【DQ10】マスタークラスは何の為の職なのか

ウィリーデをプレイしたことを切っ掛けに、色々な事を思ったので書きました。
すんごく長いです。


さいしょに結論


この後、謎の考察をいっぱい綴った怪文書になる予定なので、最初に結論を書いておこうと思う。

マスタークラスとは、『ほぼエンドコンテンツ(というより咎人)専用の特殊な調整が施された職』であり、『”マスター”とは、高難度戦闘用の上級者向けの職』という意味合いなのでは?

運営曰く、マスタークラスとは上級職に相当する職業とのことだが、ウィリーデをプレイして竜術師の真実の性能を初めて目の当たりにしたことで、何故こんな歯切れの悪い新職になったのか、私なりの見解が出来上がってしまった。

何故そう考えるに至ったのかと、ついでにウィリーデを遊んでみての感想を書いていきたいと思う。

1章は海賊の事を語り、2章は竜術師とウィリーデについて述べ、3章は過去のボスの回想をする内容となっている。

思いついた切っ掛け


事の始まりは、ウィリーデを攻略した後、海賊について考えていた時だった。お前いつもそればっかりだなと思われそうだが、ウィリーデをプレイしてみて考えたい事など、海賊のそれしかない。

一応ながらウィリーデ2をテンプレ4職と海賊で倒し、海賊に関する動画も3本程リリースした。そんな中で海賊構成の性能について考えていると、海賊云々よりも気になってしまう事がある。

竜術師があまりにも弱すぎるのだ。

竜さんの何がどう弱いのか詳しくは後で書くが、簡単に述べると、竜術師をテンプレにしようと思ったら、海賊の火力を25%カットしないと無理、という運営苦心の調整がすべてを物語っていると感じた。

ここまで竜さんが弱いと、逆に疑問が湧いてくる。

なぜ海賊はマスタークラスでは無いのか。

そもそもの話、マスタークラスなんてすごそうなものを実装するなら、海賊も盗賊+レンジャーのマスタークラスにでもする方が見栄えが良かったのでは?という疑問がある。そうしなかったのは、通常職とマスタークラスに明確な設計思想の違いがあったのではなかろうか。

マスタークラス=上級職とはどういう意味なのか。上級職といわれて単純に考えたら、既存職の上位互換でものすごく強い、というのを想像する。

しかしそれを本当にやってしまうと、大変なことになる。

”上級職”を実装するとどうなるのか


マスタークラスが何とも言えない職になった理由の一つは、普通に想像するような上級職はゲームバランスの都合で実装出来ないから、という事情の説明をしておこうと思う。

DQXTVでマスタークラスの話が運営から初めて出た時、プレイヤーや番組ゲストの反応は様々だったが、一際懸念されていたのは『既存職よりマスタークラスの方が強くて今までの職がいらなくなったりしない?』という点だろう。

実はそれを試してしまった大手ネトゲがある。セガが運営しているPSO2だ。DQ10より一か月ほど前にリリースされた古参MOである。

PSO2が稼働5年目を迎えた頃、ヒーローという文字通りの上級職が実装され、プレイヤーがほぼヒーローだけになった時期があったらしい。ヒーローショックで検索すると当時の雰囲気が少しうかがえる。

ちらりと調べた所、ヒーローが強すぎたことで
『既存職が弱すぎてほぼ使用不可に』
『新コンテンツが事実上ヒーロー専用で大ブーイング』
『ヒーローが使えない装備・呪文・スキルがゴミ化し、それらの既存資産が無価値に』

等の不満がプレイヤーから続出した。

最終的に下位職に大幅なアッパーが入ったり、ヒーローがナーフされたりしてヒーロー1強状態は撤廃されたそうだ。しかしこの一連の騒動によって、下位職のプレイヤーが萎えて大量引退したらしく、プレイヤー人口は激減。ヒーローも上級職ではなく後続職というカテゴリに変更されたとのこと。

PSO2の運営が何を考えてヒーローを実装したのかは、調べてもよくわからなかった。PSO2運営曰く、『EP5(EPとはDQ10で言う所のVer)のコンセプトはヒーローが強いこと』だそうで。へえ……。炎上の初期に『ヒーローが強いのは想定内』などとコメントして火に油を注いだらしい。何というかこう、部外者としてPSO2運営が何を考えているのかわからないので、インタビュー記事の内容からヒーローを強くし過ぎた理由を勝手に深読みすると、『いろんな職や武器を調整するのがめんどくさいから、上級職にまとめちゃえ』という意図が若干感じられる。

そりゃあ、今までの突貫アプデを繰り返してスパゲッティ化したゲームバランスを全部捨てて一本化したら楽だろうけど、それができたら苦労はしねえ。似たような意味として新生という単語が頭に浮かんできたが、あれはバランスを一本化したのではなく作り直したわけなので、全く別の話だろう。

弱い既存職なんかやめて、運営様が実装した最強の上級職に転職して遊べばよい。人心を無視すれば、それに理論的におかしな点はないように感じるが、プレイヤーの大半はそう思わなかった。ということらしい。

ご近所でネトゲ史に残る大炎上になっている以上、DQ10運営がヒーローのような最強上級職を実装して、PSO2と同じような失敗をしてしまうとは考えにくい。運営がDQXTVで『マスタークラスを実装しても既存職がいらなくなるような調整にはしない』的な説明をしていた通り、シンプルに強い上級職を実装する気はないと思われる。

もちろん上級職を実装しても問題なかったネットゲームも沢山あるはずだが、多くの場合は最初から上級職が存在することが周知されていたり、下級職から上級職にそのまま移行できるクラスチェンジ構造になっていることが多い。下準備があって初めて成立するバランスなら、サービス開始から何年も経過した後に跡付けで上級職を1職だけ放り込むような調整は暴挙と言える。個人的には、既存の受け入れられている価値観とルールを破壊して全く新しいレールを引きなおすと、人が離れるのではないかと思う。

DQ10運営の過去の対応を見てみると、プレイヤーが獲得した資産を無に帰すようなことはなんとしても避ける、という意図を感じる。コインボスアクセの伝承が最たる例だろう。そのせいで、プレイヤー的にはうんざりする育成要素が大量に積み重なっているし、それらは特に初心者にはどうしようもないほど重くなってしまったよう見える。それでも運営としては、プレイヤーに支払わせた手間を安易に無に帰せば恐ろしいことになる、という認識なのだろう。

ちなみに。強さ的には魔剣士がほとんど上級職に近かった気もする。そして運営は魔剣を実装してしまったツケをずっと払わされているようにも見える。ついでに言うと海賊もそれに片足を突っ込んでいる。

第一部 海賊は何のための職なのか


安易に上級職を実装して既存職をゴミ化してはいけない理由を学んだところで、話を戻そう。海賊は何故マスタークラスではないのか?ということを考えていたんだった。第一章ではそのことについて書いていこうと思う。

これから取り留めの無いことを好き放題書く予定なので、最初にこの項を要約しておく。

海賊が何をするための職として設計されたのかを分析することで、逆説的にマスタークラスの設計意図が浮かんでくる、のかもしれない。

海賊は多分オトマ初心者向けの火力職のはず、という巷で言われている説について考えてみている。そして結論として海賊はマスタークラスのようにエンド向けという要件で生み出された職では無い。なのでマスタークラスではなく通常職として実装された。

攻撃版の天地がゲームに必要な理由


海賊は何のための職なのか。それについて耳に入ってくる意見は、『海賊は攻撃版の天地』というものだ。私もそう思う。運営がパニガルムでの海賊に意図したであろう動きが極めてシンプルな事など、客観的な情報を整理して考えてもそうだろう。

しかしさらに深く考えていくと、海賊はコンセプトと実態が矛盾して、とんでもない破綻を起こしていると感じ始めている。

事の発端は、天地雷鳴士が初心者救済用の職として運営目線で一定の成功を収めたことにあると思う。

天地雷鳴士と言えば、幻魔を召喚したら仕事のほぼ9割が終わることで有名な職だ。極端な話、召喚したら本体は立ってるだけでいい。無敵の幻魔が勝手にプレイヤーを蘇生しまくってくれるおかげで、防御面の性能は全職で1位かもしれない。その圧倒的な簡単さと異常な防御性能ゆえに、初心者にオススメの職としていろいろなサイトで紹介されている気がするし、オトマで遭遇する天地も初心者っぽい人が多い。主にエンドコンテンツ以外のいろんなところで活用されている。その人気からか、人口はVer2以降の追加職としては魔剣士の次に多い。

そんな天地さんの唯一の欠点が『火力は全然ない』ことだろう。そりゃ放置するだけで火力まで出せたらやばすぎるので、長所に見合った短所だと思う。しかしVer6の終わりごろになると、天地がオトマに毎回2~3人参加するせいで討伐が露骨に遅くなると、プレイヤー間で問題視され始めた。運営はその意見を受け止めたのか元から予定していたのか、アプデで幻魔が大幅強化されその問題は一応の終息を見せた。私は天地が強化されたことよりも、天地をしていた初心者が引退したからオトマの天地も減って問題視されなくなっただけなのではと少し思っている。

とにかく、天地さんは一定の評価を得て人気職となった。プレイヤー目線だと感じにくいが、サービス開始から時間が経つほど複雑化していくネトゲにおいて、天地の『召喚するだけでOK』という初心者救済性能によって、実際に初心者がオトマを始めとした環境についていくことが出来たと、運営から見て評価が非常に高かったのではないだろうか?

ここからは、私の海賊に関する妄想へと話が展開してしまう。天地に味を占めた運営は、天地がカバーできない部分である火力を持つ天地的な職、つまり『攻撃版天地』の開発を思いついたのだろう。それが海賊というわけだ。

運営が海賊を企画していたのはVer5の中ごろだろう。その時点で大分先の話であるVer6やVer7の環境はある程度想定して開発されていたはずである。つまり、オートマッチングのコンテンツをもっと増やしていこうと構想されていたはずだ。そこで起こりうる問題をあれこれ考えていくと、ゲームについていけない初心者がオートマッチングに参加することを考えないといけなくなる。パニガルムや咎人のような強敵に対して、オートマッチングでPTの質を維持しないといけないのだ。

DQ10のオトマの敵が即死技だらけな理由


この『オートマッチングの環境がどんどん悪化していく』点は、FF14と違ってオートマッチングの事をふわっとしか考えずにリリースされたDQ10の欠陥がモロに爆発していると思う。

14ちゃんはさっくり言うと世界一位のMMOであるWoWを開発者がちゃんと勉強してパクったおかげで、オトマが根本的に崩壊してるということはないはず。普通にプレイしていても、まともな装備で誰でもクリアできる難易度のコンテンツにマッチング事故無しに突入する仕組みがシステム側で整えられている。それでもゲームが初期のころのダンジョンには結構アレなやつもあるが、時を隔てるごとに見知らぬ人同士が即興で遊ぶのに向いていないギミックはなるべく登場させないようにしよう、と開発側が変わっていった。

でもDQ10はオートマッチングに関するルール整備をサービス開始当初にしなかった。多分、開発者が参考にしたネトゲがFF11で、11にはオートマッチングで遊ぶようなコンテンツが無いから、事情を深く理解していなかったんだと思う。DQ10のオトマの何が問題かと言えば、何かの攻撃に当たったら即死するボスに初心者から上級者までアクセスできてしまう事だろう。なぜこんなことがまかり通るのかと言えば、端的に言えばタンクロールが居ないせいだと思う。

WoW型のネトゲは職業の役割をロールという概念で厳密に管理し、タンク・ヒーラー・DPSの3役が己の役割を全うすることでゲームが進行するように定められている。オトマレベルの戦闘では、タンクが敵を集めて攻撃を一身に受け、ヒーラーがそれを回復し、DPSは敵をせん滅する。そしてそれらは役割を遵守するごっこ遊びのような難易度で済んでいる。

ところがDQ10はタンクが敵の攻撃を受けるのに必要なヘイトの概念を変更したから、タンクに攻撃を集中させることが出来ない。その結果プレイヤーが各自に攻撃を処理する必要性が出てきて、つまりPT全員が実質的にタンクになってしまった。そして本来タンクを殺すための凶悪な攻撃が、実質タンクであるプレイヤー全員に向けて放たれるようになった。

もっと細かく言うと回復呪文が強すぎて敵側がプレイヤーのHPをちょっとずつ削るムーブが出来ないとかいろいろあるけど、話が長くなりすぎるのでこの辺にしておく。まあ最近のゲームはタンクとアタッカーが兼任なことも多いので、必ずしも悪いというわけではない。

ついでにいうと、そもそもロールの概念がないからタンク専任者もいない。ロールもへったくれもないので、オトマウィリーデにパラディンが4人来る。オトマ関連でこれが一番酷い気もする。

オトマコンテンツを作る時に今のシステムだと不味いと思ったとしても、こういったシステムを後から作り直すことは不可能である。やりたきゃFF14をした方がいいという話にもなる。まともな、というよりWoWやFF14のような整ったオトマ環境の構築はあきらめるしかないだろう。

今でもパニガルムで何かある度に即死してる人をよく見るが、あれは本来ゲームとして異常な事だと思う。でもどうしようもない。

だから天地雷鳴士とかいうとんでもないチート職業で、ボスがどうしようもなくても初心者が遊べるように無理やり調整している訳だ。涙ぐましい。

攻撃版の天地に求められる性能


話を海賊に戻そう。天地がウケたから海賊もいれて、二つの職でオトマの難易度上昇に初心者が付いて行けるようにしたいわけだ。海賊をどういう職にしたら攻撃版天地になれるか考えていこう。

最初に、わざわざ新しく職を作らなくても、天地を攻撃版天地にすればよくない?という疑問に答えておこう。

例えばバルバルーやドメディを出すだけで頑張っているアタッカーに匹敵する火力が出るとゲーム的にマズイのが一つ。それが通ると、例えばデルメゼならまもまも天地(バルバルー)僧侶、ウィリーデならパラ魔天地(ドメディ)賢者みたいな構成がベストという環境になってしまい、エンドコンテンツがすごく簡単になってしまうし、毎回天地の席が出来て他職の出番が少なくなる。もしこういう環境になった場合、速やかにアタッカー側の火力を上げる等で対策するだろうし、実際海賊に対してはそういう対応がされているような気がする。

もう一つは役割遵守の問題だ。天地は防御性能が評価されている職のため、PTとしてはカカロンやクシャラミを期待している状況でバルバルーを出されると困ってしまう。これら二つの理由から、火力用の幻魔はあくまでオトマで天地が被ってしまった場合に片方を火力系にする運用の為にあるのだろう。言い換えれば、火力を出したいならまずガワから火力用の職業にしよう、という事情で攻撃版天地を別に作り直す必要があったわけだ。

さて、海賊を攻撃版天地にするために一番欲しい性能を言っておこう。スペックだ。バカみたいに高い職スペックが初心者用の職業には一番必要なのだ。

初心者用の職というのは、初心者が何も考えずに使っても強い職。それを実現するためには、それはもうアホみたいな性能とか、信じられない特別ルールとかが必要なのだ。天地さんは幻魔とか言う特別ルールを持っている。本体も何気に便利で、各種バフとハイスペックな蘇生であるザオリク、そこそこの範囲火力とシンプルに高火力な新必殺持ちである。

じゃあ海賊にはどんなスペックを与えたら、攻撃版天地として成立するだろうか。天地のウケた要素を踏襲すると、まず自動攻撃が必要だろう。大砲を置いたらあとは本体が寝てても攻撃してくれる。天地みたい。初心者救済用という性質上、PSがモロに反映される本体は頑張ってもあまり性能差が出ないようにしないといけないので、本体の火力は控えめにする。天地みたい。

初心者向けの次の要素として、遠隔攻撃も搭載しよう。射程というものは長いほど強い。このゲームは敵や味方に近寄ると死ぬようにできているし、初心者は移動もままならない人が多い。遠くから攻撃できる特権が初心者向けに必要だろう。

大砲の火力はどのくらいなら丁度いいのか、というバランス面をただのプレイヤー視点から想像するのは難しい。運営が実際に基準にしたと思われる数値から推し量ってみよう。

Ver6初頭のアタッカーのDPSは、エンドコンテンツの調整を見るにDPS300~400位でエンドボスが倒せる想定と思われる。そして実際に実装された海賊のDPSは、パニガルム基準で500~700位、エンドボスで実際に操作すると300弱といった所だろうか。おそらく、海賊はパニガルムでは明らかに強い数値だけど、エンドボスではギリギリ前衛より上にならない程度の調整を頑張ったのかもしれない。

次に求められるのは動きや操作の単純さだ。開発者の想定した海賊の動きは多分、『大砲を三台置いてその後散弾するだけ。CTはブーストとレボルだけ。パニガルム以外では連続ロックオンで当てる。』だと思われる。すごく簡単だ。でも大砲は直線上の敵にしか当たらないから、これだと実質的にパニガルムでしか使えない。何で大砲がこんな仕様なのかは後で述べる。パニガルムが海賊用に設計されているとVer6の頃は思っていたけど、実際は逆なのかもしれない。このゲームのモロモロの事情を詰め込んだのがパニガルムで、それに初心者が対応できるように作ったのが海賊だ。海賊を咎人や他のバトルコンテンツで活用する事はこの時点ではあまり考えていなかったのでは。

最後に初心者用調整として海賊の単純なスペックを底上げする。他の職には意図的につけられているような弱い要素や古い挙動を排除する、と言い換えてもいい。

例えば、海賊の技は単純な攻撃技以外妙に高スペックというか、ほとんどの技のモーションがあり得ない位早いもちろんこのゲームではモーションが早いと大体強い。大砲関連の通常技は約2秒~2.6秒。占い師さんが魔王のいざないをしてる間に、海賊は砲撃ブーストと連続ロックオンができる。しょうもないバフを4秒以上もかけて何個も積んでいたら職業が詰んだ占い師さんと違って、海賊は設計が新しいからバフも攻撃もサクサク出来るわけだ。

散弾ショットなどの攻撃技も別に弱いわけではない。倍率以外の部分は非常に高性能に出来ている。散弾ショットはさみだれうちより若干上の性能だし、錨ぶんまわしなんてオノむそうよりもすべての部分で性能がいい。弓もオノも使えるのに職業スキルにその上位技がある理由はちょっとよくわからないが、ブーメランを握っていても何か出来るようにとの配慮だろう。

他に注目すべき点として、海賊はなぜかピオリムが使える。盗賊と同じような賊要素のフレーバーとして運営が何となく入れた以上の意味は無い気がするし、正直ピオリムはありがたがるような呪文ではないと思う。魔犬などの装備で勝手にピオ2のかかる昨今の環境では、ピオリムだけを理由にして海賊を採用しようとはならない。だがひとたび海賊をPTに入れたなら、単純に火力がぶっ壊れている後衛職な上になぜかピオリムまで使えるという、付加価値に変貌してしまうのだ。微妙なバフはいっぱい使えるのにピオリムだけ使えない占い師さんから刺されてしまう。

基本的に職スペックが高いと言ったが、海賊本体の攻撃性能は微妙だ。手下を使って戦ういわゆるペットジョブという職種は、本体の強さを基準にするとバランス調整がすごくめんどくさいらしい。海賊の場合は大砲1台の強さを1としたら、海賊本体も1とレボを足した程度の強さしかない。運営が海賊を調整するときは、強さがやたらと変動しない大砲の方を強化して帳尻を合わせようとするだろう。天地もそういう調整だし。

本体は微妙だけどペットは強い方向性ということは、ペットである大砲の面倒さえ見られるなら誰が使っても同じような性能になるわけで、初心者でも火力を出しやすい職ということになる。

ちなみに、古い設計を排除するという観点では海賊よりも魔剣士の方がヤバイ。海賊は職スキルラインにタル投げや火炎弾ショットのような何のために存在しているのか不明なゴミが混ざっているが、魔剣士は職スキルのすべてに実用性がある。その職の動きに合わせた役割を持てる技しかない。ついでに言うと鎌スキルもそう。昔の職や武器は変な設計だらけでどうしようもない部分が多いが、魔剣はそういう部分を意図的に排除して設計したように感じる。

新しく職業を設計したら自然と変な仕様は無くなるんじゃないの?という疑問については、前門の海賊、後門の竜術師というフォーメーションで後々お答えしよう。

海賊誕生秘話 ~不人気のスパイス編~


こうして、『ハイスペック』『高火力』『遠隔』『自動攻撃』という、初心者がゲームについていくための性能をてんこ盛りにした救済職が出来上がった。これをそのまま実装したらどうなるのか考えてみよう。

強すぎてゲームが壊れちゃう。

こんな話を聞いたことがある。格闘ゲームで初心者向けとして扱いやすくて強いキャラを作ったら、普通に強くて上級者が使ったら手がつけられなくなった。

開発途中の海賊の性能を想像すると、初期案からものすごく変えたんだろうなと思える点が多い。多分だけど、開発段階では大砲が無敵で常時連続ロックオン状態みたいな性能でテストされたと予想する。そんな状態で実装されたらどうなるだろう。

まず問題なのはオートマティックな火力が高すぎることだろう。この性能だとDPS600位がどのボスに対しても発揮されるため、大体のエンドボスが海賊が大砲置いて立ってるだけで簡単に倒せることになってしまう。設計的にパニガルムで高火力なのはいいけど、エンドボスが簡単に倒せるのは不味い。これを防ぐために、大砲が自動で当たらないような調整をして、動く敵に当てたい時は飼い主がスキルを使うようにしたと思われる。

その際に、大砲を手動で当てようとすると一般的な遠隔の射程に設定されている15mだと全然当たらない的な問題が発生したと予想する。例えばパニガルムで完全に後ろに壁に張り付いて大砲を置いた場合、15m以上離れているので砲撃が当たらない。そこまで丁寧に後ろに下がるプレイヤーは少ないと思うが、初期の海賊は砲撃のダメージが強調表示されなかったので、もし大砲の射程が15mで実装されていたら、砲撃が敵に当たってないことに気づかないプレイヤーが続出しただろう。

また、大砲が射程外になった時の挙動がプログラム的に変なことと、射程が短い大砲を追いかけて初心者が敵に近づくのを避けたい事情を考えると、そもそも大砲の射程をフィールドのどこにいても大体当たるくらい長くしてしまった方がいいかもしれない。そういう理由で大砲の射程が30mになっちゃったと私は想像している。

一つ疑問が浮かんできた。海賊を火力が高い変わりに扱いにくく調整するくらいなら、火力は低い変わりに確実にDPS300位は出る、みたいな方向性にしたらどうだろう。海賊があまりの使いづらさ故に不人気になったことを思えば、その方がマシな気がする。しかし実際にそれをやると弱いのだ。普通に操作ができる人なら魔剣とか普通のアタッカーをやればいいわけで、海賊を選ぶ理由が全くなくなる。それにそういう性能の職はゾンビバトとか天地とか短剣魔とかでもう存在しているので、やる意味がなかったと思われる。

次に問題なのが、ゾンビ性能が高すぎること。ゾンビ性能が高すぎる職がいると、常にエンドボスがゾンビで破壊される懸念がある。ゲームが壊れた先に何があるかは予測不能なわけで、運営的にはゲームバランスをコントロールできる状態でありたい。

海賊のゾンビ性能が高い理由は、本体が死んでも大砲は死なないこと、バフの影響が少ないこと、そして大砲を出すコストが激安なことが主な要因だろう。

これらの要素の弱体化のために、まず大砲にHPをつけた。それもプレイヤーよりもやや低い750。これだけHPが低いと何か当たったら大砲が壊れるので、海賊がすぐ死ぬような状況だと大砲もすぐ壊れてゾンビ火力が下がるはず。

バフの影響が少ないのは割とどうしようもない。これを崩すということは、たとえば攻撃力の影響を大きくするとか、常にパニガルムで3人マッチングして常時ブースト状態じゃないと強くない感じにするとか、そういう設計になる。攻撃力が大砲へ与える影響を大きくすると、初心者向けの要素として大砲の火力がステータスによって変動しにくいというものがあるため、コンセプトから外れてしまう。同盟でバフの連携をすること前提の強さにするのは無理がある。おそらくテスト段階で海賊が3人いてもバフの連携は取れない事は分かっていたはずなので、海賊同士の連携は度外視して火力を設計したと思われる。

ただ、火力へのバフの直接の影響は少なくても、大砲置きにCTをつけてしまえばゾンビに対するペナルティになると思ってしまったのかもしれない。一応書いておくが、初期の大砲置きはCT10秒だった。バトル班はCT短縮に意味を持たせようとするのが大変お好きなようで、効果1分のバフがCT70秒みたいな調整を良くする。大砲置きも普通は10秒ごとだけど、なんらかの方法でCT短縮をつけると0秒になるから嬉しいし、パニガルムのバフにCT-10があるから問題ないと思ったのかもしれない。

こうして、設計的に強すぎる海賊を弱体するために取ってつけられた三大クソ仕様『大砲が当たらない』『大砲がすぐ壊れる』『大砲を置くのに時間がかかる』これらの奇跡のマリアージュによって、海賊は空前の不人気を誇ることとなった。

ガルドドン4は海賊を接待したわけではなかった


Ver6と同時に実装された海賊は、後に実装され弱い弱いと不評なガデや竜術師など比較にならないほどの大不人気職だった。そのあまりにも簡悔極まる仕様により、最初にちょっと触ってこれはダメという風潮が根付いてしまう。Ver6.4のガルドドン実装時に海賊が暴れない為につけられた枷をほとんど撤回されるまで、ほぼ見かけなかっただけでなく、何故か弱いという誤解まで蔓延しまっていた。

こればかりはきちんと主張しておきたいが、海賊は実装時点のクソ仕様でもかなり壊れた火力の職だった。欠点が露見しにくいパニガルムでならなおさらだ。まあ、運営的にも海賊はパニガルム専用職として調整したはずなのに、そのパニガルムですらユーザーにはほとんど使われたなかったのが大問題なのだが。

パニガルム環境での海賊の問題をいくつか挙げると、当時は周回が盛んだったので魔戦との相性が微妙で尚且つ固定PT向きではない海賊が評価されるわけがなかった。固定PTが使わない以上、一般のプレイヤーにも強さが伝わりにくかったのかもしれない。

さらにじげんりゅうというボーナスドラゴンが余りにも弱すぎた。海賊はその性質上、敵が強い時に火力が相対的に高くなるが、邪神みたいに敵が雑魚すぎるとか、防衛軍やじげんりゅう並みにシナジー環境になってしまうとさすがに強くない。そういう敵に対しては、アストルティア最強職の魔剣士さんで行った方がいいに決まっている。

運営が後に『じげんりゅうを弱くしすぎた』的な発言をしたのは、創生珠を排出しすぎたという意図以外にも、海賊が低評価になった原因ととらえていたりするのかもしれない。いや海賊云々は私が考えすぎてるだけかも。

さて色々あったけど大砲置きのCT撤廃、大砲のHP上昇、集中砲撃の実装によって海賊は欠点が7割くらい解消され、ついでに強化と同時に実装されたガルドドン4によってそのぶっ壊れた性能が一応認知されることとなる。

最初に『海賊はエンドコンテンツ用に設計された職では無いから通常職』的なことを言ってたのに、ガルドドン4は海賊用だったじゃないか!と苦情が入る気がする。その答えは簡単、ガルドドン4は海賊用に設計されたわけではなく、ぶっ壊れスペックの海賊に勝手に引き殺されただけ。

この新説に思い立ったのは、ウィリーデが実装されたからだ。それまでは私も普通にガルドドン4は海賊接待用ボスだと思っていた。

考えてみても欲しいのだが、ガルドドン4の3との違いは、HPが上がって行動パターンがゾンビ推奨仕様から真面目に対応してもいいかな程度に軟化し、円殺陣が追加された事だ。そう、ぶっちゃけ3と4であまり違いが無いのだ。パラ用ボスなのに魔法さんの席が無いのは炎耐性0.65倍のせいだが、それは元からそうなのであって、海賊を忖度するために新しくつけられた設定ではない。もちろん魔法を優遇しなかったという意味では海賊忖度だが、運営はレギロ4で既存ボスの設定を大幅変更することに懲りたらしく、その後の守護者4は純粋にパワーアップする程度にとどまっている。だから魔法やパラ構成を意図的に優遇することも、ゾンビ構成を不可能にすることもせず、現状維持程度の調整のみでリリースした。誰にも忖度しなかった結果、一番スペックが高い海賊が使われるようになったというわけだ。

海賊と魔法のパワーバランスは、『素のスペックは海賊の方がやや上だけど、シナジーを考慮すると魔法の方が多分上になる』バランスになっている。海賊が素で魔法より弱かったら使われるわけがないから、海賊の方が基本的に強いのは妥当だろう。そして海賊の高スペックが許されているのはシナジー適性が低いからなので、魔法職2~3人なら多分魔法使いの方が強くなる設定でないと、今度は逆に魔法が使われなくなってしまう。ついでに言うと、同じPTに海賊を複数人採用できるとそのバランスを成立させるのは不可能なので、同PT内に通常大砲は3台までの制限が掛けられたと思われる。まあバフ共有だけでもDPSが300位出てしまうっぽいせいで、パラ構成ガルドドンは海賊複数人のPTになってしまったのだが。

要するに、運営はガルドドン4をあまりにも不人気すぎた海賊の汚名返上の為に利用したのは事実だと思われるが、ガルドドン側を特に調整しなくても海賊の欠点だけ解消すれば、スペック勝負で海賊に席ができるという認識で調整したと思われる。

未だに残る海賊最大の問題点


話がいつもそれているが、ガルドドンアプデを機に海賊はまともな職になり、オトマでもまあまあ見かけるようになった。

しかし海賊はオトマではぶっちゃけ最強のスペックを持っていると個人的に思う割には、毎回海賊2になったりしない。明らかに海賊が本来入るべきスペースに魔法がいっぱい入ってくる。魔法が増えたこと自体は、パニガルムのボスやウィリーデの接近ヘイト仕様が極まりすぎているせいだが、それなら遠隔単体最強の海賊も増えていないとおかしいのである。

その理由はなぜか、分かり切っている。

海賊は初心者にとって分かりにく過ぎるのだ。もちろん、上級者にとっても分かりにくい。

何処が分かりにくいのか理由はいっぱいあるけど、一番は決まっている。海賊本人がどのくらいダメージを与えているのかが分かりにくい。これは単純に合計ダメージが分かりにくいという意味でもあるし、操作している人がダメージを与えた感覚になりにくいという意味でもある。

それは運営も懸念しているようで、最初期に大砲のダメージが強調表示されていなかったのがアプデで改善されている。私も海賊のダメージが分かりにくいせいで強いのに誰も使わない、と思っていたので、海賊の動画を作るときはダメージを手動で集計して明らかに平均より強いことを確認している。

ちなみにアウルモッドの時に占い師の動画を作ろうと思って撮影までしたけど、火力を測定したら海賊と比較して笑えないレベルで弱かったので絶望してお蔵入りになった。それ以降占い師の動画を取るのは辞めた。

単純なダメージが分かりにくい事よりも、ダメージを与えた感覚が分かりにくい、というのが初心者向けの職としてはかなり悪影響が大きいように思える。オトマで間違えて魔法をやるとメラゾーマの度に6000ダメージとか出て強く感じる。実際は海賊の方がウィリーデ以外では魔法よりかなり強いはずなのだが。

次に問題なのは海賊は何をやっているかよくわからない事だろう。それがどういう感覚なのか言葉で言い表すのは難しいが、慣れていない人にとってはどの行動が最適解なのかわからず、常にフワフワとした操作感になってしまう。私も海賊を暫く操作していないとそういう感覚になる。

これもかなり深刻な問題で、初心者にとっては単純によくわからないのに、動きの回答が分かる上級者にとっては非常に単純すぎて敬遠されているように思う。そして厳密にプレイしようとすると上級者にとっても訳が分からなくなる。それぞれの問題の原因は別々にあると思うので、順番に考えてみよう

まず初心者にとって訳が分からない理由。これは私が初心者ではないのでもはやその気持ちが理解できないのだが、頑張って考えてみる。

海賊というのは大砲を使って戦う職だ。大砲は一定時間ごとにダメージを与えるペットだ。この性質をゲーム的に分類するとDOT(一定時間ダメージを与え続ける効果、いわゆる毒)に近いように思う。つまるところ、海賊というのは大砲という特殊な毒を効果的に配置する職なのだ。海賊を扱うということは、毒のダメージを計算するということに近い。

ところ話をズラすが、DOT職とかネトゲで使うような人はどう考えてもちょっと特殊な趣味の人だろう。なんでこんな性質の職が初心者向けみたいな設計で出てきたのかよくわからない。なお最初はそのつもりだったのに、作っているうちに初心者向けじゃなくなった説がこの怪文書の主張だ。実際Ver6.4アプデのDQXTVで『海賊は難しくなりすぎてしまった』みたいなことを運営が言っていたので、本当に初心者向けではない可能性もあるのだが……。でも隠密とか言う装備が実装された理由を考えると、運営も初心者向けを意図して実装しているはず。

大砲を使って効率的にダメージを与えようとしたなら、『大砲を先に置いた方が強い』とか、『大砲を確実に当てたほうが強い』とか、そういう間接的なダメージ効率の認識が必要になる。そしてそれは、他の職のような1コマンド=1行動=ダメージ報酬という直接的な関係とかけ離れていて、常に間接的な計算に基づいた行為になる。

いきなり話が初心者から別の所に行ったように見えるが、初心者が海賊を好かないように見えるのは、大砲を配置したり敵に当てたりという行為の評価に必要な認知が、普通の職での認知と違っていることにあると思われる。そしてそれは単純に大砲を使って攻撃する未来の予測をする認知が存在しないから面白さが分からない、ということかもしれないと言いたい。よくわからないからつまらないといいたいわけだ。

初心者が海賊の事をどう思っているか、ぶっちゃけ私にはわからない。しかし攻略系のサイトではオトマでの海賊の評価がなぜか低いことがよくある。攻略サイトは大体初心者向けに記事を書いているはずなので、実際に初心者にはお勧めできない職、という風潮が存在する証拠だと思う。これは海賊が実際にどのくらいのダメージを与えて戦闘に貢献しているのか分かりにくいことが評価の低下を招いてしまっているのだと思う。もしもFF14のLogsとやらのようにダメージを集計・可視化する文化がDQ10にあったら、と少しだけ考えてしまう。

