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南米旅week10

アンデス山脈の街、ワラスでの一週間。
初めての複数日のトレッキング。山にいると自分がシンプルになると感じた。



12/2 トレッキング準備

本当は今日から4日間のサンタ・クルスのトレッキングに行く予定だったのだけど、昨日の湖ハイキングを終えて一日休憩したいなと思って相談し、明日の出発に変えてもらった。

ということで、今日はサンタ・クルストレッキングの準備の日。

ホステルの朝ごはん


レセプションで、4日間のトレッキングの間はシャワーを浴びられないこと、一日あたりに歩く距離などを聞いてから街へ繰り出す。

バックパックはもうパンパンだし物を増やしたくないけれど、初めての日を跨いだトレッキングに色々な心配が募って、コカのキャンディーや防寒グッズ、雨対策グッズなど色々見て回ってしまった。
一緒にトレッキングに参加する、同じホステルのマイルとインディアとも遭遇し、一緒に服を物色する。


お昼は3人でインドカレー屋さんに入り、ほうれん草たっぷりのチキンサグを食べた。夕食用にサモサもお持ち帰り。ハッピー。
サンタ・クルスでは何を食べれるんだろうか。ドキドキする。

帰宅して14時過ぎ。サンタ・クルス前最後のシャワーを存分に楽しみ、荷物の準備を進める。サンタ・クルスもだし、4日間はホステルをチェックアウトするので全荷物をまとめなければいけない。

レセプションや階段でクリスマスの飾り付けが始められていている。ホステルオーナー エヴァンの奥さんと、その息子たちと、スタッフのウィルメンたちがせっせと飾り付けしている姿がとても可愛い。


今日も屋上で干していたガソリンの匂いのするリュックと帽子は、雨が降ったときに取り込んでくれたみたいだ。ありがたいなぁと思う。

荷物の準備をしながら山の寒さが心配になり、やっぱりダウンジャケットを買うか迷ったのだが、ふとチップをお渡しするくらいでホステルのスタッフさんに借りられるんじゃないかと思い付いた。
突然お願いするのもなんだかハードルが高くて、彼らと仲良くなって、キュートに(貸してやってもいいなと思ってもらえるように?)お願いをする作戦を考える。

結果思いついたのが、「リュックのレインカバーをビニール袋で手作りするためにハサミを貸してと頼んで、頑張って作っているところを見せて、ちょっと面白がってもらう作戦★☆」

実はハサミは自分も持っていることに途中で気付いてしまったのだけど、気付かなかったことにして。



案の定面白がって見守ってもらった上に、見かねたオーナーが自分の持っているレインカバーを持ってきてくれた。防寒着を貸してもらうための前座の作戦のつもりが、棚からぼたもち的にレインカバーまで貸していただけた。

びっくりするとともに、心がほっこり。

次いでお願いがあるんだけど、防寒着を貸していただけないだろうかと言ってみる。
オーナーの奥さんのジャンパーを引っ張り出して、これも貸してもらえた。

ホステルってこんな感じだっけ?
もっとお客さんとホストの域をはみ出ない関係というか、決まったサービス+情報をもらえるくらいの関係性じゃなかったけ、と面食いつつ。自分で作戦まで考えておいて何だけど。

こうやって言うだけ言ってみることで、人と人の間であれば結構ストレッチが効くということに感動を覚える。

この感謝、Booking.comのフィードバックでベタ褒めすることでお返しできるだろうか。



ダウンジャケットが手に入り、夜の寒さへの心配が落ち着いたところで夕食を食べる。
夕食後は韓国人3人組(グループだと思ってたらここで出会ったらしい)とリマのお兄さんとお喋りする。これぞホステルの出会いという感じで、楽しく賑やかな夜だった。


明日から4日間、どうかできる限り晴れますように。山でもし時間が余ったら、たくさんスケッチの練習をしよう。スマホも充電の問題的にそんなに使えないはずなので、生のスケッチの練習をできたらいいな。




