すこやかな身体とはたけ~自然農と東洋医学のおはなし
コラムニスト
野見山文宏 (のみやま ふみひろ)
こんにちは、伊豆で自然農を営んでいる野見山です。
【連載1日目 自然農ってなんですか?】
・はじめに
「半農半エックス的な暮らしをしてみよう!」と、30代の頃夫婦で伊豆に移住し、はや20年近くになります。自給のために始めた自然農の野菜作りも、試行錯誤の中から、ようやく人にお伝えできるくらいになりました。
この連載は、私が続けてきた自然農の畑や波乗り、専門である東洋医学について、これまで体験してきたことを、日常に活かせるヒントと共に綴るものです。
● 自然農ってなんですか?
自然農とは、出来るだけ草を抜かず、虫も殺さず、耕さず、農薬や肥料も使わずに、持続可能な野菜作りをしようという、少し変わった農法です。
自然の森は 誰も耕したり肥料をあげないのに見事な大木に育ちますよね。不思議なことだと思いませんか?
自然農の師匠はそんな自然そのものです。だから自然を深く観察し、対話し、その力を最大限に借りることを大切にします。
例えばそれは、波乗りが、波という自然の力を借りて進むのによく似ています。そのために波乗りは波の状態を深く観察し、対話を重ねながら進んでいきます。
例えばそれは、東洋医学が、自然治癒力という自然の力を借りて、体を癒すのにもよく似ています。そのためにカラダの状態を深く観察し、対話を重ねながら治療を行います。
私が数ある農法の中から「自然農をやってみよう!」と思ったのも、長く続けてきた波乗りや東洋医学と「その本質は同じだな!」と感じたからです。
● なぜ肥料や農薬を使わないの?
でも、ここまで読み進めて、みなさんの中にはたくさんの疑問が湧いてきていることと思います。
「なぜ肥料や農薬を使わないの?使った方がたくさん採れるのに」
「なゼ草を抜かないの?耕さないの?その方が効率的なのに」
「ちゃんと科学的に管理すればもっと効率的に出来るんじゃない?」
常識で考えたら、そうですよね、私も最初はそう思っていました。
でもそうとは限らないのが、自然を相手にしている面白さなんです!
● 自然と機械の違い
最初、私は「野菜栽培マニュアル」のようなものをしっかり学び、その通りに実行すれば野菜づくりなんて簡単じゃないかと思っていました。
でもそうではないんです。正確には短期的にはある程度コントロールできるのですが、持続可能じゃない。そこが機械と自然との大きな違いなのだと思います。
例えばそれは「人という自然」を相手にする時も同じです。
教育や経営という「人という自然」と向き合う時、マニュアル通りにコントロール出来ないことは、みなさんも身に染みて経験されていることと思います。ましてやネコはもっと思い通りにならない(笑)
自然農の面白さは、野菜作りを通じ、そんな思い通りにならない自然と向き合う術をまなぶことでもあり、教育や経営という視点にも活かせるところにあります。
● それぞれのやりかたでいい
前置きが長くなりました。次回からは、具体的な自然農の実際について、前述の「なぜ肥料を使わないの?」などの疑問にお答えする形でお伝えしていきます。なによりそれは東洋医学そのものですから、きっとみなさんの身体の健やかさのヒントにもなると思います。
● 最後にたいせつなこと。
私は野菜づくりって100人いたら100通りのやり方があると思っています。それが時々対立や、正しさ論争が巻き起こりめんどくさいことになっているのをよく見てきました。
でもみなさんがやりたいことって、特に家庭菜園なら「美味しくて安全な野菜を育てたい」そこに尽きますよね。
私ももちろん同じです。だから自然農だけではなく、いろんな農法も試してみました。やってみたうえで「やっぱり自然農がなんかいい感じだな」と感じているので続けています。
だからどの農法がいいとか悪いとか思っていませんし、自然農原理主義でもありませんので、みなさんもぜひいろいろ試してみて下さい。どんな手法にも一長一短があり、学べるものがあると思います。
ではまた次回! (続く)
● プロフィール
野見山文宏 (のみやま ふみひろ)
解剖学セミナー講師・クリパルヨガ教師・鍼灸師
神戸市出身。10年間の銀行員生活を経て
病気を機に生き方を模索、鍼灸師に転身。
2001年 ホリスティックな治療を模索し妻と共に伊豆に移住、自然農と波乗りの傍ら全国やオンラインでカラダの仕組みやセルフケアの講演、WSを行う。
著書「感じてわかる!セラピストのための解剖生理」は5万部越え
アマゾンリンク https://www.amazon.co.jp/dp/4862205100
・趣味 自然農の畑・波乗り・日本ミツバチ養蜂
・モットー 「やってみなくちゃわからない!」
・HP https://www.kaibougaku.com/
● 現在の主な活動
・自然農と東洋医学の講座を、畑の実習とオンラインを組み合わせ行っている
「ちいさな自給をはじめよう」
https://www.kaibougaku.com/menu/jikyu/
・慢性腰痛の改善に特化したセルフケアプログラムの指導者養成
「腰YOGA指導者養成講座」
https://www.kaibougaku.com/menu/koshiyoga/
・セラピスト・ヨガの先生向けに身体の仕組みを伝える講座
「セラピスト・ヨガの解剖学オンライン講座」
https://www.kaibougaku.com/menu/yogaanatomy/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?