マッチングアプリで人付き合いの仕方が歪んでいった話
今回私が書くことはおそらく
普通の人は幼少期や学生時代に経験し学び終え、
大人になるころには自然と身に着けている作法。
いわゆる人付き合いの話です。
はじめにおんねこ
初めに紹介しておきたいのがこちら。
おんねこ婚活漫画としても知られる作品です
なんと0円、ざっと読みで10分もかからないと思います。
本当に時間が有り余っているときにぜひ読んでみてください。
間違いなく心がガサガサになることを保証いたします。
kindleの履歴が汚れるとまで言われているので自己責任でお願いします。
私はこの漫画が大炎上したときに読みました。
たしかちょうど私がマッチングアプリを始めて
何人かに会ったくらいのタイミングでもあり
非常にマッチングアプリのリアルを
描けていると大変共感し面白く感じた漫画でした。
私はネットで叩いている人たちは
気持ち悪い主人公に心当たりがありすぎて
醜い自分を認められない人たちが
「俺はこんな主人公とは違う」と
真実から目をそらすために叩いているのだと
自論を持つほどにこの漫画に肯定的でした。
主人公がキモイと叩かれている要素として目につくのは
・女性の肌が汚いことに対してキレる
・バレンタインチョコの渡し方が雑だったとキレる
・そのくせありのままの自分を好きになってほしいと宣言する etc
ちゃんと話が進むと主人公はそれなりに落ち着いて
まぁまぁな着地をしていくので
その辺は安心して読んでください。
ちなみにこの作品が伝説の「おんねこ」を
描く前日譚となっていますので
そこ含めて面白いです。
マッチングアプリの出会い方の異常性
そもそも、マッチングアプリでの出会いは
学校とか社内とか狭めのコミュニティでの出会いとは
大きく異なります。
さながらそれは受験戦争とか就職試験のようです。
まずは大量の異性の写真の中から顔で判断する。
プロフに書いてある趣味や考え方を見て
好みが合うかもとおもっていいねをする。
相手からいいねが返ってきたらチャットができて
面白そうかな?まともな人かな?と値踏みをする。
上手くマッチング試験をパス出来たら実際に会う予定を立てます。
で、実際に会った後は
写真やプロフではわからない部分で
採点が始まります
・時間に遅れない +10点
・挨拶ができる +10点
・服装がおしゃれ +20点
・店員さんに優しい +10点
・なんか…肌汚くない? -50点
・写真と違うな…なんだ、イルミか♠ 95点
で、実際に会ってみて、感じがよかったなら
もっと話してみたい、また会えるかな?
やっぱりいいよ、あなたは…♥となって
「そろそろ狩るか…♠」となります
たくさん会う内にだんだん相手を見なくなる
マッチングアプリでこの一連の流れに乗っているとき
自分が最強だと理解(勘違い)してしまうことがあります。
おんねこ作者のように
相手のことは偉そうに批判するくせに
自分のことは棚上げして
ありのままの自分を見て(無敵)
とか言い始めてしまいます。
この異常に歪んだ自尊心ですが
ある程度人と会えるようになったタイミングで
私は陥りました。
アプリ始めたての頃は会話でちゃんと相手を立てて、
自分のことも良く見せようと努力していました。
新品の服を買い、当日は美容室に行き、
面白い小話はスマホにメモしておき、
合いそうな話題デッキを用意して電車で確認し…
関係が続かなければどこがダメだったかと反省して
男性メイクを覚えたり小綺麗になるよう努力したり…
それでも中々付き合うまでいきません。
でもなんとなく距離の詰め方を覚えて
新しく会う予定はポンと入るくらいになると
変な自信やプライドがにょきにょき生えてきて
いわゆる「選ぶ側」気取りになっていました。
相手の気持ち、考えてる?
しばらくして、この「選ぶ側」気取りになった
歪んだ自分に気づくきっかけがありました。
この話は大変に私の品格に関わるので書くか悩んで、
恥を忍んで書くエピソードです。
実際に会った相手で
非常に好みの顔をしていたので
お付き合いしてみたいなと思う相手がいました。
彼女は学習障害や精神障害を持っていて
過去にDVを受けて男性恐怖症になり
ちゃんと働けてはいないのだと言っていました。
何度か会ったのちに、私が
「君の過去や経験を聞いていて、
将来君を支えられるか自信がなかったけど
真剣にお付き合いをしたい。」
と言いました。
「ちゃんと考えてくれて嬉しい!」
とかそんな返事を期待していました。
すると相手から
「私ってそんなに惨めに見えた?
よくそんなに上から目線で人を見れるね。」
とピシャリと言われてしまい、はっとしました
上から目線だなんて
考えたこともありませんでした。
が、図星を突かれたと思ってしまいました。
特に相手が気にしていた過去や
今の状況や将来のことを不用意に
言及したのはあまりに相手へのリスペクトがありませんでした。
ちゃんと働きたいと
思っているかもしれない相手に
俺が働くからいいよというのは
優しさではなく侮辱でした。
相手には酷い言い方をしてしまったと謝りましたが、
「最初から遊び目的だったんでしょ?
あなたには別に好きな人ができたということにしておいてあげるよ」
私はショックで返す言葉もなく、
それ以上の関わり合いはありませんでした。
自分を大切にして相手も尊重して…が
ベストなんじゃない…?
マッチングアプリをしていると
自分の好みというものがはっきりしてきます。
さらにアプリの中には大量の異性がいて
いくらでも選択肢はあるように見えてしまうので
わざわざ自分を省みたり、
自分と相手の考え方をすり合わせて
己を変化させる、我慢や許容をするといった
柔軟さをどんどん失っていきました。
「最初から自分の好みに全て合っている人がいい」
と無意識に考えるようになっていきました。
結局、他人への思いやりがなくなって
自己中心的な考え方で相手を求めるようになっていました。
減点方式で人を品定めするように
上から目線で人を見るようになっていた私がいて、
手痛いしっぺ返しで自身の歪みに気づきました。
こうした人付き合いの中での
自分の引きどころや相手へのリスペクトというのは
冒頭にも書きましたが
幼少期や学生時代の複雑なコミュニティを通して
自然と学ぶものだったのかなと思います。
私は周りがしてくれる思いやりに甘えたままに、
他人への思いやりに欠けたままに大人になったので
おんねこ婚活漫画に異常に共感してしまっていたのだと思います。
おんねこ婚活漫画を読んで
気持ち悪いと思えた貴方。
どうかそのまま気持ち悪いと思い続けて。
これって普通じゃない?なんて思った貴方。
どうか今からでも相手へのリスペクトを見失わないで。
私はまた次の土曜日に二人会う予定です。
一人はちゃんと私のことを考えてくれる人で
もう一人はブランド物に身を包んだ派手で面白ぇ女です。
いい人に出会えるといいなと思います。