12/3 Santa Cruz Day1

5時頃、ホステルにツアーガイドさんがミニバンでピックアップに来る。
ツアー参加者を順番にピックアップしていき、合計四つのホステルから8人のメンバーが集まった。新たに人が乗り込む度に自己紹介をする。全員若くて年代は近そうな感じ。
一人、昨日の湖Churupで頂上で会った女の子がいた。サスキアという名前のイギリス人の子。


今日はまず車で5時間ほどの旅。歩き始めるまでの道のりもそれなりに遠い。

朝ごはん。コカのお茶

8時頃、山小屋のようなレストランで朝食を取り、Llanganuco湖を越え、さらに奥へ。

Lago Llanganuco


大きな谷、切り立つ斜面、透き通るようでありながら底知れない湖、岩から滴る水、遠くに雪を被った硬そうな山と雲と、見え隠れする青空。
その中にくっきりと道がある。わずか5メートルほどの道幅なのに、思った以上にくっきりと。

ドライブの途中


9:40、湖に続き2回目の写真休憩。
すでに4650mらしい。今回の最高地点は4750mとのことなので、今大丈夫なら割と行けるかなぁと少し安心した。車の中では若干酸素不足で頭痛があるけど、多分大丈夫。



スタート地点

歩き始めたのは11時頃だっただろうか。
山の中にある小さな集落らしき、飲み物やスナックなどを売っている小さな店がある場所で車を降りる。ガイドさんと地元のおばちゃんたちが、キャンプ用品や私たちの荷物などをまとめてロバたちに括り付けていく。
歩き始める準備をする。


(今回のメンバー)
・ルカ ガイド
・ロバおじちゃん ロバを連れて行く&ルカを手伝う
・ロバ5頭?
・私たち8人(出身はフランス、オーストラリア、ドイツ、スイス、イギリス、日本)

今日は合計11km、平らな道がほとんどであまりきつさを感じることはなかった。

道中はサスキアやスイスから来ていたペルラ、フレデリックと主に喋っていた。ゼェゼェしたけど、大学でやっていたことや、旅での出来事をお互いに話すのが楽しかった。

最後の1時間ほどは、小雨に降られた。ホステルオーナーエヴァンのリュックカバーが大活躍。
そして15時半、Parlaキャンプ場(3870m)に到着。
ガイドさんがテントを張るのを手伝ったり、スケッチしたりして過ごす。

初日のキャンプ場


16時半頃みんなと一緒にティータイムに入り、夕食を待つ。ガイドさんとロバのおじさんがスープなどを作ってくれている。料理用のテントを覗いたら生姜なども入れてくれているみたいで、暖かくなれそうで楽しみ。

ルカ


夕方、日記を書きながら今日一日を振り返る。
山を歩いている中で時間感覚がバグるというか、なんだか車で5時間も移動してきたことなどすごく前の出来事に感じられる。
歩いていると生きている時間が伸びるのかな。とても不思議な感覚。

水の透明さに感動したり、鍋から立ち上る湯気を見てぼーっとしたり、知らない植物しかないなぁと思ったり、出会う馬や牛たちに挨拶してみたり、雨の寒さに不安になったり、テントを張るだけで急に「家」と感じられる場所が出来上がることや外との体感温度の差に驚いたり、そういう感じだ。シンプルな時間が過ぎている。


夕食後にガイドのルカから明日の動きについて説明を受け、解散後はすぐに寝る。20時半就寝。

雨が降っていて凄く寒かったけれど、寝袋にくるまってしまえば意外とあったかくてほっとした。
雨のわりに空気は乾燥していて、喉には少ししんどい環境だった。日本の冬みたいとつくづく感じる。深夜1時くらいに一度目が覚めたけれど、そこからは目が覚めることなく寝続けられた。



12/4 Santa Cruz Day2

深夜1時くらいに一度目が覚めたけれど、そこからは目が覚めることなく寝続けられた。けど、眠りは浅かった気がする。地面が若干傾いていて、少しずつ足のほうに落ちていってしまう感じだったからかな。
遠くから列をなしてやって来るロボットの集団に羽交い締めにされる悪夢を見た。