ダメージ以外にも初心者向けではない要素がある。大砲は置いただけではだめで、敵に砲撃が当たるように管理する必要がある。味方の状況を見られない初心者が、大砲が敵に当たっているかも見られるはずがない。現実問題、現在では集中砲撃という超ぶっ壊れ技が実装されたにもかかわらず、オトマで大砲が当たっていないのに別の事をして火力をロスする海賊を結構見かける。

そして大砲は壊れる。海賊に慣れていれば、ダメージ的にちょっと損したな置きなおそう、で済む問題だろう。しかし大砲のダメージ予測が困難な初心者にとっては、大砲が壊れることはたまらなく損をしているように感じて苦痛なのだろう。

運営は大砲を壊れる事を加味しても強い設定で海賊をリリースしたと思われるし、実際に強かった。しかしプレイヤーはそうは感じなかった結果が『大砲が壊れる』という苦情なので、運営は己のエアプを恥じて大砲のHPを上げたわけだ。しかしこの調整で大砲が壊れなくなったかというとそれは違っていて、ボスの攻撃が大砲のHPである2000より若干上みたいな調整が露骨にされており普通に壊される。運営は何時でも大砲を壊す気満々であり、それは海賊の計算上の壊れ火力を現実で発揮しないことに常に苦心しているからだろう。

海賊が初心者向けでない理由は、単純な職性能以外にもある。そもそも初心者はオトマ専用のよくわからない職を労力を掛けて仕上げないのである。初心者用として普及させたいなら、天地ばりに便利だとか、既に持っている装備を使いまわせるとか、コンテンツ(万魔用のデスとか)をやるのに便利だとか、魔剣並みに超ぶっこわれているとか、そういった起爆剤が必要なのだ。

しかし現状海賊の普及に貢献したのはガルドドンだけで、ガルドドンのようなエンドコンテンツは上級者しかプレイしない。なので初心者が海賊を育成する機会が少なく、普及するには至らなかったという面もあると思う。海賊不人気時代になぜ海賊をやらないのかと質問して、一番多かった返答は『装備がない』だった。これは地味に根本的な解決策に繋がることなのかも知れない。実際今海賊をオトマ用として活用している層はガルドドンで海賊用に装備を買ったからついでに出しているだけな気がする。

初心者にとってはいまだに海賊は難しい職だと思われている、と頑張って書いてきた。しかしダメージの予測が出来て大砲をきちんと扱える上級者にとって、海賊は単純すぎてつまらないとすら認識されてしまっているように思える。

そりゃあ、運営的には大砲を3台置いたら集中砲撃か散弾ショットをするだけの設計なのだから、その単純極まる動きをスッと把握できる上級者であれば単純という感想に行きつくのは当然だろう。集中砲撃が強すぎて大砲の運用についてほとんど考えなくても成立するようになったし。

しかし海賊の仕様を把握している人なら、むしろ海賊は簡単ではなく訳が分からないという感想も同時に出てくるはずである。そう、集中砲撃周りの仕様を真面目に考えてダメージを出そうとすると、頭がおかしくなってしぬのだ。

集中砲撃周りの仕様を一応軽く説明しておくと、『集中砲撃後に砲撃ロックオンをすると、砲撃ロックオンの後本来なら約13秒後に通常の砲撃を行うはずが、それよりも短い間隔で通常の砲撃が行われる』ので、これを利用して『集中砲撃→砲撃ロックオン→砲撃ロックオン→集中砲撃……』みたいなことをすると普通に砲撃ロックオンをするよりDPSが上になるっぽい、というテクニックがあるのだ。どうしてこうなるのかは大砲のターンケージに関するとてもむずかしい仕様が関係しているので、これ以上説明できない。

この集中+ロックオンの挙動を真面目に運用しようとすると本当に訳が分からない上に、人知を超えたコマンド入力速度と精度が必要になってくる。そして上級者というのは、小難しい事が好きなはず。つまり、そんなすごい挙動が求められるなら海賊が単純という感想が持たれるのはおかしい、と言いたいわけだ。

もちろん、そうなっていない理由も分かり切っている。いくら難しくても、訳が分からない事をやるのは面白く無い。初心者に海賊が避けられる理由と、上級者が海賊が敬遠される理由が大体同じになってしまった。

例えば、この集中ロックオン周りの挙動による火力リターンや操作によるリアクションが明朗であれば、上級者にも人気があったと思う。運営が海賊の意味不明なギミックを分かりやすくしていないのは、単純な話この挙動が本来意図したものではないからだろう。

私がそう考える根拠はこうだ。現在、砲撃ロックオンを大砲に使用し続けた場合、二回目以降の砲撃には少しの待ち時間が発生する。なぜこうなっているか想像すると、この待ち時間が無いと、海賊がロックオンを入力するターン=大砲の砲撃間隔となり、つまりウルトラ大砲が4秒間隔くらいで砲撃し始めてDPSがエラいことになってしまう。ひたすらロックオンを隣の大砲に連打するのも操作的によろしくない。開発段階の運営は当然そのことに気づいたので、そうならないような仕様を導入し、散弾ショットを使うルートが正しくなるようにしようとしたはずだ。その仕様というのが大砲のターンケージであり、それによってなぜかよくわからないテクニックが可能になってしまった、と私は勝手に想像している。

ただ、完全に想定外の挙動なら運営は修正してきそうという疑問がある。それについては、修正すると海賊の弱体になってしまう事、そもそも大した火力上昇でもない事、修正しようとしても仕様がめんどくさくて直せない可能性がある、などが修正しない理由かもしれない。それに連続ロックオンの”連続”がこの挙動を利用して砲撃を増やせることを指している可能性もなくはない。まあそういう運用法を想定して連続という名前にした場合、やる気があるならどこかで説明すると思うので、やっぱり意図はされてないと思っている。

海賊は結局初心者には不人気


海賊は初心者向けの設計を意図されている、と長々語ってきた。このあたりで現実を見てみよう。

ここにアストルティア国勢調査というデータがある。それによると、海賊は実装時から今まで約1.6%の職人口である。職順位は下から数えて、遊び人が最下位、占いが2位、3位が道具、その次が海賊とパラという順番だ。遊びはほとんどの場面で用途が無いので残当。占い師は過去に隆盛を極めた職だが、現在は弱すぎる上に面倒なせいか、昔占いをやっていたであろうバトル初心者層ですら弱さに気づいて転職したと思われる。道具はデルメゼ4で大人気なイメージだが、それらのバトル系プレイヤーは全体のごくごく一部という現実が反映されたのだろう。海賊の順位がこれらに次ぐワースト4というのは、つまりすごく不人気職だしどう見ても初心者は海賊をやっていない。

ちなみに、魔法使いは3.6%で海賊の2倍以上の人口がある。最近オトマに魔法使いがやたら増えてきたように感じていたが、データ通り海賊より2倍以上遭遇しやすいと言えるのかもしれない。初心者救済職として大人気と思われる天地は5.9%と、魔法よりもさらに人口が多い。ついでに言うと新職である竜術師は2.6%と、弱いのは使ったらすぐにわかるはずなのに(直球の罵倒)海賊よりもまあまあ人口が多い。ちなみにアストルティア最強職の魔剣士さんは実装時に14%の人口をたたき出している。なりふり構わず人気の職にしたいなら魔剣士さん並に強くすれば勝手に人気になる気もするが、現状の最強職と認識されているはずの武闘家の人口は3.8%で23職中8位と意外と少ない。ツメ武はシナジー適性がそこまで高くないし、サポ狩りで使うわけでもないし、近接職はオトマでしんでいる。強さの割にデルメゼ位でしか使われていないのかもしれない。だからこの性能で運営から許されているという話でもある。職人口は単純な強さではなく用途・汎用性が大きな影響を与えているという事だろう。

今後の海賊に必要な調整


長々と自説を語って満足したところで、何が言いたかったかまとめる。

海賊は仕組みが初心者にとっては分かりにくい。上級者にとっては仕様が単純すぎて余り喜ばれない。今後調整する気があるなら、とにかく分かりやすくするべきである。

思いっきり運営に対する文句を書きまくる事になるが、そのための怪文書なので好きに書いてみる。

たとえば、初心者っぽい海賊の動きを観察していると、そもそも大砲を出すのが億劫に見えるなのでその面倒を解消するために、大砲を3台まとめて出すような技を開幕CT無しで実装すべきだとおもう。初心者云々を抜きにしても私が海賊に一番欲しい技であるという本音も隠さないでおく。

海賊を初心者向けにするのを諦め、武闘家のように上級者に使ってもらう感じにするなら、まずは隠密とか言うゴミ装備を出してレビュー0点を食らったり他職と装備で差がついていく現状を改めるべき。隠密は上級者から総ゴミ認定されているせいで初心者向けの装備として勧めにくくなっている。着てたら地雷扱いされる装備をどうして他人に勧められるというのか。

そして海賊をエンドボスで使うような設計に改造して、海賊をエンドボスで使うために育てる・練習する風潮を作るべきである。上級者が適切な使い方と最適な装備を流布することで、初心者を牽引する効果も望めるはずだ。

エンドボスで海賊を活用することを考えた場合、海賊は上級者にとっては単調等の不人気ポイントが問題となる。海賊が自然に入るエンドボスはパラ構成だと思われるが、魔法と混ぜるとシナジーのかけらもない動きになって魔法側から苦情が来るし、ぶっちゃけ動かないボスを大砲で撃ってても面白く無いのである。運営は魔法利権にうるさいということもあるし、パラ構成に海賊を混ぜようとするのはあきらめて、物理ボスに混ぜてほしい。個人的に海賊で戦っていて一番面白いボスはデルメゼだ。無論、壁まもなどというもはや存在しない職業を要求するまもまも海僧ではなく、後衛リンク無しの武まも海僧のほうだ。

それはおいといて、物理ボスで海賊が真面目に火力を出そうとすると、普通の構成のセオリーを無視してその場から動かないエゴイズム溢れる動きになってしまうのも、敬遠される理由と言わざるを得ない。そうならない為には、後衛がタゲを引くことで戦線を維持する古典的なタゲ下がり戦闘の要素と、海賊がタゲ下がりに追従できるような職業スキルが必要になってくる。

まあ、海賊がタゲ下がりしていても火力が下がらなくなると、つまりどこでも本来の火力を発揮することになる。運営は海賊が本来の火力を維持して物理職を上回らないようにあえて大砲を使いにくくしているはずなので、そういうスキルが追加される望みは薄い。そうしないとあまりの性能の高さに全部のボスに海賊が入ってしまったり、海賊の火力を基準にした調整をしないといけなくなる。

もう一つ問題なのは、海賊が後衛として強すぎると、他の後衛職(自分で火力を出すタイプではなく、補助やシナジーで貢献するタイプ)がどうしようもなくなってしまう。占いで補助をあれこれしてDPSが200位よりも、海賊で直接ぶんなぐってDPSが400位の方が強いという意味だ。占いはもうだめとしても、物理PTに魔戦やレンを入れるよりバトか踊りを増やしてアタッカー3人で殴った方がいい、みたいな状況は海賊云々とは関係なく今後増えていくと思う。運営がこの問題にどう対処するのかが、私の今後のバトルへの関心事だ。

占いさんの事をちくちく罵倒しているので最後に本音を打ち明けておきたい。私の理想の海賊というのは、『物理ボスに対してスキル回しがちょっと複雑だけど後衛の位置を取りながら遠隔でダメージを与える職』なのだが、そのギミックを既に持っている職がある。占い師だ。まともな性能になった占い師こそが理想の海賊と言わざるを得ない。でも占い師はもうどうしようもない職だから、期待するだけ無駄だ。占い師は火力以外に持っている能力が多すぎる、特に回復能力がギルティな為、ゲームバランス的に一生許されない。だが占い師本人はもうダメでも、占い師のマスタークラス・タロットを使う第二の職として作り直せば可能性がギリギリ存在するかもしれない。その場合火力タロット以外はほぼ使用不可な職になるはずなので、それにあわせてタロットシステムを改修する必要が出てくる。システム改修にはとてもお金がかかるので、今の見るからにやばそうなスクエニとDQ10運営にそんな職業を作れるとは思えない。やっぱり駄目だ、さようなら占い師。

おまけ 隠密への罵倒


何かある度に隠密に対する罵倒を考えている気がするが、隠密は本当に酷い。海賊は装備の基本性能で火力が上がる職なので、装備を更新できないと他職に火力で置いて行かれるというのは、本当にやる気をそがれる。1回だけならまだしも乱破と続けて2回も装備がゴミなのは萎えすぎる。二度はもう過ぎてしまったので三度このような装備を実装するな。次から賊用防具は必殺なしがデフォですとか言われたらマジでブチギレる

運営がなぜこんなゴミ装備を実装したのかと言えば、海賊が初心者向けの職のつもりなので、初心者が大好きなイメージのあるロードリーローブを海賊にも出せば装備と職の両面で人気が出ると思ったからに他ならないと思っている。

ここから先の文章は基本的に海賊が装備した場合の事しか考慮していないことを最初に書いておく。ただ海賊以外の職にとっても隠密はゴミだと思う。

そもそも隠密がゴミ扱いされている理由は、必殺1%とトレードすることになるブレス10%の価値が釣り合わないためだ。海賊にとっての必殺1%の価値というのはとてつもなく重い。少なくとも自分で海賊を操作して10分程度の戦闘を行うなら、隠密を着るのは絶対に嫌である。ウィリーデでセーラスダガーを握って3.5%から4.5%にした程度でも結構必殺を引きやすくなったと感じるほどなので、必殺率を2.5%に下げるなど10分以上の長時間の戦闘ならありえないと言い切ってしまえる。

ついでにしっこくと隠密では後者の方がきようさ21高いので火力に差が出るとかいう人も刺しておく。エンドボスでの砲撃回数は20分間の戦闘でガルドドンなら約250回(*きようさ21で5250ダメージ分)、デルメゼ4なら約170回(*3570ダメージ)程度となる。そしてレボを投げると大砲のダメージは簡単にカンストするため、シナジーとの相性もそこまでよくない。ハッキリ言って誤差だ。きようさ上げたほうが強いからしっこくより隠密の方が強いとか言っている人は海賊エアプなので全く信用してはいけない。本当はこの程度の数値でも装備を更新して強くなりたいという思いが根底にあるので、隠密がゴミなせいで装備更新できないことにこれほどキレている。

隠密は安くブレス100に出来るから強いと主張する人もいるが、人間が着る場合は金を出してブレス理論値を揃えれば隠密でなくともブレス100になるため、隠密を着る意味が計算上は無い。だからゴミ扱いしているのである。

もちろんどうでもいい賊職の為に1.2憶G以上の費用をかけるより隠密でいいやという人も多いだろう。だがその場合でも、ブレス100が欲しい環境が現状では期間限定イベントのりゅうおうしかないという問題に突き当たる。海賊はパラメータが火力に与える影響が少ないのでラスチョの価値が低く、それでいてHPは低いので基本的に竜のうろこをつけておいた方が耐久力の面で都合がよい。そしてりゅうおう以外はうろこ+ブレス98で概ねブレスを無効にでき、りゅうおうも99%+うろこで無効にできる。

さらなる不安要素として、ブレス100が標準装備になると『どう見てもブレスだけどブレスじゃないよ』という攻撃を敵がしてくるようになる、というメタゲーム的な事情もある。既にジェロドーラがそうだし、りゅうおうもブレス100だけでは暗黒のきりでブレス耐性が下がってしまい、以後のブレスを防げない調整になっている。今後実装されるボス次第でブレス耐性がそこまでありがたくない可能性が存在するわけだ。ついでに言うと、ブレスガーダーの上位品が出るなどで盾のブレス耐性の基本値が上がってしまうと、隠密以外でも気軽にブレス100に出来てしまうので、さらに隠密の意味が無くなる。

そんなん気にしないから隠密でいいというなら止めないが、自分が海賊になっていろいろ活動すればするほど必殺を引かない時間が耐えがたくなってくるから、最終的にしっこくが欲しくなって隠密はカス防具というにくしみを抱き始める危険性を警告しておく。

隠密をレビューして評価を広める立場の人はある程度ゲームに慣れている層だ。そういう層はゲームの事情を上級者目線で考慮して評価をつける。人気のエンドコンテンツで席がある道具と魔戦的での隠密はオブラートに包みようがなく地雷だ。海賊はブレス100を求められる環境で活動しないし、求められたらしっこくでブレス100にする。もっと言うと本当にブレス100海賊が必須になる環境が出た場合、他の職も盾持ちでブレス100、そしてレンジャーはいないという奇妙な状況なので、ゲーム的にそういうボスが出てくるかも怪しい。レビュワーの立場から見ると隠密はどう見てもゴミなのである。必殺1%さえついていれば便利だからオススメ!という評価で100点中75点位は貰えたかもしれないが、運営はどうして必殺1%の事が急に許せなくなったんだろうな。

そして先に述べたとおり、装備がゴミだと新装備強いから買え!みたいな事を初心者に言えない。それの何が困るかと言えば、隠密の具体的な用途の一つがオトマ、直近で言うとりゅうおうに隠密海賊を使え!という運営が想定してそうな運用をインフルエンサー層が全く広められない事だ。

もしりゅうおうで初心者が全員隠密海賊でオトマに来るようになれば、オトマが酷すぎる現在の環境が多少はマシになったと思われる。しかし実際はそんなふうになっていないし、なんなら隠密海賊になって欲しい層はみんな魔法をやっているように見える。

魔法がオトマに大発生するようになった理由はおそらく、パニガルムから続くオトマの遠隔優遇政策で、初心者が全員魔法でオトマに行くようになったんだと思う。

遠隔じゃないとオトマがめんどくさくなったのはそうだが、そこでなぜ初心者が海賊ではなく魔法を選ぶのかは永遠の謎だ。理由を色々考えた結果、初心者はそもそもオトマ専用の職をわざわざレベル上げしたりしないのではないか?という答えに行きついた。よくわからない職のレベルを上げるより、既にレベルが上がっている天地や魔法でいいやって初心者なら思うだろう。

それに海賊より魔法の方が初心者にとって分かりやすいと思われる。何でって言われても私にはもはやわからない。大砲を置くのが面倒とか、魔法の方がダメージが出てるように見えるとか、数字が大きいので海賊より魔法の方が楽しく感じるとか、そういう事情だろうか。

だけど魔法より海賊の方がオトマなら圧倒的に強い。魔法のDPSは正直よくわからないけど、ウィリーデのような魔法シナジーをまともに活用できる環境以外では多分DPS300~400位、一方で海賊はDPSがレボの効果込みで600以上あるはずなので、海賊2人だけでりゅうおう討伐ラインを超える。ブレス80くらいでも盾さえ持っていれば魔法より圧倒的に硬いので、全滅する危険性も低くなる。海賊が毎回2人入るような人気職なら、オトマよりサポと行った方が圧倒的にマシとか言われないはずである。

隠密の使い方はどうであれ、そもそも海賊自体が初心者に不人気で上級者にも特に人気ではない以上、隠密を実装したとして初心者は隠密ブレス100海賊なんてやらないしオトマの海賊上級者が増えたりもしないのである。オトマやりゅうおう用の海賊の為に隠密を実装するとか無駄な政策は辞めていただきたい。素直に強い装備を出してほしい。そもそも期間限定イベント用の装備という概念がふざけている。スライム探し用の乱破お前もだぞ。イベントが終わったらゴミ装備に戻るとか裸の王様ならぬ裸の海賊かな?

しかし酒場検索すると隠密ブレス100海賊がいっぱい出てくると言う、おぞましい現実は存在する。一応言っておくと、隠密を着てる人が悪いとか言いたいわけではない。彼らは最新の装備を揃えるというプレイヤーとして至極真っ当な研鑽をしているだけであり、問題なのは最新の装備にすると致命的に弱くなるとかいう信じられない設計を通している運営の方にある。

まあ隠密の海賊を雇うのは宗教的に嫌だったので、自分でサポ海賊用にサブのプク君をしっこくブレス100海賊にした。そうしてみて分かった事だが、しっこくが高い。ブレス42が高いのは言うまでもないことだが、ブレス以外の部位も高い。乱破に隠密とかいうゴミ共のせいで、しっこくが最新装備ではなくなってしまったせいだ。海賊に目覚めた人が真の装備であるしっこくを着ようと思っても、運営が隠密を実装したせいで装備を揃えづらくなってしまっている。隠密はもはやゴミを通り越して汚染物質だと言わざるを得ない。法律で規制すべき。聖域とかも新装備が実装される度に高くなると反論が聞こえてきそう。次の布系防具も隠密と同じ性能にしてほしいってことカナ!?両手武器持ちが多いから隠密よりまだ使えそうである。

隠密への罵倒がヒートアップしてきたところで、隠密が実装されたもう一つの理由について語ろう。Ver70の武器もそうだが、人間用ではなく仲間モンスター用なのでは?と思える装備が結構ある。隠密も環境の破壊者であるニードルマンが装備可能な為、それを意識して実装した可能性がある。

隠密は人間が着ると必殺1%とブレス10%のつり合いが取れないことが大問題だったわけだが、仲間モンスターがブレス100にしたい場合、バッジ1枠か隠密の選択となる。仲間モンスに必殺をそこまで求めないなら、価値がつり合う可能性がある。もちろんしっこくには必殺1%だけでなく行動短縮0.5秒もついているので、必殺が強いしバッジも行動短縮と引き換えられる物がないならしっこく着せようという話になる。運営は最近集金要素にご熱心なので、ニードルマンを優遇すると金になるから隠密を考えたのでは?と逆恨みしてしまう。しかし隠密以外の防具は過去作のほぼ使いまわしとはいえ比較的まともな性能であり、一角と陰陽博士にいたっては露骨に人間用として忖度されている。隠密だけがロードリーから使いまわされた上に仲間モンスター用というのはいささか不可解である。

結局、隠密がゴミな理由は運営に直接殴りこんで聞くしかないが、答えてくれる可能性などあるわけがない。次の防具が出たら何を考えているのかわかるかもしれないが、この調子だと次はもっとありえない性能の装備が実装されるのではと気が気ではない。

個人的には、空賊・しっこくと非常に高性能な装備が出た時期は海賊優遇期間だったので、露骨に強い装備を出したと推測している。乱破がでたフラウソンの頃にはこれ以上海賊を優遇できなかったと考えるのが自然だが、素で特技ダメージ20が強いと思っている説もある。海賊優遇期間に出ていたセーラスアックスとか言う超エアプアックスにも特技ダメージ+の要素があるので、散弾と特技ダメージは相性がいいから強い!と運営側の評価が高い可能性が否定できないからだ。運営は海賊の評価を机上計算できっちりとやっているから、実態が分からないユーザーと評価にものすごいズレが生じているのではないだろうか。ヴァリブーでは海賊は全員大砲が出せるから強いですよ!みたいな宣伝をしていたのも、スコアが出るコンテンツで海賊の強さが目に見えるようになれば評価が高まる、と思惑があったのかもしれない。

さて乱破まではVer6だから同じバージョンの新職である海賊を優遇する理由があるが、Ver7からは閉店である。というか、竜術師を優遇しようとすると海賊がものすごく邪魔なので、海賊を下げるために隠密を実装したとしか思えない。

前置きがハイパー長くなったが、ここらへんでそろそろ本題のはずの竜術師の話に入ろう。

第二部 竜術師はなぜこんな職になったのか


第二部では、マスタークラスとして実装された竜術師およびガーディアンは、どうしてそういう職設計になったのかについて自説を展開したいと思う。

マスタークラスなので一応ガーディアンもくくりに入れたが、ガデまでつつきまわすと紙面が無くなってしまうのと、ウィリーデが切っ掛けの説なので竜術師をメインに語る。

前項では海賊について延々と語ってしまったが、内容を要約すると『海賊は設計的にはオトマ初心者向けの職のはず。』というものだった。それは逆に言うと、『海賊は特別にエンドコンテンツ向けに設計された職では無いので、マスタークラスとしてではなく普通の職として実装された。』という説でもある。

竜術師がどうしてそうなったか説明するためにはまず、それまでのパラ構成ボスがどう攻略されどういう評判だったのかを分析する必要がある。

ウィリーデに至るまでのパラ構成の歴史


さる8月7日、深淵の咎人達第四弾となる悲愴のウィリーデが実装された。

プレイヤーからの前評判は、運営からの『魔法職を強化する』発言と竜術師というここで優遇しないと一生使われなさそうな職の存在により、いわゆるパラ構成のボスになるのでは?との予想が大半だった。

しかし聖守護者シリーズでは露骨すぎる手法で散々魔法職を優遇してきた運営が、咎人では人が変わったかのように物理ボスばかり出していたので、咎人のマイルドさでパラ構成ボスは出せないのでは?出すにしても聖守護者でネタ切れしたのでは?という疑念があった。また咎人ボスはオートマッチングにも対応しているので、パラ構成にするとオトマがマズくね?という不安もあった。

いざ実装されたウィリーデは、それらプレイヤーの気掛かりを吹き飛ばすかのように、すがすがしいまでのパラ構成用ボスであった。

これからウィリーデの設計について解説していきたいが、そのためにはまずDQ10のバトルの歴史を知る必要がある。それについて詳しく書いて行ったら気が遠くなるほど長くなってしまったので、3章という形で分離させてもらった。

3章で分析したボスの歴史のうち、ウィリーデに繋がる内容をまとめてみる。

  • キャンセルショットの効果やランドインパクトのノックバックで攻撃をキャンセル出来ると強すぎるので、それらの要素を実質無効化。

  • エンドまでの時間を短くしてパラが簡単に相撲できないようにする。(アトラス強等)

  • 劣勢しかできないようにして二人で押すようにする。(ドラゴンガイア強)

  • ボス以外に雑魚敵を出してみる(オーレン強、グラコス等)

  • なぜかコインボス等でパラが押せない敵が増え、パラの席が無くなりだす。

  • ボスが後衛にも積極的に攻撃するようになる。(ウィングダイブ等)

  • 恐らく何となく呪文撃つだけでは勝てないようにするため、理解していない人を排除するための攻撃とローテーションを実装。(竜の咆哮)

  • たまに床を出したり瞬間移動したりして隊列を崩し、プレイヤー側のミスを誘発する。(紅蓮の炎等)

  • ボスを2匹にして、PT全員が常に2匹からの攻撃されるようにして難易度を上げる。(レギロ)

  • パラに対する要求が厳しすぎたり敵が基地外すぎたりすると、そもそもパラ構成が出来ない当然の事実が発覚する。(レギロ)

  • ついでに敵が二匹いると範囲攻撃のDPSが魔法のDPSに並ぶか追い越す(当時の基準)ことも発覚する。

  • 物理職と魔法職が同時に入れられるボスを作ると、必ず物理構成だけになる事が発覚する。

  • 物理職が絶対PTに入れない位に敵の守備力を上げる手法が発明される。

  • 前タゲ・後ろタゲの概念を導入して相撲をしていてもボスがパラと後衛にいっぱい攻撃できるようにする。(ガルドドン)

  • 耐えるための要求が厳しすぎる技を入れると、厳しすぎてまともに受けてもらえなくなる。(ガルドドンの分散)

  • パラ構成にパラをいれることを前提に設計すると、パラに火力が無いせいでゾンビ構成が可能な上にそっちの方が強いという重大な欠陥が発見される。

  • もしパラ構成ボスにものすごく厳しいザオトーンを入れるなどしてゾンビを絶対に不可能にすると、ゾンビは潰せるがパラ構成で普通に挑む人も激減というか皆無になる可能性が高い。

  • パラを入れるとパラ構成が出来ないので、パラを抜いたパラ構成が発明される。(バラシュナ)

  • 敵のHPが低すぎると物理TAムーブの方が運営が推奨したい魔法構成より早いことが証明される。

  • パラにヤリで火力を渡すことで、相撲パラの席が無くてもなんとかオートマッチングに参加できるようになる。(当時の私はこれを見てパラ構成ボスをもう作る気が無いのかと思った。)

パラ構成の歴史を総評すると、パラ構成のボスは、DQ10のゲームシステム上『パラが敵を壁に押し付けるとボスの動きを完封できる』というボトルネックにサービス開始早々から突き当たってしまい、『魔法が後ろで呪文を撃ってるだけになりがち』という問題も生まれ、それらを回避するために様々なロジックが生み出されてきた。

しかし最終的に『パラに火力が無いからゾンビした方がいいじゃん』という問題をいかんともしがたく、ついに運営はパラを排除して魔法だけを救う道を選んだ。

そして時は流れ……。

運営が考え出したパラ構成の新たなる答えがウィリーデだった。

ウィリーデ


ウィリーデはオトマと4人用でステータスが大きく異なる。まずは4人用について説明していく。オトマの奴の事はこのあと存分に話そうと思う。

ウィリーデの最大の特徴、それは『攻撃のほとんどが近タゲ』な事だろう。そしてそれは、パラ構成の欠陥を解消するための仕組みだ。ヘイトシステムそのものを変更して普通のMMOに近づけることでパラディンを救済したのだ。

前項でパラ構成の欠陥について色々述べた。なぜこれらの欠陥が生まれるのかと言えば、結論から言うとDQ10のヘイトシステムが移動干渉という仕組みを取っているせいである。

これはとてもおかしなことなのだが、移動干渉システムの為に設計されたはずのパラディンは移動干渉システムの戦闘に向いていない。理由を書くとまた長くなるので端折るが、壁役が相撲に専念すると火力を出せないのでパラディンを抜いて別の職を入れた方がよくなってしまうからだ。

DQ10は従来のMMOのような敵のヘイトによって敵のターゲットを決めるヘイトシステムを取り入れなかった。その代わり移動干渉というオリジナルのシステムと、ランダムターゲット性によって独自のヘイトシステムを作り上げた。

そして移動干渉の理想的な運用のイメージとして、パラディンという敵を押す事に特化した職業と、魔法使いというパラディンが押した敵を攻撃することに特化した職業を作った。そして最終的にバラシュナでパラディンという移動干渉を抜いたボスを作った。思えばバラシュナの時点で次の答えは出ていたのかもしれない。

運営の考えた答えはおそらくこうだ。ヘイトシステムを従来型のMMOと変えたせいでタンク専任職がいらなくなったのなら、従来型のMMOのヘイトシステムに戻せばパラディンを活用できる。

普通のMMOでは、タンクが敵のヘイトを取ることで攻撃を一身に受け、その隙に他の仲間が攻撃するような設計になっている。もしタンク以外がヘイトを取ってしまうと敵の攻撃に全く耐えることができず、瞬く間にPTが崩壊するようになっている。タンクを入れないとそもそも戦闘にならない仕組みを強固に作ることで、タンク専任職がいらない環境になることを避けているのだ。

DQ10の場合、パラや戦士に敵の攻撃を集める仕組みが無いので自然とタンクとそれ以外の耐久が同レベルになってしまい、パラ無しでも戦闘が成立するようにしていった結果パラがいらなくなってしまったと思われる。実はタンクそのものがいらなくなったわけではなく、武等の物理職も事実上のタンクという見方もできる。この話題を突き詰めていくと又長くなるので今度にしよう。

ウィリーデは近タゲによって、目の前にいる人物を猛烈に攻撃する習性がある。つよさ2での攻撃の火力は高く、パラディン以外の職が耐えきるのは非常に困難だ。さらにミサイル・レーザーユニットの呪文によるノーバフでは耐性を持てない波状攻撃によってゾンビをある程度対策している。

この性質を持つボスの前に立つとどうなるのか。呪文耐性が無いものは瞬く間に打ち倒され、それを蘇生しに近くに来たヒーラーに次の攻撃が襲い掛かり、すぐさまPTが崩壊する。

従来型のヘイトシステムに近いボスを作ることで、タンクがいないと成り立たない戦闘を作ることができたではないか。

もしウィリーデに近タゲが無かった場合のことも想像してみよう。シミュレーションするのが少し難しいが、例えばガルドドンのように魔戦魔竜デスみたいな構成で良くなってしまう可能性がある。竜の代わりにニードルマンやねこまどうを入れたほうがいい可能性が出てくるかもしれない。丁度そんな感じの構成でウィリーデを倒した動画が以前話題になった気がする。近タゲが無いということは壁の場持ちが非常に良くなるので、もっと簡単に火力壁で倒せてしまう可能性がある。パラの火力が無いという欠点を誤魔化すためには、パラ以外では壁になれないほど攻撃を激しくする必要性があったわけだ。

とはいえゾンビ気味の構成で討伐されているのも事実。火力的にはパラ構成の方が早くなるのでゾンビ構成がテンプレになるとは考えにくいが、ガルドドンでテンプレPTが二通りに分かれ、その後ボス自体が廃れていったことを考えると、竜術師とパラの席を何としても確保するという最大の目的を邪魔する可能性は絶対に排除したいという意思を感じる。

それ以外にも、パラが相撲してタゲ下がりが成立してしまうと死ぬほど簡単なので、近タゲを回してボスの行動回数を多くするという目的も当然あるだろう。

ウィリーデの近タゲの意図を慮るのはこの位にして、それ以外の内容にも触れていこう。

ウィリーデのテンプレPTはパラ魔竜賢。パラはタンク、賢者はヒーラー、他2人はアタッカーだ。高すぎる守備力に物理・ブレス常時25%カットと、呪文以外の攻撃を親の仇のように憎んでいるので、テンプレは運営の必死の調整通り魔法構成に決まった。もし物理を通す設定にしてしまった場合、武マセ道賢とかが4分くらいで倒すみたいなお馴染みのゲームが始まり、その代わりに魔法PTが終わる。

ちなみに、フラウソンと違って耐性低下系の技(ぶきみ等)は入らない。それが入ってしまうと、運営がさせたい魔法構成が成立しなくなってしまうからだろう。例えばぶきみを入れてFBとゾンビで削るみたいな攻略法をおっ始められる危険性がある。マッドブレスとかタウルスハンマーとかなんだったんだろう。

パラディンはついに移動干渉の呪縛から逃れ、普通のMMOのタンクみたいな役割を手に入れた。その内容は敵の前に立っての旗揚げゲームに近い。

グランドインパクト・アローレイン・ジャッジメントフレア・分散する災禍なら大ぼうぎょ、クライレーザーならやいばのぼうぎょ、大回転ミキサー・不協和音ならツッコミよけ、絶刀破断・ファイナルレイなら向き誘導および回避、ザオトーンボムならゴミ出し、その他サークルブラスト等なら竜さんにお水配り。それ以外にもたまに床の位置が悪いとハメを食らったり、モードチェンジ絡みの変な挙動でわからん死したりする。

