ガンダムSEED FREEDOMを見たら成仏した話
2021年夏、シン・エヴァンゲリオンが公開され、
25年以上苦しみ続けていたヲタクたちは
庵野が放った光で見事に浄化されたことは記憶に新しい。
しかしまだ、ゼロ年代に取り残された亡霊たちがいた。
ガンダムSEED DESTINY、通称種死を受け入れられず20年以上作品を叩いてきた旧時代の残党たちだ。
一生言ってやるぞ福田監督…という彼らを成仏させんと18年の時を超えて舞い降りた天を灼く剣、
「機動戦士ガンダムSEED FREEDOM」を観てきた。
とんでもなく良かったので久々に感想を残したい。
注意、この記事はネタバレを含むためFREEDOMを見るかもしれない人たちは下のデスティニープランのとこだけ読んで、今すぐ劇場に行ってからまたここに戻ってきてほしい。
一応これだけは知っておいたほうがいいという内容がデスティニープランです。
SEED DESTINYのネタバレも嫌だなという方はアマプラで全編見てほしい。
(前に座っていたモラ男が劇中にスマホを光らせて調べ始めやがったから俺がこんな説明をしなきゃならないんだ)
・デスティニープラン
SEED世界ではナチュラルと呼ばれる普通の人たちと、これからの人類を導く目的で遺伝子操作による超人的な肉体と頭脳を持って生まれたコーディネーターと呼ばれる人達がいて、この2つの人種が差別と戦争をずっとしてる。
そんな世界でシャアみたいな声のデュランダル議長が提示したのがデスティニープランという社会システム構想。
争いは自身への不当な評価や現状への不満から起こるとして生まれた瞬間からその人の最適な職業を決めてしまい、その通りに生きることを強制することで争いを根絶するという計画だ。
強い意志や努力で得られる後天的な能力、個人の可能性を否定する代わりに、人は生まれ持った才能に最適解な人生を送ることができる。
さらに遺伝子管理社会の中で好戦的で利己的な種を淘汰し、結果的に争いのない平和な世界を実現する。ということ。
当時はデスティニープランって悪くなくない?という意見がネットなどで言われていたようです。
職業は人生の大部分を左右するくせに運ゲーすぎるしな!ということで議長の意志を支持するリアルナチュラル風情が多くいたわけです。
でもキラやラクスといった登場人物たちは議長の殺害という結末とともに
デスティニープランを否定します。
ですが、否定したところでナチュラルとコーディネーターの溝が埋まるわけでもないですし、やはり戦争は続いてしまうしで結局SEED世界は煮え切らず、賛否両論ある社会構想へのキラたちのNOが視聴者に伝わりきらなかったといった感じはあるように思います。
先ほどDESTINYを見返したのですが、
デュランダル議長が最後、自身へ銃を向けるキラへ
「だが君のいう世界と私の示す世界、皆が望むのはどちらかな?今ここで私を撃って、再び混迷する世界を君はどうしようと言うんだ?」
という問いかけはあまりにも強烈です。
(あの声であんまり思想が強いことを言わないでほしい。強すぎる、全てが。)
で、FREEDOMが最後のアンサーとして
DESTINY放送終了から18年後の我々に降り注ぐわけです。
事前情報はこれで十分かと思います。
さぁ、未視聴の皆様は今ここで席を予約して劇場へ今すぐ行ってください。
書き終わってから見つけたのですが
西川兄貴が公式でダイジェスト版をまとめてくれていました。
前後でだいたい1時間くらいですのでもう少しちゃんと事前勉強したい人にとっていいかも。
(個人的には色々理由があってせっかくならFREEDOMを先に見てほしい)
・以下FREEDOMのネタバレを含みます
さて、これより始まるのはシン・アスカという主人公への私の感情です。
(書きたいことがありすぎてしっちゃかめっちゃかなのでとりあえずシンのことを中心に今回は書きます)
・シン・アスカという運命に振り回された少年
SEED DESTINYの主人公。
私はDESTINYという作品は置いておいてこの主人公が大好きです。
あーはいはい運命に振り回される系主人公ねはいはい
と思った人は少し待ってほしい。
もう本当にひどいんだよ。酷。
彼は父、母、妹と平和に暮らしていた故郷が戦火に巻き込まれ避難船へ走る中、9歳の妹マユ・アスカが大切にしているピンクの携帯電話を道中落としてしまう。
取りに戻りたいと母親の腕を掴みぐずる妹のためシンは携帯電話のもとへ走り、回収する。
その瞬間、流れ弾が先ほどまでシンがいた場所を焼き払った。
起き上がったシンは大好きだった家族の変わり果てた姿を目の当たりにし、慟哭し、空を飛ぶ青い翼の兵器を睨み、叫ぶ。彼が14歳の時であった。
上の部分をまとめるために先ほどDESTINY1話を見返したんだけど描写と演技が凄まじすぎて普通にトラウマが蘇った。
ここから仇であるキラが巻き返せるわけなくねぇか?
