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小説『ぬけがら』感想

小説『ぬけがら』を拝読しました。

※本記事には、ストーリーに関わるネタバレはありませんが、表現等について言及しています。まずは小説ぬけがらを購入、読了してから本記事を読むことをおすすめします。

まず驚いたのは、一話一話が丁寧な装丁に包まれていることです。強くつまんだら潰れてしまうってこんな感覚なのかな、とおっかなびっくり本を取り出しました。そんな装丁もあってか、電子版で読むのとはまた違った新鮮さを感じました。それでも一話一話読み終わるたび、心あたたかな気持ちになる読書体験は、変わらずそこにありました。

3月に聖地巡礼と称して、ぽえむさんや小杉湯さん、多摩川河川敷を訪れました(本記事最後のツイート参照)。未訪問な状態で電子版を読んだときとは異なり、紙の今回は情景に質感を持って読むことができました。バイトさんはここに座っていたんだなとか、水切りはここでやっていたんだなとか。

ぼくは「私と孫の古時計」が一番好きなお話なので、時計の針を進めた“私”のその後が読め、とても嬉しかったです。かかとをきちんと収めた靴で、ホームと電車との間の隙間を超えていくところがどうしようもなく良かったです(「私と孫の古時計」の最後と、「新人ちゃんと先輩」の最初)。

最後に、少し話は変わりますが、カメレオンについて。車の窓に映る景色は何度も見たことがあるのに、そう感じたことはなくて。夏川さんの見ている世界が少し見えた気がして嬉しかったです。

拡材でも「この“ぬけがら”」と言えるようになった夏川さんが大好きです。

以下、聖地巡礼したときのツイートです。


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