おぼえる対応がもりだくさんながら、レギロのようなキチガイ行動やガルドドンのような反射神経ゲーは少ない為パラ素人でもちょっと頑張ればなんとかなる。

また移動干渉をほとんど廃止したことで、何かの拍子に敵が抜けることが起こりにくくなった。パラ構成は今まで移動干渉のピーキーな仕様とそれを回避するための”お作法”が多すぎて初心者は入門することすら困難だったが、それらを殆ど気にしなくてもよくなったのは、パラ用ボスとしてとてもよくできていると思う。今でも開幕押しながらパラガしたら普通に抜けそうになったからやっぱりお作法があるのはクソだよ。

めんどくさい要素が減ったら簡単すぎて面白くないんじゃ?という懸念もあるが、どうやらそれなりに奥深さはありそうだ。私のような素人パラはとりあえず壁の要件を満たす程度の動きしかできないが、慣れているパラだと全くダメージを受けないので賢者が攻撃に専念でき、タイムの大幅短縮につながる。ほぼ固定専用だと思うが、パラガ仁王を絡めた様々な火力アップ術もあるので、かなりパラディンらしい戦闘を楽しめるのではないだろうか。

パラはこの辺にして、後衛3人はどうだろう。こちらも様々なアプローチによって『魔法は後ろで呪文を撃ってるだけだから面白くないよ問題』に対策しようとしている。

ウィリーデから魔法3名への最初のアプローチはミサイル・レーザー・ザオトーンボムによる強制移動だろう。昔のパラ構成ボスはパラが抑えているせいで後ろにはほとんど攻撃が飛ばなかったが、それが面白くないので最近のボスは後ろの3人も動かそうと頑張るようになった。

ウィリーデのそれは中々に画期的だ。ミサイルとレーザーはランダム行動ではなく完全ローテーション行動で、一定周期で床を出してくる。この仕組みによって呪文を撃つ以外にミサイルのローテを見る意識が後衛に求められる。ザオトーンボムは確実にそれぞれの足元に沸いてくるため、蜘蛛の子を散らすような逃げ方ではなく、回りと歩調を合わせる動きが必要だ。

ミサイルくんとレーザーくんの工夫はこれだけではない。ローテの最後の呪文だけ遠タゲなので、それまでに呪文をうけても大丈夫な態勢を作る必要があるのだ。対応自体は仕組みを知っていれば簡単で、でも人間だからたまに忘れて死ぬ位のバトルになる。

ローテのミサイルもそうだが、これらの後衛向け攻撃の仕組みが優れているのは、陣の上から動きたくない魔法に対して突然岩や分散を投げつけて害するストレスフルな技ではなくなったことだろう。ローテを憶えてくださいね、次は〇〇なので準備してくださいね、という配慮があることで、魔法使いたちのプランを遂行する戦闘を極端に邪魔しない内容になったのだ。ボスが後衛を突然ぶんなぐる仕様だと難易度が上がるせいで、ゾンビ構成にしようという圧力が働くからやめたと、身もふたもない言い方もできる。

これらの技はまだ準備運動みたいなもので、本番は黄色からだ。パラ構成のボスは黄色くなるまで虚無いという問題もあったが、ウィリーデはHPが20分ボスの半分なので虚無の時間も半分である。

黄色からは今までにない長さのローテーションとリミットアポカリプスというDPSチェックが始まる。ローテーションが長すぎるので後半はほとんどローテに対処する戦闘になるが、そのローテが運動会みたいに結んで開いてを繰り返す内容なので、意外と面白い。どこぞの14ちゃんの縄跳びかマスゲームを参考にしてそう。

ローテーションのキモは破滅のテンペストの順番にある。この技はローテの所定のタイミングでのみ使われるので、ローテを憶えていないドわすれ魔法はメラゾーマで特殊を上げながらボールに戻ることになる。実に巧妙なことに黄色と赤でローテの内容が変わり、テンペストの順番がジャッジ後から予兆のファイナルレイの直後へとなる。これによって赤からはファイナルレイ=テンペストかもしれないので敵の行動を注視する緊張感のある戦闘になっている気がする。行動パターンの都合上、ローテ確定と言い切れないのはちゃんとモード表を憶えてきてねという示唆かもしれない。

そしてローテの最後にはリミットアポカリプスという玉入れで〆。これはいわゆるDPSチェックギミックだ。ジェルザーク以来かもしれない。DPSチェックが搭載されたボスはどちらも魔法構成向けのボスだが、これは魔法構成の性質上、瞬間的なDPSを調べるギミックの相性がいいからかもしれない。今からテストしますから超陣等のバフの準備をちゃんとして火力を出してくださいねという課題は、バーストの瞬間が短い物理PTには出題しにくいのだろう。

このDPSチェック、普段はなんてことない難易度だが、後衛のうち誰か一人でもしぬと途端に突破が難しくなる。不可能になるわけではないのがポイントだ。魔法職が2人真面目に攻撃できれば概ね飛ばせる数値になっているので、効率よくリカバリすればギリギリ挽回できる設定になっている。3人がフルに攻撃しないと無理な数字ではなく、ミスをカバーできる範囲の難易度設定にするのは遊ばせる気がある咎人らしいやさしさだ。まあ3人がフルで殴らないとクリアできない設定だと、アポの度にボスのHPが削れすぎてローテの回数でタイムが大幅にかわってしまい調整がめんどくさいとかの事情もあるのかもしれない。

このローテーションチェックと魔法職の火力の出し方の理解度を図る戦闘が、後衛三人から見たウィリーデだ。わかっていれば難しくないが、理解していないと絶対勝てない。よく計算して設計されたボスかも知れない。今までのパラ構成ボスがレギロ3・ガルドドン3と二連続で失敗したイメージが強かったので、久々の成功作な気がする。

私がウィリーデを遊んでみての感想は、最初は魔法構成かよどうせすぐ飽きるだろと思っていた。実際、初日は敵の行動がほぼローテーションなのを知らなかった為、なんかガチャガチャやってるのを雰囲気で避けてるだけで全然面白くなかった。

しかし2の日になると敵の攻撃がローテーションなことが知れ渡り、行動がいろいろ早くなったので真面目に対応しないとしぬ難易度になった。誰か一人でもミスをするとアポを飛ばせなくて詰むこと、呪文の対応策はまだ知らなかったこともあり、大縄跳びのような難しさがあった。一つ一つの行動を慎重に対処して攻略するのは、エンドボスらしい喜びがあったと思う。それでも初日で倒せる程度なので別に難しくはなかったが、デルメゼ4で疲れ切った心身に、程よい楽しい戦闘が癒しになった。

魔法は雑務を他2人に押し付けてひたすら納金。たまにマホカンタ。

賢者は遠タゲと回復を押し付けられながら火力も出せと言われる無茶振り枠。

そして竜術師は、竜術師は……

何この劣化魔法使い。


新職業 竜術師 その恐るべき欠陥


私と竜術師の出会いについて話しておこう。忌憚のない話になる。

竜術師はVer7と共に実装された。私はそのころデルメゼ4という監獄に収監されており、新職で遊ぶどころではなかった。ただ、風のうわさで『微妙』みたいな話だけ聞いていた。

ウィリーデが実装されると、運営の露骨すぎる忖度により竜術師の席が確保された。すぐ(実装5か月くらい)席を作ってもらえるなんて甘やかされすぎでは?私はウィリーデの初回討伐時は魔法使いだったので、竜術師の事はなんか横にいる魔法っぽい人くらいの認識しかなかった。ドラゴラムは使うなと言われているらしい。

その後はウィリーデが思いのほか遊べるので海賊で倒すなどして楽しんだ。何かのコンテンツが来るまでこの何とも言えないボスで遊ぶしかないし、他の職もできるようにしよう。手始めにレベル100位だった竜術師のレベルを上げ、ウィリーデで使えるようにした。

自分で竜術師をやってみて感じたことを率直に述べるなら『劣化魔法使い』としか言いようがない職だと思った。

竜術師は戦闘が始まるとまずやまびこの陣を敷く。このバフは竜術師で唯一強いと思う技だが、突出して強いとは言えないと思う。呪文が常に連撃になることで火力アップするだけでなく、魔法職への実質的なターン短縮の効果でもある。攻撃する分にはいいのだが、賢者が呪文で回復する時にも発動するのは明らかに邪魔だ。どうしてヒーラーだけ無駄にイライラさせられる仕様になってしまったのだろう。

次は戦闘開始40秒後くらいでエレメントブーストを使う。魔法使い目線でのエレメントブーストは、超魔力かくせいとかいうカスすぎるバフに意味を持たせるためにある。エレメントブーストが無いと超魔力かくせいでダメージ上限を上げる意味がないからだ。でもエレブがかかってないことが多くて、どういうタイミングで使ってるか謎。

竜術師をやるとその謎が解ける。エレブは効果が60秒でCTが70秒。10秒隙間が空くからその間に使うのをわすれてどっかにいってしまうのだ。なぜ運営がわざわざ10秒CTをズラしてくれているかというと、弓を使うとCTが10秒短くなるから活用してねというニクい心遣いだろう。

我々プレイヤーからすると、竜術師は劣化魔法ムーブをする職なわけで、役割的に見ても両手杖を握る以外考えられないのに、弓を使う理由付けをしてくるのは嫌がらせにしか見えない。持ち替えを強要するスキル構成にされて死んだ道具使いや戦士さんがこっちを見ている。

バフはまだ終わりではない。この後竜さんは竜の脈動という初回CTが妙に遅くてやりたいことと何一つ噛み合わない技を使うために神妙に待つ。竜の脈動自体は自分に覚醒・早読み・ダメージ上限アップが同時にかかる大してありがたくない技だ。ダメ上限効果は超魔力かくせいより20秒長い上に、呪文以外の効果も対応している。その代わり開幕CTが75秒後でCTが120秒だけどしょうがないよね。

一応竜の脈動が意味の分からない重さになってしまった理由はハッキリしている。最初はPTメンバー全員にバイキ&覚醒&ダメージ上限アップの効果だったものが、何らかの理由で今の効果に変更されたようだ。おそらく効果は変わったのにCTだけ変更前と同じだから、効果に見合わず噛み合わないCTになったのだろう。

効果が変わった理由は簡単に推測できる。ダメージ上限アップを実装するとゲームがどのくらい壊れるかわかんないからやめといたのだろう。多分そのまま実装されていたら、ダメージ上限が2000ほど増える効果だったと思われる。PTメンバー全員と書いてあるが、狭い範囲バフだと思われるので高速周回以外は本当に微妙だろう。PT同盟で猛威を振るいそうな効果だが、高速周回は大体1分か1分弱で終わる。念のためCTが1分以上に設定されている時点で使う前に戦闘が終わるし、使うために入れる職が微妙なわけで、ひゃくれつなめと同様の理由で使われることは無い気がする。強いから使えないようにしよう!というDQ10運営のいつもの悪い癖が出ている。

物理ダメージを上限突破するとゲームが壊れる恐れは確かにあるので、これを無くすのは仕方ないと思う。だが、呪文ダメージ上限突破に変えなかった理由や、範囲バフにしなかった理由は謎だ。竜術師のやっていることを見ると、FBを無くして魔法構成特化にした魔戦のようで、そういう意味では魔戦のマスタークラスっぽい所はある。なのに他人へのバフはやまびことエレブだけで、ウィリーデ戦に限定しても弱い。ウィリーデ外なら無意味すぎる。

恐らく、最初の頃はウィリーデ専用職になるのを避けるために物魔両方への新しいバフの形を模索していたのを諦めたのだろう。それで魔法専用の奉仕職へと切り替えたのはいいが、割り切り方が足りなさ過ぎて劣化魔法使いにしかならなかったと。

とりあえず竜の脈動をした後は、100秒経過でやまびこの陣が消える。超陣の65秒と絶妙にずれているので全然気持ちよくなれない。効果時間を短くしてほしいという意味じゃないです。やまびこ消えてから敷きなおせばいいんでしょ?とやると、エレメントブーストの更新と絶妙に被る。魔法の時にエレブが無いと感じる原因が、この辺のバフ時間のズレのせいだと思う。

ここまでの竜さんのムーブを見ると、『やまびこ→呪文→エレブ→(霊脈)呪文→呪文→脈動→呪文→やまびこ→エレブ→霊脈→呪文…』みたいな感じでズレ続けている。絶妙なのは敵側のダメージ調整だけにしてほしい。ウィリーデなので間にミサイル・ボム等が挟まることもあり、気が付くとバフしかしてない事もよくある。この微妙な噛み合いの悪さが楽しいとかならいいのだが、別に楽しくない。

さらに問題なのは、魔法使いとの違いがエレブとやまびこしかない割に、出来ない事は必殺×とマホカンタ×で、あの単調と言われる魔法使いより行動が更に単純になってしまっている。

個人的に、竜術師はマホカンタが無いのが大分ダメだと感じる。エレブとやまびこで魔法を介護する職と見せかけて、魔は別にそれらのバフが必要なわけでもなく、竜さんがマホカンタで魔法に介護されることの方が多い。賢者と魔法は自分で敵の呪文をケア出来るのに、竜術師はなすすべがない。魔法はマホカンタで適宜リカバリする動きが結構面白かったりするのだが、竜術師はライン工のように置くバフがあるだけで、イレギュラーに対応できるフレキシブルな能力は全くない。

さりげなく必殺が無いと書いたが、竜術師はドラゴラムというドラクエ伝統のすばらしい必殺を使える。これがまた素晴らしくダメな必殺技なのだ。狙って設計しているなら感動すら覚える。

この必殺を使うと、呪文ユーザーである竜術師が呪文を使わない竜に変わる。ゲームシステム的に変身前にやってたことをすべて切り離すことになるので、シンプルに最悪のコンセプトである。そういえば過去作のドラクエではドラゴラムは魔法使いの呪文だったから、それを踏襲したということで設定的にはおかしくない。じゃあブレスも火属性にしてもえさかる火炎を吐くドラゴンにしてほしかった。

ちなみにドラゴン変身しても技の射程はだいたい15mあるので、今まで離れた所から呪文を撃っていたのに今度は敵に近寄らないといけなくなるクソ仕様は搭載していない。かしこい。敵に近寄って死ぬドラゴンをオトマでよく見るのは何故だろう。

仕様上最低限のケアはできていたが、問題はそこではない。ドラゴンは専用の特技しか使えない為、魔法PTに入っているのに陣技の魔法系シナジーを全く受けられなくなる。もちろん陣技がいらない位つよいなら問題なかったが、そんな高性能ではないのである。

専用技の大岩ふらしや地竜爪はそこそこ高威力なのでまだマシ。そしてこの二発は物理を排除するためにつけられた物理カットの影響を受けてしまう。魔法職が物理ファイターに変身するとかいうイカれた設計のせいです。だから陣があるなら変身して攻撃するより、普通にドガンテル撃ってる方が強いので変身する必要が無いんですね。ちなみにこの二発以外はドラゴンっぽいだけの技で、範囲攻撃な事しかメリットがない。

厳密に言えばDPS的に必殺したほうが強いシーンもあるらしいのだが、自分でやってみると変身解除の操作にそこそこ手間取るので強いとは思えない。というか攻撃技だけ撃って解除する必殺なら、最初からメドローアみたいな手早く大ダメージ技を与える技の方がいい。なんで魔法くん家はああなのに竜くん家はだめなの!?

さらに変身中は攻撃しかできないということは、変身前にやまびこ・エレブ・霊脈などのバフを先に全部使っておかないと味方の火力が下がるわけで、スケジュールでガチガチになる魔法PTで使用タイミングがシビアというのはとても使い勝手が悪い。使い所を図っている間にミサイルが降ってきたり他のCTが回ってきたりで結局ドラゴラムが使えなくなってしまう。

魔法くん家の必殺はすごく使いやすいダメージ技のメドローアだけじゃなくミラクルゾーンもある。これ自体はモーションが長いただのバフというダメ要素を秘めた必殺だが、度重なる改修によって使用する手間に効果がちゃんと見合うようになったので強い。タイミングを選ぶ必要はあるものの、それが単調な魔法使いに考える要素を与えているので面白みがある。

竜さん家のドラゴラムはというと、こっちがメドローア枠のダメージ必殺だからもう一つの必殺がミラクルゾーンみたいに強いんでしょ!?と期待したい。ところが竜術師の必殺はドラゴラム一つだけだ。他の職は全部二つ必殺を持ってるのに。

じゃあドラゴラムにミラクルゾーンみたいなすごいバフあるんでしょ!?実はあるんです。それがついててこうなんです。

よくよく考えてみれば、ドラゴラムには属性ダメージ+20%の効果が付いている。ミラクルゾーンの呪文ダメージ+100%(事実上1.5倍)に比べると効果が……いや弱いわ。まあドラゴラムは専用技を使う仕様だから、呪文ダメージ以外も上げるために20%に抑えられたのだろう。さらにドラゴラム中専用技の大岩ふらしは一発4000ダメージ位の岩を三発出すので、実質メドローアみたいなものである。なお設置技なせいで3発当たるとは言ってない。パニガルムでは使用不可で問答無用のゴミ。だめじゃん。つまりドラゴラムはミラクルゾーンとメドローアを合体させたような性能は持っている。持った上でどっちもすごくよわいのでどうしようもない。

一応ドラゴラムの強みとして、変身時にHPMPが回復+バイキルト付与+悪い状態異常を解除+ステータスがかなり強化という効果もあるが、少なくともウィリーデではMP回復以外使おうとしたことが無い。エルフの飲み薬がケチれてうれしいね!

こういうまんべんなく強くなる効果は、メタ対象が無いので役に立たない器用貧乏になってしまう。ドラゴンになったら即死技を耐えるわけじゃないし、動きがもっさりしているので返ってやりにくくなる。唯一の他にない長所は通常攻撃が強烈なことだが、少なくともウィリーデでは役に立たない。

ドラゴラムのダメだしが長くなったが、最後にトドメと行こう。

竜術師は必殺が弱すぎて使えない。その分素の性能が高いとかでもない。しかし他の職は普通に必殺が使える性能なわけで、必殺が事実上ない分だけ他の職より弱いと言わざるを得ない。

散々ボロクソに書いてきたが、竜術師には魔法使いと互角な面もある。なんと呪文の威力やモーションは魔法使いとほとんど変わらないようだ。それどころか、ドガン系はメラ系より若干攻撃魔力の係数が上らしい。すごい!でもドガンタロスのモーションはメラガイアーより1.5秒位遅い。やっぱだめだわ。いつも疑問なのだが、DQ10の運営にはモーションがDPSにかかわっているという概念はちゃんとあるのだろうか?

このような理由で、竜術師は魔法使いとやっていることが大体一緒なのに、体感だと魔法より大分弱く感じる。これでは劣化魔法使いと評するしかない

しかし竜術師の他の部分は劣化魔法使いとしかいえない中で、唯一ドラゴラムだけがドラクエシリーズらしい事の出来る、竜術師の存在理由となる技だ。ドラゴラムが使えることでどうにか劣化魔法使いという名前から逃れている職と言ってもいい。なのにドラゴラムが使えない。

根本的に出来るべき事を間違えている、それが竜術師の欠陥だ。

海賊で倒してみて分かった竜術師の弱さ


ウィリーデはテンプレ構成がパラ魔竜賢以外にならないように、執拗なほどの工夫が施されている。なぜそこまでする必要があったのだろうか?海賊で倒してみると、その理由がよくわかる。

また海賊の話になってしまって申し訳なくない。ウィリーデ2を討伐した次の2の日には、海賊でウィリーデ倒してなぁ~という気持ちしかなかった。

ウィリーデは咎人ボスなので慣れるまではまあまあ苦戦したが、慣れたら全く強くない。テンプレPT以外での討伐も当然可能だし、賢者を抜いての三人討伐者も当然のように現れていた。というわけで竜さんを抜いて海賊にしても当然倒せる。

ウィリーデに対して海賊の強みがあるかというと、ありまくりである。ウィリーデは海賊の対策になるような行動をほぼしてこない。なぜか絶刀の射程は15m位しかないし、他の範囲技もマップ直径分の40mではなく30mの射程だ。なので海賊が火力を出す行動を邪魔してくる要素がほぼ無く、全ボス中で比較してもかなり好き放題出来る。

ウィリーデの後衛への攻撃技は床が多いので、大砲を破壊することができない。なので魔法職がボムやらミサイルやらジャッジで妨害されている間も、大砲が安定してダメージを与え続けられる。

さらに海賊は立ち位置が他の魔法職にとってとても都合がいい。自然と遠タゲを取るボスから30m付近の立ち位置になるので、ウザい魔法は海賊タゲになる。さらに超陣を使うのが2人になることで、魔と賢者の立ち回りも非常に楽になる。

そんな素敵な海賊の欠点はというと、大砲は物理ダメージなので火力を25%カットされてしまう。そしてこの物理カットの設定が、私の抱いていた海賊のすべての疑問への答えでもあった。

ウィリーデには物理カットとブレスカットが搭載されており、呪文以外のダメージを25%カットする。だがブレスカットの方は特に意味がない気がする。竜術師のブレス技はほぼフレーバー要素で元々使い物にならないし、接待対象である竜術師の技を軽減する意味も分からない。おそらくバラシュナで仲間モンスターがブレスで暴れたので、そいつらが万が一にも竜術師の席を奪うことが無いようにとの配慮もとい排除だろう。レックスもキッズも事前に弱体化されたのにさらに念入りに対策するとは、仲間モンスターに対していつも通りとても丁寧な仕事をする。

このカットの計算式は、物理とブレスの被ダメージ倍率計算の部分を75%に固定する内容らしい。なので災禍やレボを投げても相殺して1.25倍にはならず0.75倍のままで、呪文のダメージ以外は増えない。その呪文攻撃も基本的にカンストしているのでレボを投げる意味が薄い。ウィリーデの守備が高すぎることもあって、海賊はブメを握るより短剣(セーラスダガー以外はNO)を握る方が火力が出るだろう。

言うまでもないことだが、この物理カットのせいで海賊は火力を出せない。どのくらい減るかというと、レボ無しダメ25%カットで海賊のDPSは500位だろうか。もしカットが無かった場合、素でDPS670位+レボの増加分という計算になる。運営はこの海賊のDPS200以上をどうしてもカットしなければならなかった、というのがすべての答えである。

物理カットの目的はニードルマンや物理TAの排除だと思っていたが、実はそうではなかった。わざわざ物理TAを排除する意味が分からないし、ウィリーデには毒が効かない。他の仲間モンスターも規制するような性能とも思えない。だが、どうしても海賊だけは規制しないといけない。しかも物理カットという方法で。

そもそも、ウィリーデに対して一番早い討伐タイムが出るPTは、物理カットのあるなしに関係なくテンプレPTである。物理カットが無くても海賊より竜術師の方が強いはずだ。そして一番タイムが強いPTがテンプレになる。個人的には、物理カットが無かったとしても海賊がテンプレになったりはしないだろうと思っている。ウィリーデがすぐ廃れる原因になりそうだし……。

海賊PTとテンプレPTには、理論上は1分半から2分程度の火力差があると思われる。最速タイムが海賊PTが7分丁度位としたら、テンプレは5分丁度位。DPSでいうと400~600位の差だ。なんだテンプレの方が早いじゃん。そりゃそうである。

だが、実際に戦ってみると両構成でタイムにあまり差が出ない。火力が無いはずの海賊構成と、同じメンバーでのテンプレ構成と比較しても、似たようなタイムでの討伐になる。

どうしてそうなるかという理由の1つ目は、魔法PTは火力ロス要素が多すぎる。ジャッジやボムを引くたびにロス。ミサイルが足元に振ってきたらロス。ハッキリ言うと隣の竜術師が邪魔。人が居なければ火力ロス要素が減るので火力が安定する。つまり海賊を入れると最大火力が減る代わりに邪魔者が消えたことで火力が安定するので、結果的にテンプレPTと同じようなタイムで討伐できてしまう。

5分とかそんなタイム見たことねえよと思うのだが、上手いPTは火力ロスをPT全体で連携して減らしてる。普通のPTでそういう事はできないので、すごく早かったはずなのに赤からロスしまくって気がついたら8分台みたいなことが多い。

海賊PTの問題点も一応書いておくと、海賊は魔法の邪魔をしないことでPTの火力が安定する長所の代わりに、瞬間火力は出しにくいのでアポカリプス対応がやや不安という短所がある。実装から時間がたってプレイヤーがウィリーデに慣れるほどテンプレとのタイム差が広がるはずなこともあって、海賊でも倒せるけど積極的に起用する程でもないかなと言わざるを得ない。

そして2つ目の理由は、シンプルに竜術師が弱すぎるのである。

考えてみてほしいのだが、物理カットされてDPS500しかないみじめな海賊と竜さんのいるテンプレで同じタイムということは、竜さんのDPSは実質500位しかないわけで、

え、マジ?こんだけ海賊下げて、魔法PT用の調整された竜さん、さらに接待用のボスまで用意してもらって、火力互角なの……???引くわ……。竜さんかわいそう、フラウソン海賊でヴワ”ア”アアア”!引退する”!!とかやってる場合じゃなかったわ。私もそろそろ海賊のことで落ち込んでないで立ち直って、別の遊びでも探すべきだよな。

ごほ。あまりの現実にドン引きして、思わず我に返ってしまった。怪文書を続けます。

竜術師と物理カット海賊の火力が互角ということは、物理カットが無くなると海賊PTの方が平均タイムが早くなってしまう可能性が高い。

例えば、テンプレが8分、海賊PTが8分20秒の討伐タイムだったとしよう。海賊PT側が物理カットが消えてDPSが200上がったとすると7分30秒で倒すことになり、海賊側がカット前から50秒ほど早くなり、テンプレ側を30秒上回る速度になってしまう。もちろん最速タイムベースだとテンプレPTの方が早いはずだが、こうなると竜術師と海賊でPT構成が割れる可能性が出てくる。運営的にそれは大変よろしくない。

海賊をPTに入れさせないための調整は色々考えられる。一番手っ取り早いのは竜術師をまともな性能にすることだろう。

竜術師が弱い理由は弱いからだが、ここでエレメントブーストの弱さを解説したい。

この技は自分の周囲の味方の属性ダメージを10%上げる技だ。上昇率がシンプルに低すぎる。そしてウィリーデ戦で致命的にダメなのが、ダメージ上限を上げるバフと併用しないと効果がないことだろう。この技を使う代わりにドガンテルをすると8000ダメージ入るとしよう。厳密に言えばDPSベースで考えると完全に同じではないが、話を単純にするために深い追及はしない。属性ダメージ10%だと2発の呪文で800ダメージ上がる。なので3人で10回、ダメージ上限を上げた状態でやまびこ呪文をエレブの効果時間の60秒以内に撃てば、エレメントブーストを使ったことによるロスと増えた火力がつり合い、それ以降は得になっていく。実際は賢者ののダメージが素で上限に達していないとか、CT呪文は普通にダメージ上がるとかの細かい条件もある。

この”60秒以内に上限上げた3人で10回やまびこ”という条件が割ときつい。賢者は呪文やらバフやら介護やらで攻撃していないことも多いし、他のバフ更新と被ったり、敵側の妨害と被ったりすると意外と攻撃できない。

結果として8000ダメージと引き換えに使ったバフでちょっとしか得していないという事態が頻発していると思われる。

エレメントブーストは倍率以外の要素も全部弱い。

まず効果時間。これが短いからバフの効果が還元される時間も短いわけで、効果時間が2分ならエレブ強いから魔法PTに竜術師1人いれようと思える性能だったかもしれない。

次いで弱さに拍車をかけるのがモーションの長さだ。ドガンテル2回にかかる秒数は約8秒。もしエレブが2秒で使えるなら、ドガンテル2回と同じダメージだったとしてもDPS的に4倍強い技なので強いと言える。ジバルンバとか一見よわそうでもモーションが非常に早いお陰で使い所があったりする。しかしエレブのモーションは4.5秒。そう、あの占い師の魅惑の水晶球と同じ長さだ。私には、占い師が魔王のいざない→魅惑の水晶球で10秒位棒立ちでしょうもないバフを積んでいる光景と、竜術師のエレブ(4.5秒)→竜の脈動(4.1秒)が同じ光景に見える。

このゲームは全ての行動に1ターンのコストがかかるため、バフを積むコストが非常に重い。なのでバフは重いコストに見合った性能が無ければ使う理由がない。

エレメントブーストは、低い上昇率、短い効果時間、長いモーションと弱いバフの要素をすべて兼ね備えている。パーフェクトに弱い。

地味に効果範囲も狭い。ミサイル退避等で攻撃できないから代わりにエレブしよう!とかすると遠くの魔法にバフがかからない。攻撃できないシーンで代わりにバフを積むのは火力ロスを軽減するためによく使われるテクニックだが、エレブが不当に弱いせいでごまかしも効かないのである。

ちなみに、この欠点はウィリーデだからまだマシなのであって、例えばパニガルムとかで竜術師がエレブを使って火力を上げるぞ!!12人分上がるからつよいぞ!!とか全くできないのである。そもそも竜術師にはフォースのような技もないので、属性攻撃の威力しか上がらないのでは、魔法職とガデ魔剣位にしか効果がない。ダメージアップの効果を呪文に限定せず効果範囲を広げた意味はあるのだろうか?同じPTにバトと武しかいなかったらエレブしない方が強いまである。物理攻撃もしくは無属性攻撃のダメージも上がればいいのに、ウィリーデの事しか考えていないからこうなったのだろうか?

エレブの弱さを理解すると、逆に海賊はこういうしょうもなさすぎる技を使っていない事に気づく。モーションは全部爆速だし、バフが変に使いにくいとかないし、自分しか対象じゃないから周りと合わせないと効果が出ないとかもない。海賊は竜術師と比べると職業自体が圧倒的に強い設計だ。竜さんかわいそう。

エレブを散々なじった所で、少し持ち上げてみよう。しょうもないバフだが、もちろん生かせれば強い。だが、そこも突き詰めると、致命的にどうしようもない罠が待っている。

エレブは生かせれば強いのなら、ウィリーデ以外の魔法構成でも竜術師が入っているはずだ。しかし竜術師がウィリーデ以外のボスで活用されている姿を見たことが無い。

つまりエレメントブーストは生かせても弱い。証明完了。

もし咎人に同職制限がないなら、ウィリーデはパラ魔魔賢かパラ魔魔魔構成になっているだろう。弱体化した海賊なんかに勝って喜んでいる場合ではない。本来はウィリーデに竜術師の席なんか無い。魔法の代わりに仕方なく入れているだけ。これはもう、竜術師はどうしようもなく弱い劣化魔法使いと言わざるを得ない。

ウィリーデから見えた魔法構成の仕組みと竜術師の設計


竜術師の弱さと海賊の強さに触れた所で、そろそろ魔法構成の根本的な事情に触れていこう。その先に竜術師が弱い根本的な事情もある。

運営が物理カットによってウィリーデから海賊その他不穏分子を排除してまで守りたかったものは何か。それは魔法構成PTの戦闘スタイルそのものである。その実現のために魔竜賢者の3職を出来るだけ揃えたいし、海賊や仲間モンスターが入ると崩壊する。

その戦闘スタイルとはすなわち、3人で陣を共有しながらバフを効率よく回してタイムラインを構築して攻撃する事である。

3人で陣を共有というのが非常に重要で、この動きを強要すると当然場所が狭いのでボスがプレイヤー側に圧力を掛けたり、逆にプレイヤーがそれを上手く躱したりといった駆け引きが生まれる。これが、『魔法構成は呪文撃ってるだけでおもしろくない問題』を解決するために運営が崩したくない設計なのだ。

魔法職は遠隔攻撃故に、近接職のようなスリルに訴えたアクションゲーム的楽しさが生まれない。なのでそれ以外の楽しみ方を運営は頑張って創出しなければならない。運営が代わりに考えた遊びの要素は、複数人での連携、シビアな立ち位置調整、厳密なバフ管理、タイムラインを意識した戦闘、ダメージ効率を意識したスキル回し等、3人が決まった理想の動きをどれだけ追求できるかというスケジュール遵守の遊びだ。

私は学者とかではないが、もっと専門的にカイヨワの遊びの4要素で分類をしてみよう。近接職はイリンクス(めまい)と素人でもすんなり分類できる。だが遠隔職はちょっと分類に困る。理想のスケジュールを守るという点ではミミクリ(模倣)に当てはまるのかもしれないが、かなり遠い気がする。よくわからない。パラ構成ボスが必死で後衛に攻撃を当てて運動させようとしてくるのは、イリンクスの要素を加えて面白みを出そうとしているためだろう。

近接職は遊びの4要素が素人でもわかるほど明確な一方で、遠隔は4要素が分かりにくい。この遊びの純度の差が近接ボスの方が人気があるように見える理由だろう。乱暴な言い方をすれば、メラゾーマの射程を3mにすれば魔法は面白い職になるし、射程が6mのまもよりも2mの武や踊りの方がイリンクスの要素が強くなって面白いわけだ。なおスリルから最も遠いのは当然射程が30mで一番長い海賊である。そら不人気だわ。で、でも動きが早いのと砲撃が当たるかどうかはイリンクスの要素に繋がるから……。

だけど魔法は呪文で遠隔攻撃をするコンセプトの職なのだから、その中で面白さを見出さないといけない。だから魔法職を3人陣の中に閉じ込めて、この3人の間てイリンクスの要素を発生させようとしているわけだ。

ジャッジの時に竜術師が邪魔だとか、賢者が遠タゲを取るために前二人が邪魔しないかドキドキするだとか、ボムの時に隣が抜け駆けしてこないかとか、そういったスリルの元はこの狭い陣に3人がいることでしか生み出せない。そしてその要素をバフとやまびこでいちいち硬直させてさらに強化する。

この遊びを生み出す手法は非常に儚いもので、魔法3人衆の1人を海賊等の不穏分子と入れ替えるだけで、陣が広くなって遊びの仕組みが崩壊する。ついでにいうとこの陣で魔法3人衆を縛って面白くする理屈は、先にバラシュナでも実践されている。この時は短剣魔が不穏分子となって戦闘が簡単になり、理論が崩壊した。

私が自分のメイン職が海賊なのにウィリーデのテンプレに入らなくても仕方ないな、と思っているのは、この理屈で戦闘があんまりおもしろくなくなるからである。海賊本人はウィリーデになにもされないしね。逆にデルメゼ4が一番海賊で遊んで面白いと主張するのは、イリンクスの要素がふんだんに生まれるからだ。デルメゼ自体が面白いボスなのも、ボムがイリンクス・アレア(運)の要素を嫌というほど持ち合わせているからだと思っている。

この遊びの形を守るためにウィリーデには物理カットを設定された。だがちょっと待ってほしい。どうして25%しかカットしないのだろう。聖守護者の頃の運営なら。常時90%カットの設定にしてもおかしくないのに。

90%カットにしておけば、テンプレPT以外では絶対に遊べないウィリーデが出来たはずだ。でもこれは咎人だから、そこまでして別の職で倒せる可能性を排除する気が無かった、それは理由としてあるだろう。

だが例えばの話、竜術師がそもそももっと強ければ物理カットしても海賊と大差ない火力でドン引きという事実が明るみになる事はなかったはずだ。

つまり運営が実現したいバランスは、竜術師を強くしたり、海賊を弱くしたり、といった方法では作れない。

私はこの事実に気づいたとき、海賊が何故このような職業になってしまったのか、改めて考えてみた。その結果書き出されたのが第一章であり、海賊は運営の設計コンセプトからしてオトマ専用の職であるとの結論に至った。

運営からしたら今の海賊がゲームバランス的にものすごく邪魔なのは間違いないだろう。しかし安易に弱体することはできない。なぜなら、強くないオトマ専用の職には何の存在価値もないからだ。オトマ用なのに普通の職とオトマでの性能が変わらないなら、誰が使うというのか。事実、実装当時の海賊はその状況に陥っていたのを、強化することでどうにか人口が増えた。なので今更海賊を弱体化することはできない。設計コンセプトが崩壊してしまう。

そして竜術師を強くすることもできない。代わりに竜術師を強くしたら、海賊を弱体化しているのと同じ結果になるからだ。

竜術師が素でDPS700あります!遠隔最強です!とかやり始めたら、オトマも竜術師で行けばいいわけ。海賊に何のとりえもなくなってしまう。

私はそのロジックに行きついたとき、運営は海賊の事大嫌いなわけじゃなくて、ちゃんと立場を守ってくれていた…!?と胸が熱くなるのを感じた。

でも隠密って明らかに海賊がこれ以上強くならないようにする意図で実装されてますよね?竜術師が弱いせいだよね?

