます。
比較的海外からの観光客の需要が高かった大阪/京都や福岡といったエリアは、新型コロナウイルスの感染が拡大する2020年1月以前から前年度比のパフォーマンスは優れなかった上に、2020年2月及び3月は全国平均以上の被害を受けています。
今後、新型コロナウイルスが早期に収束しない場合、2020年4月24日に破産手続き開始を申し立てたファーストキャビンや、4月27日に民事再生法の適用を申請したWBFホテル&リゾーツだけでなく、多くのホテル事業者が苦境に立たされることが予想されます。
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関連資料
宿泊旅行統計調査(令和2年2月・第2次速報、令和2年3月・第1次速報)http://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001342343.pdf
本分析は、RESTARが提供する不動産・地理情報データプラットフォームREMETIS内の情報を活用しております。REMETISにご興味ある方は、下記Web Pageからお問い合わせ下さい。
https://www.remetis.jp/