睡眠障害と発達障害 その1
いつもnoteを読んでいただいて、ありがとうございます。注意欠如多動性障害(ADHD)・精神障害者手帳2級で博士(生命科学)のred_dash です。
実は2週間ほど前に、半年間の毎週連続投稿を達成しました。
1年が52週なので、26週投稿で半年です。読者のみなさんがnoteを読んで、スキやコメントを付けてくださることが支えになって、ここまで継続することができました。ありがとうございます。
さて今回は、発達障害に伴う困難の一つとして、睡眠障害を取り上げます。現在報告されている総説(研究論文のまとめ)の内容を噛み砕いて確認します。そのうえで、当事者が実行可能な解決策の案として、私の実践例を示します。
発達障害者が睡眠に困難を有する傾向については、ADHD, ASD共にいくつもの研究報告があります。本記事ではADHD についてはKonofalら2010年、ASD についてはCohenら2014年の総説の記載を取り上げます。
まず、発達障害に伴う睡眠の困難は必ずしも全員に当てはまるとは限りません。健常者では25-40%が睡眠に関する困難を抱える一方、ADHDでは、多くとも55%の人が、ASDでは40-80%の人が睡眠になんらかの困難を抱えているようです。
発達障害が抱える睡眠に関する困難は多様です。 ADHDでは、報告例のある睡眠の困難は
・sleep-onset delay(入眠までの時間が伸びる),
・restless legs syndrome(むずむず脚症候群:足に不快感を感じる),
・periodic limb movements in sleep(寝ている時に手足が動く),
・increased nocturnal motor activity(寝相が悪い),
・sleep-disordered breathing(睡眠時呼吸障害),
などが挙げられます。
ASDでは
・prolonged sleep latency(入眠までの時間が伸びる),
・decreased sleep efficiency(睡眠の効率が落ちる),
・reduced total sleep time(睡眠時間が減る),
・increased waking after sleep-onset(入眠後に目覚めることが増える),
・bedtime resistance(ベッドへ行かなくなる),
・daytime sleepiness(日中に眠る)
が取り上げられています。
これらの困難は、単に発達障害に由来するだけではなく、二次障害に由来するものや、投薬の副作用に由来する場合もあります。睡眠上の困難については個人差があることに注意してください。発達障害自体が個人によるばらつきを有することを踏まえれば、当然と言えば当然です。
次に、当事者ができる対策についてです。まずは、本当に睡眠に困難があるか、把握する必要があると私は考えます。参考とする情報を得るためには、例えばFitbitが活用できます。
以前にも紹介したFitbitには、睡眠時間や睡眠の深さを計測する機能があります。他社製品にも類似の機能がありますが、Fitbitは特にその精度に定評があります。
最終的なゴールは「あなたが気持ちよく眠れる」ことかと私は考えます。一度、自分の睡眠の質や量を疑ったうえで、データに基づいて自分の睡眠が改善できればいいですね。
今回はここまで。次回は、発達障害の睡眠障害についてさらに知識を深めると共に、より快適な睡眠を得るために当事者ができる対策を考えていく予定です。それでは、よい1日をお過ごしください。
参考
【論文】Konofal, Eric, Michel Lecendreux, and Samuele Cortese. "Sleep and ADHD." Sleep medicine 11.7 (2010): 652-658.
【論文】Cohen, Simonne, et al. "The relationship between sleep and behavior in autism spectrum disorder (ASD): a review." Journal of neurodevelopmental disorders 6.1 (2014): 44.