昨日ルカに言われた通り、5:10起床。
5:40身支度を済ませて荷物をまとめテントから全てのものを出す、〜6:10朝食、休憩10分で6:25に歩き始める。

山では午後雨が降り出す前にできるだけ進むこと、そして日が暮れる前にキャンプ場に着くことが大切とのことで、朝の時間のきっちり具合は全員で共有していく。ガイドの緊張感もさながら皆ちゃんと時間を守っていくところに、山の命懸けの(というか舐めていると命に関わりうるような)性格を実感する。



今日はPunta Union(4750m)までの登り(8km, 5時間くらい)とキャンプ場までの下り(4km, 2時間くらい)で、計12km歩く。


今日も距離は大したことがないが、キーは標高とのことで、呼吸と歩くペースにとっても気を遣っていく。
特に登りのラスト1時間はゆっくりスーハーと意識しながら歩いた。少しでもちょうど良いところのペースを超えたスピードを出すと心臓がバクバクうるさくなるので、本当に?と疑うくらいゆっくり歩く。

ペース、呼吸、省エネできそうなルートの選択、たまに景色の綺麗さ。それだけに集中する時間だった。


9:03 少し前に太陽が出てきた。鱗みたいな、こおりかけの氷みたいな雲。下から上に、右から左に吹き上げられる雲。私たちは雲の中にいる。


登るほど木がなくなり、岩が大きくなっていった。岩に刻まれた線や穴ぼこに生い茂った苔が、人の顔に歳と共に刻まれる皺やしみに見えた。


後からキャンプ場を出発したロバたちに遭遇



11:20、Punta Unionに到着。

Punta Union 4750m


頂上からは雪山が見えて、少し前までアマゾンの熱帯雨林にいたことが信じられないくらい違う自然に対面していることを実感する。やっぱりペルーは広いし、地球は色んな顔を持っている。


頂上ではスケッチしたり、ランチパックを食べたりして少しのんびりする。
サスキアと2人でふざけた写真を撮ったりしていたらみんな下り始めてしまったので、キャンプ場までの行程はサスキアと2人でのんびり進む。

登りの静かな1人での闘いみたいな時間に反して、永遠におしゃべりしている時間だった。初日から思っていたけれど、彼女の自然に対する愛や、それを素直に表現するところがとても素敵だなと思う。ちょっと本当に綺麗!と感動してハグしてきた。

途中雪山がきれいに見上げられる場所で、太陽の下2人で座ってインカの遥か昔から続くというコカの葉を使った祈りの儀式をやった。
サスキアはこれをボリビアで教わったと言っていたかな。コカの葉を3枚重ねて地面に置き、地球の全てに感謝する。

山にいて、いかに私が今この自然に生かされているかを実感している。
陽が昇ることに安心したり、陽の光が体を温めてくれたり湿ったものを乾かしてくれたり、透明な水を料理や飲み水に使わせてもらったり、ロバたちが荷物を運んでくれたり、それらを包み込み巡らせている山や土や植物の営みに感謝が及んだり。

日本とかペルーとかじゃなくて、私が今この瞬間この時間に生かされているという感じがする。
その直接の関係が清々しくて、シンプルでクリアで、良い。

アンデスの暮らしの中で、地球のすべてに感謝する習慣があること、自然が精神の面でも特別な存在であったこと、そのための儀式があることに想像が及ぶような気がした。頷ける、いうか。

この場所で広がる自然を眺めて歩いているときは、凪いだ気持ちでそんなことを思う。





14:00、タウジパンパキャンプ場(4250m)に到着。

Taullipampa 4250m
夜ごはん1
夜ごはん2




12/5 Santa Cruz Day3

今日は昨日と全く同じ時間帯で朝の準備をして、6:25出発。

曇天の朝

今日のキーは距離とのことで、合計20km以上歩いた。昨日の夜の念入りなストレッチのおかげで、体が軽くて3日目にして歩きやすかったと思う。


歩き始めてすぐに生理が来た。おかげで常に頭に靄がかかっていて、眠いというかボケッとしている感じはあったが、幸い歩いてる間は腹痛などはなくそんなに支障はなかった。
朝の顔の浮腫は面白いくらいすごかったが(笑)