ゴホゴホ、また発作が出てしまった。そしてこの竜術師を強くできない理由の対象者はもう一人いる。魔法使いだ。

竜術師は劣化魔法使いだけど、それが強くなってしまったら、魔法使いの方が劣化竜術師になってしまう。アタッカーは基本的に一番強い職しかいらないのに、やっている事が同じ職同士で火力レースを始めるのは不毛すぎる。

そんなどうしようもない職実装するなよと思ってしまうが、咎人は同職制限がある以上、魔法構成をやらせたいなら魔法をもう一人増やすしかない。さもないと海賊が入ってしまう。そこで運営が考えたのが、竜術師に魔戦のような補助要素をつけて魔法との差別化を図る方法だろう。単純な火力では負けていても、補助性能込みで入れる意味が出るなら、劣化魔法にはならない。

だがこの補助能力が全然弱いという話で、さっきエレメントブーストをこき下ろした。素人考えではとりあえずエレブを強化すれば竜術師を入れる意味が出るのではと思うのだが、何らかの理由で今はそれが出来なかったのだろう。ニッチな需要を責めることで他職の取り柄を奪わずに席を創出するのがマスタークラスがしょぼい理由なので、エレブを強化しても大丈夫かどうかの検証が間に合わなかったとかで弱くしておいたのだろう。

こうして、とりあえず席ができただけのマスタークラス、竜術師が誕生した。

竜術師と魔法構成の今後


一通り語り終わったので、マスタークラスを語るという最初の趣旨に沿って竜術師の事をまとめてみる。

竜術師は、魔法構成のPTギミックである『魔法職3人で陣を敷いて動きを制限されながら戦う』という要件の為に設計されたマスタークラスだ。そのためにやまびこの陣・エレメントブーストという新たな魔法用バフを渡されている。

マスタークラスとしての役割対象ボスはウィリーデで、ウィリーデ自身も魔法PTがギミックを遵守して戦うことを求めるためのボスだ。竜術師とウィリーデが共同で同じ目的を達成しようとしているという点で、運営がやらせたい戦いを詰め込んだフラウソンと、その回答を渡されたガーディアンとは少し事情が異なるかもしれない。

運営の目論見通りウィリーデで竜術師の席が出来たが、正直言って竜術師はあまりにも弱すぎて期待外れだったと私は思っている。ガデの場合は竜術師のように直球で他職の劣化というわけではなくそこそこ個性があるので、フラウソンという仕事が終わってもまだ何か使い道を見出せそうだ。だが竜術師はやっていることが魔法使いとほぼ同じで、それがシンプルに弱くなっただけだ。他のボスで使えそうにないどころか、ウィリーデ以外の魔法構成でも使われていないというのは、ハッキリ言って魔法構成の為の新しい補助職という設計要件を満たしていない。調整に失敗している。

一方でウィリーデは魔法構成用のボスとしてよくできていると思う。強すぎず、単調すぎず、理解したら終わりでもなく多少クソ要素があって、プレイヤーを惑わしてくる。かなり気楽なので久しぶりに緑玉で日課にしてもいいかなと思えるボスだった。咎人シリーズの宿命として短命に終わりそうな気配はあるが、アウルモッドよりは長生きしそう。

ウィリーデの実装で久しぶりに魔法構成が日の目を見たわけだが、この流れがこれで終わるとは思えない。運営が直接的に『魔法を強化しようと思っています』と発言していることもあって、今後も何かしらの強化があるのでは?と予想している。というより、そうでなければ竜術師があまりにも弱すぎる。バラシュナ4で魔法構成用のハイエンドボスが実装されることがほぼ確定しているわけで、竜術師はこれに入れてもらえるような性能になるよう強化されるべきである。

調整が間に合わなかったであろうエレブや竜の脈動の強化に加え、使いにく過ぎる必殺のドラゴラムにもテコ入れが欲しい。単純に変身中も呪文が使えるようにするだけでいいはずだ。あと大岩ふらしを設置技にするのもやめよう。

竜術師の強化だけでなく、魔法職自体にも何らかの強化が欲しいと思う。ウィリーデのせいなのかわからないが、オトマ全般に魔法職があふれてきたせいで難易度が上がってしまったように感じる。シンプルに竜術師が魔法使いの劣化なのも魔法職のバリエーション的によろしくないので、ドラゴラムとかいう宴会芸ではなく基本的な動きで何か個性が欲しい所だ。

次のマスタークラス


竜術師がなんだったのかという考察はこれで終わりだ。最後に少し次のマスタークラスについて考えてみたいと思う。

マスタークラスは咎人ボス用の職という自説に則るなら、次のマスタークラスも当然そのような職であるし、次の咎人ボスはそれが活躍できる設計ということになる。逆にそうでなかった場合は、この文書全体がただの妄想でしかない、完全なる怪文書と化してしまう。

ガーディアンは無敵を生かしたFF14のタンクっぽい役割と、まともなバリア持ちがレンと賢者しかいないので、新しいバリア持ちがほしいというゲーム的な都合。竜術師は魔法構成に魔法職が3人必要、という部分に着目した職だ。

この設計の傾向を見るに、次の職もこのゲームの何らかの隙間に落ちてくる性能なはずだ。シンプルなアタッカーを出すと魔剣士の再来になってしまうのでそれはない気がする。

ぶっちゃけどんな職か全く予想がつかない。ただ物理系なら次のボスは物理だし、魔法系ならまた魔法系という事になる。しかし魔法系のアタッカーはもう竜術師で隙間が埋まったから出ないと思う。新しいタンクか補助系が来たらまた魔法系ボスもあり得るかも知れない。

素人が想像できる範囲で考えると、既存のバランスを滅茶苦茶にせず席を確保するには、やはりガーディアンのようなバリア系能力で席を作るのが一番簡単そうに見える。ブレスはレン、ダメージ軽減はガデがもういるから、呪文系を強烈に防げる職なら出す余地があるかもしれない。しかしよく考えると既にガデが鏡で単発呪文にバリアを持っているし、ボスが呪文を扱う時はほとんど連弾を使っていることに気づく。これは呪文を安易にブレスのように簡単に防げる属性にはしたくないというアピールだろう。範囲マホステのような極端な呪文バリアは登場しないと思われる。

他にまだ使ってない防御系の技のパターンを挙げてみる。いわゆるストンスキン(ボディーガードみたいな効果)やブリンク(堅陣みたいな効果)、リジェネ(いやしのメロティやリベホイム)あとは回避率アップに属性耐性上昇とかだろうか。ヘイト操作もまだ使われていないと思うが、この要素は強すぎるのでもう実装されないだろう。どの効果も既にゲーム中に登場しているが、それをバリア役が受け持つボスはほとんど登場していない。リジェネ系だけデルメゼでやろうとして失敗した気配がある。

ただこれらの効果を使おうとすると、どうしても聖女等の既存スキルで良くない?BG要素を別の職に取られたらスーパースターの12年間って何だったの?リジェネが強すぎるとヒーラーがいらなくならない?という話になってしまう。

そして当然ながらバリアが張れるだけではダメで、ある程度の火力かヒーラーにするなら回復能力も必要だ。火力職にするなら既存職より単純に強いのはダメ。難題が多すぎる。

バリア以外で席をとっても良さそうな場所があるとすれば、デルメゼの武みたいな物理壁職とかだろうか。例えば武とバトのマスタークラスとしてゴットハンドでも実装して、昔の槍武に常時テンションバーンと強力なカウンターでもくっつけたような性能で、シナジー適性は最低だけど物理壁をしている時だけすごく火力が出る、とかはどうだろう。武器を棍にすれば不遇武器の救済にもなる。具体的な中身を考え出すとしょうもないが、デルメゼの壁職ならすげ変えても問題ないはずだし、もちろん咎人で専用ボスを用意してもいい。他で火力が出ないようにするという要件を満たせるならなくもなさそうだ。

もう一つ思いついたのは、CT短縮を賢者に配れる職が少なすぎるという問題の対策だ。占い師が死んだので短縮持ちは実質魔戦しかおらず、ヒーラーに賢者を起用する度に魔戦を引っ張り出す羽目になってしまっている。それならばCT短縮と何らかのバリアバフ持ちのアタッカー系の職でも作れば、ませんを入れない賢者ヒーラーパターンの新しいボスでも作れるかもしれない。

どういうマスタークラスならこれらの条件をすり抜けられるのか、運営の手腕に期待しよう。

ウィリーデのオトマは史上最悪の出来


ウィリーデ4人PTは概ねよかったね、という流れで無事終われたが、8人PTの話をまだしていない。

ウィリーデのオトマはひどすぎる。

どう酷いか説明していこう。まず根本的にボスが強い。HPが多すぎる。オトマウィリーデのHPは約60万。これはオトマでもパラが居れば4分台、固定の魔構成なら2分台位で倒せる数値だろう。PTが整っていれば特に問題ないHPだ。だが順調なPTで4分台ということは、そこからマッチング次第でアタッカーが半分になって8分台ということが頻繁に起こりうる。環境のインフレが進んだ結果、火力の下振れと上振れの差が広がりすぎてオートマッチングが辛くなってきてしまっている。

次に参加職の幅が狭すぎる。物理職での参加が実質的に出来ないため、基本が魔・賢で、たまにパラ・竜・海・天・僧・デス・魔戦等が混ざる程度。マッチングしてもほとんど魔と賢者しかいないというかいらない。敵が強いと弱い職が明確に排除対象になり、同じようなマッチングばかりになってしまう。これでは同じ職が来て同じ事をするだけなので面白みに欠けると思う。

もちろん海賊はオトマウィリーデでも強いが、呪文耐性に着替えると他のオトマに行くのが面倒という都合上、魔法で行った方がめんどくさくない。魔法ここでしか使わないし。

ちなみに魔法使いと竜術師どちらで行くのか考えた時に、個人的には魔法を選べる状況で劣化魔法使いである竜術師で行く理由が全くない。実際テンプレ職なのにオトマに竜術師がほとんど来ないので、みんな同じように考えているのだと思う。魔を他で使うから竜というのはあると思うが、マホカンタを使えないせいで呪文耐性をつけるのが面倒なのが大分痛い。盾を持ち出してもいいけど本当に置物になってしまうのでつまらない。

こうなった原因は、ウィリーデが魔法構成用のボスとして設計されているのをオトマ用に改善できなかったせいである。4人PTのウィリーデは物理ヘイト仕様だが、8人PT版は物理・ブレスカットと高すぎる守備力は撤廃されており、物理職でも攻撃が通るようになっている。これはフェスタバラシュナが4人版をそのままお出ししたら酷いことになった経験からの改善点だろう。それはよろしい。

だが調整は高守備と物理カットを単純に外しただけで、両ユニットからの呪文と近タゲルーチン&ほぼ即死ダメージの技ばかりの行動パターンはそのままなので、近接職ではまともに攻撃できず、間違えて近接職でオトマに入ってしまうと完全な地雷になってしまう。

近接職で遊べないだけならまだいい。魔で潜るのは別にめんどくさくないし。実装から時間がたつとなぜか魔法以外の職ばかりになって勝てなくなりそうな不安はある。

致命的な問題点は、オートマッチングなのにタンク役が必須で、なのにオートマッチングでそれをサポートしていない事だろう。

ルーチンがそのままということは、誰かが壁役をしないと戦闘が成り立たない。普通に考えれば4人でもテンプレ職のパラがオトマでも来てくれれば済むのだが、マッチングの都合上いないことがよくある。パラがいないPTは大体酷い目に合っている事だろう。

パラがいない!と文句を言うのなら、自分がパラで行けばいいじゃない。そう思っている人はパラでオトマに参加したことが無い人だと思う。多分運営もそう。エアプだ。

自分がパラになってマッチングするとどうなるのかというと、パラが同盟にいっぱいくる。パラ2人までなら隣のFF14ちゃんのマッチングもそういうシステムだしいいよね、と思う。3人以上になると火力不足で負ける可能性が出てくる。4人になると敗色濃厚になる。5人以上はおそらくパラ2で組んで参加している人がいるとあり得るかも。

パラでマッチングするとヤバイ問題に拍車をかけているのが、8人PT版はなぜかウィリーデが重くなっている事だろう。4人版は装備がどれだけ適当でもヘビィチャージすれば押せる程度の重さだが、8人版は剛勇のベルトとアモンの大紋章を外すと完封がかなり厳しくなる。ついでに竜のうろこを外すと耐久面でつらい。なのでパラディン側がマッチング事故に対応するためにヤリ用の装備をあらかじめ身に着けて火力を上げておく、という事が出来ない。まあパラの火力が多上がった所でパラが4人いたら焼石に水なのであまり意味はない。

ちなみに体上呪文耐性と魔結界2があればヤリでもそこそこ死なずに殴れる。おそらく壁が別にいるおかげで、両ユニットから呪文で集中攻撃されないからだろう。もしかしたら運営的には近接でも殴れるようにしたのに物理職が死滅するのは想定外だったりするのだろうか?

何故ご丁寧に重さを上げたのかというと、おそらくオトマでパラディンの席を確保するためと思われる。4人版と同じ重さだと他の鎧職やズッシードが使える僧侶等でも簡単に押せる。ぶっちゃけ呪文を無効にできるなら壁はどの職でもいいので、他の職で押せると火力の無いパラは要らない子になり、テンプレ職なのにオトマで練習が出来なくなってしまう。だから、パラディンの為に重さを上げる必要があったんですね。

結果として、パラディンの為の敵を用意したら、パラディンはマッチングでひどい目に合い、パラディン以外は誰も押せないので他の壁職がいなくなった。これなら重さをそのままにして変な壁役やズッシードで遊べるようにした方がマシだったのでは?まあもしかしたら、変な壁役ができるとなぜか近接職がたくさん入って来て戦闘にならない可能性を危惧したのかもしれないが……。

もちろん運営はパラが居なかった場合のことも意図しており、パラ以外でも前に立てば壁になるように調整しているのだと思う。じゃあ魔法でいいですよね。壁が魔法でいいなら、全員魔法と賢者で行けば一安心。しかし現実には全員魔法職で誰も壁役ができないから壁役が居ないPTになってしまうことがよくあるようだ。それは誰かが壁をするしかないと思うが、ただのボスに特殊な役割を求められると、時間が経つとそれが出来る人がオトマに来なくなって状況が悪化していく懸念がある。

このウィリーデオトマの燦燦たる有様が、さらなる別の問題を引き起こした。オトマに行くよりサポで周回するほうが効率があからさまに良くなってしまったのである。

ウィリーデ周回PTは利便性重視の天天海海パン4の物理PTが有名だが、物理カットを外してしまったせいでこうなっている訳ではなく、猫4匹と天マセ魔賢みたいな雑な魔法PTでも5分程度とオトマより早く終わる。

並の人間よりサポの方が強いのは今に始まった問題ではない。しかしあまりにも度が過ぎると、オトマは本当に酷いからサポで行こうと思う人が増える。そしてそういう知識がある人は得てして上手い方のプレイヤーなので、オトマに来る上手な人が減ってさらにオトマが酷く……という悪循環を生み出してしまう。

上級者云々よりも、初心者側が『オトマに行くと酷い目に合うからやめる』と思わせてしまう方が事態が深刻かもしれない。咎人オトマは初心者をバトルに入門させるためのカジュアルな場であるのに、それが機能していないという事になってしまう。

この運営がオトマウィリーデを問題と感じて何か対策を講じるとは思えないが、オトマのフラウソンが行動パターンを変更されて弱体化(?)した例があるので、もしかしたら調整してくれるかもしれない。

第三部 ドラクエ10のエンドボスの進化


第三部では、マスタークラスがそういう設計になった理由である、DQ10のエンドボスの歴史を考察したいと思う。

本題である竜術師やウィリーデとはあまり関係ない内容だが、思考を整理するために書き出していたら思いのほか筆が乗ってしまった。

内容を最初に要約しておくと、『エンドボスは前と同じ構成や同じギミックを避ける必要がある』『ドラクエ10のPT構成はある程度決まったパターンになる』といった内容だろうか。

DQ10のエンドボスの歴史を見ていくと、『ボスや職を”そう”してはいけない理由』がどんどん蓄積されていくように感じる。

ボスコンテンツを作る時の大前提は、『新しいボスはそれまでのボスと必ず違うものになる必要がある』ということだ。そもそもビデオゲームという遊び自体にも普遍的に通じることだが、人は同じ遊びをすると飽きてしまう。その基本をもとに、DQ10では『このボスでは〇〇をしたら××になっちゃったから、△△を思いついた。〇〇の評判がよかった要素を△△と組み合わせて次のボスを作る』というような理論展開のボスや構成が考案され、幾多のボスコンテンツが生み出されていった。

運営はかつて『ボス側の調整で参加職を調整する』的なことを語っていた気がするが、その進化を繰り返し続けた結果、ボス側の調整だけでは新しいボスを出すのが困難になり、職業側での調整が必要になってきた。それもスキル調整などの小手先のレベルではなく、職業の設計段階からそれ専用のギミックを与える必要性が。それがマスタークラスの誕生理由と考えられる。

なのでこの章では、マスタークラスの設計要素を調べるために過去のボスコンテンツの内容を思い返すことで、どんな仕様が影響を与えたかを考察していく。といっても、明確な分析というよりは、ただの歴史の回顧録に近いと思う。

まあ運営は開発者であり、やろうと思えばプレイヤーには思いつかないような調整やギミックも可能かもしれない。この怪文書はあくまで私の想像する範囲でそうかもしれないという話でしかない事を最初に断っておく。

古代アストルティア Ver1編


DQ10にで明確にエンドボスの概念が生まれたのはレグナードからだと認識しているが、それ以前にもボスコンテンツはあった。

最も古い強敵ボスはVer1のネルゲルと天魔クァバルナだろう。さすがにこここまで古いとプレイヤー達がどうやって倒していたのか記憶にない。というよりそもそも私はVer1の時点ではこの二体のボスを倒していなかった。なぜかというと、とても強くて倒すのに苦労する・当時高価だった魔法のせいすいを大量に使う・サポだと討伐困難・スキルの振り直しができないのに素手戦士が必要・杖魔がいないと倒せない説……等、ソロプレイヤーが挑むにはハードルが高すぎると判断して見送ったのだ。Ver2以降のストーリーはフィルグレアを除いて普通に進行出来たことを考えると、実はストーリーの難易度が最も高かったのはサービス開始直後かもしれない。

次のVer1.1ではエンドボスの原型ともいえる強ボスが実装された。このころの運営には複数ボスがあまり楽しく無いので不評という認識がまだ生まれていなかったのか、大半の強ボスは複数体で出てくる。私は初期の強ボスをやっていないので詳しく語ることができない。当時はオーブが敵からのドロップという形で供給されたのでPTに盗賊が必須で、残りのメンバーは僧と魔2人。後の世ではそう・ま・とうのPTで走馬灯と語られている。盗賊は敵のつっかえ棒になり、この時点で唯一自己強化バフのある魔2人が攻撃するらしい(バトマスの実装はVer1.3)。戦闘スタイルがジェルザークに似ている。なおドロップの為だけに盗賊を入れるのはクソという苦情が殺到したのか、次のバージョンでオーブは現在のような討伐報酬に変更された。

Ver1.2でプレイヤーは走馬灯の呪縛から解放され、職性能だけを基準に強ボスの討伐PTを組むようになった。パラで押せないタイプのボスに対しては盗盗魔戦僧で、後に武のちからが上がってくると武武魔戦僧。当時は盗賊と武の差がほぼ無かったので、色々特典がついてくる盗賊の方が良いという状況もあったが、Ver1の後半になると武の方が若干ちからが高くなったのでほとんどのボスでは武が使われるようになった。ただウルベア魔人兵では回復が怒りトリガーなので盗賊がホイミでタゲを取ってマラソンをするとか、盗賊はなぜか重さのある装備を着こめるのでそれを活用した戦術を使うとか、そういう場合では盗賊が採用された。

ウルベアマラソン戦法は古のMMOでたまにあったボスを鈍足状態にして引きずり回して時間稼ぎをする戦法が元ネタだと思われるが、DQ10ではこれ以降採用されたことのないギミックである。

ちなみに今でも魔戦の事を電と略す人がいるが、それはこのころの魔戦がバイキピオのあとはMPタンクとしか見られていなかったことの名残だ。

押せるタイプのボスにはパラ魔魔僧でオーレン強だけパラバトバト僧。この時期はアイテムのまとめ仕様がなくMP回復が非常に面倒だった等の理由で、隼二刀流を活用することがあった。

このころのパラ構成で特筆すべきことと言えば、キャンセルショットやたいあたりなどでボスの技をキャンセルし放題だったことだろう。ランドインパクトを所定のタイミングで放つとプスゴンをハメることが出来るのに反発を憶えるプレイヤーがいたことを記憶している。そもそも敵の技を無限にキャンセル出来る仕様は開発者が何も考えて無さすぎだったので、今後のボスではキャンセル系がほぼ使えないように耐性がつけられることとなった。

もう一つ、天魔クァバルナ強の設計は今に通じるものがある。あの強い天魔が二体も同時に出てくるという当時としては衝撃的なボスだったのだが、羽が生えている方の天魔はローテーション行動なのでそれを読んで行動するという戦術性があり、複数ボスであったにもかかわらず楽しくて人気だった記憶がある。天魔は最初はパラ構成だったが、武が強くなってくると他の強ボスと同様に武構成で戦うようになった。

強ボスはよく考えるとボス側の問題行動が結構多かった。ボスを殴っているときに突然怒って怒りタゲを問答無用で頃す(主に天魔)、凍てつく波動がうざ過ぎる(強ボス全般)、遅延技をCT無しで連発してくる(バサグランデ)魅了が対策不可能でうっとおしすぎる(イッド・マリーン・プスゴン)、テンションを上げた後にHP割合ダメージで10割以上のダメージを与えてくる(アラグネ)シンプルに強すぎる上に雑魚召喚の対処法が無い(ラズバーン)等、プレイヤー側にどうしようもない理不尽行動や不快ムーブを平気で使ってくる奴が多かった。その後のボスは怒りロジックを搭載しているボスがほとんどいなくなり、いてつくはどうもほぼ使わない、CTの概念が導入される、理不尽すぎる即死技をなるべく減らすなどの調整が増えたように思う。

Ver1の終わり頃になると初の8人PTコンテンツとして災厄の王が実装された。このボスはボスそのものよりも関連クエストの仕様がとてもアレなことが気になる。おそらくこのボスを企画した人は今のプレイヤー考えるようなボス討伐コンテンツではなく、一連のストーリーを楽しむための演出の一つくらいにしか思っていなかったのでは?と邪推してしまう。そのせいで季節イベントでもないのに期間限定クエストという考えた人以外誰も喜ばない仕様が盛り込まれ、ストーリーの前半部分は現在ではプレイすることができない。まあ今は消えたクエスト以外の問題はほとんど改善されたし深く考えないことにしよう。クエストのストーリーも別に素晴らしい内容ではなく、プレイヤーが見てる前でNPCがむざむざ頃され続けて、ああ!悲劇が回避できませんでした!!がやりたいだけのいつもの藤澤節だし。

災厄の王が当時どんな倒され方をしていたかというと、パラ3人くらいで押したりキャンショしたりする後ろで、魔法と賢者が魔法を撃って倒す感じだった。攻撃がまあまあめんどくさい一方ですべてキャンセルしてしまえるし、このころは物理と魔法で極端に火力差があるわけではなく、安全重視で倒そうと思ったら魔法構成になったんだと思う。ただ最終的にはVer2.1でバトマスの天下無双が強化された等の理由で物理PTに変わっていった気がする。

現代との最大の違いは、同じ属性で続けて攻撃するとダメージが減少していく”同属性連続耐性”なる謎の仕様が存在したことだろう。これは例えば魔法3人とかでずっとメラゾーマを撃っているとダメージが減るという仕様だ。当時は賢者のドルモーアやマヒャドを間に挟むような動きが推奨されていた気がする。この仕様はその後撤廃されているのでゲーム的に必須というわけでもなかったらしく、何故存在していたのかはよくわからない。意味が分からないけどうまくやってもダメージが増えるとかではなく下がらないだけなのは不快だから撤廃されたんだと思う。

なぜいらない仕様がわざわざ盛り込まれていたのか考えると、おそらくはFF11に存在した属性やレジスト(魔法攻撃等に抵抗して効果を軽減すること)の概念を盛り込もうとしてこうなったのでは?という説と、魔法系の職が同じ呪文撃ってるだけになるのでそれをシステム的に回避しようとしたのでは?という説の二つが考えられる。よく考えると属性レジスト説自体が魔法使いが同じ呪文を撃つのを避けるための仕組みなので、前者と後者の説は同じ意味だ。

FF11というのは同じスクエニ運営のDQ10の先輩ネトゲであり、DQ10の開発はFF11を大変参考にして行われたと思われる個所がいくつもある。たとえば戦士の必殺がなぜか会心必中なのはどうみてもFF11の戦士のマイティストライク(一定時間攻撃が確実にクリティカルになる効果)の影響だろう。

FF11にはとてもとても複雑な属性の概念があり、属性システムの要素の一つを軽く説明すると、属性の強弱が循環するような設計になっている。火は氷に強く、氷は風に強く、風は……(以下略)みたいな形で繋がっていく。例えば氷の魔法を撃つと火の耐性が下がるので、次は火の魔法を撃って……みたいな運用をする魔法があったりする。まあとにかく複雑極まる仕様なのだが、それが何故実装されたのか考えると魔法職に大量の呪文を実装しても大半が無意味な呪文になってしまうのを避けるためではないだろうか。つまりDQ10もFF11のマネをして複数の呪文を使い分けさせるための仕様を作ったら、なぜか逆にプレイヤー側の火力を下げる方向性になって最終的に撤廃されたということかもしれない。クソ仕様を撤廃したのが仕様を考えたDとは別のDなのが味わい深い。

コインボス


Ver1.2からコインボスも実装され始めた。コインボスはエンドボスのような先鋭的な構成で戦う必要が無いので、構成について詳しくは語らないが軽く触れておく。

最初期のアトラスとバズズは武武僧僧の構成で戦った。当時もっとも優秀なアタッカーだったツメ武と、万が一にも全滅しないように僧侶2人という発想だ。ただし僧侶が2人いるからと言ってゾンビで倒しているわけではなく、今のコインボスが優秀な職を集めたグッドスタッフ的構成になるのと発想的に同じかもしれない。ベリアル・バラモス・グラコスなどは押せるのでパラ構成で攻略することもあった気がするが、結局は全て物理構成に変わり、運営側も押せるコインボスをなぜか実装しなくなっていった。

コインボスについて全部紹介すると話が永遠に終わらなくなるので、エンドボスに通じそうな奴だけ触れてみる。

最初期のコインボスは運営がエンドボスと勘違いしていたのか、ものすごく理不尽な事をするやつがいる。バラモスだ。ジャンプのタイミングが変化するネクロゴンドをわたあめなしのジャンプで避けられなかったら全員即死だし、魅了や封印等のヤバすぎる状態異常も平気で使ってくる。プレイヤーにどうしてほしかったのだろうか?この時期の調整のせいでコインボスは怖いものというイメージが付いた気もする。

パラ構成へのアプローチという点では、アトラス強・ベリアル強とドラゴンガイア強に工夫が見られた。前二匹は実装当時はパラ構成で討伐していたのだが、今までのパラ構成ボスと違っていわゆる押し反ケージが4秒程度しかなく、パラが押しているとすぐに反撃が出るので相撲が難しくなった。確か押し反ケージが溜まる前に後衛にツッコミしてケージをリセットすることで対策していた気がする。まあそのうち物理でしか行かなくなったので気にする人はいなくなった。私の記憶だと押し反ケージの仕様が特殊なボスはこの2匹とガルドドン位しかない。ゲーム初期で既にパラ構成のバリエーションに行き詰って特殊な仕様を導入していたのはバトルプランナーの苦労を感じる。

ドラゴンガイア強はパラディンを入れたら押せるからなんも考える必要ないじゃん的な風潮への対抗策を初めて盛り込んできた。重いのでパラ一人で押せないどころか劣勢になるので、魔法と賢者は下がりながら呪文を撃ち、僧侶等が押し補助をする必要があったのだ。このころは魔戦のFBが必中ではなかったのでパラを入れる発想があったのだと思われる。今こんなボスを実装してもガルドドンと同じようなゾンビ構成になるだろう。それ以外にも、普通のドラゴンガイアには竜眼によるダメージガードを賢者で解除する職利権ギミックがあったのだが、ドラゴンガイア強はダメージ完全ガードを零の洗礼で解除できないという完全なる遅延行為を体得。当時はヘナトスとか入れて暇つぶしをしてた気がする。

そしてもう一つ、コインボスで頂点の強さを誇ったと思われるボスが伝説の三悪魔”闘”だ。聞いたことがない人も結構多いかもしれない。これはいつぞやのイベントの際にプレゼントの呪文形式で配布されたボスで、その名の通り三悪魔のさらに強い版である。ただし倒しても称号とかすごいアイテムとかは手に入らない。そして私はこのボスと戦わなかったので特にコメントできない。何故かと言えば、強いと倒せないし、目立った景品が無いので倒す必要もないし、何より事実上一回しか戦えない強敵と真剣に戦闘を行いたいと思わなかったのだ。コインは持ち物枠を圧迫するので捨てたか、適当に一回行って全滅したのか憶えていない。運営的にもさすがにコインボスが強すぎて誰も得しないのを察しはじめたのか、三悪魔の強バージョンは実装されていない。

余談だが、昔のコインボスはなぜか強という形で強化版が実装される流れがあった。しかし強いボスの客層であるバトル勢プレイヤーは強コインボスの実装前にアクセサリーを完成させているのでそもそも行く必要がなく、ライトプレイヤーはコインボス自体についていけいないのにさらに強いコインボスを実装されても全滅するばかりで辛い的な苦情が発生した。私の討伐リストを見るとキラーマジンガ強が2匹、グラコス強が12匹、バラモス強が9匹、デュラン強が8匹とかだった。後から下位アクセが欲しくなった時も、強バージョンは無駄に強くてうっとおしかったので弱い方だけ相手にしていた記憶がある。最後に実装された暗黒の魔人強にいたっては倒してすらいなかったので、今度図鑑に乗せるために倒すかも知れない。ただし悪霊の神々強だけは邪神の封印用の灰を集めるという需要があったので滅茶苦茶周回した。

とにかく、運営は強コインボスに需要が無いことを察しつつも作るのをやめられないという負のスパイラルに陥っていた。なぜそんな無駄な事業を起こしてしまったのかというと、運営はたしか『プチと強を実装するので、ご自分の強さに合わせたボスを選んでいただけたらなと』的な事を言っていた気がする。難易度選択の走りだったのかもしれない。ちなみにプチのほうは強と違ってほんまもんの初心者に結構需要があったっぽい。そりゃ装備作るのに雑魚をしばくほうが効率がいいのはバトル慣れした上級者でもそうしてるし、強い方がいてもわざわざ選んでないもんな。開発内でもうやめましょうよこんな開発コストの無駄!という声が増えたのか、Ver4以降は強コインボスを作らない流れになり、運営はどうにかフェードアウトに成功した。

昨日のDQXTVで、『コインボスを強くしてほしい。ヒリつくような戦いがしたい』という提案が読まれていた。それはDQ10の長い歴史の中で既に試みられ、そして失敗した後なので諦めたほうが良い。コインボスが強くなっても戦闘は楽しくならない。最初期のバラモスは強かったが、開幕にパラの手が滑って全滅したときは気まずいだけだったのを今も憶えている。

それでもコインボスを強くしたらどうなるのか脳内シミュレーションしてみた所、コインボスには制限時間がない(魔法の迷宮自体が40分制限という説もある)ので、確実に倒せるような遅延ゾンビ構成がテンプレになる。具体的に言うと僧侶天地海賊にバトとかの構成が基本になるだろう。いや海賊は初心者層が多いことを考えるとちょっと怪しいかも……。実際最初期のコインボスはそれに近い発想で武武僧僧だったわけで、それに回帰することになるはず。いや違うわ。そもそも、初心者は難しいし面倒だから行かなくなる。そして上級者は高速周回用の手順をギチギチに固める。

なぜ今の時代にそんなことを提案する人が出てくるのかとても謎だが、一生懸命気持ちを察しようと考えた結果『自分が遊んでいる範囲で強いボスを出してほしい』という意味なのではないか?と思った。どうすればいいのかは私には思いつかない。運営は難しいボスをコインボス以外で用意した。

話を戻そう。その後も帝国三将軍あたりまでは簡悔気味のコインボスが多かったが、ドラゴン以降は素直なボスが多くなった気がする。Ver5を境にバトルの雰囲気が大きく変わったことも加味すると、そこでバトルプランナーが別人にでもなったのだろうか?

