【RESEARCH Conference 2024】 当日レポート
まえがき
こんにちは、RESEARCH Conference事務局です。
2024年5月18日(土)にRESEARCH Conference2024が開催されました!
当日の様子をこの記事を通して振り返っていきます。
各ゲストスピーカーによるセッションについては追って記事化をしていきますのでそちらも楽しみにしていてください!
【RESEARCH Conference】
RESEARCH Conferenceは、リサーチをテーマとした日本発のカンファレンスです。
より良いサービスづくりの土壌を育むために、デザインリサーチやUXリサーチの実践知を共有し、リサーチの価値や可能性を広く伝えることを目的としています。
行政、大企業、スタートアップなど立場の違いを超えて活発な議論を重ね、共に学び合うリサーチコミュニティを育てることを目指します。
RESEARCH Conference2024のテーマは「ROOTS」です。
リサーチを育む根を張る、そもそものリサーチの成り立ちや進化から学ぶ、という意味を込めています。
小さく始めて広げてきたリサーチを、いかにして強く根付かせ、厳しい状況を乗り越え、新たな成長へと導けるでしょうか?
本カンファレンスを通して、多様なルーツを持つスピーカーや参加者が相互作用し、さまざまな洞察が生まれることを期待しています。
過去2回の当日レポートはこちら
会場紹介
オフライン会場
今回は専修大学ネットワーク情報学部との共同で開催しました。
会場は専修大学神田キャンパス10号館3階・16階をお借りして、昨年に引き続きオンライン・オフラインのハイブリッドで開催しました。
受付
ご来場いただいたみなさまを1階でお出迎えします。
ポスターやWebサイトのデザインは今年のテーマ「ROOTS」を意識して作成しました🌱
植物が大きく立派になるほど根も豊かであるという意見から、根が力強く躍動する様子を様々なクリエイティブで表現しました。ルーツは規則的ではなく個性的なことから、シェイプは複数の手描きを元に調整しています。
受付は一番初めに目に入るところなので、入ってすぐにカンファレンスに来たと感じられ、テンションが上がるように心がけました。
行き・帰りに記念撮影ができるフォトブースも兼ねています。
3階会場
数々のセッションが行われた会場です。
今年は合計19組の登壇者が産官学の垣根を越えて最先端のリサーチ活用事例について語っていただきました。
16階会場
こちらの会場では、複数のサブコンテンツが複数開催されました。
スポンサーブース
エレベーターから降りた正面に、今回のカンファレンスを支えてくださったスポンサー様のブースを設置しました。
ポスターセッション
事例紹介を通して1つのまとまった知見を話し手から聞き手が一方的に行うセッションに対して、発展途上のリサーチに対して意見交換できる機会の創出を目指しました。今年初めての取り組みでした。
公募セッションスライド枠、社会人枠、学生枠の複数の選考枠を設けることで、多様なリサーチが交わる場作りを意識しました。
コアタイムを設け発表者と意見交換できる時間を設けましたが、それ以外の時間も終始活発な議論が行われていました。
ポスターセッションに初めて参加される方に向けて、発表者に何を質問するかまとめたコミュニケーションシートや、発表者に向けた感想レターを準備を用意しました。
また、初めてポスター作成される方に向けたアナウンスをすることで、円滑なポスター制作をさせていただきました。
アフタートーク
一部のゲストスピーカーの方にセッション後に直接お話する機会を設けました。
普段は話せない方々と話せるとあって、各回非常に盛り上がりました。
シャッフルトーク
初対面の人同士がトークする場を設けました。
特定のテーマを元にトークすることで、新しい出会いと興味が広がるきっかけが生まれたかも!
リサーチャーすごろく
「楽しい!リサーチャーすごろく」をプレイできる場を設けました。リサーチャーのリアルな日常を通じて、プロダクト開発におけるリサーチの重要性や、リサーチの楽しさ・大変さを体験することができるゲームです。RESEARCH Conferenceスタッフ有志で制作したボードゲームで、HCD-Net AWARD最優秀賞を受賞しました。
おすすめ図書
登壇者・スタッフのおすすめ本を集めました📚
リサーチに限らず「成り立ち・進化から学ぶ」「根付かせる」といったトピックに関連する本を集めました。Miro会場からもご覧いただけます。
テーマソング
去年に続き、今年もRESEARCH Conference Theme Song Clubでテーマソングを作成しました🎵
セッションの合間やサブ会場でBGMとして流れました。
第3回のテーマ「ROOTS」からインスパイアされた「リサーチに携わる人々の日常にある期待や不安、それぞれのリサーチのきっかけやルーツ」を歌った歌詞をお楽しみに!