自分が生理の時は凡ミスをしでかすと思っているので、常に小石でコケないように特に気をつけて歩いた。自分の体は自分が運ばなければいけない。


ルートはこんな感じ。

・キャンプ場(4250m)→Arhuaycocha湖(4420m)への登り(5km弱, 2時間)

・Arhuaycocha湖→山間の主要ルートまで下り(5km, 1時間半)

・次のキャンプ場までほぼ平らな主要ルートを進む(10km, 3時間)

はじめに行った湖が本当に綺麗だった。
向こう側の雪をかぶった山が透き通る湖の水面に反射していて、自然ってこんなに美しい姿を見せてくれるのかと驚かされる。
到着した時は、フォー!と思わず叫んでしまうくらい、だった。
少し手前の赤みがかった岩も美しかった。

Lago Arhuaycocha(4420m)


今日は、後半ひたすらまっすぐ進んだ山間の道の花たちと出会う数多の動物たちにも心を踊らされた。東京の都会を歩いているのかと思うくらいすごいスピードで歩き続けたのだが、距離の分本当にたくさんの生き物に出会った。今は森林再生で農業をやるのが禁止されている区域が多いと言うが、以前はここでみんな動物と一緒に暮らしていたらしい。


14時前、Llamacorralキャンプ場(3760m)到着。



おやつにチャーハンをいただき、川があったので足だけ浸けてリフレッシュして、ストレッチをして、スケッチをして、日記を書く。

紙を食べたいロバたちがやって来て
ノートの代わりに差し出したマップを食べられた


今日は夕焼けが見れた。一日目、二日目はキャンプ場に着いてしばらくしてから雨が降り始めて夜の間中続くという様子だったので、このトレッキングで初めての夕焼け。夜もそのままいい天気で、星も見ることができた。

山肌が赤く染まる


気付いたら、4日間のトレッキングも残り一日になってしまった。明日は3時間の下りだけ。
至れり尽くせりのツアーで、デイパックだけで歩けるからハードルが低いと言うのもあるけれど、意外とコンスタントにやれている。



夜はガイドのルカが2017年にこのトレッキングのルートの中で消えた27歳のカナダ人の話をし始めた。
2日目の夜に話そうとしかけていたのだが、フレデリック以外の皆が嫌がって3日目に持ち越された話。最後に姿が見られたのが2日目のキャンプ場だったらしく、本当に昨日の夜に聞かなくて良かったなと思う。
1日目2日目と変な悪夢を見たし、今日生理が来たのもあり、なんだかいつもより自分のバリアが弱くて、怖い話が本当に怖かった。

夜ごはん



12/6 Santa Cruz Day4

いつも通り5:10に起きて5:40朝食、6:25出発。
初めて朝から青空が見れた。


最終日の今日は、平らと下りメインの9kmだけなのでとても楽。
ずっと川沿いを歩いていったのだが、景色がどんどんトロピカル模様に変わっていくのが面白かった。サボテンや花や大きな木などが現れてくるのだ。
川も流れの勢いも上の方よりすごくて、滑って落ちたら結構まずそうなくらいだった。

最後のほうはずっとサスキアと一緒に歩いていた。
彼女のふざけ方や話し方がとても心地よくて、こんな仲間に出会えたことが幸運だなと思う。



3時間ほど歩いて10時前に麓に到着。カシャパンパという村だ。

この門をくぐって終わり



ランチパックを食べたり、みんなはビールを飲んだりしていて、しばらくのんびりしてから車で3時間かけてワラスに戻る。

お疲れさまでした


3日ぶりに家族に連絡を取って、リマにいるウリなどにも生きてます、と報告をした。夜にはナウタのマミータにも電話した。
南米にも家族のように気にかけてくれる人がいることがなんとほっとすることか、ひたひたと噛み締めている。