古代アストルティア Ver2~Ver3編


Ver2の頃どんなバランスだったのか実はよく思い出せない。戦士が最強になって武が落ちぶれる等、それまでのバトルバランスから激変したことはおぼえているのだが、それが実はVer3あたりからの話だった雰囲気もあり、記憶があやふやだ。なので印象に残っていることを書いていく。

Ver2で最初に実装されたコンテンツがピラミッドだ。思えばコンテンツらしいコンテンツはピラミッドが初めてだった気もする。実装当時の霊廟6や7・8などはとても高難易度だった記憶がある。Ver2と同時に『今後のバトルバランスの妨げになるから』との理由でタイガークローが弱体されていたが、武の代わりになる職業がまだいなかったので、霊廟6ではキラーマシンを一体ずつタイガークローで処理していた記憶がある。霊廟の敵はマヌーサ等のデバフが効いたりもしたのだが、結局は火力で処理しないと立ち行かなくなるので補助を入れる構成にはならなかったように記憶している。

オノが強化されてからは武は端に追いやられて戦士が起用されていたはず。しかし第七霊廟は敵の守備力が極端に高いという戦士への簡悔設定により魔が台頭。第八霊廟の頃にはメラガイアー等の強力なCTスキルが実装された一方で、戦士のCTは実装時はゴミとしか言いようがなかったため、ピラミッドは魔法に支配された。このころの魔法の強さとドレアムの安定攻略法が十字軍になったことが後に魔法が露骨に弱くされる原因になったと思っている。第九霊廟の頃も最初はおそらく魔法で攻略していたはずだが、最終的にはバトマスに取って代わられた。なお武の息の根は完全に止まっている。

私的に楽しみだったのが強ボスだ。Ver1の頃はずっとこれで遊んでいて楽しかった記憶がある。しかしVer2の強ボスは正直つまらなかった。

Ver2.1で実装された強ボスはVer1の物とはかなり方向性が違った。それまで前衛二人で壁をして後衛はタゲ下がりするというのが強ボスでのセオリーだったが、Ver2の強ボスは壁・タゲ下がりの動きをするものがほぼなかった。おそらくそれがつまらなくなった理由だろう。

破戒王ベルムドはベルムド型のボスが二体出てくる敵だが、回避可能な即死攻撃を繰り出してくるので、PT4人でボスを囲んで攻撃を避けながら叩くようなボスだった。最初に実装された3匹の中では一番つまらなかったかもしれない。このボスがつまらない理由を言語化するのは難しいが、率直に言ってタゲ下がりがないからだろう。移動干渉システムはかなり珍妙でこれの為に犠牲になっている事も多いはずだが、壁が無くなると大抵面白くないのでDQ10に必要なシステムと言わざるを得ない。ベルムドに後に通じる要素があるとすれば、ボスの突進などの範囲攻撃を誘導する要素があった事だろう。当時既に戦士が強かったので斧で殴っていた気がする。運営は『武は一見弱くなったように見えるけど、手数というかDPS的には戦士より若干強い』みたいな事を言っていた気がするが、若干強いだけなら武より戦士の方が強いのでみんな戦士になった。

魔人エンラージャは変身とか言う忌まわしき状態異常が初めて実装されたボスだ。当時は変身を解除する方法などなかったので、不快度はかなり高かった記憶がある。エンラージャで記憶に残っていることと言えば、後に実装されたどうぐつかいのガジェットの効果がやばすぎたので実験台にされていた憶えがあることくらいだ。エンラージャに後につながる要素があったとすれば、範囲変身はクソなのでエンドボスではあまり採用しない方がいいという事だろうか。

悪夢の右手はレンダーシア強ボスの中で唯一面白いボスだった。ストーリーではいなかった左手が勝手に生えてきている所にジウギスリスペクトを感じる。両手は押すことが可能なので戦士と重さを積んだ盗賊がそれぞれ隔離して、アクアガイザーなどのヤバイ攻撃は戦士がたいあたりでつぶす等、戦略を楽しめるボスだった。何故戦士二人ではなく盗賊を入れていたのか思い出せないが、強ボスはツアーで回るものだったのでツメのGFでエンラージャのバフをはがせる盗賊がいたほうが都合がいいとかだった気がする。後に行かされていないような気もするが、悪夢の右手は二体のボスを上下に隔離するという点でレギロと似ている。このボスだけ面白かったのでレギロが出来たとかはあるのかもしれない。

やる気のジャーミィは初代問題児ボスだ。そもそもストーリーボスの段階であまりにも強すぎ、クソすぎて後に弱体化されるような輩である。何故クソなのかというと、自己バフを連打して即死級の火力を手に入れた後に、出が早いばくれつけんで対処する間もなく頃してくる火力の高さ。本体が強いだけでなく、爆弾によってこの世の終わりみたいな量のデバフをてんこ盛りにかけてくるので、当たったら終わりである。そしてこの爆弾、爆弾自体が小さくて見づらい上に範囲がものすごく分かりにくいのだ。極めつけにこんなクソウサギが二匹も出てくる。今では瞬殺できるからそこまで凶悪なボスではないが、あえて爆弾を踏んでみれば当時のクソ具合を少し追体験できる。

このボスをどういう方法で倒したのかは覚えていない。なぜかというと、このころには強ボスを人間と組んで倒すのをやめており、サポで倒したと思われるからだ。私にとって強ボスが面白くなくなったのでPTを組むのをやめたのかもしれないし、強ボスPT自体が廃れてきていた可能性もある。この時期にボスコンテンツの役割がピラミッドやコインボス、ダークドレアムに移行していったのかもしれない。

後のヘルバトラー強とグレイツェル強もわざわざ人間と組んで倒した記憶がない。サポが優秀になって来て人間と組む必要性が薄くなったのも理由かもしれない。グレイツェル強は専用マップと専用の敵AIを用意されたらしくかなり力の入ったボスなのだが、これが実装されたVer3の頃にはかつての強ボス文化は完全に廃れていた。運営もそのことを察したのか、今後強ボスが実装されることは無かった。ただ強ボスはオーブを排出する性質上、むやみに増やし続けるとオーブの価値がデフレしてしまうので、これ以上実装出来なかった可能性もある。

Ver2ではカジュアルなボスコンテンツとして試練の門シリーズが実装された。レンダーシアの各所を特に説明もなく通せんぼしていたこいつらは、景品が美味しい週課コンテンツという位置づけだ。一時期は経験値とゴールドの効率が良かったこともあり大人気となっていた。特に強くはない為ボス攻略目線で語ることは無いが、後から実装されるボスが強いわりに経験値が多く無いので効率が悪いとか、フィールド狩りの方が圧倒的に経験値効率が良くなってしまったのでやる意味がないとか、時代に取り残されたコンテンツの哀愁を感じさせてくる。

ダークドレアムはVer2も後半というVer2.4後期に実装された第二の同盟PT用ボスだ。最初に倒したときは強すぎてこんなの何回も戦わないよ!と思っていたものの、他に倒すようなボスがいないこともあってオトマで日課的に挑むようになった記憶がある。

その強さの秘訣はとにかく強い事にある。何の技を出しても人がしぬ威力でとても強い。今でも邪神の宮殿の暴虐の悪夢が出す技の威力はとても高いが、それの元ネタは当然ダークドレアムそのものである。だが凶悪な攻撃の中でブレスはまもりの霧によって対策可能だったので、初めてレンジャーがボス戦でまともに役割を持てた。

極めつけに強かったのは、HPが減ってくるとグランドクロスによっていつでも敵側が大逆転する可能性があるところだろう。これは後のエンドボスがHP減少と共に攻撃が激しくなるような要素に通じている。

ダークドレアムはそのあまりの強さによって、次第にオトマで攻略するよりも8人で十字軍PTを組んで攻略する風潮が出来上がったらしい。十字軍とは魔僧のペアが十字方向に散らばって戦う戦法であり、ボスの範囲攻撃で複数人が巻き込まれて全滅という事が無くなるので、かなりの勝率で勝つことができる。

この仕組みはボスの移動がボス側のロスになるDQ10のバトルシステムに対して極めて強力に機能するので、ゾンビ戦法等と並んで戦法が極まった先に行きつく結論の一種と言える。私は十字軍で組んで戦った記憶が無いので、どういったいきさつでそうなったか深く憶えていない。しかしユーザー間では十字軍が強すぎるしつまらないので普通に戦おうぜ!みたいな風潮もあった気がする。

さて、わざわざ古のアストルティアの事情を頑張って思い出していたのは、ダークネビュラスに対するコメントを書くためでもある。『倒す敵がいないよ問題』に対して運営が出してきたボスで、初めて実装されたエンドボスと言えるかもしれない。

ダークネビュラスは真のピラミッドの地下にぽつねんといる。何でこんなところにいるのかというと、おそらくは古のMMOのネームドモンスターのようなフィールドにいる強敵のイメージだったのではないだろうか。その強さがどういったものかというと、とにかくステータスが高い。攻撃力も守備力も当時としては馬鹿げた数値になっている。

プレイヤーがどうやって倒したかというと、呪文は通るので魔魔僧僧で組んで聖女ゲーである。その戦闘内容は強敵というより苦行だ。とにかく強い敵、というのを愚直に表現したらこうなってしまったのだろう。

一応他のボスにない特徴としてメカバーンを12体まで呼び出すというのもあるが、要は12体処理したらボスを倒すだけなので現在の価値観で考えたらただの遅延行為である。

なぜこのような強さと苦行をはき違えた仕様になっているのか考えると、フィールドでの戦闘なので制限時間が存在しないせいではないだろうか。制限時間があればその時間内でどういう戦闘をさせたいかのメイクになるが、制限無しで強いボスを実装しようとするとパワー系になってしまうのだろう。

次の強敵ボスはVer3.1で実装されたキラークリムゾンだ。こいつらは守備力は普通だが攻撃力が異常に高い。正確に言うと使う技の殺意が尋常ではない。

ダークネビュラスがただの聖女ゲーになったことを踏まえてか、ほとんどの攻撃が多段攻撃かつ行動も早く、僧侶でゾンビするだけでは敵の火力に押し切られてしまう。しかもリモートリペアによって片方だけ先に倒しても蘇生されてしまう。ダークネビュラスと違って本気で倒されない位強くしたボスなのかもしれない。

そこでプレイヤーが着目したのがパラディンガード・モンスターゾーンによる無敵時間の捻出と、外部からの応援による必殺チャージだ。これで延々と戦闘を遅延して時間を稼げる。スパのボディーガードとゴールドシャワーが苛烈な戦闘との相性が良かったこともあって、時間と根気さえあれば一応誰でも倒せるボスになってしまった。

キラークリムゾンの攻略と直接関係しているわけではないが、このゲームは怒りという状態変化が上手く機能していない。何故かというと、パラガを使ったらパラディンがタゲ下がりをして怒りが解けないように時間を稼ぐ方が、パラガで無敵になってその場で立っているより明らかに有利になれるからだ。パラディンはタンクなのに逃げたほうが得とか設計が破綻している。実際昔の邪神ではパラガやモンスターゾーンはそういう運用だったし、タゲ下がりする発想がなく敵の攻撃に味方を巻き込むパラスパは煙たがられた。

また怒りという状態変化それ自体も問題で、怒った瞬間に色々キャンセルしてすぐ殴りかかってくるせいで理不尽な死の原因になる。ロストアタックすればすぐに解除できるから、怒られた人がタゲ下がりするしかなくなるペナルティと考えても微妙だし、何故かその技を全員使えるのもよくわからない。そもそもペナルティのはずなのにタゲ下がりに活用すると逆に有利になってしまうのも意味不明だ。怒りは正直なぜ存在しているのかわからない要素になってしまっている。

恐らくは普通のMMOに存在するヘイトという要素を可視化して取り入れようとしたら怒りが出来たのだと思われる。しかしDQ10は普通のMMOのヘイト管理法ではなく、ランダムターゲットの目視確認と移動干渉による壁という独自のヘイト管理要素を入れたはずなのに、何故怒りを入れて普通のヘイト管理要素も導入したのだろうか。というか怒りは発生が突然過ぎるのでこれを活用しても普通のMMOのようなヘイト管理はできない。多分考案した人何も深く考えてないと思う。

とにかく運営は怒りが不要な要素であることに気づいたのか、キラークリムゾンでのパラガハメを切っ掛けに怒りという状態変化自体がボスに盛り込まれることがほぼなくなった。パラガを使ったときだけ怒るボスも出てきたが、その場合でもその場行動を連発するなど、怒りを利用したタゲ下がりは出来ないようなルーチンがほとんどになった。

そして古代編最後のボスが大魔獣イーギュアだ。このボスはキラークリムゾンがパラガハメで倒されたことを受けて、そもそも怒り状態にならなくなっている。エンドボスらしく、前のボスでの反省を受けて進化したわけだ。

攻略方法は眠りが効くので眠らせて一体ずつ倒す。一匹ずつ寝かせて倒すのは昔のMMOのネームドモンスターの討伐でよくあった手法で、存在自体が昔のMMOっぽいフィールド強敵ボスにはふさわしい倒し方かもしれない。

なお私はこのボスを実装時に倒していないので、これ以上深く語ることはできない。なぜかというとフィールド強敵シリーズに飽きていたこと、倒し方が前2体のボスと比べると苦行というよりも怠いだけなことが理由だ。そのころフレと強敵を一緒に倒しにいく空気にならなかったことも記憶している。三作続けて遅延と苦行の極地みたいな戦闘をしていたらそりゃ飽きるわ。

ちなみにフィールド三部作の中でこいつだけ劣化版がストーリーボスとして出てきたり、既存のクエストに討伐依頼が盛り込まれるという嫌な要素が組み込まれている。別に大魔獣イーギュアを倒さなくてもぬくぬくどりを200匹倒せば代わりになるのだが、いや200匹は後から考えると引くわ。イーギュア討伐の代わりにこれだと、嫌だから倒さなくてもいいんですわよね?で無視できる物量ではない。

フィールドの強敵ボスは倒したい人だけ倒してねみたいな要素だったはずなのに、何故急に自我を出して一般プレイヤーの領域にしゃしゃって来たのかはわからない。だがVer3の頃の運営はチャンスクエストをクソ仕様にしたり、スキル解放クエのボスをやたら強くして苦情をもらったり、極めつけはストーリーボスをフィルグレアにしてしまって史上最悪の引退騒ぎになったりとやらかしが多い。おそらく強敵がいない問題の解決に躍起になってしまい、悪い方向にアクセルを踏み込みがちだったのだろう。

ただ以後のエンドボスにも言えることだが、倒す目的を明確に設定しないとコストをかけて実装した強敵を誰も倒さないという現実がある。おそらくキラークリムゾンの討伐数が思いのほか少なくてショックだったので、イーギュアを倒すとクソめんどくさいクエを簡単に終わらせられる!という方向性で報酬を設定したのかもしれない。

ここまで書いてきて、まだ2つ書かないといけないバトルコンテンツが残っている事に気づいた。まずはキャラデリ金策でお金をくれる人に落ちぶれる前のバトルルネッサンスについて思い出してみよう。

そもそもバトルルネッサンスが実装された理由は、ストーリーボスと再戦する機能が欲しい!という要望が多かったことによる。なぜかというとストーリーボスをみやぶるのを忘れると図鑑が不完全になるのと、そもそも自分の種族と対応しない初期村ボスと戦う機会がなかったことによる。ユーザー的には単に再戦できる機能だけでよかったと思うのだが、なぜかバトルコンテンツ要素が追加された。

バトルネのバトルコンテンツとしての特徴は、様々な実績をクリアすると報酬がもらえるという実績要素が盛り込まれている事だろう。その中でも同じ職業だけで倒す・超強いボスを制限時間内に倒すの二つが難しかった。

大問題だったのは同じ職業で倒すの実績で、当時の環境では占い師4人で戦うのが一番強かったが、占い師はサポート仲間が不可で人間とPTを組むしかなく、終わった人から挑戦しなくなるので早くクリアしないと実績の達成が不可能になるという分かり切った欠陥がプレイヤー達をいらだたせた。

また超強いボスを時間内に倒すのもかなり困難だった。超強いボスは本当に強い上に当時は一般的でなかったタイムアタックの概念を当然のように求められるので敷居が高い。当然超強いを倒すの実績もクリアした人から抜けていくし、ボスの数が多すぎて倒せる人を集めるのも困難だった。報酬のスキルブック2個さえ取ればあとは無視してもいい景品だったので、私はバトルネは実装時にちょっと遊んでそれ以降はスルーするようになった。多くの人がそうしたのではないだろうか。

バトルネがどのような顛末をたどったかというと、まず超大不評だった同じ職業で倒すの実績が変更されて、同職不可の設定に変わった。占い師4人で攻略しろとか後先を考えて無さ過ぎる設定だったもんな。そもそも論として同職アタッカーを2~3人入れるのを咎める要素が無いこのゲームのバトルバランスが歪な気がするのだが、同職被りを禁止する発想自体がポケモンとかFF14とか最近のソシャゲとかがそうなってるからおかしいと感じているだけかもしれない。でも職被りが禁止ならいろんな職業を使うしかないわけで、死に職を減らして様々な職業を育成させることでゲームのプレイバリューを増そうとするのはDQ10運営もずっとやってる。なのに咎人までそういう設定がほぼ無かった。まあDQ10のお手本になったFF11に職被りを咎めるシステムがないからDQ10もそうなっただけだと思う。

例えばFF14のパーティボーナス(PTに入っているロール一種類につき1%能力が上がる仕様。この仕様のためかFF14のエンドコンテンツでは基本的に職被り構成にならない)のような要素を今更入れようとしても変更範囲が多すぎるので、個別のバトルコンテンツでしか同職不可に出来ないのだろう。

次に超つよい設定のボスがほとんど登場しなくなった。運営は、『超強いボスは作るのにコストがかかるので実装するのが難しい』みたいなことを言っていた気がする。まあだれも遊ばないボスを頑張って作ってもしょうがないという意味だろう。私も最初に実装された超強いボスは倒したような気がするが、その次に実装された超強いのブレンダ&ベリンダがすごい酷かった記憶があり、それ以降ルネッサンスは全てスルーするようになった気がする。

最後に紹介するバトルコンテンツは邪神の宮殿だ。実装時から現在までの9年近い年月を生存している長寿コンテンツだ。この項目で紹介した他のコンテンツが現在ではほぼ死んでいることを考えると、邪神の宮殿はとてつもない成功コンテンツと言えるだろう。

邪神の宮殿のボスは色々いるが、特筆すべきはボスよりもお題の方だろう。実装初期の邪神ではアレなお題がたまたま出題されていたが、特にひどかったのは『アクセサリー装備禁止』だ。これは文字通りアクセサリーを全部外してボスと戦うお題だ。なんでこんなお題を出そうと思ったのか定かではないが、私のおぼろげな記憶によると当時一部のプレイヤーがそういう縛りプレイをしたのが話題になったような気がするので、それに触発された運営がウケると思って入れたのではないだろうか。ゾンビ構成が流行ったからデスを入れるけどゾンビはさせないように調整する運営なので、雰囲気で実装した後に支離滅裂な運用をするのもよくあることだろう。

さてこのお題の評判はというと、超不評である。何で苦労して作った装備を外して戦わないといけないのかみたいな理由と、単純に難易度が高くてオートマッチングではクリアできないせいだった気がする。当時の私がどういう気持ちでプレイしていたか覚えていないが、苦痛だったらチャンス特技のクエばりに忘れられないのに、アクセ禁止の事はおぼろげにしか覚えていないので、多分そういうもんかと思って普通に戦っていた気がする。

他にも同時に3人死んではいけないのお題(天獄ではなく普通の獄でそういうお題が出ることがあった)が高難度過ぎて荒れたり、3獄で全員バトマスとかになってアイテムが自腹なのはクソだから見たいな理由で配布アイテムが実装されたり、4獄が全員占い師の接待仕様だったけどボスが一匹なせいで1獄より効率が良くて今大量に周回しないと損をする!とプレイヤー間に不安が広がったり等の事案があった気がする。

戦闘内容で荒れたことと言えば、ラズバーンを寝かせるのが普通だったのでラリホーマンがどうのこうので荒れたりとかあったかもしれない。個人的にはオートマッチングでボスを寝かせる戦術は大嫌いである。範囲で巻き込んで削るとギスギス〇になってしまう上に、別に寝かせなくても倒せるボスなら寝かせ役がいると効率が悪くなるからだ。

時代が進んで天獄が実装されると、プレイヤー側のゾンビ性能が高くなりすぎたのに対抗するためか、ファラオ最高幹部会や邪竜神の使徒たちのようなプレイヤーをすごい勢いで頃してくるまるでレギロみたいな強制ゾンビ戦法ボスが出てくるようになった。まあ8人PTに対してある程度高難易度なボスを実装しようとするとこうなってしまうのかもしれない。こいつらもちょっとひどくない?と苦情が多かった記憶があるが、特に修正されるでもなく天獄の仕様的に滅多に出会えないボスになった。ついでにその後のボスはこいつらほどゾンビを強いてくることは無くなったので、やりすぎちゃった自覚はあるのかもしれない。

レギロ式をやめる代わりに運営が考えたのはネロドスの召喚方式だ。これは手下を一時的に召喚することで戦闘に緩急を付けつつ、プレイヤー側が雑魚を始末できない貧弱マッチングでも時間が経つと勝手に帰るのでゾンビ戦闘にならず、頑張っていれば最終的にネロドス1人になるのでほぼ負けないようになっている。Ver6以前のボスはプレイヤーをなんとしても負けさせようとするボスしかいなかったのだが、Ver6で滴葉が弱体化されたのを機にストーリーボスが強くは無いけど演出で楽しませる、FF14のボスのような流れに沿って戦う劇場型ボスになった気がする。天獄のネロドスもその新しい調整方針に沿って生み出されたのかもしれない。

ちなみに私はオートマッチングで誰を最初に倒すかで揉めるボスも大嫌いである。ギスギスするからね。どっちを先に倒してもたいして変わらない位の調整にするか、絶対こいつが最初というのをはっきりさせてほしい。

ここでやっと古代編は終わり。次からは明確なエンドボスとして実装された者たちを見ていこう。

レグナード4


ドラクエ10で最初に実装されたエンドコンテンツは常闇の聖戦。最初のボスはレグナード。パラ構成のボスとして最初に実装されたとは思えないほどの完成度の高さを誇り、そのシステマティックなルーチンはレグナーダーと呼ばれる人々をいまだに魅了して止まない。

私はレグナードに詳しく無いので詳細な解説は省いて基本的な説明に努めさせてもらう。レグナードはいわゆるパラ構成ボスであり、パラがボスを押して魔法が後ろから攻撃、僧侶が回復及びパラの押しサポートをするようなボスだった。

ドラクエ10のバトルシステムが移動干渉になってしまった理由が、開発者がパラ構成のような戦闘を想定したから、みたいな話を太古の昔に聞いた覚えがある。レグナード実装以前にもパラが押すタイプのボスというのは存在したが、既にパラ構成ってパラが押して魔法が呪文撃つだけだから代わり映えしなくね?という、システム的に頭打ちの状態に陥っていたように思う。個人的には、物理PTにも席を振らないといけないエンドボスで、パラ構成で遊べないボスが出るのはしょうがないと思う。しかしいつからかコインボスもパラ構成が無理になったのは意味が分からない。開発的に毎回パラ構成でコインボスを周回されるとマズイ事情でもあったのだろうか……?

レグナードの設計者は他のスタッフから見てもすごい人物だったという話も聞いた。その手腕あってか、レグナードにはパラ構成の『魔法は呪文撃ってるだけじゃね?問題』に対するある程度の解答が盛り込まれている。

まずウィングダイブ・テールスイングという後衛にも届く超射程技で魔法使いにも回避のアクションを取らせる。僧侶は裁きの雷槌への対処と、実装時は一人でレグナードを押せなかった気がするパラと一緒に押してラインを上げる役割があった。最も複数人で押すと移動干渉の挙動が不安定すぎる等の理由か、僧侶にもパラディン並の移動干渉の知識を求めるのはまずかったのか、その後のボスはパラ一人で押すか拮抗で頑張るパターンがほとんどになった。

そしてレグナードで一番特徴的なのが、HP黄色に入ってからのルーチンだろう。ローテの最初が竜の咆哮で、パラどころか魔法もスタンさせる。攻撃すると怒るが、怒り時のローテも竜の咆哮なので何も考えずに怒らせると即崩壊。レグナードに挑む者はこのローテーションやルーチンの仕組みを理解する必要がある。もちろん後ろで魔法撃ってるだけの魔法使いもこれを学習しないといけないわけで、設計者はこれによって『魔法撃ってるだけ問題』を解決しようとしたと思われる。

個人的なレグナードの感想は、実装当初はそもそもエンドボスにプレイヤー全員が慣れていなかったので強かった。当時は強さが日替わりではなくランダムという信じられない仕様で、実装初日のあまりの強さにおののくプレイヤーに投げられた『今日のレグナード様は強さ1です』というりっきーのコメントで界隈が戦慄したことはいまだに憶えている。レグ4の頃は今ほどエンドボスの寿命が短くなかったので結構遊んでいた気がする。

レグナードによってパラ構成ボスに新たに浮き上がった問題点は、『プレイヤーがミスしない限り何も起こらないので、ミスを誘発させるような挙動やシビアな反応を求められる』『ロジカルな戦闘なのでルーチンが激しくなる黄色までが虚無』『移動干渉の挙動が不安定』といった点だろうか。

ダークキング4


レグナードの次のボスがダークキングだ。ダークキングは当時全盛期だった戦士が活躍したボスで、真やいばくだきのデバフを維持することで即死級のキングプレスに耐えられるようにしながら戦闘するようなボスだった気がする。前衛は戦士二人で、後衛は当時補助職として機能していた道具、ちなみにこのころから道具がしずくをばらまいてヒーラーする発想はあった気もする。そしてヒーラーは僧侶。全ての攻撃が単発なので聖女ゲーの元祖だったかもしれない。聖女があればどんな攻撃でも単発なら容易く耐えるのはエンドコンテンツとしてボスを実装し続ける上で障害になることを運営が認識したのか、今後のボスは基本的に聖女対策で多段攻撃がデフォになった。

戦士が活躍したと言ったが、運営が戦士用に設計したボスなのかは今の視点で見ると疑問だ。というのも、『〇〇が強すぎるから耐性をつける』『戦士にばかり席が出来てしまうから武が活躍できるような調整を行う』みたいな発想が当時は無かった可能性がある。特に意地悪な事をせずに当時の常識に合わせてボスを作るとスペックで入る職が決まるわけで、自然と戦士が入ってしまうだけだったのかもしれない。

ダークキングで特筆すべき点と言えばクリスタル召喚とレーザーだろう。パラ構成ボスだけでなく実は物理構成ボスもプレイヤーがミスしなければ何も起こらないので、引っかけるような仕様が盛り込まれることがある。レーザーの配置はとてもランダム性が高いので、それに対処するのに腕が問われて面白いということでダークキングは人気のボスだった気がする。

メイヴ4


次のボスがメイヴだ。これまた全盛期だった戦士2人にこの世の春を謳歌していた占い師、そして僧侶という構成だった気がする。ちなみにダークキングが強すぎと言われていたせいか、メイヴ4はそこまで強くされなかった気がする。

メイヴには新たなギミックとしてゲノムデビルと石割のギミックが盛り込まれた。占い師の搭が石を割るのにとても都合がよかったので採用されていたというのは、今考えると奇跡的な時代に思えてしまう。

ギミック云々よりもメイヴで問題になったのは『また戦士か』というプレイヤーからの不満かもしれない。これは本質的に、『同じようなボスを実装してはいけない』という意味でもある。戦士の多さに本当に不満が多かったかは正直憶えていない。当時の職バランスは今よりもっと酷かったと思うので、そもそもプレイヤーに戦士以外で遊びたいという発想があったかどうかを思い出せない。だが運営も戦士以外(?)からの不満を真に受けてしまったのか、次のボスであいつを実装してしまう。

アストルティア防衛軍


Ver4と同時に実装された永遠のハムスターコンテンツことアストルティア防衛軍。これを切っ掛けに大発展した概念があるので、エンドボス攻略の歴史として触れなければならない。

防衛軍のボスのHPは推定60万以上と、当時としては膨大。そして景品がとても良いため、プレイヤー達はこのボスを効率良く倒すためにとてつもない研究を重ねた。その結果シナジーの概念が今までになく研ぎ澄まされていった。

今までの戦闘でのシナジーは4人戦闘が基本だったので、ガジェット+レボやFBだけの場合が多く、それ以外のあらゆる火力バフも組み合わせて攻撃するという価値観は薄かった。だが固定同盟PTなら道具と魔戦を一緒のPTに入れられるし、ウォークライが使えるまものも自然と採用できる。場合によっては踊り子の会心まいしんラップや占い師の愚者も含めたすべてのシナジーを合わせることも検討できる。

結果として、『シナジーはできれば他のシナジーと合わせて使う。その際、効果時間が長いものを先に使う。CT技があればシナジーと合わせる。』という原則が出来た。一見ただの常識のように思えるが広まったから常識なのであって、もしこの原則を誰も知らなければお互いに動きを合わせることなどできない。今でも開幕にチャージしたアヌビスを即使ってしまうレンジャーとかいるわけで、知らないだけで出来なくなる事はある。

シナジーでダメージが増える仕組みが、別の倍率カテゴリと掛け算してしまうダメージ計算式によるもの、という知識もプレイヤー間に少し広まって言った。学問が進んだ結果、このゲームは最終的にダメージとダメージ上限がイコールになるので通常攻撃が最強になる、という最末期の状況も予言されたかもしれない。バトルロードとか既にそうなっちゃった。

なんでCT技より通常攻撃が最強なんだよという当然の疑問への答えを追い求めると、多分ドラクエ9がそういう設定だからそれをそのまま持ってきてるだけだと思われる。何でドラクエ9がそういう設定かというと、多分テンションのせいだろう。ドラクエ8でSHT+特技が猛威を振るったから、ドラクエ9ではテンションでエライ事にならないよう特技のダメージ上限を低くしたと思われる。それでも暴れてたのでドラクエ10ではさらにテンションが攻撃の1段階目にしか乗らないようにされた。しかし最終的にはテンション以外のシナジー要素が大量に出たことで、ダメージ上限の合計値が低い単体技が割を食うだけの設定になってしまった。

素人の意見としては、テンションで増えるダメージ量にキャップでも付けるか、テンション自体を撤廃しておくべきだったのではと思う。ドラクエ10以降のドラクエ作品ではテンションがあるとバランスを取れないことが周知されたのか、テンション自体消えたり全く別のシステムになっていることが多い。ただ現状のドラクエ10はバランスが既に末期的で、テンションとか関係なくダメージ上限でプレイヤーの火力をコントロールするしかないのは事実なので、もうどうしようもない。

なお、実装初期の防衛軍では魔法構成によるボス討伐も行われていた。最初は物理PTと違ってそこまで慣れていなくても倒せるという評価だったからだ。魔法職は不気味デバフと超暴走魔法陣による暴走シナジーがあるので実は物理PTよりシナジーの総量が多くなる気もするのだが、ダメージ上限が低いのですぐ頭打ちするという欠点がこの頃から既に重く、次第に見かけなくなっていった。地味に魔力かくせいが与ダメージ枠なのでガジェット・猛攻の書等とも相性が悪い。

レギルラッゾ&ローガスト3


次のボスは常闇シリーズから聖守護者シリーズとなり、強さが4まであったものが3までとなった。

聖守護者で最初に来てしまったのが超問題児のレギルラッゾ&ローガストだ。このボスは本来の運営の想定ではパラ2名と魔法2名で戦う想定だったと言われている。ただ、実際にそれで戦おうとするとローガストの大地の爪牙の出が早すぎる等、数々のキチガイ行為によってまともに戦闘が成立しないらしい。

プレイヤーがどうやってこいつらを倒そうとしたかというと、初日のつよさ1は今までの流れを汲んで戦士二人と僧侶みたいな構成だった気がする。あと1枠が天地か占いのどっちだったかは思い出せないが、組んでいた戦士に「バイキくださいってかんじですねw」みたいなことを言われたのを未だに根に持っている。強さ2で界隈はすでに絶望感に包まれるも、このあたりで『戦士を抜いてキラパン入れて占いと天地と僧侶でゾンビした方が強くね?』みたいな空気が流れはじめた気がする。

強さ3は実装がバグがどうのこうのを理由に少し遅れた。後の運営のインタビューの中で、実装直前のボスの強さを調整させてもらったみたいな内容の話があった気がするが、もしかしなくてもレギロ3の事だったりするのだろうか?