・シンとマユ
という亡き妹の唯一の形見である携帯電話の留守番音声は作中何度も登場し、シンに心を寄せる視聴者の脳を吹き飛ばす。
さらに携帯の通話機能などは電波妨害で使えないためこの音声を流す以外に使えないという徹底した鬱設定。鬼か。
なんであんな状況で携帯なんか取りに戻ろうとするんだと思う人もいるだろうが9歳の女の子が親に何度もねだって初めて買ってもらった大切な携帯電話であり、そもそも戦争に巻き込まれた時点で既に通話機能は失っているがそれでも取りに戻りたいというあたりその愛着は推し量れる。
LINE使えないと困るみたいな意味ではない。
シンは時々携帯を開いては待ち受け画面の妹が撮ったシンとマユの自撮り写真を眺めてしまう。
シンも視聴者も普通にPTSDを発症する。
ちなみにマユの声優は坂本真綾さん、ルナマリアとの兼役。
シンのためにも成仏してクレメンス…ってDESTINYの頃は思ってた。
DESTINYだけでいくらでも語れるもんだから
全然FREEDOMの感想に指がたどり着かないので
DESTINYはこれくらいにしたい。
・DESTINY 32話「ステラ」
もしFREEDOM面白かったけど、まだDESTINY観てないよって人がいたら
是非DESTINY 32話 「ステラ」を観てほしい。
むしろこれだけでもいいから観てほしい。
長編の途中一話だけ勧めるのどうなの?って俺も思う。
でも何がどうなってこんなひどいことになって
どうやってFREEDOMに繋げられるのか気になりすぎて全編見たくなるから
この一話だけ見るのはすごくいいことなんだよ。俺はそう思う。
ちなみにアマプラで今全編見れる。グゥレイトォ!
同話のタリア艦長のシンに向けた「敵を間違えないで」っていうセリフはやたら印象に残るし、示唆的だ。(もしそうならもっとちゃんと言ってほしかった)
次回予告で「新たな敵を打ち砕け!インパルス!」って三石ボイスで言われるけど敵って何なんだよ!!!って俺は思ったね。
シンも思ったよ。多分。
あとFREEDOMの冒頭でがっちり俺らの心をつかんだ
デストロイガンダムの活躍?もこの話で見れる。
俺は結構つらかったけどね。冒頭のデストロイとの戦闘。
やめてよね。
冒頭でシンがデストロイと戦いますって
上映前に警告を出すべきだったんじゃないか?
俺は予告とかなんも見ないで行ったからさ。
おかげで面白いよりも心配が勝ったよ。
FREEDOMの話を順番に書いていると一生終わらないのでいろいろアスランとかSEEDからそのまま出てきましたみたいなピンクのやべぇ女とかいっぱい書きたいことがあるんだけど
今回はシンのことを中心に書きたい。
・シンとキラ
上の32話「ステラ」の後に続く
33話「示される世界」34話「悪夢」におけるシンはもう悲惨。
見返さなきゃよかったと思うほどだが
キラのフリーダムとシンのインパルスの戦いは必見。
機体性能や戦闘スキルで劣るシンがフリーダムを追い詰める
戦い方、その形相、声も、鳥肌が立つ。
DESTINYの最後、一応の和解っぽい感じで終わったわけだけど「ステラ」から一連の流れ含め、見返すほどに
ここからキラが巻き返せるわけなくねぇか?と
思っていたが、そこはまぁ、そうしないと話も進まないので
個人的な印象としてはFREEDOMの二人は
まぁいいか!!よろしくな!って感じだった。
シンは思ってたよりずっと単純だったらしい。
いつまでもぐちぐち言ってるフェーズはもう過ぎたんだな。
もういいんだよ、この後で俺はもっと感じたことがあったんだから。
・シンとデスティニーガンダム
シンとデスティニーの出会いは35話「混沌の先に」
初めてデスティニーを見たシンの表情はどうか?
