寒さ対策(断熱) 開口部(窓)編
■ はじめに
冬の寒さ対策についてのお話をしていきましょう。
まず、あなたのお住まいの築年数を教えてもらえますか?
もし20年以上前のお住まいの場合は、
断熱性が低いことが寒さの原因だと考えられます。
■ 断熱性が低い?
住宅に断熱材を入れるようになったのが昭和55年ですので、
今から約40年前の事です。
じゃあ、築40年未満なら断熱性は高いんじゃないの?
これ省エネ法って言うんですが、
平成4年と平成11年、そして平成25年、平成28年に基準が変わっています。
そして大きく基準変更が行われたので、平成11年で今から20年くらい前の事なんです。
わかりやすく言うと、
昭和55年までは壁の中に断熱材は入っていませんでした。
しかしそれ以降は3cm程度の厚みのグラスウールは入れて下さいね。ってなり、
平成4年には6cm程度にはしましょうってなったんです。
しかし、それレベル低すぎますよね?ってなって、
平成11年には11cm程度の厚みのグラスウールは入れましょうよ。
となりました。
そもそも柱の大きさが10.5cm角~12cm角なので、
やっと壁内パンパンに断熱材を入れるようになったってことなんです。
あくまでもこれはグラスウール10Kというモノを基準に出した厚みですので、
使用する断熱材によって厚みは変わりますので、勘違いしないで下さいね。
ここで覚えて欲しいのは、
平成11年、約20年以上前のお住まいか、それ以降のお住まいなのかで、
断熱性能は大きく変わっているという事。
これが最初にお話した20年以上前のお住まいの場合は、
断熱性が低いって事なんです。
■ 何をすれば、寒くなくなるのか?
では、まず何から始めましょうか?
その前に下の図を見て下さい。
(図_S001 断熱ロス)
参考:(一社)日本建材・住宅設備産業協会 省エネルギー建材普及促進センター「省エネ建材で、快適な家、健康な家」より
これは、冬の暖房時に室内から逃げる熱の割合を示したものです。
圧倒的に開口部から熱が流出しています。
開口部というと分かりにくいかもしれませんね。
要は窓(サッシ)から6割近くの熱が漏れているのです。
それ以外の部位からは5%~15%ですので、
何から手を付けるべきかは一目瞭然ですね。
開口部、窓(サッシ)の断熱をするべきなのです。
■ 窓の断熱って…どうするの?
では、窓の断熱方法についてですが、いくつか方法が挙げられます。
しかし、それぞれコストと効果の問題がりますので、
その両方を踏まえながら順番にお話していきます。
まず、最も低コストでできる方法です。
〇 ガラス交換
おそらく現状の窓には単板ガラスがはまっていると思います。
20年前後ですとペアガラスがはまっているケースもありえますが、
それ以上に築年数の経っているお住まいの場合は、ほとんどが単板ガラスでしょう。
そのガラスをペアガラスに変更するという方法です。
サッシの形状によっては交換できない場合もあります。
ペアガラスにはガラスとガラスの間に真空部かガスが充填されています。
要はその空間があることにより外気の冷気を室内に伝えにくくし
逆に室内の熱を外部に漏らしにくくなります。
ただ、この場合、アルミ部分はそのままというのが難点です。
アルミの熱伝導率は非常に高い為、そこに大きな熱の損失が残ったままとなります。
冬にアルミを触るとキンキンに冷えていたり、
夏には、熱くて触れない状態になっているのを触った経験はあると思います。
また、冬場の結露もガラス部分もそうですが、
アルミ部分の結露は尋常じゃないですよね。
コストは低いのですが、
断熱リフォームとしては不完全な状態という事になります。
もちろん、現状よりは改善されますので、何もしないよりは断然有効です。
次に分かりやすい例として
〇 窓(サッシ)の交換
まず窓(サッシ)を交換する場合の効果ですが、
窓(サッシ)にもグレードがありますので、どのグレードにするかで効果は大きく変わります。
また、窓(サッシ)本体の金額も断熱性のが高いほど高価になります。
ただし、現在の窓(サッシ)はYKKapでフレミングJというシリーズのみ単板ガラスの設定がありますが、LIXILにおきましては単板ガラスの設定はなくなりました。
その為、基本的にはサッシを新しくすれば、断熱性能は向上することになります。
後は、アルミなのか樹脂なのか。ペアガラスなのトリプルガラスなのか。
細かくいうとサッシ内部の構造によっても断熱性能は変わっていますので、
どのシリーズがどの程度の断熱性なのかを検討し選択する。
またガラスは、枚数だけでなくLow-Eガラスというモノもあります。
日射取得型と日射遮蔽型がありますので、場所によって使い分けが必要です。
これは少し難しいので、また別の機会に。
サッシが決まれば、次に施工方法の検討が必要です。
2つの方法があるのですが、
まず最もイメージしやすい方法として
既存のサッシを撤去し新しいサッシを取付ける方法です。
サッシは、外部の壁や室内の壁を作る前に柱や下地材に取り付けています。
その為、撤去する場合は、外壁も室内の壁もサッシの周りは捲る必要があります。
そして、新しいサッシを取り付けた後、再度元の状態に戻す工事が必要です。
なんとなく大変そうですよね。
実際、まぁまぁ大変です。
特に1階の場合はまだいいのですが、
2階以上の場合は足場がないとできなので、結構費用がかさみます。
また、外壁も室内の壁も工事が必要なため、その部分でも費用がかさみます。
次にもう1つの方法です。
カバー工法と言います。
最近では、カバー工法専用のサッシも発売しています。
簡単にいうと、今のサッシより少し小さいサッシを
現在のサッシを取り外さずに新しいサッシを取付けて、
専用のカバー枠で隠して仕上げるという方法です。
ちょっと分かりにくいと思いますので、以下の図をご覧ください。
(図_S002 LIXILリプラス)
QRコードで動画がみれます。
LIXILの宣伝になっちゃいますが、どういう事かはなんとなくわかっていただけるかな?
