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【下水処理場業務における課題調査】処理能力の低さを実感する自治体職員の約半数が「水質悪化」や「廃棄物量の増加」を懸念

調査概要

  • 調査概要:下水処理場業務における課題調査

  • 調査方法:IDEATECHが提供するリサーチPR「リサピー®︎」の企画によるインターネット調査

  • 調査期間:2022年7月14日〜同年7月15日

  • 有効回答:下水処理業務に関わった経験のある自治体職員101名

Q1:約8割が下水道処理に関して課題を実感

 Q1.あなたは下水処理に関して、課題を感じていますか。

・非常に感じている:27.7%
・やや感じている:48.5%

・あまり感じていない:16.8%
・全く感じていない:5.0%
・わからない/答えられない:2.0%

Q2:下水処理に関し、約半数が「設備の耐用年数超過」、「設備故障」を問題視、他にも5人に1人は「脱水力の低さ」を懸念

 Q2.Q1で「非常に感じている」「やや感じている」と回答した方にお聞きします。あなたは下水処理に関して、どのような課題を感じていますか。(複数回答)

・下水処理設備が耐用年数を超えている:55.8%
・設備故障が多い:45.5%
・人手不足:32.5%

・脱水力が低い:22.1%
・汚泥処理の一部に不具合がある(し渣・砂・消化汚泥処理など):22.1%
・下水処理速度が遅い:19.5%
・その他:9.1%
 ー58歳:コストが高い
 ー51歳:不明水の影響
 ー58歳:汚泥物の再利用
・わからない/答えられない:2.6%

Q3:他にも「汚泥処理にかかるコストや環境への負荷が大きい」や「維持管理費が非常に高く、採算性がない」などの課題も

 Q3.Q2で「わからない/答えられない」以外を回答した方にお聞きします。Q2で回答した以外に、下水処理に関して感じている課題があれば、自由に教えてください。

<自由回答・一部抜粋>
・58歳:汚泥処理にかかるコストや環境への負荷が大きい。
・36歳:維持管理費が非常に高く、採算性がない。
・33歳:匂いが気になる。
・58歳:土捨て場の問題が大きい。
・50歳:地球温暖化やさまざまな環境問題への対応。
・51歳:分流式であるが、降雨時に処理場への流入量が増加する。雨水管が接続されている可能性があるが、場所の特定が困難。

Q4:水処理能力の低下を実感する52.8%が「水質悪化」を懸念

 Q4.Q2で「下水処理速度が遅い」「脱水力が低い」「設備故障が多い」「汚泥処理の一部に不具合がある(し渣・砂・消化汚泥処理など)」と回答した方にお聞きします。このような下水処理能力の低下によってどのような問題が懸念されますか。(複数回答)

・水質悪化:52.8%
・廃棄物量の増加:49.1%
・処理が追いつかなくなっている:49.1%

・廃棄コストの増加:37.7%
・廃棄における人的コストの増加:24.5%
・設備運用における人的コストの増加:24.5%
・その他:1.9%
 ー56歳:設備保守費用の増加
・特にない:0.0%
・わからない/答えられない:1.9%

Q5:他にも「悪臭の発生」や「設備更新費用の予算の工面」などを懸念する声も

 Q5.Q4で「わからない/答えられない」「特にない」以外を回答した方にお聞きします。Q4で回答した以外に下水処理能力の低下によって懸念される問題があれば自由に教えてください(自由回答)

<自由回答・一部抜粋>
・58歳:悪臭の発生。
・37歳:設備更新費用の予算の工面。
・36歳:環境汚染や衛生上の懸念がある。
・38歳:水質汚濁。

Q6:6割以上が、汚泥量の減量が可能な仮設水処理プラントに「興味」

 Q6.あなたは、下水処理における汚泥量の減量が可能な仮設の水処理プラントに興味がありますか。

・非常に興味がある:16.9%
・やや興味がある:46.5%

・あまり興味がない:21.8%
・全く興味がない:8.9%
・わからない/答えられない:5.9%

Q7:仮設水処理プラントの活用で、62.5%が「廃棄コストによる予算圧迫を防ぐ」ことを期待

 Q7.Q6で「非常に興味がある」「やや興味がある」と回答した方にお聞きします。仮設の下水処理プラントに興味がある理由を教えてください。(複数回答)

・廃棄コストによる予算圧迫を防げるから:62.5%
・環境負荷を減らすことができるから:53.1%
・水質悪化を防ぐことができるから:32.8%

・再利用可能な下水処理水を増やせるから:31.2%
・廃棄における人的コストを減らせるから:18.8%
・設備運用における人的コストを減らせるから:18.8%
・その他:3.1%
・わからない/答えられない:0.0%

Q8:他にも「汚泥堆肥の生産性向上」や「低コストで処理能力の向上が期待出来る」などの理由で興味を示す職員も

 Q8.Q7で「わからない/答えられない」以外を回答した方にお聞きします。Q7で回答した以外に、仮設の下水処理プラントに興味がある理由があれば、自由に教えてください。(自由回答)

<自由回答・一部抜粋>
・58歳:汚泥堆肥の生産性向上に寄与。
・37歳:低コストで処理能力の向上が期待出来るから。
・51歳:原水変動に対する許容範囲の広さと、発生汚泥の有効利用の容易さ。
・58歳:自然環境のため。
・56歳:FIT制度期間後の施設の取り扱いを危惧している。

まとめ

 今回は、下水処理業務に関わった経験のある自治体職員101名を対象に、下水処理場業務における課題調査を行いました。

 下水処理業務経験のある自治体職員の約8割が下水道処理に関して課題を感じており、主に「設備の耐用年数超過」や「設備故障」を問題視していることが明らかに。さらに「脱水力(汚泥処理能力)の低さ」についても懸念する声も挙がりました。また、水処理能力の低下を実感する52.8%が、「水質悪化」を懸念し、他にも「廃棄物量の増加」や「処理が追いつかなくなっている」なども懸念材料として挙がりました。

 そこで、汚泥量の減量が可能な「仮設の水処理プラント」に6割以上が興味を示しました。仮設の水処理プラントにより、「廃棄コストによる予算圧迫の防止」や「環境負荷の軽減」に期待していることが分かりました。

 近年、下水処理水の「水質の悪化」が懸念される下水処理場が増加傾向にあります。理由としては、季節的な要因や水温の低下、凝集剤の効きが悪いなどさまざまなことが考えられますが、設備の処理能力低下も大きな要因ではないでしょうか。また、日々の運営コストに課題を抱える下水処理場において、処理能力の低下が引き起こす汚泥量の増加は、汚泥廃棄コストの増加にもつながり、大きな痛手となっている実態もあるようです。水質が悪化した時にすぐに対処すれば、正常な状態に戻るまでの期間は短くなり費用も最小限で済むことや、施設のアップデートにより処理コストの軽減が期待できることから、「水質の悪化」を感じる下水処理場は早めのアクションが今後の継続的な運営を実現する道と言えるのではないでしょうか。

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