そして強さ3では戦士さんは完全に息の根が止まり、パン様と人間3人で組む今までにない全く新しいエクストリーム競技、ゾンビレギロが開幕した。私もスピードと狂気にあふれるゾンビ戦闘と占い師が結構楽しくて当時はよく遊んでいた。今やれと言われても老化を感じるので辛いかもしれない。

ちなみに戦士と占いはVer3の終わりに弱体され、レギロはVer4.1の実装だが、このころはまだ戦士も占いも元気だったような気がする。その後は坂を転がり落ちるという表現がぴったり。

さてレギロの何が問題だったか考えてみよう。

まず、本来パラ構成を想定していたにも関わらず、ボスの行動設計に無理がありすぎた上にそもそもパラ2人を要求するのが無謀。

次に、複数ボスだったために範囲攻撃の火力が二倍になり、本来アタッカーとして起用されないはずだった天地・キラパン・占い師が強くなってしまった。

最後に、ゾンビ戦闘が完全に運営の想定外だったこと。

トドメに、戦士をしていたプレイヤーにかなりのダメージを与えたと思われる事だろう。

レギロのヤバさの根本は、パラ構成用ボスとして真面目に考えたのにこうなっちゃったことにあると思う。そしてこの時点でパラ構成はパラに火力が無いせいで何も対策しないとゾンビ構成化することが発覚していたのだが、運営はこの病巣がレギロに限った問題ではないことをまだ認識していなかったと思われる。

そもそもなぜパラ構成ボスを実装したのかと言われれば、ダクキンとメイヴが物理構成向けのボスだったから次はパラ用ということでしかなかったのだと思う。運営がやたらパラと魔法に忖度するのは、メイヴで出た戦士ばっかりみたいな不満への対処と、ゲームコンテンツ的に魔法とパラを定期的に優遇しないとそれ用装備が死ぬという都合があると思われる。

普通に想定されるパラ構成ボスはレグナードで完成してしまっているから、普通にパラ構成ボスを考えてもレグナードの焼き直しにしかならない。だからダブルボスでパラ用とかいうエキセントリックな発想になってしまった、と想像している。同じボスを実装しないために改良したからと言ってこんなボスになってしまうのはよくわからないが、高難度のボスにしようとしてさじ加減を誤ったのだろうきっと。

じつはレギルラッゾの攻撃が持っている要素はレグナードとそっくりだったりする。ウィングダイブ互換のシールドブーメラン、テールスイング互換で犬を攻撃中の魔にも届く獄門クラッシュ、はげおたの代わりにシールドバッシュ等、パラ構成を崩すための要素をレグナードからそのまま受け継いでいる。つまりレギロというのはちょっと弱いレグナードであるレギルラッゾにキチガイドッグことローガストを追加したボスと言えるかもしれない。

スコルパイド3


レギロの次に実装されたボスはスコルパイド。闇落ち引退を多数生み出したとされる忌まわしきボスだ。実際私の周りでも何人かフレがinしなくなった記憶がある。レギロの時点でも戦士をしていたプレイヤーが引退した疑惑があるし、後々の事を考えると『ボスに席があると思われた職を本番で振り落とす』行為の方がヤバイ気がするのだが、当時レギロで露骨に引退した話に憶えはない。レギロはクソゲーだけどなんだかんだ頑張ればだれでも倒せたのが大きかったのかもしれない。

それにボスがクソだと、今ミスしたのは運が悪かったせいとかボスがクソなせいとか言い訳が効く。スコルパイドのようなゲームは言い訳ができないので、もうだめだと思ったらやめるしかない。不幸だったのはこれほど強いボスはドラクエ10の歴史で初めて登場したわけで、こういう事態に免疫の無いプレイヤーが真正面から取り組んでしまったことだろう。その結果、ショックを受け流せずに闇落ち引退者が多数出てしまったのだと考えられる。

さてスコルパイドがどんなボスかというと、レギロのソンビゲーで批判が相当の殺到したであろう運営はゾンビゲーの対策に迫られた。そこで目を付けたのが、当時から運営やユーザーの中に発想だけはあったであろう『まものつかいがHPリンクを維持しないと戦えないボス』だった。

構成はまもの二人に当時息をしていた補助職としての道具、もしくはまだスペック的に使い物になった占い師。そしてギミック対処の為の賢者。当時でた短剣のグラフィアスに虫特攻が付いていたこと、サブヒーラーが必要になる事などから実は踊り子を壁役に想定していた可能性はあるが、スコルパイド3の時点では全くテンプレにならなかった。この当時はまだまものがツメだったのでまもの以外の壁役を入れる必要が薄く、またその発想もなかった。フォロー専門の補助職を入れたほうが勝ちやすくなるとプレイヤーに思われていたのかもしれない。まあ道具の滴がぶっ壊れすぎていたので単純に踊りより道具にサブヒーラーをさせたほうがよかっただけ説もある。

運営の中に発想だけはあった、という部分がこの怪文書的には重要だ。同じようなボスを実装してはいけないという不文律があること、当時元気になって来ていたFF14の影響もおそらくあることから、運営はギミックをつかった新しいボスを出そう、という発想に至ったのだと思われる。運営がどれだけのギミックのアイデアを保持しているのかはわからないが、普通のボスを実装するとまた戦士ゲーになってしまうこと、既知のアイデアで目新しいものと言えばHPリンク位だったからまずそれを使ったボスを作ろうということになったのかもしれない。

スコルパイドとの戦闘がどんなものだったか話そう。最大の特徴はHPリンクを採用したことでデスペナルティが重くなったことだろう。普通のMMOは戦闘不能になると衰弱状態になって能力値が低下するとか、そもそも蘇生のコストが馬鹿重いとかが、よくあるペナルティとして設計されている。DQ10はなぜかデスペナルティがバフの解除(デバフも解除されるのはよく考えるとデスメリットなのおかしくねえか……?)くらいで、デスペナがあり得ない位軽いという信じられない設計である。HPリンクを採用することでこの欠陥を実質的に解消して気軽に死ぬことが許されなくなり、さらにザオトーンというゾンビ絶許状態異常が初実装されたことで、ゾンビ構成に完全なるNOを突きつけている。

ボス側の行動はというと、HPリンクゲーという性質上、運ゲーで死ぬケースがあるとかなりアレだと思われるためか、ダクキンのキングプレスおよびレーザーやメイヴの触手連打のような、防御バフが無いと即死する技をホイホイ放ってきたり、当たり所が悪いと助からないといった運ゲー技が排除されている。レギロはレグナードに似ている部分があったが、スコルパイドはメイヴにもダクキンにもあまり似ていない。

運要素が排除されたことで、プレイヤーを引っかける要素が運ゲー以外に必要になったせいか、基本技として熱波やブラッドウェーブ、覇軍からの絶や出が分かりにくい上に発動が早い血陣のような、当たったら死ぬ系の技を素早いモーションで繰り出してくるようになった。それ以外にもザオトーンアビスに奇跡の雨を合わせないとしぬので別途サブ回復要素が必要になるとか、分散で頭割りという概念が初登場するなど、FF14のヒーラー同士の役割分担やギミック的な要素が輸入されてきた気配がある。

結果としてスコルパイドはアクションゲームのようなゲーム性のボスとなり、バトル勢プレイヤーが増えるきっかけとなった気がする。しかし一方で、その高いアクション性とHPリンクによって自分がミスすると他人を直接道連れにする精神的負担がライト層の心を折った。今までのエンドボスはなんだかんだ勝てる難易度だし戦闘にすらならないということは少なかった気がするが、スコルパイドは明らかに高難度になってしまったせいでもうゲームについていけないと感じた人たちが引退してしまったと思われる。

個人的にスコルパイドの感想を述べると、ランダム要素がほとんど無いせいかHP白時は虚無くて嫌だった気がする。そしてこの当時はまだ補助職としての道具が生きていたが、私は補助職でミスをフォローする動きが好きだったので道具が楽しかった記憶がある。ただアビスの度に道具の滴が飛ぶことが当時すでに問題視されていたのに、運営の出した解答は超やくそうとかいう滴より高いアイテムを実装することだったのは、何を考えていたらそうなるんだろう。

また、当時すでに3人討伐で踊りやバトを採用するなど壁をまも以外の別の職にしていたので、まもまもの構成に火力の無い補助職を入れるよりアタッカーを増やしたほうが強く、補助職がゲームについていけなくなる前兆はあったのかもしれない。

ジェルザーク3


スコルパイドで多数の引退者を出したことを運営も認識したのかはわからないが、次のボスであるジェルザークはそれに比べたら控えめの難易度となり、なによりザオトーンが搭載されなかった。レギロでゾンビに苦情が出た後、そのゾンビを防ぐためのザオトーンにも苦情が出たというような流れだった気がする。クレーム対応してて嫌にならないのかちょっと心配だ。スコパの難易度が純粋に高かった問題もあるが、ザオトーンのせいでミスをしたら即終了というのが単純にゲームとしてあまり評判がよくなかったのだろうか。

ジェルザークの最大の特徴と言えば、DPSチェックの概念が初めて明示的に導入されたことだろう。これまでも制限時間に対して火力が足りなければボスを倒せないという、ゲーム自体の基本ルールとしてのDPSチェックは存在した。この明示的なDPSチェックというのは、一定のタイミングで一定の火力を出せなければ失格なので帰ってください、というような仕組みの事で、ジェルザークの場合はマグマ飛ばしがそれに該当する。

何故ジェルザークに初めてこのギミックが導入されたのか考えると、おそらく魔法構成とDPSチェックのゲーム的な相性が良かったからと考えられる。もちろんこのころからボスにFF14の影響が強くなってきたっぽいのも一因ではあると思う。魔法構成は魔法使いが魔法撃ってるだけになりがちと再三に述べてきた。魔法構成は敵の攻撃の事を考える要素が少ない変わりに、超暴走魔法陣などの自己バフを効率よく焚き、尚且つ味方同士でうまく共有することが構成的としてのギミックになっている。魔法構成に対してDPSチェックするということは、そのギミックを実践しているか否か、ダメージ効率を考えて技を選べているか、そのテストという意味合いになる。

例えばの話、ローテ行動であるマグマが来る前に陣も敷いてないしガイアーはさっき使っちゃったし、炎上するソルジャーの前で早読み無かったので杖をホォォォワワン……ってやるような魔はおかえりください、というボスからのメッセージというわけだ。

物理ボスに対してDPSチェックを行っても、単に同じスキルで殴るだけの時間になってしまう可能性が高い。そのため同じ聖守護者でもスコルパイドとデルメゼには搭載されていないのかもしれない。その代わり物理ボスは戦闘全体がDPSチェックみたいな難易度になっている気がする。

ジェルザークは魔法と物理を両方許容するかのような耐久パラメータになっていることも注目すべきポイントだろう。これまでのボスは魔法向けならレグナードのように守備が高いか、レギロのようなキチガイ行動搭載で物理ではとても攻撃できないかのどちらかで、物理での攻略は困難だった。

物理向けのボスの場合は、シンプルに属性耐性がきつくて魔法を採用してもダメージ的に弱いし、物理職への補助役が必要なので魔法を無理やり入れても得しないという設計だった。

ジェルザークは運営的には一応魔法構成想定と思われるが、守備力がそこまで高く無いので物理でも一応可能。そしてその後のアプデでバトが唐突に強化されたため、バト2~3人の物理構成での攻略が可能になった。

なおジェルザークは物理職に殴らせる気の無い技構成なので接近して殴ると即死級の範囲攻撃が避けられなくなる。黄色以降は真面目に戦うよりも深く考えずにゴリ押したほうがいいという点で大分クソゲーである。さらに時代が進むとまもまも〇僧構成になったようだが、そのころには完全に行かなくなっていたので事情が分からない。

その結果つまりどうなるのかというと、物理と魔法が両方遊べるボスは物理でしか遊べなくなる。ジェルザークはこのゲームのPT構成は根本的に数パターンしかないことを証明した。

古代アストルティア編の項目等で、最初は魔法構成だったけど最終的に物理になりました、とずっと書いてきたが、ジェルザークの変遷でエンドボスがそうなるのはマズイ、と運営に認識されたのだと思う。

まず魔法構成のパターンを考えてみよう。パラで押せる場合はパラ、押せなか押す意味がない場合は魔戦・レンなどの本人が何もしなくても火力を出せるタイプの職がつっかえ棒として壁役になる。

もし魔戦・レン・パラなどの魔法を補助する職より、武などの物理アタッカーの方が火力を出せる場合、魔法を抜いて物理PTになる。魔戦等より武のほうが強いけどそれよりさらに魔の方が強い場合は魔が壁になる。

具体的な構成例はパラ・魔魔・ヒーラー、魔戦・魔魔・ヒーラー、魔魔魔・ヒーラーなど。魔戦と魔が一緒に入っているジェルザークや古の走馬灯が数少ない物魔混合PTかもしれない。ガルドドンもこの構成に近いが、魔戦が物理攻撃をできないのでちょっと違う。

物理PTの場合、最初に肝心なことを言っておくと物理職と魔法職が一緒に入るパターンが無い。

補助が不要な場合、存在が許されている物理前衛3人とヒーラーという組み合わせに収束する。たとえばジェルザーク物理は補助が特別必要ないので普通はバト3人に僧侶の構成になったし、イカ5は道具の補助が必要なので武武道僧になったが、最終的には道具が別にいらないので武武武僧とかのパターンが成立してしまう。逆に言うと同じアタッカー3人とヒーラーの構成はゲーム的に二番目にバランスが悪い構成なので、そうならないように補助を入れる圧力がボス側からかかるようになっている。

なお一番バランスが悪いのはババババとか魔剣4人とかの自己回復が強すぎるアタッカー4人の組み合わせで、これが成立する恐れが出てくると運営は即座に原因をナーフする。

補助が必要な場合は前衛を1人抜いて道具・魔戦・レン等の補助系の職を入れる事になる。魔戦の場合は補助というよりも魔戦自身の火力が3人目のアタッカーより高くなるから入る。現在の環境だと火力用のバフを目的に補助職を入れさせようとしても、補助職がインフレについて行けず不要になってしまうので、ブレス対策や雨用のCT短縮などの防御面の圧力を強くかけることで構成から抜けないような調整になることが多い。

ここで例えば武魔マセ僧みたいなバランスよさげの構成にならないの?という疑問が湧いてくる。職に制限が無いなら一番強いアタッカーを2~3人入れるので、アタッカーが別の2職になることは無い。魔より武の方が強いから武を入れてるわけで魔法の入る余地はない。物理と魔法が混ざらないのが、魔法構成という物が存在している理由ともいえる。物理向けのボスをずっと作っていると魔法職は一生エンドコンテンツで遊べない事になるからだ。

いや少しばかり表現を間違えた。正確に言うと優遇しなければならないのは遠隔魔法職ではなく近接職の方だ。簡単な話、近接と遠隔の火力が同じくらいなら近接職を使う理由などない。近接が範囲で苦しんでる間に遠隔はボスを一方的に殴り続けるのだから、遠隔の方がゲーム的に強いわけだ。実際はるか古代のアストルティアでは魔法の方が物理職より強かった時期があると紹介した。その結果、魔法強すぎて物理いらないじゃんという苦情があったため、魔法使いのCT呪文が延長されるナーフが行われたという顛末だった。

まあ魔法さんの事はどうでもいいんだけど、海賊としては近接と遠隔がPTに同時に入らない原則があると非常に困る。海賊が魔法PTに入ろうとしても、魔法PTはシナジーありなら魔法の方が海賊より強くなるという原則があり海賊は基本的に混ぜてもらえないので、物理PTに混ぜてもらうしかない。だけど近接アタッカーは基本的に遠隔職の海賊より強くなるように調整されるし、補助職の枠を狙おうにも、この枠は補助が必須の圧力によってゲーム的に保護されており、海賊が代わりに入ると防御的なバフが無くなるので苦情を言われる。一応海賊は魔法と違って敵の属性耐性を理由に候補から弾かれないし、そもそも職単体なら魔法より大分強いので、魔法よりずっとましな気もする。しかし運営はどうしても海賊が近接職や魔法職より強くなるのは嫌なようで、私は1年前のフラウソンを切っ掛けにそのことに気づいて今後のエンドコンテンツに海賊の席がないことを悟り絶望した為、引退お気持ち表明文を出力してしまった。

物理と魔法のPT構成の原則について話したが、これ以外に特殊な物理PTとしてまも二人とまもより強い火力を持つ物理職を壁担当として入れるHPリンク型、ゾンビ性能が高い職を集めたゾンビ型、それの変形でゾンビ性能と単体スペックが高い職と生物を集めたサポ討伐型、やばいスキルを使って悪いことをして最速討伐を目指す理論値TA型、などが細かなPT構成のパターンとして考えられる。

とにかくまとめると、ジェルザークではDPSチェックと存在できるPT構成のパターンがおぼろげに分かったということである。

レグナード5


次のボスは私の記憶が確かなら常闇5シリーズだ。レグナード5は4が硬く早くなっただけで4と基本的に変わらない。基本的に前と同じなのであまり説明するところがないが、あまりにも強くなったので僧侶がクビになった事は書いておいた方がいいかもしれない。

そもそもパラ構成ボスは後衛には攻撃が余り飛ばないので、4の時点で僧侶は暇を持て余し気味だった。5は一応魔魔僧の構成でも倒せるはずだが、僧侶が出来ることは滴を持った魔戦にも大体できてしまう一方、ミスしたら終わりで僧侶が居たおかげで助かる事象がないので、火力不足で負けるのを防ぐためにそうなってしまった。

レグ5はメイヴ5と比べると弱く、ダークキング5と比べると常識的な強さと戦闘内容だったせいか、それなりに遊ばれた。

メイヴ5


ダークキング5とメイヴ5には注目すべき点がある。この二つのボスはセールスポイントが真逆であり、それがボス史を考える上で重要なターニングポイントとなった。

先にメイヴ5の方を紹介しよう。大きな特徴が3つある。これまでのボスとは逆に、職業側をボス側に合わせて調整したこと、磁界シールドを維持するタイプの戦闘なこと、そして滅茶苦茶に強いことだ。

これまでのエンドボスはその時に何となく存在するバランスに合わせてボスを設計していたので、ボスを攻略するためにその職を強化することはささやかにしか行われていなかったと思う。だがメイヴ5は実装と同時にそれまで息をしてなかった武が魔改造&超強化された。もしこの調整が無ければ、その時点で最強と思われていたまものHPリンクPTで攻略するボスになったと思われるが、その予測を覆してきたわけだ。逆説的に何故武が強化されたかのかは、まものHPリンクPTのボスばかり出さない為と言えるかもしれない。

新生した武は武器をツメからヤリへと持ち替え、それまで『武のテンションが高いと強いから武の技はテンションと相性を悪くしますね^^;』という簡悔極まる調整から、ヤリの単発技とテンションの相性がとてつもなく良いので分かりやすく強いという、設計者が無能から別人になったとしか思えない噛み合った調整に変更された。超強化された武は今までの職とは一線を画す操作感と、それまでの物理職にはあまりなかったスキル回しの概念の強化により、エンド勢にはかなり好評な職になったように思う。

最も、この強化で武はその時点のバランスとして単体範囲共にあまりにも強くなりすぎたから、その後のゲームバランスをかなりインフレさせたきっかけになってしまったと思う。ちなみにヤリ武の台頭によって以前強化されていたバトマスさんの春は短く終わった。ヤリ武を強くする予定があるから、相対的に超弱くなるバトを先に強化してただけという事だろう。なおバトは火力しか長所が無いせいで、今までもこれからも強化されては要らない子になるを繰り返す。この事案から、先にやたら強化された職はハシゴを外されて転落する傾向が強いというのは憶えておきたい。

ちなみにこの時ほかにも旅とレンというどうしようもなかった奴らが調整され、初めてまともな職業として評価できる水準になった。この時の調整に共通する意図は、火力を職業の価値として明確に定義づけたことだと思われるし、逆に言えば補助性能を価値にカウントするのをやめたのかもしれない。これまで旅とレンがダメな職だったのは、火力の無さに見合うほど補助面での価値がなかったからだが、そういう調整をやめたわけだ。このアプデではパラディンも片手剣を使えるようになり、これもパラの火力のなさが問題になっていることを意識した調整と思われる。

これ以前の旅やレンのダメっぷりを知っているとなぜ急に運営がまともな調整をしたのか謎だが、私が勝手に想像したところによるとやはりFF14の影響なのではと思う。向こうでは火力をはっきり計測する文化があるため、職業の価値は火力そのもので考えられていると思われる。それにロールの概念を元に職業の役割が決められている点も違う。FF14はそもそもDQ10でいう道具使いのような補助を専門にするジョブがない。そう言う職は調整が難しいので最初から存在しないらしい。これらの環境の違いの結果、FF14ではヒーラーとタンク以外は全員アタッカーとして火力を出すロールに分類されているし、ヒーラーとタンクもある程度の火力を持っている。DQ10運営もこれらの価値観の影響を受け、補助職や旅芸人をロールとして成立させようとしていたのを諦めて、それぞれアタッカーと火力寄りのヒーラーとして再構成したと言うことかもしれない。DQ10とFF14で1番違う点はタンクロールの火力の有無だろう。DQ10のタンクは本来の想定ではパラディンだけだが、それに火力が全く無いせいでパラ構成の様々な欠陥の元になってしまっている。運営は異国のタンクのありようを見たから、それまで頑なに火力を与えなかったパラディンに片手剣を追加する決断をしたのかもしれない。

そろそろボスの攻略内容の話を始めよう。メイヴ5は攻撃のダメージが基本的に味方のHPを超過している為、磁界シールドの維持が必須の設計になっている。これも当時から発想だけはあった『磁界シールドを維持するボス』というギミックのアイデアを実践したものと思われる。これによって補助職枠の道具使いにもふわっとした内容ではない明確かつ難しい役割が与えられた。ただ磁界シールドは耐久面で利権を獲得できそうな性能であるにもかかわらず、その後のボスではこれ用の調整が余り行われなくなった。おそらく同じようなボスを実装しない為と、その後のコンテンツが比較的低難度の咎人にシフトしたことで、そこそこ面倒な磁界ギミックを採用できないのだろう。あと石割ギミックによって道具にかかる心理的負担があまりにも重すぎるせいか、メイヴの道具自体がそんなに好評な職では無いと思う。

メイヴ5はこれまでのエンドボスとは比べ物にならないほど強かった。運営は今までなんだかんだ常識的に倒せる範囲のボスしか実装してこなかったが、この時期に心変わりでもあったのだろうか。関係あるとすれば、FF14では絶と呼ばれる超絶難易度のコンテンツがあるので、DQ10の運営も『やばいくらい強いボスを実装してもいいんだ!?』という発想になったのかもしれない。ただ超難しいボスを実装すると、ほとんどのプレイヤーは遊ばないとか、闇落ち引退が増えるとかの事案はスコルパイドで既に存在していた。なので強くするボスは既に存在するボスの使いまわしにすることで開発コストを削減、さらにVer5のアプデと同時に実装することでメイヴ5をするしかないという状況を避けて、スコルパイドのようなショックを巻き起こさないようにしたと思われる。そしてその判断は非常に懸命だったと私は思っている。ちなみに私はメイヴ5は嫌いだ。スコルパイドと同じ理由で虚無感を感じるし、やっててしんどいだけで楽しかった思い出が無い。

このように一時代を築いたメイヴ5だが、Ver6.5前期に行われた状態異常の仕様変更の影響を受けてどろはきで毎回鈍足になるクソボスと化してしまう。ゲーム全体に影響が及ぶバランス変更には今まで消極的だったのに、ここに来てそれを行わないといけないような差し迫った状況でもあったのだろうか。

これまでのエンドボスにも酷い仕様が沢山あったが、ストレスの元になるデバフを回避不能で連打してくるというのはさすがにこうなったメイヴが初めてである。一応運営も全く対策しなかったわけではないはずで、道具のブメスキルでCTを短縮したのはこれの対策だった可能性もある。道具を強要しておけば補助職を抜いてアタッカー3人にするのも防げてバランス自体もよくなるはずなので、メイヴのどろはきだけ個別に修正するようなこともしなかったのだろう。

ちなみにそこまでして仕様を変更した理由はゲームを分かりやすくするためみたいな説明がされていた。確かにこのゲームのバトルの仕様や効果の説明は意味不明なものが多いので致し方ないのかもしれない。なお、これ以降もフリーバッジの雷属性の特技と呪文ダメージ+100とか黒夜叉の攻撃力上昇時特技ダメ+20とか、分かりにくい仕様はいっぱい出てくる。

ダークキング5


そしてメイヴ5と相対するボスがダークキング5だ。特徴を一言で表すと、とてもよわい。

どう弱いかというと、とにかくHPが低いの一言に尽きる。メイヴ5が85万に対してダークキング5は35万。HPが半分以下しかない。DPSが300もあれば20分以内に倒せるレベルだ。現在ならニードルマンと海賊を放牧して眺めていれば7分前後で倒せると思われる。ボスの行動自体はヤケクソじみた内容だったりするのだが、HPが低いのでなんかやってれば倒せてしまう。

そのため実装当時でも火力を正攻法で追求した構成より、ゾンビ構成で倒したほうが楽という環境を生み出した。火力そのものは正攻法の方が早いと思われるのでレギロとは少し事情が違う。ゾンビという結論構成がボス側の妥協した強さを許さずバトルバランスの足切りをする世界になってしまったと思う。ちなみに当時のゾンビ役は両手剣バトマス二人と僧侶二人か僧侶+キメラだ。ダークキングはボスとしての設計が古くて聖女や天使になすすべがないこともゾンビ有利に拍車をかけている。

ボス弱いことによる弊害は色々あるが、最大火力PTの研究をする必要がなかったということは、つまりボスの研究がまともに行われなかったという事だと思う。それまでのボスコンテンツはそのボスの事を研究して遊ぶコンテンツだったものを、何度も戦って研究する必要のないコンテンツになったという事だ。ボスが弱いと真剣に何度も遊ぶ人がいなくなると言い換えてもいい。もちろんゾンビ構成で倒す人が真剣に遊んでいないという意味ではない。むしろその方が効率がいいからそうしているというだけだ。ちなみに私は初回は一回倒せば終わりだからと道具で滴ぶっぱした記憶がある。滴とゾンビどちらがマシと言われたらゾンビに決まっている。

なぜダークキングのHPがこれほど低かったのか理由は定かではない。おそらく物理ボスなのがメイヴ5と被っていること、メイヴ5がとてつもなく強いから、メイヴで遊べない人にはダークキング5で遊んでもらおうという思惑だったのではないだろうか。しかし現実として、メイヴ5は余り人口はいないながらも後々まで遊ばれ話題になるボスになったが、ダークキングはゾンビで適当に一回倒して終わりで、後から称号を取ろうにも人が集まらなくて苦労するようなボスになった。

HPが低かったもう一つの理由として考えられるのは、ダークキング4実装当初のような戦士構成を想定した説だ。このころの戦士はVer3の終わりに弱体されたっきり特に強化されてない。つまり終わりに終わっている時期だ。その戦士の火力でも倒せるようなHPに調整した結果こうなってしまった可能性がある。そうだった場合、運営は戦士の火力が低くても、安定性を高めることにプレイヤー側の需要があると思っていたかもしれない。実際は余りにも火力差があると、火力が高い側の価値が小側の持つ価値を兼ねるようになるので、補助職が首になっていくのと同じ理由で火力が無いアタッカーも首になる。バトの本来の火力がゾンビで下がりまくっても戦士のひっくい火力とつりあってしまったし、運営はそれで戦士がクビになることに気づいていなかった。ついでに言うともしゾンビではない物理PTを想定しても武武道僧になるので戦士はどっちにしろ入らない。

何故人はボスが弱いと一度しか遊ばないのかということについて深く考えるとまた文章が長くなってしまいそうなので考えないことにするが、ボスが余りにも弱いと一瞬で廃れるという原則がこの時生まれた。

ただ、弱いので誰でも挑戦できるダークキング5と、余りも強すぎてごくごく少数の人しか遊ばなかったであろうメイヴ5とで、どちらが運営的に成功のコンテンツだったのかはプレイヤー目線ではわからない。

ガルドドン3


ボスについて軽い気持ちで考え始めたら書き終わりがかなり先な事に今更気づいて後悔している。だがもはや止まれない。次のボスはガルドドン3だ。

このボスは本来であれば純粋なパラ構成での攻略が想定されていた。既存のいわゆるレグナードタイプのパラ構成はレグナードとレギロ(大失敗したが)でやりつくしてしまった。なので新たなパラ構成のパターンを作るために『奇跡の雨を維持するギミック』を盛り込んだと思われる。奇跡雨は賢者一人では維持できないので二人で回すことになるが、その分担作業をゲーム性としたわけだ。魔法構成は魔法撃ってるだけになりがち問題に防御面やスキル回しで負担をかけるアプローチである。このギミックの都合で魔法ではなく賢者を採用させるためなのか、炎耐性は0.65倍と謎に高い数値になった。

当時のガルドドン3がどんな内容だったかというと、運営はおそらくジェルザークで物魔両立が不可能なことを悟ったので、高すぎる守備力とおまけに回避率、尚且つ近接攻撃させる気が無い高性能な範囲技の数々で物理職を出禁にした。このような極端な対応はダークネビュラス以来だろう。魔法職に確実に席を与えるためにこのような調整にしたと思われる。

当初の討伐構成はパラと賢者二人に魔戦を採用。パラが拮抗までしか重さを上げられないので、賢者二人は敵に押されながら陣を維持して呪文で攻撃していく。魔戦はFBとクロックで補助。

ガルドドンは遠タゲ近タゲのルーチンをプレイヤー側が初めて認識したボスであり、レグナードなど従来型のパラボスと違ってパラが抑えていてもタゲ下がりが発生しにくいため行動回数が多く、後衛に対しても岩や分散を積極的に投げつけて防御行動を強いてくる。地味にマホカンタを定期的に掛けてくるので、それを賢者が消すというギミックも盛り込まれているが、このルーチンによりマホカンタを消しに行った賢者が近タゲ範囲やたたきつぶしでしぬ自体もかなり頻繁に起こるようになっている。岩はターゲットが他を巻き込まないように離れて防御で耐えることになるが、呪文職は敵の行動を無視して常時攻撃することを前提にダメージを調整されているので、こういったテンポロス行動には弱い。

さらに凶悪なのが、このボスのギミックである奇跡雨の維持を強要するための分散する災禍のダメージだ。約3500ダメージということは4人で割ると875、当時のHPはパラでも800台だったようなので、つまり普通に分散に当たると死ぬ。奇跡雨が維持されていれば655程度のダメージになるので4人受けでどうにか耐えられるが、それでもHPが満タンでないと賢者は死ぬし、パラがツッコミできないなどで4人受けに失敗すると後衛が全滅するというあまりにも厳しすぎる条件だった。

それ以外にも、特殊なターンケージによってタゲが当たりに来るとエンド行動が誘発しない、その特殊な仕様のせいで異様に滑りやすい、たたきつぶしの発動が早くてパラの反射神経がつらい、ドラミングによって雷100がないパラには人権が無い、等の要素で難易度を上げようと試みられている。移動干渉の仕様云々は単にプログラムがピーキーなだけだが、パラ構成はパラがミスらなければ何も起こらないという問題もあるので、引っかける為にたたきつぶしのような縄跳び技を入れているのだろう。だが雷100が無いと人権が無い問題は正直謎である。プレイヤー目線だとそう見えるだけで、運営的にはドラミングを対処できない人は雷100を盛ってね、という救済措置のつもりだったりするんだろうか?

ほかに注目すべきポイントとして旋風ローリングと急襲ジャンプがある。旋風は竜巻が一定時間出現してその場所が使用できなくなり、急襲はボスがワープした上に味方の足元にダメージ床が湧いてくるので移動を余儀なくされる。どちらも魔法構成はその場で魔法撃ってるだけになりがち問題への対策技で、陣を破棄させたり敵味方の位置を強制的にシャッフルして立て直す動作を入れさせるのが目的だろう。レグナードにも床を出す技があったが、これらはその発展形と言えるだろう。

さて机上論の説明はもういいだろう。運営はレギロと同じやらかしをしてしまった。ガルドドン3はパラ構成が速攻で廃れ、ゾンビ構成で攻略されるようになった。

理由は今説明した通り、パラ構成PTへのギミックを厳しくしすぎたこと、そもそもパラに火力が無いせいでゾンビ魔戦で替えが効いてしまったこと、そしてデスマスターと賢者の調整による魔法のゾンビ構成が発見されたことだ。

最初期はボスの研究もゾンビの研究も進んでいなかった為、まだパラ構成で討伐しようとする動きがあった。しかしパラを首にしてデスマスを使ってゾンビした方が強いことにみんなすぐに気づいてしまった。もちろんこれ以前にもゾンビ構成は存在したが、蘇生直後のノーバフの状態でもそれなりに火力が出せる占い・天地・バトがメインで、火力を出すのに最低限覚醒が必須の魔法職でのゾンビは存在しなかったように思う。全く存在しない情報を研究するのには少しだけ時間がかかる。だが一度分かってしまえば、デスを入れれば魔法ゾンビが可能であり、討伐できるほど火力が高いというか、むしろパラ構成よりも火力が出る。パラ構成への簡悔攻撃もゾンビなら蘇生一発で対応できるので圧倒的に楽。その情報は瞬く間にアストルティアに知れ渡った。デスマスはそれまで万魔で便利程度の立ち位置だったが、エンドボスに活用できるとなった瞬間、研究が一気に進んだ。逆に言うと使い道がない職は研究されないので誰も使い方を知らない。

さらにVer5アプデの際に調整された賢者の扇が杖よりも普通に強い事も発覚し、いちいち陣を維持しないといけない杖より特に準備もなく呪文を撃っても強い扇の方がいいに決まっているという新しい常識が誕生した。

こうしてガルドドン3は当初のパラ構成ではメイヴ5並に強いと思われていたものが、ちょっと頑張れば誰でも討伐できる程度の強さへと落城した。運営がなぜレギロと同じ過ちを犯したかは謎だが、パラ構成の欠陥がちょっとやそっとではどうしようもなく、常にゾンビ構成化する懸念があるのを甘く見ていたのだろう。

ザオトーンを搭載すれば簡単にゾンビ対策になるのだが、ユーザーからの評判が悪いので積極的に搭載するのは見送る。代わりに厳しめの火力要求で従来型のゾンビを抑制し、ミスしたらPT全員を即座に全滅させられるほどの行動速度をボスに与えたのかもしれない。これは結果的にゾンビ側への対策にもなっている。もしくは実は最初からゾンビとパラ構成を両立させるつもりだった可能性もある。まあその後のボスの設計を見るとゾンビをさせたくないという気配が凄いので、やっぱりゾンビは想定外だったのではと私は考えている。

最後にガルドドン3で誕生した別の問題も書いておく。魔戦が少しでも火力を出すためにマダンテをするのだが、そのたびにエルフの飲み薬を飲むので、魔戦だけ出費が嵩むという事象が発生するようになった。理論的に言えば割り勘でPTメンバー全員の負担とすることはできるのだが、アイテムの割り勘はハッキリ言って煩わしく、魔戦本人もそれを嫌って割り勘しなくていいですと言い出すパターンも多かった。

デルメゼ3


遂にこいつの項目が来てしまった。レギロを龍とすればデルメゼは虎。ドラクエ10のエンドボス界に並び立つもう一人の問題児の登場だ。

レギロがコンセプトから設計まですべてが狂っていたのを抜け道が発見されて粉砕という末路をたどったエクストリームスタイルだったのに対し、デルメゼはストロングスタイル。能力が強すぎるのだ。

デルメゼ3がどんなボスだったか思い返してみよう。まず守備力は若干高め程度だが属性耐性にボス史上最高の親の仇のような数値が設定されているため、魔法職と魔戦と当時大人気だった魔剣士は出禁である。またすべての攻撃のダメージが高いのでHPリンクで無ければ耐えるのは難しい。つまるところスコルパイドに次ぐHPリンクPT用のボスというわけだ。ちなみにデルメゼが実装されたVer5.3ではまもの使いのムチスキルの強化が行われている。明らかにデルメゼを意識した調整だ。おそらくギミックの都合でボスやボムの攻撃範囲が広くなったため、それに合わせてまもの使いに攻撃させるための措置だろう。メイヴ5と違うのはまものは武より火力的に強くなっていない点だろうか。そのことは素人でも簡単に計算すればすぐにわかるわけで、運営は設計段階でまものより武の方が強い事を把握していたように思えるが……?