工事は、前者のサッシの交換から比べれば、断然楽ちんです。
が、サッシ代金が少し高めです。
サイズオーダーってことですからね。
あと、窓が小さくなるのもデメリットです。
前者も後者も最初のガラス交換から考えると、
費用は大幅にかさみますが、効果は使用するサッシにもよりますが、
大幅にUPします。
十分に検討する価値は有りですね。
では、次が最後です。
〇 内窓
3つ目、個人的にはこれが一番おすすめです。
今有る窓の内側に樹脂製の内窓を取り付けるという方法です。
二重窓になるという事です。
(図_S003 LIXILインプラス)
まず効果についてですが、
アルミ製ではなく樹脂製の為、結露がしにくく断熱性能が高い。
ガラスは、単板ガラス、ペアガラス、Low-Eなど選べます。
いくつかメリットがありますので、順番に書いていきますね。
まずメインの断熱効果から。
今ある窓と新しい内窓との間に『空気の層』ができるため、
これが断熱効果をUPさせることになります。
これは、結局『結露』を軽減させることにもなります。
また、二重窓は遮音効果も高く
外の大きな音も中の大きな声も気にしなくて良くなります。
あとは防犯性、安全性の向上です。
泥棒の侵入の半分以上は窓からです。
二重ロックにより侵入の抑止力になります。
もちろん、メリットばかりではありません。
デメリットもあります。
一番のデメリットは、窓を2回開けなければならないこと。
これが一番嫌がられます。
もともとあまり開閉しない窓の場合は問題ないのですが、
開閉の多い場所の窓は、結構嫌がられます。
コストについてですが、
内窓本体は大きさや内容にもよりますが、数万円程度からあります。
そして、既存の窓を触ることがないので、解体費用などはかかりません。
もともと窓枠があれば、取付も簡単です。
ガラス交換程安価ではありませんが、サッシ交換程高くもありません。
効果とコストを考えるとこの方法がおすすめと言うのはお分かりだと思います。
■ マンションにお住まいの場合は?
今までのお話は、比較的一戸建て住宅に偏った内容です。
マンションの場合はどうでしょうか?
そもそもマンションの場合は窓は専有部分ではありません。
なので、触れません。
もちろんマンション全体でサッシの交換を行ったり
玄関ドアの交換を行ったりするケースはあります。
しかし、自分の意志のみで窓を触ることはできません。
ですので、ガラス交換とサッシ交換は選択できないということで、
内窓を取り付ける選択しかありません。
ということで、
マンションにお住まいの方は、内窓をご検討下さい。
■ その他の断熱とまとめ
窓の断熱についてお話しました。
まだ他にも断熱すべき場所はあります。
床・外壁・屋根(天井)などです。
しかし、最初に見ていただいたように、
一番最初に手を付けるべき場所だとは言いにくい場所です。
もちろん、今後その話もしていきますが、
今回のところは、まず窓の断熱から始めてみませんか?
断熱とは別にリフォームを検討している場合は、
床や外壁、屋根などの断熱も一緒に考えることをおすすめしますが、
今回のタイトルのように寒さ対策を考えるのであれば、
繰り返しになりますが、まずは窓の断熱だと思います。
この冬は寒くなるのかな?
快適に過ごせる住まいになるといいですね。