少し久々に降りてきたワラスの街は、なんだかすごく暑く感じる。

昼過ぎ、ホステルに着いて真っ先にシャワーを浴びる。
意外と持参した体拭きシートだけでシャワーなし、着替えもほぼなしでも耐えられてしまったが、やはり流れる水を浴びるのは気持ちいい。
まだ少しガソリンの匂いに残っていたバックパックを丸洗いし、ドミトリールームの同室の人たちと喋っていたらあっという間に18時になった。

初めてのバックパック丸洗い


夜ご飯は一旦解散したサンタ・クルストレッキングのメンバーと一緒に食べる。
夕食の後はガイドのルカも加わり、2軒バーをハシゴした。ピスコというペルーのお酒を飲ませてもらったり、踊ったり。
あんなに疲れてたはずなのに^^;




12/7 オフ

7時起床。
朝ご飯の後、昨日までのトレッキングで撮った写真を取り込み、レタッチをしてゆっくり過ごす。

ほっこりホステルでの朝


山に行って思った。山では、自然が先にある感じが印象として大きいから、むしろ人工の物の方が目立つ。街では自然由来のものを活用していたりすると(バナナの葉を料理に使うとか)そっちが浮かび上がって見えるけど、山では逆だった。
道とか、石積みとか、足跡とか、橋とか、小屋とか、看板とか、そういうものの方が目立っていた。

写真を取り込みながらサンタ・クルスを振り返る


昼過ぎに外へ出て、昼食に大量の緑のパスタを食べた。
1人で昼食を食べていると、少年がお金をくださいと言ってきた。リマで外食したときもあったけれど、レストランにさらっと入ってきて、お客さんを巡ってお金を頼むのはよくある方法なのかな。
観光地ならではの出来事で、まだ慣れない。ナウタでは(きっとお財布事情はそんなに変わらないのだろうけれど)他所者がやって来ることが少ないからかコミュニティが小さく周りがみんな知り合いだからか、お金をよその人に乞うということは一度も見なかった。言葉がわからないふりをしてやり過ごしたけれど、ずっと心に引っかかっている。


ホステルに戻ってからはずっとnoteを書いていた。
1ヵ月半遅れでAmazonas村に行く前のナウタのことを書く。既にだいぶ懐かしくて、チャポ(Amazonasやナウタでよく作って飲んでいたバナナジュース)や、友達や、あの暑い気候が恋しくなった。

この空気の感じ

今のところ南米においてあの場所にすごくホーム感というかアイデンティティを感じているけれど、この先違う場所を旅していく中で、それは変わるのか変わらないのか。
どれだけコミュニティーに入っていけるかにもよるだろうな。
明日でワラスは最終日だけど、市場周辺の道でも地元の人とお喋りしたりして、少しだけ自分の一部をこの場所に溶かしてから帰りたい。そう思うくらいには、この場所が好きだ。



12/8 アンデス先住民の服装

今日は7時起床。
リマに夜行バスで戻る日なので、荷造りをしてチェックアウトを済ませる。


午前中から昼過ぎにかけては、街へ繰り出した。
チョリータの個性の発揮の仕方が気になって、怒られない程度に沢山の写真を撮る。
40代以上のおばちゃん、おばあちゃんがほとんどで、チョリータの服装をしている若者はあまりいない。

唯一見つけた若者のチョリータ


仲良くなった果物屋さんのおばちゃんのお店で聞いたら、やっぱりあの服装は観光者向けとかではなく、習慣として続けられているものらしい。
和服なんかとっくに普段着ではなくなってしまった日本生まれの自分にとっては、習慣として服装の型があるという感覚はあまりピンと来ない。