デルメゼの基本的な行動はスコルパイドとほとんど変わらない。特徴的な差異を上げると、ザオトーンアビスと血陣を抜いてレプラコーンコードとジャッジメントブルーを入れた感じだろうか。ジャッジメントブルーは何気に初登場となる散開技だ。これもFF14から発想を輸入したのかもしれない。

そしてデルメゼ最大の特徴がサファイアボムという爆弾をフィールドに設置してくるギミックだろう。もはや説明する必要があるのかというギミックだが一応解説すると、この爆弾は時間経過もしくはデルメゼの攻撃によって爆発し、当たったプレイヤーにスタンとデバフとザオトーンを付与する。デルメゼの攻撃で爆発するため、レプラやジャッジといった範囲の広い技でプレイヤーの周辺のボムを爆発させてくるから、プレイヤーはデルメゼの攻撃範囲だけでなくボムの爆発範囲も気にする必要が出来た。まあこっちは正直慣れればどうでもいいが、時限起爆の方はそうはいかない。タゲ下がりを普通に進行させているとほぼ確実に移動方向の玉が爆発するので、今までのようにずっと同じ方向にタゲ下がりをする戦闘スタイルでは行き詰るようになり、プレイヤーは反転という新しい戦術を生み出すに至った。ただ反転でも時限起爆の完全な対策にはならないので、爆発しそうなボムをボスの攻撃を誘導してあらかじめ爆発させる整地という概念も生まれた。今までのボスではギミック対応は何となくだったり、限られたPTメンバーだけが対応すればよかったものを、PT全体で高度なギミック処理が求められるようになったのがデルメゼというボスだ。

いいギミックっぽく語ったが、この爆弾がデルメゼの大問題の一翼を担っている。サファイアボムの何が凶悪かというと、爆風に当たるとスタンするわけだが、HPリンクPTでのスタンはすなわち二人分の死を意味する。そして極めつけが爆風は死体にも当たってザオトーンを掛けてくるので、これまでの『死体にはデバフがかからない』というゲームルールを覆す極めて重いデスペナルティを与えてくることだろう。もはやおなじみの光景だが、死体は動くことができないのでザオトーンされるとその後の爆風にも永遠に当たり続けるため、元の効果時間の45秒どころでなく永眠することになる。ゾンビ構成ができちゃったから次は思い付きでザオトーンを入れた時点でそうだったが、この運営さじ加減が極端すぎるのではないだろうか。後の調整を見るとデスペナルティは与ダメージ減とか最大HP減少などの刻み方もあったはずなのに、それらをすっ飛ばして死体にザオトーンかけて永久封印は思い切りが良すぎる。

何故サファイアボムというギミックを運営が考え付いたのか定かではないが、理由は二つ考え付く。一つ目は、ボスの攻撃は1行動につき一つの原則があるせいで討伐PTにダメージレースで圧力をかけるのが難しい問題への対処だ。平たく言うと、ボスの手数を増やすためにボスの1行動以外での攻撃を増やすのが、床や小物を召喚するギミックの目的だ。ボスの手数が少ないと、例えばボムを出してこないデルメゼ1みたいになって弱いし、逆に強くしようとするとガルドドンやバラシュナのような物理お断りの攻撃パターンの相手と物理PTで戦うような内容になってしまう。じゃあどうやってボスの手数を増やすかというと、超早回しにするとか1回のターンで2回行動するとかで手数を増やすとわけがわからなくなると思われるし、レギロのようにボスを増やすのも人間の処理能力を超えてしまって面白く感じられなくなるのでNGである。プレイヤーに理解できるルールでボスの手数を増やせるのがこういったギミックの利点というわけだ。

もう一つは直近の物理エンドボスであるメイヴ5で道具の磁界が活躍したので、その防御ギミックをもう一度繰り返さないためなのでは?陣を敷く特技とサファイアボムの相性は最悪で、磁界でデルメゼの攻撃を防ぐような想定だと難易度が凄いことになってしまう。もっといえば、磁界単体ではなく磁界+奇跡雨という防御ギミックのアイデアも当然あるはずだが、こういった防御バフの重ね掛けはHPリンクで代替えできてしまうし、HPリンクも含めた全部掛けを要求すると、バフの維持で火力が減りまくるから自然とボスのHPも低くなるわけで、道具と賢者を首にして抜け道を探す話になりかねない。まあそんなややこしく考えずとも、デルメゼには磁界を封じると同時に新たな防御ギミックが盛り込まれている。

デルメゼが大問題になったもう一つの要因は、敵の攻撃に対してヒーラーの回復量が足りない事によって生じた。僧侶が素直にベホマラーで回復しようとするとダメージレースに負けて退場となる。なら賢者を入れて奇跡の雨で……などという悠長な対策はあり得ない。アストルティアには結論ヒールである滴とそれを扱う最強ヒーラーの道具&まものつかいが存在したからだ。

討伐方法について運営は『遠隔なら攻撃しやすいので旅芸人を入れて回復しながら攻撃』みたいな内容をデルメゼ3申し開き会のDQXTVで供述している。つまり運営の想定では討伐PTはまもまも旅賢者で、旅が賢者の奇跡雨の隙をしょっぱいヒール能力で埋め合わせて戦うような戦闘をイメージしていたのだろう。どおりでレプラコーンコードなんて小人付与の技がまもまも武賢という小人を解除できる職がいないPTに向けて使われるわけだ。ちなみに実装時点では僧侶はシャインステッキを使えなかった。

何で旅に回復を分担なんてことをさせようと思ったのか、FF14を見ると何となく理解できる。FF14では基本的な回復を担当するメインヒーラーと、メインヒーラーでは足りない部分を回復したり軽減バフを掛けたりして対応するサブヒーラーの役割があるらしい。つまり14ちゃんみたいにメインヒーラーとサブヒーラーが回復を分担するボスをやりたい!という発想で旅芸人を入れる発想が生まれたと思われる。

思いつくのはよろしいのだが、この回復を二人で分担するという作業は難易度が極めて高く、まともに成立しない。滴を出すと話が終わるのでとりあえず禁止として、想像してみてほしい。旅芸人も必要な場面で回復してねといわれたら、賢者や僧侶の横で一生ハッスルダンスを踊り狂う旅芸人が誕生するだろう。それではメインヒーラーを2人入れるのと同じなので旅芸人さん攻撃して!〇〇の時だけ回復して!みたいに出来たらよかったのだが、結局のところメインヒーラー1人で間に合ってる時はサブヒーラーはひたすらしょぼい攻撃をすることになるので、じゃあサブヒーラー要らないじゃんとなるし、メインヒーラー1人では絶対に間に合わないなら、僧侶二人でベホマラーするみたいな話になってしまい、分担も何もなくなる。

そして身もふたもない話、旅のハッスルより滴の方が性能がいいので実際に旅を入れると旅が滴で回復することになる。おしまい。ちなみに14ちゃんの方でも直接的な回復をヒーラー同士で分担する行為というのは成立していないらしく、メインヒーラーへのサポートはサブヒーラーが回復ではなく軽減(バリア)バフで行うことで対応しているらしい。バリア担当だからバリアヒーラーというロールだとか。DQ10のほうもデルメゼでこの回復サブヒーラー発想には懲りたらしく、今後のボスは明確にバリア担当という概念を盛り込むようになった。

なお旅芸人さんのバリアに相当する技はいやしのメロディなわけだが、これはバリアとして使うには常時使用が出来ない点で不十分である。その他の性能面で見ても、旅の性能ではエンドボスをメタるには不十分すぎるのか、旅がバリアヒーラー枠で採用されたことはまだない。

旅でサブ回復と攻撃がどうのこうの、などという電波を大半のプレイヤーは受信すること無く、武まもまも道の滴ぶっぱという末期的な構成によって討伐は行われた。旅が入っていない理由は簡単。まもまもに旅を加えて攻撃するより、武を壁にして殴った方が強かったから。そしてデルメゼのHPが多すぎたから。火力が高い奴の方が強いなんて当たり前のことだが、このころはまだ補助職が成立すると運営もプレイヤーも思い込んでいた。そしてデルメゼの場合メイヴと違って、補助職を入れさせるための圧力であるレプラコーンコードや回復量不足が道具をヒーラーにすることで機能しなくなったので、補助職を入れる必要がなかった。その上で、武の火力というか正確に言うとサポまもの火力が旅や補助道具をかなり上回るので、それらの職よりまものをおさんぽさせていた方が良い、という理屈が出来上がってしまったわけだ。

ゲーム全体の火力が低かったころは、アタッカー二人の火力だけを基準にボスのHPを決めて補助職の火力貢献は深く考えないという形でも成立していたが、Ver5のアプデを機に火力がインフレした事、それに加えてロールを考えずに自己バフ能力をアタッカーにバラまきまくったツケによって、補助職の価値が火力に換算して低いというシビアな現実から逃れられなくなった。

さらに補助系の職にとって都合が悪かったのは、まものがムチになったせいで壁適性が下がった事だろう。単純にモーションが長いせいで壁中の攻撃回数が限られるため、武などモーションの早い職と比べて壁時の火力が低くなってしまう。またこの時点では問題にならなかったが、後に移動干渉の挙動変更によって敵との距離が空くまもは壁自体が出来なくなってしまう。アタッカーの他に壁担当の別種のアタッカーを入れるという構成は今までに大々的な例がなく、テスト回数の限られる運営はこのことにすぐには気づかなかったのかもしれない。実際プレイヤー側もある程度研究が進むまでまも壁で戦おうとする構成がしばらく残っていた。

運営が武の強さに最初は気づかなかった説は、デルメゼのHPがまもまも旅賢を想定しているにしては妙に高い問題と関係性がある。ガルドドンは2から3になる際にHPが約1.4倍になっているが、デルメゼは約1.53倍になっている。上がり過ぎである。そしてデルメゼ3の73万というHPは、実装当時のプレイヤー達にとってまもまも武道具なら何とか削り切れるけど、まもまも旅賢ではかなり厳しい水準だった。例のデルメゼ申し開きTVで『HPを上げすぎちゃった』みたいな発言が飛び出したことで、プレイヤー達の間では、最初は旅入りを想定していたからもっとHPが低かったけど、調整の最終段階に入って武の方が強いことに気づいてしまい、細かく検証する時間が無いのでHPを思い切って上げまくったせいなのでは?という仮説が立てられたりした。私の妄想を付け加えると、この時の武とまもは棒立ちでの計測ならDPSが同レベルだったのではないだろうか。その数値だけを元に武はデルメゼ討伐PTに入らないと判断して調整すると、壁をしているときは武の方が大分DPSが上なことを見落としてしまう。

そろそろデルメゼが後世に与えた影響について触れていこう。この滴ぶっぱ構成は当然ながらユーザーから大変不評だった。1飯戦うだけで何十万Gもかかる上に、滴の割り勘もトラブルの温床となった。そしてスコルパイドから続くザオトーンとHPリンクも、これに適応できない層からは大変不評だ。デルメゼ自体もあまりの強さと滴ぶっぱのクソ環境によって、闇落ち引退も続出した。私のフレも何人かログインしなくなってしまった。後から考えると、滴云々よりも強さ日替わりと超強いボスの相性が最悪だったのでは?と私は思っている。

運営は余りの苦情に屈したのか、後日デルメゼ申し開きTVを開催して釈明。滴と葉っぱが強すぎてまもの等のアタッカーがそれを使ってる方が純粋なヒーラーや補助職より強いのはバランスが終わってるだろという今まで先送りにしてきた正論に対処することを表明。Ver6と同時に滴と葉っぱの弱体を行う事を発表した。また今後のエンドコンテンツである咎人ではこれらのアイテムの使用回数に制限が入る事となった。

滴以外にもデルメゼ自体が強すぎるという意見も重く受け止めたのか、クラッシュチェーンやエイルのスティックという露骨すぎる武器も実装された。デルメゼの影響なのか元から強化の予定があったのかはわからないが、僧侶が超強化されてシャインステッキで小人を解除できるようになったので、ヒーラーを道具以外にすることが可能になった。賢者ヒーラーは当時からあったが、難易度が高いし結局補助役が滴を撒きまくるのであまり好評ではなかったと記憶している。この僧侶とまものの強化によってデルメゼはようやくまともに遊べるようになった印象だが、私は野良のHPリンク構成が普通に嫌だったので野良で一回勝った後は行かなくなった記憶がある。

そして来たるVer6で予告通り滴と葉が弱体された。ユーザーからの反応はというと大不評である。弱体しろと言われたので弱体したら不評というのは理不尽に思えるが、プレイヤーには不満に思う事をそのまま出力して運営に伝える機能が付いていないので、真に受けてその通りに修正すると大体こういうことになる、という趣旨のニュース記事をどっかで読んだことがある。じゃあどうすればよかったのかと言われると、他の候補であるデルメゼを弱くしろという案は、つよさ1・2があるのに3がダメだから不評なわけで、3がこうなった時点で手遅れだろう。おそらく正解と思われる対応は後の4実装時に判明する。

そもそもまものや道具がエンドコンテンツでアイテム使って強すぎてバランスがどうとか、大半のプレイヤーには関係ないのに全員まとめて弱体されるのだから嬉しいわけがない。このゲームのボスはエンドボスでなくとも即死ムーブが多いため、葉っぱが攻略に必須のアイテムみたいな難易度になっていた事情もある。実際Ver5のストーリーボスはVer6以降に比べてやたら強く「葉っぱを弱体されたせいで勝てない!」という苦情が出たためその後弱体化されている。デルメゼをやっているプレイヤーの間でも、アイテムが弱体化すると弱い人をフォローして勝たせることができなくなるという理由で不評だった気がする。

最近ツイッターで『遊戯王が終わるのは大会使用率99%のデッキ(十二獣)が存在する時ではなく、カジュアルプレイヤーがよく使うカード(ハリファイバー)が禁止になった時だ』というツイートを見かけた。上位プレイヤーが問題に感じる状況よりも、下位プレイヤーの遊びを阻害する変更の方がマズいという認識は他のゲームでも一緒なのかもしれない。

もちろん運営はエアプではあっても愚かではないので、そういった事情や弱体後のユーザーの反応は当然予測していたと思われる。なぜなら、はるか昔から滴ぶっぱ問題は存在したのにデルメゼ3まで修正されなかったわけで、一部の上位プレイヤーが使う分には放置でいいと考えていたはずである。それでも修正したのは、シンプルにユーザーからの反応が悪すぎたし、強さ日替わり制のエンドボスは運営的に恐らくそこそこ多くのユーザーが遊ぶ日課と位置付けたかったので、一般人も滴ぶっぱすることになるのは良くないと考えられたのだろう。それに、もしかしたらこの壊れアイテム共のせいで将来また大きな問題が起こるかもしれないので、その不安要素を潰す意図もあったかもしれない。

弱体の代案としてプレイヤー側から個数制限とか他のネトゲによくある道具使用制限CT導入とかの別の方法での弱体はダメだったのか?という意見が上がった。個数制限にしなかった理由はおそらく、デルメゼ自体がぶっぱ前提の設計すぎるので滴を制限してそれに合わせてゲームバランス全体を作り直すとか不可能だったからだろう。それにデルメゼ以外にもレギロや他の聖守護者・常闇ボスにも制限の影響が及ぶので、まものヒーラーを不可に、道具ヒーラーを万能ではない強さに弱体する程度の変更にとどまったのだろう。道具使用制限CTの方は多分システム的な問題で実装できないのだろう。このゲームは元々wiiを前提に開発されているので、基本的なシステム面にこのころのタイトなマシンスペックの影響が出ていたりするし、プレイヤーには預かり知らぬプログラム上の問題でもあるのだろう。

私個人の滴葉っぱ修正への感想を言うと、この二つの馬鹿げたアイテムの弱体は致し方ないと思う。当時は憤慨しているプレイヤーが多かったが、時が流れてプレイヤーの方が慣れてきたのと、運営がアイテムを前提にした調整をあまりしなくなってきたことで、以前のように弱体に苦情を言うプレイヤーは見かけなくなっ多様に感じる。運営も何かを変更すると最初は苦情を言われるけど慣れるという学びというか、ユーザーの言う事を真に受けすぎなくなったように見える。せかいじゅの葉は必要悪としても、滴とか言うアイテムはそもそもネットゲームに実装していい物体ではなかった。ぶっちゃけて言うなら、初代のDが特にバトル方面で何も考えて無さ過ぎた、ドラクエ10のバトルバランスの問題の大本は大体これに行きついてしまう。

バラシュナ3


聖守護者シリーズの最終ボスことバラシュナは運営がデルメゼ3への大バッシングで懲りたのか、拍子抜けするほど弱いボスとして実装された。

どう弱いかというと、HPがとても低いのだ。一方で行動が弱いとかそういう弱さではないので、ダークキング5と同じ手法で弱くされたと言っていいだろう。

バラシュナのHPはつよさ1が約35万でつよさ3が約38万と、強さによってほとんど変化しない。ガルドドンやデルメゼが1と3で2倍かそれ以上になっていることを考えると、バラシュナ3も本来は70万位のHPがあったのでは?と勘ぐってしまう。実際慣れたPTなら3を10分未満で倒せたので、もしHPが約2倍だったならギリギリの勝負になり、最強最後のボスとして考えるならそっちの方が相応しく思える。ただ弱いお陰で羽を集め終わるまで野良やフレと楽しく遊べたので、日課としては丁度いい強さだったのかなと思う。

実際どういうボスだったのか思い返してみよう。バラシュナは最高硬度の守備力を持ち、頻繁に打撃完全ガードを張り、HP黄色からは物理ダメージ90%カットの状態変化を発動する。つまり物理職は絶対にバラシュナを遊ばないでくださいと言う調整がされている。物理と魔法の両方で遊べるようにすると魔法では遊べなくなるという歴史をこれまで散々繰り返してきたので、魔法構成のボスにするためには致し方ない。何故これほどに物理をシャットアウトしてまで魔法構成を保護するのかは少し謎だが、プレイヤー側は魔魔賢僧という構成で討伐することにした。

ここで聖守護者ボスの運営想定の構成を思い出してみると、魔法構成(パパ魔魔)・HPリンク(まもまも道賢)・魔法構成(マセ魔魔僧)・魔法構成(パマセ賢者賢者)・HPリンク(まもまも旅賢)・魔法構成(魔魔賢僧)となる。アタッカーがほとんど魔法とまもな上に、魔法構成が優遇される回数が多い。この結果を受けて当時は運営は魔法構成を異常に優遇したがっている、という不信感が少しあった気がする。どうしてそこまで魔法構成を優遇するのかは運営に聞かないと分からないが一つ言えるのは、この時期は前と被らない戦法・構成にさせるのがすごく難しかったのでは?という事だろう。それでも一応設計段階から以前と違う戦闘になるよう頑張っていたのはすごいと思う。

他に気になる事と言えば、HPリンクを使わないオーソドックスな物理構成が聖守護者に無かった事だろう。素人の想像だと、当時の聖守護者の環境で物理PTを作ろうとするとアタッカーはババ・武武・まもまものどれかになるが、アタッカーが違う以外の内容の違いを余り出せない。その時点で一番つよい物理アタッカーかまもの二択にしかならないので当然だろう。武・バトではなくまもが重用されたのはサブヒーラー枠もとい物理壁枠で戦闘内容に違いを出しやすかったのかもしれない。まものが多かったように見えるが、一応この時期にすべての物理アタッカーのパターンのボスが全部登場している(ジェル・メイヴ・リンクボス)。逆に言うと物理ボスのパターンを全部出してしまったので咎人では構成に制限を入れる決断をしたのかもしれない。

バラシュナの最大の特徴は何といっても、マップの中央から動かない事だろう。なぜこんなふうになったかというと、話せば長く、涙なしでは語れない。ゾンビにならない魔法構成を作ろうとしたらパラが首になったので、パラがいなくてもパラ構成のPTギミックをこなせるようにマップ中央に固定したのだろう。もしくは単に運営の思いついたアイデアの中にそういう発想があったのでこうなった。

まずパラ構成が毎回ゾンビ化してしまう原因が、火力のインフレによってパラの火力貢献よりもパラを抜いて何か別の職を入れる方が火力が出るようになってしまった、という点にある。要するに動くボスにすると壁が魔戦になってガルドドンとジェルザークのような前と同じボスになってしまうので、違いを出すために壁を不要にして3人で呪文を回せるようにした。運営的にはパラより魔法の方が大事なんだね。ただ壁役を排除したことPT全員が個人で攻撃に対処することになり、それまでの魔法構成と違って魔法使い自身がアクティブに動いて攻撃を避ける要素が非常に増えたのは、魔法構成の『魔法が魔法撃ってるだけ問題』の解消につながっている。

魔法職というか杖ユーザーが3人いるというのは、魔法PTのギミックとして重要なことだと思われる。魔法職は超暴走魔法陣や霊脈魔法陣のようなバフを魔法ユーザー同士で共有するというギミックを持っている。これを杖2人より3人でやる方がより複雑さと役割分担が求められるので、魔法構成は魔法撃ってるだけ問題への対策として調整されてきた。正統派の魔法構成ボス(パラは死んだけど)が実装されたのはレグナード以来だが、いつの間にか魔法構成も進化していたわけだ。

ボス側の攻撃ルーチンも今までにないものとなった。FF14を思わせるようなフェーズの概念が導入されたのだ。バラシュナは通常時のモード移行が不可逆の性質を持っており、ある程度同じような流れで技を繰り出した後モードの最後に到達して、想念具現の術で手下である聖守護者ボスを順番に召喚し、そのボスがいる時のモードに変化する。ラスボスポジションだから今までのボス全部盛りというのはとてもそれっぽくていいと思う。親分より手下の方が明らかに強いのが玉に瑕だ。この豪華なルーチンによって基本的に同じような行動パターンが多いものの、そのパターンが膨大だから退屈しないというのはよくできている。

召喚フェーズは基本的に一分間で、召喚中は手下(攻撃できないが相撲判定も無い)の攻撃とバラシュナの攻撃両方を処理する必要が出てくる。バラシュナがマホカンタを使ってくるのでそれの対策に加え、この複数敵による連続攻撃の運ゲー度を奇跡の雨で下げるために、賢者がサブヒーラーとして採用されることとなった。デルメゼの項目で、デルメゼはサブヒーラーに回復を担当させようとしたから役割分担に失敗して破綻した、的なことを散々述べた。バラシュナではその反省を見事に生かして、賢者のサブヒーラーとしての仕事を、基本的にバリア技である奇跡の雨に絞ることで、メインヒーラーである僧侶との役割分担に成功している。そしてデルメゼと違ってバリアのタイミングも召喚中と明確であり、バリアの効果時間に敵側のフェーズ時間を合わせることで、バリアが無いタイミングが多すぎてサブヒーラーが役に立たない!滴でいいや!という本末転倒な事態に陥らないようにしている。

ここまで書いてきてバラシュナはいい所しかないように見えるが、一つ難題を残していった。短剣魔である。バラシュナ実装Verで魔法使いの両手杖と短剣がかなり強化された。短剣魔の方から説明すると、毒呪文ヴェレノーマで1行動で5000と当時としてはかなり大きめのダメージを与えられるようになったことに加え、毒状態の相手には暴走しやすくなる&呪文ダメージが増える特性を獲得。盾を持った状態でもそれなりのダメージが出せるようになった。問題なのはバラシュナのHPが低いので両手杖でめんどくさいバフを設置してあれこれやるよりも、魔法使いPTのギミックを放棄して短剣を握って呪文を撃ちまくっていた方が勝つのが簡単だったことだ。当然最大DPS自体は両手杖の方が高いが、バラシュナがせわしなく攻撃し続けるのでそれを避けながら陣を敷くのが結構難しく、事故る位なら最初から短剣の方が安定してしまう。

短剣魔で簡単に勝てるならいいじゃん、と思われるかもしれないが、少し難しい戦法で火力を出すために頑張るよりも簡単な戦法の方が明らかに良い、という環境はバトル上級者のモチベーションを削ぐ行為かも知れない。エンドコンテンツは難しい構成で常に最良の火力を出すために努力する内容でなければ飽きてしまう、と言い換えてもいい。

デルメゼでも誰かがミスして終わりやすい武まもまも僧より、武をミスしにくい後衛職のレンに変えたほうが勝ちやすいのでは?的な疑惑はたまに囁かれていたが、どうも勝ちやすいよりも火力が出るPTの方を練習したい、みたいな方向性に人は流れるらしく、壁職入りの構成以外は次第に廃れていった。このゲームはPT構成間の互換性が無いので、テンプレPTが複数になることは基本的に無い。武構成希望のまもにレンいれるから壁しろとか違う役割は基本的にお願いできないわけだ。武とパラに挿げ替えるとかでも何故か嫌がられるし、壁が踊りになるとなぜか武がいなくなる。ただしガルドドン等のゾンビ構成とパラ構成で戦法が極端に違うときだけ何故か複数のテンプレPTが成立する。

話がなぜかデルメゼにズレたが、短剣魔の方が簡単に勝てるからいいや、となるとバトル上級者はバラシュナに飽きてデルメゼに帰ってしまった。戦法が色々あると野良で杖の連携を突き詰めるとかできないわけで、短剣を握ってメラゾーマを唱える簡単すぎる作業は好まれなかったのだろう。

さてバラシュナの大体の紹介が終わったが、魔法構成ボスの末路というのは何時だって無残だ。その事例をいくつか紹介しよう。

まずは滴ぶっぱ戦法。バラシュナが実装された時期はまだ滴が修正されていなかったので、道具による滴ヒーラーが可能だった。ちなみに敵の攻撃が素早いので道具以外の滴ぶっぱは厳しいというか、道具がヒーラーとして最適なので他の職で滴ぶっぱをやる意味は多分無い。もちろんこんな弱いボス相手に普通のプレイヤーはそんな戦法を取る必要はなかった。逆に言うとバラシュナのHPが70万だったら普通に滴ぶっぱをすることになったので、HPがやたら低いのはそれを防ぐためでもあったのかもしれない。

さてどういう状況で道具ヒーラーが用いられたかというと、国勢調査のTAだ。最速を目指すTA用構成でだけ道具が起用されるのは特にひどい事ではないと思う。その結果どうなったかというと、バラシュナ3のTAは物理PTが優勝した。あれほど物理ヘイトの設定にしておきながら、結局魔法PTより物理PTの方が早かったのである。さっき火力を突き詰めるPTがテンプレにならないボスは廃れるみたいなことを述べたが、その理屈で言うと魔法PTは失格ということになってしまう。まあ物理TAは成功率がとてつもなく低い上に、滴以外にマカロンという滴を超える害悪アイテムも使用したらしいので、これを正道に数えるのはどうかしている。しかしこれだけ魔法を接待しておきながら結局物理の方が早いんだよね、という事実は物理・魔法の両勢力間に言いようのない不和を与えたかもしれない。

更に時が立ち、仲間モンスターが唐突に超強化された。するとブレス系特技を持つ仲間モンスターの方が魔法使いよりバラシュナに向いているという新しい環境が訪れてしまった。

さっき物理攻撃はバラシュナ出禁と説明してたじゃん?という疑問に対して、アストルティア計算式の説明をしよう。この世界の攻撃には、三つの攻撃属性がある。物理、呪文、そしてブレスだ。バラシュナは物理は効かないが呪文とブレスには特別耐性が無い。補足しておくと攻撃属性というのは錬金の呪文耐性〇%とかブレス耐性〇%とかで軽減される攻撃の種別の事を指している。もし物理耐性〇%錬金があれば、物理攻撃も呪文やブレスと同じように軽減されるだろうし、バラシュナの物理カットは物理耐性を90%付与するみたいな設定になっているはずだ。

それまで味方側が使うブレスは仲間モンスターの特技しかなく、そして軒並みゴミだったのでブレス属性の攻撃が使われることは無かった。それが強化によってキッズをけしかけてゾンビさせておけば特に準備もなく5000ダメージとかがぽこじゃか出るようになった。その上、バラシュナは物理と魔法にはバリアを張るけどブレスは想定外なのかノーガードで、普通の魔法構成より明らかに楽になってしまった。結局魔法構成はいつもテンプレを追われることになる。

まあその後仲間モンスターのブレスは運営に『フリーバッジを追加するから弱体する』という理由でなぜかお仕置きされたので、サポでバラシュナ討伐するときに便利程度の地位に落ち着いた。もちろんフリーバッジのせいでもっとやばい奴が出てきてブレスを弱体した意味が分からない、という予定調和も抜かりない。

4人PTのあれこれを一通り紹介し終えたところで、バラシュナのフェスタインフェルノがクソという事にも触れておこう。

フェスタインフェルノは初心者でもエンドコンテンツに触れてみよう的な理由で実装されたオートマッチングコンテンツで、常闇3種・聖守護者5種ボスのつよさ最弱が開催ごとに入れ替わる。レグナードなど初期のボスは弱すぎるということでHPが上昇しているが、聖守護者のボスは多分そのまま入っている。そう、特に調整せずそのまま突っ込まれているのが問題なのだ。

バラシュナは物理職では何もできないボスなのだが、参加できる職の制限などは特にないので、物理職の参加者がいると完全に邪魔である。普段弱職でもない職がオートマッチングコンテンツで全く活躍できないというのは最悪の仕様だ。負けたら人権職以外で来た人のせいになるわけで、一人の可否で8人の勝敗が決する遊びを見ず知らずの他人同士が即興で遊ぶことになるオートマッチングに投入するべきではない。FF14を参考にしてオートマッチングコンテンツをいっぱい増やし始めたのかもしれないが、オトマならどの職でも遊べるようにするという原則はなぜかマネしてくれないようだ。

でも物理職で行くと地雷になるのが分かり切ってるのに来る奴が悪いし、まともならテンプレになってる魔・賢・僧のどれかで来るよね?という疑問が浮かぶかもしれない。一応初心者向けのコンテンツで特に説明もなく暗黙の職制限が存在すること自体が不具合すぎるが、そのことは一旦忘れよう。運営は初心者に魔法職以外はカスだよと教えたいのかもしれないし。

さらに問題なのは、テンプレ職で行っても賢者がいないとマホカンタを解除できずに終わる事である。運営は賢者が居なかったら歌唱を誘発しないようにしろとでも言いたいのだろうか。無理に決まっている。討伐に必須の職を設定しているくせにオートマッチングで必須にしないのは、運営が何を考えているのか全く理解できない。かといって賢者で行くと今度は賢者ばかり大量に集まってくる。このゲームはマッチングがおかしいので、何故か同じ職が集まってくることがよくある。まあシステムがおかしい事よりも、バラシュナのようなボスをそのままオートマに突っ込むという設計の方がより酷いのだが。

さてオートマッチングの欠陥を乗り越えて無事まともなPTとマッチング出来たら一安心かと言われれば、次はオトマとしては難易度が高すぎるという問題が立ちはだかる。ジャッジメントダークの判定が8人全員に出るせいで避ける場所が少なく、周りを見てない初心者がかなり邪魔になってしまうのだ。その結果真面目に勝とうと思ったら起こしてもすぐ死ぬ人はそのまま転がして、強い人だけフォローする方が楽と言わざるを得ない。運営はこの点だけはなぜか反省したのか、今後のオートマッチングのボスではジャッジ類の技は対象が8人ではなく4人に調整されるようになった。マッチングの方も直せ。

バラシュナがフェスタの中で一番強いから楽しい、と感じる人もいるかもしれないので、疑問を投げかけておく。このボスは参加者が全員まともなら特に何も起こらずに2分程度で倒せると思われる。しかしマッチングがクソだったり初心者が居たりするばかりに、それなりに実力のある人でも足を引っ張られて無駄に時間がかかることを強くて楽しいと言えるのだろうか。苦戦するのをどうにかして勝利に持っていけたら楽しいのは否定しないが、本当にどうしようもない時はどうしようもないし、苦戦を求めてずっと戦っていると、全員まともなPTに当たって苦戦せず瞬殺できた時になぜか虚しくなってしまう。普通は早く倒せたときに嬉しくなると思うのだが、フェスタバラシュナだけは不思議なことに逆になってしまう。一応こんな私でも咎人オトマとか普通の難易度のオトマでは、早く倒せた時が楽しくて苦戦しているときはつらい。

フェスタバラシュナはクソすぎたが、その後のオトマコンテンツには経験が生きている気がするのでそれで良しとしよう。

バラシュナ編はまだ終わりではない。この怪文書的に一番重要な事実をこれから述べなければならない。

Ver7の時代に突入すると竜術師が実装された。竜術師については後でネチネチと述べるつもりなので軽く言うと、魔法使いをサポートする魔法系職業である。つまりバラシュナ3のような魔法職が杖同士でちちくりあう環境ならその力を存分に発揮してくれるだろう。

ここで現在魔法構成でバラシュナ3の討伐タイムが一番早いPTを見てみよう。魔魔魔賢。僧侶どこ行った?そこじゃないです。バラシュナ3には竜術師が採用されていないのである。

なんでそうなるのって、竜術師を入れるより魔法使いを増やしたほうが強いってTAレベルのプレイヤーに思われてるから。それが事実として構成に現れている。竜術師がバラシュナ4で採用されないようだと、この職は何のためにわざわざ魔法使いより弱いという重荷を背持って生まれてきたのか、わからなくなってしまう。

パニガルム


パニガルムは初となる12人PTで遊べる同盟コンテンツだ。エンドコンテンツではないが軽く考えてみよう。

アストルティア防衛軍のボスは『8人PT用のボスを実装すると最終的にサンドバッグになる』という結果を示した。パニガルムのボスはそれと同じにならない為の工夫として、12人PTだけど基本的に1PT単位で分かれて戦うのでサンドバッグにしにくい、という設計になっている。さらに同盟先を選べないというボスコンテンツにあるまじき仕様によって高速周回を封じ、コンテンツの寿命が即尽きてしまうのを何としても防ごうとしている。一応週課コンテンツなので高速周回勢がコンテンツから離脱してしまうとマッチング出来なくなる可能性が高い事情からの苦肉の策だろう。まあ週課云々は考えたい内容とほとんど関係ない。