Youtube・Apple Music・Spotify等でご試聴いただけます。
オンライン会場:Miro・YouTube会場
遠方の方やオフライン会場への参加が叶わなかった方に向けて、オフライン会場でのセッションをYouTubeLive で配信しました!
Miro会場では、セッションと並行して感想や質問をリアルタイムで登壇者へ共有しました。一部質問に関しては、セッション後の質疑応答で取り上げたり、後日登壇者から回答いただく形で交流しました。セッションと並行してカンファレンススタッフがセッションの内容を書き起こしました!
ポスターセッションのポスターを一部添付して、オフライン会場同様に発表者と交流しました!
オフライン会場で実施していた登壇者やカンファレンススタッフのおすすめ図書も展示しました!
交流ボードでは、普段のリサーチに関わる参加者が日頃抱えるモヤモヤや日頃のリサーチのうれしかった体験を共有し合いました!
各セッションの様子
昨年に引き続き、今回のリサーチカンファレンスの司会は大草 真紀(べぢまき)さんと、仙田真郷さんの2人が務めました。
それでは全セッションの内容を振り返っていきましょう!
【Opening】
オープニングメッセージはRESEARCH Conference 2024実行委員長であるTIS株式会社 デザインリサーチャー・熊谷 優介より、当カンファレンスの概要をはじめ、今回の参加者のデータをご紹介しました。(以下ご登壇者と所属企業に対する敬称は一部省略いたします。)
今回の参加者はデザイナー・リサーチャー・エンジニア・PdMの方に多く参加いただきました。
【Session】
【Guest Speaker】行政におけるリサーチの現状と今後の可能性〜これからの行政に必要なリサーチとは?~(デジタル庁/総務省)
日常ではほとんど目にすることのない行政の裏側では、伝統的な手法と新たなデザインリサーチを組み合わせることで、国民に寄り添った政策やサービス設計に革新をもたらす解決策の立案・実現する術が模索されています。中央省庁での実務経験をもとに、リサーチが未来の社会にどのように貢献していけるかについて発表されました。
イベントレポートはこちら(準備中)
【Guest Speaker】Mercari USにおけるリサーチ組織の立ち上げ(Mercari US)
Mercari USが実践するプロダクトライフサイクルにリサーチを組み込んだ事例が紹介されました。専任のリサーチャーがいなかった組織で、リサーチに関する知識を共有し、ワークショップを通してロードマップを作成するなど、ステークホルダーと一緒に共通認識を作ることについて深い洞察が述べられていました。
イベントレポートはこちら(準備中)
【Sponsor Session】デザインの力で組織サイロを打破して変革につなぐ(株式会社NTTデータ)
マクドナルドのサプライチェーンを支えるHAVIサプライチェーン・ソリューションズ・ジャパンとのBPR(Business Process Reengineering)のプロジェクトを通した学びをもとに、デザインがBPR領域での価値発揮、組織内のサイロ化の解消、デザイン手法を用いた組織変革を実践した経験から、SCM(Supply Chain Management)の今後とデザインコンサルティングの真価についてお話しいただきました。
【Open Session】示唆の深さ・多さの二兎を追うユーザーリサーチ文化を作った3つの取り組み(コネヒト株式会社)
ユーザーと向き合うインタビューの在り方や直接ユーザーと接点が持ちづらいメンバーにユーザーインサイトなどの情報共有の在り方など、リサーチ文化を醸成するための取り組みについてご紹介いただきました。
詳細はセッション中の資料はこちらをご確認ください↓
【Guest Speaker】デザインリサーチと教育(東海大学/専修大学)
東海大学富田教授から、「デザインリサーチと教育」をテーマにお話いただきました。
デザインする行為は、私たちの世界に循環的かつ相互作用的な影響を与えます。昨年度、教養学部芸術学科で始めたデザインリサーチの新授業「営みの循環」は、この複雑な関係性を理解し、新しい視点から世界をデザインするために始めました。本セッションでは、授業の内容や成果の紹介を中心に教育現場の実情をお話いただきました
専修大学上平教授より、「ともに〈つくること〉を通して知る」をテーマにお話いただきました。企業や自治体との共創を通して、慣習に囚われない発想を導いた複数の事例をご紹介を通していただきました。
それぞれごお話いただいた後は、「デザインリサーチャーの知の源流とは?」などいくつかのトークテーマに対してクロストークを実施いたしました。
イベントレポートはこちら(準備中)
【Sponsor Session】訪問調査にホームユーステスト、PoCまで。進化する『ユニーリサーチ』のイマを紹介!(ユニーリサーチ(株式会社プロダクトフォース))