背の高い帽子(羽根のようなプリーツが入っているのが多い)に、長い黒髪を三つ編みにして下ろし、カーディガンやブラウスやフリースなどを重ねた上半身。膝丈の膨らむスカート、くるぶしまでのタイツ、靴下にローファー。背中には風呂敷を背負って、それが買い物バッグや抱っこ紐として機能している。
全体的に速乾性には欠けているように見えて、乾燥して寒いこの地域らしい服だなと感じる。雨季の今は雨が降ったときみんなどうするのが気になる。とりあえず帽子はそんなに水を通さないし、日も避けられるとのこと。

おじいちゃんたちもこの帽子だけは同じのを被っている。服は女性たちとは対照的に、茶色やカーキ、グレー、黒、ネイビーなどの落ち着いた色使いをしている。
スーツのズボン、シャツにジャケット、革靴、そして帽子というコーデが、ザおじいちゃんの服装らしい。

面白かったのは、女性たちが道で(縁石に座ったりして)食べ物やお茶などを売っているのに対し、おじいちゃんたちは道の真ん中にある歩行者用のスペースに溜まっていたこと。ベンチやちょっとした縁に座って喋ったり、ただ佇んだりしていた。

カラフルなチョリータたちに思わず目が行くけれど、おじいちゃんたちの生態も気になる。



街では、丸焼き豚cuchicancaのサンドイッチを食べ、ポップコーンを買い、イチゴとルクマの味のアイスを食べ、セビーチェを食べた。
中華料理レストランなどに行ってしまうと一発でお腹がはち切れるまで埋まってしまうけれど、同じくらいの値段で色んなストリートフードを少しずつ食べる方が美味しいし楽しいのではないかと気付いた。

豚の丸焼きcuchicancaは、市場で仕入れた豚を毎日一頭、家でオーブンで夜中焼くらしい。5時間くらいかかると言っていた。じっくり調理されたんだと思うと、おいしさもひとしお。とろとろのお肉と付け合わせの玉ねぎサラダがマッチしていて最高だった。

アイスは3玉パンパンに乗せられて2ソル(90円くらい)。上高地で食べた500円のアイスは何なんだ!と言いたくなるくらい観光地「じゃない」価格だった。

いちご色のおじちゃん



ポップコーンはこっちが困るくらい多いが1ソル。しかし若干湿っている。ご愛嬌。

ほんのり甘いタイプ


セビーチェは今までで一番美味しかった。
肝心の魚はあんまり入っていないけれど、豆もやしの豆みたいな食感の豆と、camote(サツマイモのような甘い芋)と大好きな炒りコーンが最高においしかった。
レモンベースのすっぱいソースも、少し熱い昼下がりに外で食べたからか、今までで一番美味しく感じた。

道に広がる出店



リマの家族へのお土産にアンデスのチーズを買って、午後ホステルへ戻る。
ホステルのオーナーの奥さん(マルタ)の誕生日祝いでオーナー家族は出かけてしまっていて、働いているお兄ちゃんたち2人だけがいた。

午後中かけてまたnoteを書いたり、シャワーを浴びたりして過ごし、21時頃ホステルを出発。
オーナーのエヴァンたちは私がホステルでタクシーに乗る直前に帰ってきて、直接バイバイできて良かった。
たくさんお世話になりました。

21:45、バスステーションからリマ行きのバスが出発。バスが街を抜けて山道に入り通信が絶たれると、ダウンロードした音楽を聞くしかなくて日本での思い出深い曲たちを聴く。久しぶりにしっかり日本が恋しくなった。

ワラスも大好きになれた。果物屋さんのおばちゃんにまた帰ってきなよ!と言ってもらったり、ホステルで働いているウィルメンにいつ戻ってくるのと聞かれたり。

¿Cuando regresas? 旅で嬉しい言葉だ。自分の居場所が不安定になる状況に身を置いている中で、帰れる場所、待ってくれている人の存在があるまちには自分の根が少しおりるような気がする。
ワラス9日間、ホステル滞在にしてはあたたかい人との関わりに恵まれた。





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