もうニッコニコや。
一話飛ばして(タイトルネタバレなので)
37話「雷鳴の闇」でデスティニーによる初戦果を挙げる。
誰を撃墜したかは君の目で確かめてほしい。
(いろいろ書きたいんだが観てほしいから詳細は控える)
新たな敵を打ち砕け!って感じ。敵って誰だよ。
FREEDOMでもデスティニーと再会したときシンは喜んでいるように見えたが割とトラウマとかはないようで、まぁ、よかった。
「シン・アスカ、デスティニー、行きます!!!」
劇場でこのセリフが聞けるだけで俺は嬉しかった。
・デスティニーとデュートリオンビーム送電システム
ルナマリアが乗るインパルスがエネルギー不足で戦闘不能になったとき、デスティニーがエネルギー供給を行うシーンで
俺は、震えた。
この映画での俺のピークはここだ。
轟音上映を念仏として間違いなくここで俺は成仏した。
全然迷わないアスランで成仏しちゃった人も劇場にいたんだけど俺はこのシーンまで魂は取っておいた。(正直アスランは笑った。ごめん。)
でもデュートリオンビーム送電システム…
知らない。そんな機能。なにそれ。
調べたんだがこのシステムは劇中に出てきていたらしい。
機体が母艦帰還時にワイヤレスで補給ができる機能で
フリーダムやジャスティス、他にもガイアら悪の3機体などにも装備されていたがMSが持つのはあくまでエネルギー受信機能のみで、送電は母艦のみが持つ機能であったとのこと。
無尽蔵のエネルギーを持つデスティニーであれば
エネルギー不足で動けない味方の戦線復帰をも可能にする。ということだ。
戦闘中に当然のように出てきてし、知らねぇ~~~と思ったけどなんて熱いデスティニーの強化なのだろう。
新ジャスティスや新フリーダムと比べて
ぱっと見デザイン上の変化が見られないデスティニーに搭載された新機能がこれなのが超熱い。
間違いなくこれ以上は、ない。
いつから考えられていたのだろう。
もし18年前から考えられていたとしたら俺は多分
「いや~ふふ、デュートリオン?ビーム?送電システム?って知ってる?実はさ~」
などと口を滑らせて台無しにしていたと思う。
デスティニーガンダムは
デスティニープランへの反対勢力を制圧するための殺戮を担い、フォース、ソード、ブラストといった登場した武器を全て載せ、一機ですべてを完結させたコンプリートMSだ。
爆炎の中赤く光る翼のシルエットはまるで悪魔のようで
血涙を想起させるフェイスデザインは
およそ主人公が乗るそれとは思えない。(俺は超かっこいいから好き)
そんなデスティニーが時を超えて得た新しい能力が随伴機の支援能力。
シンはデスティニーに再び乗り最後まで支えてくれたルナの窮地を救う。
考えすぎかもしれないがルナが妹のマユと同じ声なのも、脳に響く。
「デスティニーならお前らなんかに負けない。」
こんなにうれしいことがあるか。
これが、シンを想い続けてきた俺への答えだというなら
俺は祓われた。
・シンとignited -イグナイテッド-
DESTINY一期のOPテーマであり、シンをイメージとして書かれたという西川兄貴が歌うignited。
確かオープニングには含まれていない2番の歌詞に以下がある。
逆主人公みたいな歌詞なんだけど、これがDESTINYにおけるシンのイメージだった。
FREEDOMではこのシンが救われたから、俺は…よかった。
・シンとアスラン
シンとアスランのことを書こうとするとどうしてもアスランへの言及が多くなってしまうため、一旦この記事ではあまり触れないことにする。
アスランはアスランだけで語りたいことがめちゃくちゃある。
少しだけ書くと、アスランはDESTINYにおいてシンの上官でもあり、導く立場であったのにその責務から逃げて裏切った。そのくせなんか事後でよく喋りかけてきては説教垂れてくる。
しかもFREEDOM観た人はわかると思うけど意味わからないくらい強くて無敵なので手に負えない。
デスティニーでも勝てない。
ちくしょう、アスランのほうが馬鹿野郎だ。
多分シンに心を寄せる人はアスランを恨んでいる。
でもシンはそんな悔恨は乗り越えていたようでよかった。偉い。
FREEDOMではアスランに言いたかったことは割とキラが代弁してくれたし
なんならアスラン自身がキラに言う形ではあったけど補完してくれた。
シンは一発くらい殴るチャンスがあった気がするが無敵すぎて殴り返された。
くっそーーー!
・最後に
本当にいい映画だったFREEDOM。
どっちつかずで答えが出せないことってたくさんあるけどそれでもと自分が望む世界を叫べるのってかっこいいじゃんと思った。
冒頭で述べたデュランダル議長の問いかけへの改めての答えになっていたのかなと思う。
レイ、見てるか。
お前が選んだ未来は愛にあふれていたぞ。
あと、物語として明確な敵がいるのって大事なんだなって思った。
オーケストラで指揮者が奏者全員のヘイトを買って結果音楽がまとまるみたいな笑い話を昔聞いたが、それを思い出した。
でもFREEDOMのヴィランサイドについてもいくらでも語れそうだね。
のじゃロリメスガキママが全部悪いってことでいいか。
やっぱり愛の力ですべてを吹っ飛ばしたGガンダムって最高だったんだな。
ライジングフリーダム大勝利!
希望の未来へレディー・ゴーッ!!!
・蛇足
そういえばなんかラクスが無量空処使ってなかった?
実際2時間俺は漏瑚みたいになってたけどさ。
ラクスが結構ミーハーだったら面白かわいい。
体力が続いたらアスランのこととかピンク髪のやべぇ女のこととか書きたいですね。
あと俺たちがファウンデーションだ。
終わり。
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