インタビュープラットフォーム『ユニーリサーチ』はこれまで手軽に実施することが難しかったユーザー宅への訪問調査やホームユーステストなどの幅広いユースケースに対応する新機能を、事例や昨年の登壇後の取り組みを交えてご紹介いただきました。
【Sponsor Session】サービス開発の精度と速度を高めるアスキングデータ活用(株式会社マーケティングアプリケーションズ)
サービス開発におけるトライアンドエラーが加速する中で、消費者から直接得る情報のニーズ・価値はより高まっています。クイックな情報収集に向けたセルフ型リサーチツールをご紹介しました。
【Sponsor Session】新入りデザインリサーチャーのキャッチアップ法〜Ubieでのケース(Ubie株式会社)
「デザインリサーチが盛んである≠デザインリサーチャーについて知られている」というギャップに着目し、開発チーム向けに相談会やインタビュー後のプロセスの見直しなどの既存活動の改善を通して、デザインリサーチの組織浸透に取り組んだ事例をお話いただきました。
【Sponsor Session】プロダクトに命を吹き込む:UXリサーチとエンジニアリングの共創(株式会社LIFULL)
LIFULL HOME’Sでは、サービス開発においてUXリサーチャーとUXエンジニアが共創してユーザー中心の開発を推進しています。リサーチ文化の醸成・リサーチ結果を取り入みの観点で、リサーチとエンジニアリングの2方向からUXリサーチの開発プロセス導入に取り組んだ事例をご紹介いただきました。
【Sponsor Session】よいプロダクトに必ず必要な条件。それは、エゴともいえる“脱”ユーザー中心設計である。(日本ウェブデザイン株式会社)
いいプロダクトを作るにはデザイナーとしてのエゴを持つこと、つまり、ユーザーについて理解し、ユーザーのためにものを作るだけではなく、“脱”ユーザー中心的にユーザーに対して願いをもってプロダクト作りに臨むということを事例を交えながらお話いただきました。
【Sponsor Session】Research x AI(株式会社グッドパッチ)
定性リサーチにはインタビュー逐語録の作成や切片化など、作業負荷の高いプロセスがいくつか存在します。リサーチ作業の効率化を図るために、切片のグルーピングを中心とした
AI活用事例についてご紹介いただきました。Miro会場でも注目を集めていたAI活用の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
【Sponsor Session】ポストヒューマンデザインリサーチへの挑戦 〜人間以外の存在との関係性から読み解く「可能性」の探索(株式会社インフォバーン)
インフォバーンのデザインチームは「関係性に着目する」デザインに挑戦しています。本発表では、人間や人間以外の存在(人工物、環境、AIなど)との複雑な関係性を可視化し、音の観点からデザイン対象を探る実践的デザインリサーチの意義や手法を紹介いただきました。
【Open Session】UXリサーチとしてのケア(株式会社ツルハホールディングス)
薬剤師は、「モノ」の学問である薬学を身に着けたリサーチャーであると同時に、医療者でもあります。この特性を生かし、薬剤師が対峙する顧客を「患者」ではなく「生活者」として再定義し、ユーザーリサーチの態度を取り入れながら、生活の中の治療というプロセスを再解釈しました。Miro会場では、病気は生物学的観点から捉えた「疾患」と罹患者観点の主観的な「病い」という参加者にとっては新鮮な視点に関する感想が盛り上がっていました。
【Guest Speaker】生活者研究のめざすところ~生活者起点で未来のくらしを発想する(花王株式会社)
花王は企業理念の中で「人をよく理解し期待の先いく企業に」をビジョンとして掲げ、
お客様センターや生活研究センターなどで幅広いテーマでの生活者研究に取り組んでいます。今回のセッションでは、社会と共に変化する生活者の価値観を対話を通して知るプロセスにデザイン思考に沿ったワークショップを取り入れて、生活者研究を商品開発や経営戦略に繋げていく取り組みについてついてお話いただきました。
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【Open Session】自分のリサーチスキルが分かり、スキルアップの道が見える──グッドパッチで始めた「リサーチ道場」(株式会社グッドパッチ)
多様なバックグラウンドのリサーチャーの成長と育成・ユーザー理解とビジネス成長を結びつけた取り組みとして「スキルマップで技を知る・アウトプットで他者を知る・フィードバックで己を知る」の観点で運営している「リサーチ道場」の取り組みについてお話いただきました。実際の取り組みについてはこちらをご確認ください。
【Guest Speaker】特務機関NERVはリサーチしない……はずだった(ゲヒルン株式会社)
東日本大震災をきっかけに防災情報の発信に取り組み始め、2019年にリリースした「特務機関NERV防災」アプリは、460万ダウンロードを超えました。「特務機関NERV」を名乗ることになった背景、後発で防災情報を発信する意義やアクセシビリティを追求などリリースから今日に至るまでの葛藤や奮闘についてお話いただきました。
