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魅力作りのセオリーと成功の秘訣――――星野リゾート流の競争戦略

こんにちは。週に1本は記事を書けるように、習慣化せねばと自身を奮い立たせているリゾメン。です。

今回は星野リゾートの魅力作りに関してご紹介します。星野リゾートは都市型のビジネス観光ホテルから高級旅館まで、さまざまなサブブランドで展開をしていますが、共通している活動として「魅力会議」というものがあります。
この魅力会議は単なるアイディア出しの会議ではなく、星野リゾートの競争戦略における重要な戦術であり、星野リゾートが成功している重要な活動です。そして、こはリゾート業に限ったものではなく、商品を扱っている企業であれば確実に通用する魅力(商品)開発の法則もご紹介いたしますので、ご注目ください。



1. 魅力作りの重要性

ホテルやリゾート運営において、「魅力」を作ることは単なるサービス向上や新たなプロダクトを生み出すという単純なものではなく、企業の競争優位性を築くための重要な戦略です。星野リゾートでは、魅力を創造し続けることで、顧客の心をつかみ、競争の激しい市場で常に一歩先を行く存在であり続けています。

魅力作りは、単なるアイデア勝負ではありません。地域性や季節性、トレンド、費用対効果など、多様な観点から商品やサービスを開発し、常に顧客に新しい価値を提供することが求められます。本記事では、星野リゾートの魅力作りのプロセスやルール、成功の秘訣を具体例を交えてご紹介します。


2. 魅力作りのスケジュール

星野リゾートでは、魅力の検討を1年前に開始します。例えば2025年4月であれば、2026年の春魅力を考え始めるタイミングです。そして、実施の半年前には魅力の内容を確定し、準備、PR、販売するスケジュールを徹底します。
春夏秋冬の4つの季節ごとに区切って魅力を考えるのが一般的ですが、地域やホテルブランドによっては外せない例外的な魅力も存在します。

例えば、沖縄の「星のや竹富島」では、島の伝統行事である「種取祭」が地域性を活かした魅力として挙げられ、春夏秋冬魅力とは別で検討されます。また、日本旅館の「界」ブランドでは正月のイベントが重要視され、大人のファミリーリゾート「リゾナーレ」ではハロウィンやクリスマスなど西洋式のイベントを重視する傾向にあります。


3. 魅力会議の仕組み

魅力作りの中心となるのが「魅力会議」です。この会議では、春夏秋冬ごとに4つのチームが編成され、新入社員、中堅社員、広報、支配人がそれぞれの役割を持ちながらフラットに議論を進めます。

  • 新入社員:柔軟な発想で新鮮なアイデアを提供。ヒット商品の誕生につながることも多い。

  • 中堅社員:既存の商品やサービスを進化させるのが得意。

  • 広報:パブリシティに刺さるかという視点で企画を精査。

  • 支配人:費用対効果を踏まえた経営判断を行う。

このように、現場の声を反映しながら進める仕組みは、魅力作りの質を高めるだけでなく、新入社員のやる気向上にもつながっています。入社まもないスタッフのアイディアが、大人気コンテンツになったものも少なくありません。他にも中堅社員がいつも当たり前に感じている風景や地域の特徴が、顧客にとって新鮮なものであるという気づきになって魅力開発に繋がったこともあります。


4. 魅力作りのセオリー

魅力を開発する際には、以下のような観点からアイデアを精査します。

  • 季節性に沿っているか

  • 地域性があるか

  • 顧客に需要があるか

  • トレンドを捉えているか

  • パブリシティに受けるか

  • 費用対効果が見込めるか

  • 自社の強みを活かせるか

  • 競合に迫れるか

これらの観点を満たすことで、魅力は単なるアイデアから「顧客に選ばれる価値」へと進化します。
また、今回は深掘りしませんがマーケティング手法の一つであるUSP(ユニーク・セリング・ポイント)は、魅力作りのセオリーにおいて非常に有効です。皆様からのご希望があれば、今後わかりやすく解説しますね。

USP(ユニーク・セリング・ポイント)

魅力開発は、ただ単に話題性をさらうための飛び道具を作るのではなく、継続的に行うことでリゾートの価値を高め、収益性を上げ、企業の持続可能性を高める重要な戦術です。
顧客満足度・企業競争力・収益性の3つの観点で効果がある「魅力」は、星野リゾートの戦術で重要なポイントなのです。



さて、ここからは魅力作りを成功させる15の法則と、具体的な事例を深掘りし、星野リゾート流の競争戦略を解説します。この先は、有料記事でご覧いただけます。


5. 魅力作りの15のルール

実際に魅力を生み出すにあたって、斬新なアイディアを集めるだけでは、意味をなしません。当たる魅力を作るにあたっては法則性があり、以下の15のルールを意識することが重要です。少なくとも2〜3つの法則が掛け合わされていることが望ましいとされます。この法則を理解することで、ヒット商品や価値あるプロダクトを作ることができるでしょう。

法則1. ニュースバリューは新しさ&ユニークさ

  • 「新しさ」の重要性
    顧客やメディアが注目するのは、「これまでにないもの」「今までの常識を覆すもの」です。既存の商品やサービスとの差異化ポイントを明確にすることで、注目度が高まります。例えば、「これまでの温泉宿にはなかった、専属シェフによるサウナプライベートディナー」などが効果的です。

  • ユニークさを際立たせる
    メディアは「際立った特徴」に注目します。ユニークさを強調することで、記事や番組の中心に取り上げられる可能性が高まります。「他にはない」という要素がキーポイントです。


法則2. メディアは「最」と「初」の文字が好き

  • 「最」と「初」の強い影響力
    「業界初」「地域初」「世界最大」などの言葉は、メディアにとって魅力的です。これらの表現は、読者や視聴者に「特別感」を与え、関心を引きつけます。

  • 小さな括りでも効果的
    特定の地域や限定された市場でも「最」や「初」がつく特異性を見つけることで、話題性を持たせることができます。例:「この地域で唯一のヴィーガン対応宿泊施設」。


法則3. ネーミングにこだわる

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