ただ、「選ばれなかった」。それだけ。
あなたにとっての「魔法の言葉」 とは
私は、たびたびひどく傷ついたり悩んだり落ち込んだりする状況に陥る。
そんな状況の時に私を元気づけられるのは「言葉」だ。たとえば友人や同僚や上司から掛けられた一言、また読んだ本や観た映画のセリフから。
それを私は「魔法の言葉」と呼んでいる。
もちろん言葉だけに励まされるだけでない。タイミングによっては「場所」や「会う人」や「行動」で悩みが解消することもある。
ただ、私にとってはこれまで「言葉」に勇気づけられることが多かった。だから私はこれまで受け止めた大事な言葉たちを心の中にそっとしまい、たまに取り出して噛みしめていたりすることが好きだ。
そして今、まさにその噛み締めたいタイミングが来ている。
誰からも選ばれないつらさ
「選ばれない」というつらさを経験した人は多いと思う。
恋人ができない、仕事でなかなかチャンスが回ってこない、就職/転職に苦戦する、推しのライブ抽選に外れる、同僚の集まりに呼ばれない、犬が呼んでも来ない・・・など。(例を挙げるだけでつらい)
そうなると自分の人格や人間性、これまでの人生をすべて否定されたような気分になる。そして選んでくれなかった人を恨み、選ばれた人を羨む。
もれなく今の私だ。
過去に、恋人ができなかったり婚活がうまくいかなかったりしていた時は、モテる友人を羨んだ。転職に苦戦している時は人事担当者やエージェントを恨んだ。Instagramストーリーで楽しく飲んでいる友人や同僚たちを見て僻んだ。
私はメンタルが闇堕ちしやすい人間なので、もうそうなってしまうと実に酷い。仕事が身に入らなくなりミスを連発したり、人との会話が苦痛になったり、日常生活が疎かになりお風呂さえも面倒くさくなったり・・・。
あとになって気づくが、ほんとうに実に無駄な時間とメンタルの使い方である。
気持ちを切り替えるきっかけ
そんな時、いつも思い出す映画の中の言葉がある。
その映画はウォン・カーウァイ監督作品「マイ・ブルーベリー・ナイツ」。
失恋したエリザベスとNYのカフェオーナー・ジェレミーとの、交流と再生そして恋の始まりを描いた物語だ。
エリザベスが恋人に手痛い失恋をしたことから物語は始まる。彼女はNYを離れ街を転々としながら人々と出会い交流していく。オムニバスのように描かれる人々の喪失と再生に触れ、エリザベス自身が"心"を取り戻していく。
冒頭シーンで、
失恋したエリザベスが、閉店まで売れ残っているブルーベリーパイと自分を自虐的に重ね合わせ、ジェレミーに尋ねる。
「売れ残っている理由はきっと何かあるんでしょ?」
それに対して、彼はさも当たり前のように答えます。
「理由なんてないよ。ただ選ばれなかっただけだ。」
エリザベスはパイを一口、口に運びつぶやく。
「こんなに美味しいのに。」
魔法の言葉
そう、ブルーベリーパイは「ただ選ばれなかった」だけなんだ。
嫌いだとか美味しくないとか見た目や味の問題じゃない。
ただ、その日その瞬間にその人に選ばれなかっただけで、人格や性格や仕事の能力のせいじゃない。
つまり、私も”たまたま”選ばれなかっただけなんだ。
それに気づけるだけで、どんなに救われるか。
- あの人は私を嫌いなわけではなく、"ただ"選ばなかっただけ。
- あの時私の仕事を否定されたわけではなく、"ただ”タイミングが違っただけ。
- 私の人生は否定されているわけではなく、”ただ"いま合う人合う会社がないだけ。
「魔法の言葉」を噛み締めて、いまはそっと自分をなだめている。
そんな切ないけれど、
オシャレな言葉を教わることがあるから映画はやめられない。
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