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大学教員への道(その2):大学院選び

今回は「大学教員への道」第二弾の記事です。テーマは学閥。

学閥とは「同じ学校の出身者や同じ学派によって作られる派閥」のことを指します。大学教員をやっていく上で学閥は色々なところで出くわしますし、研究者になりたい人は、大学院選びの段階で学閥を意識しておかないと研究を進める上で思いもよらぬ壁にぶち当たる場合もあるかもしれません。

僕は大学院に進んでから研究者コミュニティにおける学閥の存在を知りました。大学院を考えている人、将来研究者になりたい人は知っておいて欲しいと知識として記事を書きたいと思います。

大学教員と学閥

依然、記事としてまとめたように大学院選びは研究者を目指すうえで非常に重要です。前回の記事では”いい大学院”に行きましょう。”いい大学院”とは””良い指導教員”を探すことが重要、と紹介しました(下記参照)。

今回は”いい大学院”選定基準の第二弾です。大学院には「この分野はこの大学が強い!」といったように、特定の分野で長い歴史・伝統をもつ大学や顕著な研究成果を納めている大学が存在します。大学教員はほとんどの人がどこかの大学院で学位を取ります。このため、歴史ある、あるいは力のある大学院には院生が集まり、教員が多く輩出されることになります。

その結果、「この分野は○○大学の先生が多い」とか「この学会は○○大学卒の先生が多い」というように、研究領域や学会内で卒業した学校ごとの暗黙のグループ(=学閥)が形成されるのです。


研究者ネットワークの広がり方

この暗黙のグループは「俺は○○大学学派だ」というように表面化することはありませんが、主に学会での活動(共同研究など)で現れてきます。僕の専門としている分野では学会での飲み会ではまず同じ学閥の人としか飲む機会はありません。研究者も人間ですので、自然と「仲良しグループ」のようなものが形成されていきます。では、仲良しになるための”つながり”は何か?それは同じ大学院の研究室を卒業していること、もっと言えば同じ先生に師事していたことが”つながり”となります。

学会での飲み会は必然的に自分のお世話になっている教授の先生について回り、先生を囲んで飲むパターンが多いです。そうなると、同じ先生に師事していたかつての学生が卓を囲むことになり、同じ指導教員の先生を媒介として弟子のネットワークが広がったり、強まったりしていきます。これが学閥の形成と強化の仕組みです。


ネットワークの重要性

なぜ、学閥を”研究者への道”の記事として取り上げるかというと、「どの学閥に所属しているかによって自分が所属することになる研究者のネットワークの質や広さが決まってしまう」からです。そしてネットワークの質や広さは「研究の生産性」に影響を与えます。研究者にとって、ネットワークは非常に重要な資本です。

研究者のネットワークは研究発表や研究会などを通じて自身で開拓していくこともできますし、逆に相手の研究者から”面白い研究をしているね”と言って声をかけられる場合もあります。しかし、そういったケースは稀です。多くは学会での”飲みニケーション”や”師匠・弟子関係””先輩・後輩関係”を通じてネットワークは広がっていきます。つまり、学会でのネットワークの形成は自分の持っているつながりの強さに依存します。

そして学会において最も強力なつながりとなるのが同じ指導教員、同じ大学を媒介とした学閥なのです。その分野において権威のある大学院(有力な学閥)に所属することができれば、自然とネットワークは広がっていきます。しかし、逆を言えば、特定の学閥に入っていなければ学会でのネットワークは広げることは難しくなります。

ネットワークがなければ共同研究をしたり、お互いの研究を批評しあって高めたり、情報交換をする機会を失ってしまうことになります。それは最終的には研究業績の数や研究の質の差として現れ、自分のキャリアアップを妨げることにもつながりかねません。この意味で、大学院入学前から学閥の存在を知っておくことは重要だと思っています。


結論

・研究者として大成したくば、良き大学院に入るべし

・どの分野でどの大学院が主要な学閥を形成しているか知るべし。


今日はこのあたりで。


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