イベントレポートはこちら(準備中)
【Sponsor Session】未来の暮らしを見つめるリサーチプロジェクト「ビジョンデザイン」(NTTコミュニケーションズ株式会社)
KOEL Design Studio は、サービス開発や共創のためのデザインリサーチの他に、人口減少・高齢化を避けることができない私たちの未来の暮らしを見つめるリサーチプロジェクトに取り組んでいます。仕事・地域創生・多文化共生の3つのテーマで先進地域を訪れて実施したリサーチの概要と、現地の方々と対話し地域の文脈を読み解くことで見つけた、変化の大きな未来の社会における暮らしの兆しについて紹介いただきました。
【Guest Speaker】「リサーチ・ドリブン・マーケティング」~リサーチで事業の意思決定をリードするマーケティング組織の在り方~(株式会社ディー・エヌ・エー)
ディー・エヌ・エーでは、リサーチを事業と消費者のインサイトを橋渡しと捉えています。
リサーチャー自信が事業ヴィジョンを理解した上で消費者インサイト模索、広告クリエイティブに落とし込んだ後で反応確認した後にプロダクトに落とし込む「リサーチ・ドリブン・マーケティング」の事例を、累計ダウンロード554万以上(2023年12月末時点)に成長したLIVEコミュニケーションアプリPocochaを題材に紹介いただきました。
イベントレポートはこちら(準備中)
【Guest Speaker】『両利きのCX』を実現するデザイン部門の役割(KDDI株式会社)
KDDIでは、事業戦略とお客様への価値提供を両輪で考え、事業成長すること(=『両利きのCX』)を目指しています。事業とユーザー、双方の価値を捉えサービスをつくるために、リサーチは起点となります。大きな組織において、どのようにリサーチを行い、事業成長へとつなげているか、またどのように組織の中でリサーチを定着させたかを具体例を交えて紹介いただきました。
イベントレポートはこちら(準備中)
【Closing】
締めに発起人の3名から今回のテーマ「ROOTS」について振り返りとともに、協力いただいた方々への御礼の言葉を申しあげました。長時間にわたるカンファレンスにご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。
また、これまでRESEARCH Conferenceを始めとした企画をリサーチカンファレンス事務局で運営しておりましたが、この度一般社団法人リサーチアソシエーション(Japan Research Association:JRA)設立し、継続して活動する運びとなりました。
詳細は、後日のプレスリリースをお待ちください。
懇親会
リサーチカンファレンスの懇親会は、参加者がリラックスしながら意見交換を楽しむ和やかな場でした。多様なバックグラウンドを持つ人々が集まり、名刺交換はもちろん、新たな視点や洞察が生まれる貴重な機会となりました。活気あふれる雰囲気の中、交流が深まりました。
スタッフnote
当日、スタッフをしていたメンバーから、感想や裏話のnoteが届いています。
実際に参加した方も、そうでない方も、他の方が何を思っていたのかぜひ覗いてみてください
またXでの発信をTogetterにまとめました。
リアルな声にたくさん触れることができるので、端から端まで見れば1日参加した気持ちになれるかも!?
アフターイベント
まだまだRESEARCH Conferenceのアフターイベントが続きます!
・6/16(日)Sound& Thinking渋谷
・7/12(金)popup in 福岡
・7/13(土)〜7/14(日)RESEARCH CAMP in ONGA
ぜひチェックしてみてくださいね。
さいごに
RESEARCH Conference 2024にご参加いただいたみなさま、応援いただいたみなさま、本当にありがとうございました!特に当日を振り返っての感想がもしございましたら、ハッシュタグ #ResearchConf をつけてSNSやnoteなどで発信いただけると、事務局一同励みになります!
また当日運営を支えてくださったスタッフのみなさん、ありがとうございました!
毎年運営スタッフも増えており、今年は60名を越える過去最大人数のスタッフでお送りしました!
今後ともお力添え・応援いただけますと幸いです。
最後に、RESEARCH Conference2024実行委員長よりから、みなさまにメッセージをお送りします。
熊谷優介 くまがいゆうすけ(@y_kumagai03) / X
このカンファレンスが、今後も広がっていくリサーチの一助となればと願っています。
みなさんの興味関心がいっそう深く根ざし、よりよい未来が結ばれますように。
ぜひ今後ともRESEARCH Conferenceをよろしくお願いします!
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[執筆・編集]十一 智教 [写真] 霜田直人