気になるのは、近接職に対して対処が面倒な技を山盛りにすることで、遠隔アタッカーを優遇する設計になっていることだろう。遠隔アタッカーというのは魔法と海賊の2職のことで、新顔の竜術師も一応遠隔アタッカーだ。ほとんどのボスが無対策だと即死する技を別々の属性で使用し、幻惑等面倒な状態異常をボスの周辺範囲として放ってくる。一方で後衛に不利な技は後列即死技のダークトルネード等がほとんどで、前衛職ほど対処が面倒くさくない。この調整によって環境がどう変化したかというと、本来は近接アタッカーの方が魔法使いよりかなり強い(というより単体の魔法使いが弱すぎ)ので近接職多数の中に初心者が魔法・海賊・天地等で混ざる環境になるべきところを、マッチングすると逆に近接職がかなり少なく、遠隔ばかりいるようになってしまった。

私はじげんりゅう以外は海賊で行っているが、近接で行かない理由の一つがボス毎に装備をいちいち変えるのが面倒だからである。じげんりゅうだけは魔剣士があまりにも強すぎるのでこれ以外で行く理由がない。

このような接近ヘイト設計になってしまった理由は、こうしないと防衛軍のように火力の低い魔法等の遠隔アタッカーが必要なくなってしまうからだ。そのような環境になっても、パニガルムはボスを週に1回倒せれば済むので大した問題ではない。ただウィリーデ実装あたりからパニガルム以外でも魔法が大発生してオートマッチングの難易度が上がっているような気がするのは問題だし、その遠因はパニガルムから始まる遠隔優遇では?と私は訝しんでいる。

ルベランギス


聖守護者シリーズはバラシュナで終わり、エンドボスは新シリーズの深淵の咎人達に移行する。

咎人シリーズは聖守護者の難易度が高すぎたことを踏まえてか、ボス戦の難易度が全体的に控えめになるとの触れ込みだった。難易度低下の為か、それまで20分だった戦闘時間は、戦う方も調整する方もしんどいので10分に短縮された。さらに、つよさ3まで調整するのがめんどいとか強すぎても需要が無いとかの理由で、つよさは1と2の日替わり制になった。

そしてついに4人PTは職被り禁止の仕様が入った。こうしないと同職アタッカーが2人入る構成のボスしか作れない事、サブヒーラーを入れさせたいなら常にまもまも武の構成を潰す仕組みを考えないといけない事への対策が導入の理由だろう。正直サービス10年目になってようやくあって当然の仕組みを入れる気になったのか、という感じではある。私の想像だと、同職アタッカーを2人入れさせるのが嫌でも、バランス調整ではどうにもならないからといってシステムで強制するのは、対応が強引すぎて運営的に嫌だったのだろう。

また、つよさ1がオートマッチングでも遊べるようになったので、初心者でもコンテンツに参加や練習が気軽にできるようになった。オトマにボスを突っ込む際には、フェスタでの反省からある程度調整が行われるようになった。ジャッジ技はバラシュナの反省から8人戦闘では4人ターゲットとなった。

さて最初のボスであるルベランギスがどんな奴かというと、オーソドックスな物理向けボスとなっている。メイヴ4以後、素直に戦える物理ボスがよく考えるといなかったので、久しぶりに物理職が普通に楽しめるボスが出たのかもしれない。

属性耐性は0.75倍なので呪文職で戦うのは向いていない。何故か闇属性だけ0.6倍なのは魔剣士をものすごく警戒している感じがする。バトマスの次に大人気の前衛職なのに運営に嫌われすぎな気がするが、同職制限を入れたら強いアタッカーが上から二人選ばれるようになるだけなので、どうにかしてバトか武に席を与えようとしたらこうなったのかもしれない。鳥特攻の露骨すぎる槍が出たことを考えると、今後の調整(踊り子強化)でヤリ武がしぬことを見越して武の席を作っていたと考えるのが自然だろう。

もしくは本当に警戒しているのは魔剣ではなく賢者の方かもしれない。運営はヒーラーが僧侶+賢者とか賢者+賢者にならないように調整している疑惑がある。実際はできるんだけど怠いのでプレイヤーがやりたがらないだけだが、怠くなるように賢者の攻撃属性である闇に耐性をつけていると思われる。まあどちらにせよ占い師はもはや何もできないのに勝手に規制されて死ぬ。

ルベランギスの攻撃面のギミックで特徴的なのはだろう。HPが減るごとに床が光るようになってそれを避けながら戦わないといけない、FF14のファンボーイとしか思えない戦闘を仕掛けてくる。床を踏むともちろん即死する。今までも設置技とか8方向ビームとかはあったが、本格的に床を出してくるようになったのはルベランギスが初めてのはず。この床はHPリンクの対策でもある。床は結構踏みやすく、まものが他アタッカーの強化で相対的に弱くなったことも併せて、リンクするとデスペナルティが割に合わなくなるので、まもを積極的に採用しなくて済むようになっている。

何故床なのか考えると、単にそういうギミックを思いついたからというのはもちろんとして、オートマッチングでも戦えるボスである以上、極端な属性耐性で遠隔をシャットアウトする手法が使えないので、接近と遠隔を同時に攻撃できるような仕組みが無いと成立しないから、というのが一因だろう。

例えばスコルパイドやデルメゼに異常な属性耐性が付いているのは、ボスの行動パターンの都合で遠隔なら簡単に攻撃できるため、賢者や魔法を遠隔アタッカーとしてPTに入れられると簡単に倒せる可能性があり、それを封じる意味合いがあるのだろう。近接向けのボスは遠隔の対策をしておかないと、近接職が嫌がらせのような攻撃をされるなら遠隔で殴ってる方が楽となり、楽な方に流れるとボスはすぐ廃れる可能性が出てくる。他にもボスと床で別タイミングの攻撃を当てることでミスを誘発するとか、戦闘にランダム性を出すとかの意味合いもあるだろう。

ただこの床が問題だったのは、戦闘中に20秒間隔で出る床を避けるのが人力だととてもめんどくさい事だろう。HP黄色までは円形の床が決まった位置にしか出ないので床の模様を見れば特に気にしなくても戦えるのだが、赤からはランダムな床が出てくるようになるので、秒数をカウントしないと全く戦闘にならない。この床をどうにかできないと野良PTでルベランギスと戦っても全く勝ち目はないレベルだと思う。

ではプレイヤーがどうしたかというと、20秒間隔で音が鳴る外部タイマーを手動でセットするようになってしまった。こういう話はあまりしたくなかったが、このタイマーはDQ10のゲーム内容とは一切連動しておらず、単に等間隔で音が鳴っているだけである。そしてたまたまルベランギス側のギミックがそれで攻略できてしまう内容だっただけだ。一応初回はタイマー無しで倒したが、とてもしんどいので何度もやりたくなるような戦闘ではないと思う。全ての人間が脳内で20秒を処理しながら敵と戦える世界ならよかったのにね。この現実を踏まえてか、今後の咎人ボスではそこまでしないと対策できないようなフィールドギミックは導入されなくなった。あくまで咎人ではね。

ルベランギスの防御面のギミックは、スクルトを掛けないと防げない攻撃・高威力のブレスでレンジャー採用の圧力・対象範囲攻撃による削りダメージ・運が悪いとしぬ3回攻撃呪文などが特徴的だろう。これらの攻撃はどれもバフを掛けないと防げないので、アタッカー3人の編成ではなく何かしらのバリアヒーラーを入れることが求められる。

デルメゼで大失敗したバリアヒーラー政策だが、今度はプレイヤー側に補助職を入れてもらえたのだろうか?ブレスがとにかくめんどくさいこと、他の採用候補である道具・占い・天地などと比べてレンジャーが抜きんでて性能がいい事から、レンのまもりの霧でブレスを防ぐ案が採用された。残った攻撃は、ツインクローは僧侶がスクルトで対策、削りダメージは前衛同士がなるべく巻き込まないように戦いつつ、今までのようなベホマラー連打ではなくベホイムで回復する、呪文は仮面に魔結界を入れる程度で基本お祈りといった方法で対策した。結果としてテンプレPTは武バトレン僧だった。

これまでのボスと違ってこれらの攻撃への対策は一つではなく、例えば削りダメージは賢者の雨でも防げるし、レンの代わりに占いなど呪文を防げるサブヒーラーを入れてブレスは滅却で対応する等の別パターンも考慮の余地があった。その結果いわゆるテンプレ職だけではなく、様々な構成でボスが討伐されたのはアストルティアの歴史では稀に見る快挙と言っていいかもしれない。ただ、色々なPTで倒せるのは裏を返すと敵が弱くなっただけでもある。極端な話別にバリア役がいなくても成り立つので、踊り子強化後は武バト踊りのアタッカー3人編成がTA用編成になったが、一般層はそれまでに普及した武バトレン僧編成のままだった。

ルベランギスは程よい強さだったこともあってか、まあまあ長く遊ばれたボスだと思う。しかし10分戦闘ルール自体が戦闘の難易度をかなり下げる、短い戦闘時間に対してローテが多いので同じような展開が多くなり、一方でローテ外で遅延行動をされるかどうかの行動運で討伐タイムが変わる、などの懸念はあった。

レギロ4


第二の咎人ボスの前に、聖守護者の強化版がひっそりと実装された。運営が実装前に述べた所によると、『今までと違う戦闘が楽しめるかも!?』との宣伝文句であった。これまでのボスが基本的に前と違うボスになることを大前提に設計されていることを考えると、レギロ4もそうしようとしただけなのかもしれない。

ダークキング5が運営的には戦士想定で4と同じ構成になる予定だったのかも!?と予想を述べたが、その予想が正しいなら何でレギロ4だけ変えるんだよ?という疑問が湧いてくる。レギロはゾンビ構成や仲間モンス採用の環境に結構苦情が出ていたイメージがあるので、それをもう一度繰り返してまた苦情が来るのがいやだったのでは?と思われる。では実際どうなったか見てみよう。

レギロ4では氷耐性が低下、風・闇・土は耐性が多めに上昇し、雷は半減されるようになった。つまり占い師とキラパンと天地がアタッカーを首になった。一方で炎・光はほぼそのままなので、元々想定されていたけど遊べなかったパラ構成は潰されていない。えこひいきでは?

耐性だけでなくHPや行動にも変化がみられる。犬の方がHPが多くなったので範囲でまとめて削る戦法を取ると、犬骨のHP差分の8万は削るペースが落ちる。また動きがキチガイじみた速度からゆっくりになり、今まで動きが早すぎてゾンビの無敵相手に空振りが多かったのを、逆に的確に狩ってくるようになった。総じてゾンビが不利になる調整をされている。ゾンビを完全に潰さなかったのはわずかに理性があったのかもしれない。

一方で魔法構成はまともに遊べる調整になった。色々な技の出が早すぎてパラではまともに対処できず考えたやつ馬鹿としか言えなかったモロモロの技が、動きがゆっくりになったことで常識的な対応ができるようになった。戦術的なポイントとして、犬には魔戦でもギリギリ対応できるので魔戦壁の選択肢があるのは面白いポイントかも知れない。骨の対処やパラと違って獄門とビームに何もできない事を考えるとほぼTA用なのであまり実用性はない。

もしかして3の時から犬は戦士壁想定だったのでは?という疑惑もあるが、パラ以外は相撲してる時に獄門されたら終わりなのにそんな馬鹿な事考えるワケねえべ、寝言は寝て言え。

その結果どうなったかというと、パラパラ魔魔で遊べるようになったのはまあめでたい。ヒーラー抜きのクソ構成で尚且つ様々なクソ仕様と戦いながらカメラを左右に振りまくって戦う事になるので、普通にやりたくない。簡悔を爆発させて構成をこっちに限定しなかったのは本当に理性があると思う。

問題はゾンビ構成の方で、少し前のアプデでギガスラが強化されていたせいか、こちらはバトバト(魔戦)天地僧侶になった。この時すでに死に職になっていた占い師が唯一輝けたかもしれない席が無くなるという、弱い者いじめの結果になったのである。バトが占いより面白いならまだよかったが、ひたすらギガスラッシュするだけなので普通に占いの方が楽しいと思う。それにその後のアプデで盗賊や遊びが強力な範囲持ちになると、一応それらの職でもゾンビレギロが可能になった。海賊が強化されてからは、理論上は海賊が一番強いだろう。バトは通す。盗賊も通す。占い師は通さない。そこまでして占い師の席を無くす意味があったのだろうか?

ちなみにそうまでした理由と思われるキラパンの排除だが、よく考えると闇も効かなくなっているので明らかに占い師も名指しで排除している。もしかしたらゾンビ構成自体を排除したかった可能性もあるが、何故光属性はそのままだったのかが分からない。なお後のバージョンで仲間モンスターが超強化されたことで結局仲間モンス入りになった。占い師を排除した意味は本当に何かあったのか?弱体してバランスを取ろうとすると後でもっと強い何かが上位互換になるのは、このゲームの伝統芸能と言える。タイガークローとか昔より強くなったし。弱体元の何をそこまで警戒したのか教えてほしい。

ちなみに運営は一度実装したボスの調整をバグ修正以外で行わない。何か問題があった時はボス側ではなく職の方を調整して帳尻を合わせる。例えば当時のデルメゼ3が強すぎるからと弱体されていたら興ざめだったのは間違いないので、この調整方針が基本的に正しいと思う。つまりごねてもレギロ4の属性耐性が3と同じになったりはしない。

占い師で遊べなくなったという苦情を重く受け止めたのか、今後の聖守護者4ボスで構成を極端にいじってくることが無くなった。占い師RIP。

スコルパイド4



レギロが問題児らしく弱い者いじめをしていたころ、スコルパイドは耐久力上昇&モーション超高速化というストロングスタイルの強化を受けていた。なぜ差がついたのか。

スコパ3は実装された時期が古かったこともあって、モーションが想定職の特技に合わせて最適化される感じでもなく、現在の水準でいうともっさりしていた。それがムチまもの長射程攻撃に合わせて超高速化され、ちょっとコマンドが遅れたり、通常攻撃など特定の攻撃やタイミングでは攻撃できないほど早くなった。結果として、難易度は非常に高くなった。メイヴ5よりは簡単だけどレギロ4よりは明らかに強い。

ただこちらはボス側には特別な調整がなかったにもかかわらず、元の構成から道具がクビになって踊りが入った。そりゃ道具の仕事って元々滴しかなかったし、デルメゼでまもの代わりに壁アタッカーを入れたほうが効率がいいぞ!というのは分かっていたのでそうなる。最初はヤリ武が入っていたが、アプデで同時に強化されていた踊りの方が強い事が直ぐに発覚。さらにはよみがえり節がアビスin自の回復というギミック処理に対して、まもの遅すぎる滴よりも都合がいい事が発覚し、ヤリ武もクビになってしまった。この構成変更はレギロほど強引ではなかったのと、デルメゼで補助職を抜いたHPリンクPTにみんな慣れていたせいか、特に問題視もされなかったし苦情も出なかった。

一つ謎だったのは、この次のアプデで道具に謎のスキル調整が入った事だろう。タイミングを考えると、道具でもスコルパイド4を遊べますよ!というつもりの調整だったのかもしれない。まものに露骨なムチ(ローズソーン)が再び実装されたのも、まもと踊りの火力差がありすぎると残りの枠に踊りか武以外の職を入れることができなくなるので、道具など補助職を入れる余地を残すための調整な可能性がある。

さてその道具のスキル調整、私個人の意見としては最悪の内容である。何が悪いって、やりたいことが全部別の武器スキルに分散しているせいで、戦闘中に持ち替えを多用しないといけなくなるのが酷すぎる。ちなみにやりたいことが別の武器に分散したという意味では戦士のスキル調整も最悪である。オノか両手剣を削除して一つにまとめたほうがいい。

道具強化当時のプレイヤーが道具でどう戦おうとしたか一例をあげると、道具で踊りや武のように壁を担当しようとしたのが興味深かった。それはいいのだが、道具でヤリ武のような物理壁をすると、戦闘中に持ち替えを多用しないとレボができないというクソ仕様が盛大にストレスになる。そして普通に踊り子より弱かったのでやる意味がなかった。もちろん従来のような後衛道スタイルもできるし、そっちの方が壁道よりは強かったようだが、プレイヤー達はもはや後衛がいる方がミスしにくくて勝率が高くなる!みたいな理屈に価値を感じていなかった。

余談だが、スコルパイド4には実装当初とんでもないバグがあった。私は当時まだ大砲置きのCT撤廃前だった海賊で当然倒したのだが、戦闘中変な現象に悩まされた。ウルトラ大砲がいる時に絶の震撃をされると、スコパのテンションがなぜか上がってしまっていたのだ。いわゆるテンプレPTでは全く発生しない現象だ。その原因は『絶の二段目を食らって生きている奴がいるとテンションが上がる』だったと思う。

普通大砲は1段目で死ぬのでバグらない。ウルトラ大砲だけバグる。どうも絶の震撃にはとうこん討ちのような攻撃が当たるとテンションアップする効果もといバグがなぜか存在しており、人間は基本的に避けるか死ぬかでバグの条件を満たさなかったのを、ウルトラ大砲だけは絶で絶対死なないので謎のバグの発動条件を満たしてしまった、という事らしかった。

当時の私は、海賊が遠隔でボスを好き放題殴れることを危惧した運営が仕掛けた職業差別!ヘイトスピーチ!!とものすごく落ち込んだのだが、後日普通にバグとして修正されたので。単に海賊でスコルパイド4倒すテストをしてないだけだった。まあ海賊はエンドコンテンツ想定の職ではなく初心者用のオトマ職説を補強する材料にはなるかも。

さて同じタイミングで実装されたレギロ4・スコパ4の人気はその後どうなったかというと、レギロ4はこれ一回倒したらもう行かないでしょという空気が蔓延、ただ盗賊でボンバーマンなどの後日のテコ入れはそこそこ機能した印象。現在では一部の人がたまーにパラ構成やゾンビ構成で遊ぶという点でレグナードと似ているかもしれない。一応サポでも倒せるっぽいので後続プレイヤーには優しい説もある。

一方でスコルパイドはというと、デルメゼと似たような戦闘で尚且つ踊り子で遊べるのが新しかったのか、それなりに人気だったと思う。ただHPリンクボス特有の気まずさはあるし、心底強すぎたわけでもないので、緑玉が埋まるほど大人気というほどではなかった気がする。なによりミスったら即ザオトーンアビスで終了するとか、動きが早すぎて色々厳しい面が多いとかが辛くて、丁度いい強さになって来ていたデルメゼ3より面白くなかったかもしれない。そのせいか人が次第にデルメゼに戻り始め、アウルモッドやガルドドンが実装されたあたりで大好きな人以外は通わなくなって下火になったイメージだ。

アウルモッド


聖守護者4の次は咎人ボス。運営はおそらく聖守護者4を最高難易度、咎人を高難度という位置づけにして交互に実装することにしたのだと思う。

アウルモッドの特徴はというと、物理タイプのボスで、弱い。

今まで物理タイプのボスは属性耐性が0.75倍以下であることがほとんどだった。おそらくそうしないと魔戦が毎回構成に入ってしまう上に、魔戦がいるとPTの火力が見積もりしづらくボスのHPを決めるのが面倒なので、魔戦をエンドボス出禁にするための調整だったのだろう。ついでに属性のあるアタッカーと技も全員みちづれになるが、まあどうしようもない。

その属性耐性が今回0.9倍になった。理屈の上では魔戦が入りそうだが、悪魔特攻の露骨な両手剣が実装されていたこと、サブヒーラーをブレスで縛るギミックが継続したことで、魔戦はテンプレに入らず、バト魔剣レン僧の構成となった。魔剣士さん初のエンドコンテンツ当選である。

でもよく考えてみると、アタッカーの武が魔剣に入れ替わっただけでルベランギスと構成が余り違わない気がする。サブヒーラーとヒーラーの組み合わせが同じなのがその原因かもしれない。これまでの運営は同じようなPTになるのを徹底的に避けようとしていたはずだが、どこでルベランギスと差を出すつもりなのだろう。

アウルモッドの攻撃側のギミックを見てみよう。特徴的なのは色分けギミックだ。FF14にも似たようなギミックがあったはずだが、何と呼ばれていたのか知らない。

一つ目の色分けギミックが運命の円陣で、時間内に自分に付いた色と同じ円に入らないと死亡+ザオトーンとなる。このギミック単体では移動させられるだけだが、プレイヤーを移動させることで隊列を崩し、円に逃げ込んだ味方を振り下ろす怒号やジャッジメントフレアなどの範囲技で狩りに来る。円に逃げ込んだ後の対応力が試されるギミックだ。

もう一つは運命の魔結晶だ。先に言っておくとこのギミックはクソ度が非常に高い。ギミック自体は色分けされた方の石を壊しに行くという単純な内容で、テンプレPTなら別に難しい内容ではない。失敗するとPT全体に凍てつく波動・与ダメージ低下・ザオトーン等のデバフがかかる。

クソな理由は石割というその場の戦術ではなく、PT編成という戦略レベルの問題を引き起こしている点にある。HP75%位になるとモードチェンジからのローテの最初で石召喚を行う。問題なのは石を召喚する前にHPが黄色になると召喚してこない上に、上手いPTだと召喚される前に黄色くなることが多々ある点だ。裏を返せば、上級者はギミックをパスできるので石の対応で火力ロスが発生しないが、初心者には無理なのでペナルティ的にギミックが発生することになってしまう。これは不公平と言わざるを得ない。

さらに問題なのが、石を割るためにはそれなりの火力が必要な点だろう。ヒーラーは石割りに貢献できない為、PTに入るヒーラー以外の職業は1人で石を割れる火力が必須となる。アタッカー系や純粋なヒーラーはともかく、補助枠で入る職業の中にはそれがまず無理な職がいくつかある。頑張れば割れる職の場合でも、石割対応のために火力を大幅にロスする。

例えばどうぐ使いなら一回目はおそらくブメで割れるが、そのためだけに存在理由の40%位を占めるレボルスライサーを温存する必要がある。そして二回目はブメにレボが無いので弓を持ち出して弓の乱打技がアウルモッドに吸われないよう祈るしかなくなる。占い師は戦車を投げれば簡単に割れるが、こんなものに戦車を使ったらアウルモッドに何を投げろと言うのか。魔戦さんは多分FBを使えば割れるが、石自体出てこなさそう。遊び人は多分割るの無理。一応補助職のはずなのにPTに入るなという運営直々の職差別だろうか?

ついでに言うと、このギミックはオトマの方ではさらにクソかもしれない。オトマでは4人PTよりも火力があるので、ギミックを飛ばせないということはマッチング事故でPTの質が低いという意味になる。運の悪さを理由にペナルティを受けているようなものだ。さらにアレなのが、8人いるのに石を割れないことが結構あることだろう。運次第で片方の石割担当が僧侶僧侶天地レンみたいな組み合わせになることがあり、唯一の火力であるレンが画面を見ていなかったり死亡直後だったりするとどうしようもない。円陣のほうはバフに気づいていなくても本人が死ぬだけなので見ている分にはたのしいが、石割は巻き込まれるので勘弁してほしい。

どうしてこんなクソギミックになってしまったのか考えてみよう。アウルモッドは黄色になると円陣を自動で出す技を使用するのだが、これと石割りが被ると無理ゲーになってしまう。なので石割りをHP減少でスキップするようにしたら、アウルモッドのHPが制限時間10分に合わせて低いために割と簡単にギミックが飛ぶようになってしまった。多分こんな理由だろう。

運営は一応馬鹿ではないので、今後の咎人ボスにはギミックが飛ばないように特定ローテ中はHP減少でのモード移行なしの設定がつくようになった。火力が無いと石を割れない問題に対しては、別パターンのギミックを考えてきた。この運営、前のボスの失敗を改善したボスを出して、そのボスがまた失敗してて、みたいなことを延々繰り返してボスを作っている。

さてアウルモッドのギミック以外の攻撃に、プレイヤーが求められる対策はどのような物だろうか。聖女ゲーである。これがアウルモッドが簡単すぎる原因だ。おわり。

聖女ゲーというのは、ボスの単発攻撃を聖女で防いで、ベホマラーで回復して、また聖女で防ぐ、そんな戦闘の事だ。その歴史は古く、はるか古代のアストルティアはボス側での聖女対策が少なかったために、ボス全般で聖女が強力に機能した。目立って聖女ゲーだったボスを思い出すと、古の強ボス全般、ダークネビュラス、ダークキング、レギロは聖女ゲーだけどゲームのジャンルが違う、最後にジェルザーク。最後の聖女ゲーボスから3年半が過ぎたので再登用してもいいやみたいな判断だろうか。

敵の攻撃一回に対してヒーラーは聖女+ベホマラーの二手を消費するので、単純に考えれば聖女だけでは手が回らなくなるはずだ。しかし即死範囲は避けるしブレスは霧で無効になる。後衛への対応はタゲ下がり中でいいので、前二人だけ聖女で固めればいい。意外と僧侶の手番が余るので、聖女が簡単に維持できてしまう。

もう一つの理由として、アウルモッドのギミックがボスの手数を増やすタイプではない事があげられるかもしれない。例えばダークキングは本体の攻撃は聖女で防げるものの、不定期にレーザーで削られるため聖女は完全な防御にはならない。レギロは2匹が暴れてるから無理。ジェルザークもソルジャーが手数をカバーしている。アウルモッドはというと、円陣も石もそれ自体は何もせず、ギミック中にボス本人が頑張ってどうにかプレイヤーを崩そうとする設計だ。ボスの手数が増えていない。

弱い弱いとアウルモッド君をなじってきたが、これが他のボスのように多段攻撃が標準になっていたらどうだろう。多分強すぎた運営的には咎人をカジュアルコンテンツにして初心者層も取り込みたいはずだが、ルベランギスが結構強いとの評判だったため『もっと弱くしてもいいんじゃない?』と考えたのではないだろうか。

運営が取りやめた多段攻撃するアウルモッドくんを想像してみよう。攻撃はこの時点なら奇跡の雨単体か、雨+磁界とか防御とかそういうギミックになる。HPリンクは円でものわかれになって爆死するので使えなかったはず。防御バフ二個以上や状況に応じた防御判断は咎人用としては難しすぎるので、奇跡の雨単体で成立するダメージ量にしてみよう。円陣などギミック対応しているときに雨が切れてエラいことになるのが目に見えるようだ。

そして雨運ゲー軽減のために魔戦を入れると、FBの効果を受けるアタッカーが1人少ない分、火力面が相当厳しくなると予想される。シナジーをうまく決められるならバト魔剣レンと魔剣魔戦レンでそこまで差は出ないはずだが、シナジーで連携を取るのがまず初心者向けではない。まあそうなっても他のボス基準で考えたら別に難しくなさそうだが。低難度化とギミック処理時の運ゲー回避のために聖女ゲーにしちゃったと推測しておく。

あれ、奇跡雨で耐久して魔戦とレンが同時に入るボスって、最近どこかで見た気がする。咎人りゅうおうじゃないか!

アウルモッドからやさしさを取り除いて少し強くしたボスがりゅうおうだったとは、怪文書を記したおかげで気づけたなあ。

さてカジュアル層向けに弱くされたアウルモッドのプレイヤーからの評判はどうだったかというと、虚無である。あまりにも簡単に倒せるし、聖女ゲーは昔散々やったので練習するところが無く、何度も戦う理由が無いので上級プレイヤーは早々にデルメゼやスコルパイドに帰っていった。

なら初心者には好評だったかというと、初心者は一回倒したらもう来ないのである。しかも簡単に倒せる。それに上級者が居なくなると初心者をキャリーする人もいなくなるので、PTが組めないし組まれない。上から下までアウルモッドを遊ぶ理由が早々と無くなっていった。

トドメになったのはガルドドン4の実装だろう。ガルドドン4実装によって人が全員そっちへ行き、アウルモッドに行く人は完全にいなくなった。そしてガルドドンが廃れてからも人が戻ってくることは無かった。こう書くとガルドドンが原因に見えるが、ルベランギスの時も約2か月に聖守護者4が実装されたけどここまで極端に過疎ってなかった気がするので、ボスが弱すぎたから過疎ったと言わざるを得ない。

すぐ過疎ったならアウルモッド失敗じゃん!と言われたら、そう思うを押さざるを得ない。しかし私はアウルモッドは全部がだめだったわけではないと思っている。オートマッチング用のボスとしては咎人で一番良い。何故かというと弱いのでギスらないし、どの職でもまあまあ遊べるし、ギミックはオトマだとたのしい。まあラクリマ集まったら行く必要ないんだけども。ルベランギスも無難だけど若干面白みに欠ける。フラウソンはクソ、ウィリーデは論外。りゅうおうは前は楽しかった記憶があるんだけど2回目のオトマはなぜかクソ化した。

咎人のオトマが順調にクソ化していることを鑑みるに、運営は咎人オトマの低難度化を望んでいないということになってしまう。あくまで4人がメインと言いたいのだろうか。

ジェルザーク4


聖守護者4の第二弾はジェルザークとガルドドン。

ジェルザーク4はどのような強化でプレイヤーを楽しませたかというと、

弱い

またかよ!と言われてしまいそうだが、その一言に尽きる。

どう弱いかというのも表現に困る。まもまもレン僧とかで適当に戦っても初見で倒せるみたいな難易度だ。逆に言うと、レギロ4のように想定外の構成を排除しなかったし、スコルパイドやレグナードのような高速化・耐久力強化をされなかったし、メイヴ5のフルリメイクに近い調整もなかった。ダークキング5と同じように気持ち強くしただけ調整と言える。ただしダークキング5のほうがジェルザーク4よりかなり強かった。

色々語ろうにも実装初日にガルドドン4を倒した後に適当に乗り込んで討伐し、癒しを得た記憶しかない。あまりにも弱すぎたせいか、バトル界隈にも『まもで適当にやれば勝てる』以外の情報が出回らなかった。一応もともと魔法構成のボスだったから魔法でやってみたい!みたいな勢力も初日わずかに存在した気がするが、わざわざ魔法で戦う意味が全くないので一瞬で話を聞かなくなった。おまけに国勢調査のTA対象からもハブられてしまったため、最速PTが戦うとどうなるのかもわからなかった。運営も弱すぎるボスのTAはやってもしょうがないと思ったのかもしれないが、自分で実装しておいてその扱いはひどいのでは。

なぜこんなに弱く調整されたのか謎だが、元はと言えば強いボスはプレイヤー全体で見るとそんなに需要が無いという現実に日和った運営が、聖守護者4のボスをなぜか2体ずつリリースし始めたのが原因と思われる。常闇5もレギロスコパも複数リリースでそこまで問題が発生したようには見えなかったので、調子に乗ってジェルドドンもそうしたら片方が雑になり過ぎたのだろう。

また、ジェルザークは複数敵や物魔両立などのめんどくさい要素が多くて、それらを破綻しないように調整するのが無理だったから、3に毛が生えた程度の強さでお茶を濁した説もある。TAからハブられたことを加味すると運営的にも調整が適当なのは承知の上かもしれない。

ジェルザーク4の長所を一つ上げるとすれば、虚無度が全ボス中最強だった事だろう。これまでも弱いボスは需要が怪しい傾向はあったが、ジェルザーク4でその極致を見せつけられた事で、ボスを実装するならちゃんと調整しようね!という雰囲気が運営・プレイヤー双方に生まれたかもしれない。

この反省からか、次のデルメゼ&バラシュナは同時ではなく一体ずつ実装されることになった。多分中身もちゃんと作るようになった。

ガルドドン4


ジェルザーク4は恐るべき虚無だったが、ガルドドン4は多分まともに調整されている。ちなみにガルドドン3はまともじゃなかったと思う。

ガルドドン4で初めてボスのHPが100万以上になった。深い調整によるものではなく、多分キリがいいから100万にしたんだと思う。属性耐性の方は変わらない。おそらくあまりにも人気が無かった海賊を同時に強化することで職普及政策に利用するためだろう。一応海賊抜きでも倒すことはできる。むしろ海賊以外のアタッカーの火力が大差ないので色んな職構成を試せた。テンプレ以外をする意味があるかは別だ。

重さも3と同じなので、今更パラに簡悔拮抗プレイを強いてきたりはしない。まあ実装バージョンでは押し勝ちと雷100の両立が大分難しくはあったが。

3との主な違いは、まともじゃない要因だった分散をほとんど使ってこなくなったこと、円獄殺というボスの周囲が安置になる新技、そして超激震スプラッシュという定時床を習得したことだろう。使用後は一定間隔で南と東からそれぞれ反対の方角に床が出現していく。

分散が消えたことと海賊がアタッカーになったこと、さらにパラが重くなって押し勝ちが現実的に可能になったため、パラ構成が現実的というかゾンビより簡単に倒せる構成になった。レギロ4もそうだったが、パラ構成は難易度を上げようとすると成立しなくなるようなので、簡単にしないといけないのかもしれない。ゾンビへの露骨な対策技は修得していないが、床で手数が増えたことが間接的な対策になっている。

パラ構成の方から戦闘内容を見ていこう。初期はパラに海賊+賢者賢者か一人魔法という構成だった。最も難しかったのは床の対処で、パラは壁をする都合上床を歩いて避けることができない。床を踏んだら約2万ダメージだ。なので大ぼうぎょを合わせて耐える事になるのだが、素の大ぼうぎょでは多すぎるダメージを耐えきれないので、巧みなスキル回しか奇跡の雨等外付けの防御バフで耐えることになる。これが難しいので初期のころのガルドドン4はまあまあ強かった。後衛は魔法職二人にほぼ個人プレイの海賊が時々飛んでくる岩と床を避けながら殴るだけなので、大して難しくなりようがない。

ターニングポイントとなったのは実装約一か月の頃、デスマスターの死霊の守りに被ダメージ-10%の効果があることが発見された。アプデで追加されていたわけではなく、元からあったのを一か月ほど誰も気づかなかったのである。その結果、ヒーラーは賢者を首にしてデスを入れたほうがよくなった。さらに海賊2人目の火力が魔法など他のアタッカー候補より高いことも知れ渡り、テンプレがパラ海海デスに変わってしまった。アプデもなしにテンプレPTの中身が変わるのは初めてかもしれない。

これによってどうなったかというと、私個人の感想として、正直海2は面白くないのでパラガルドドンに行くのが嫌になった。元々海賊が遠タゲを押し付けられる風潮が嫌で野良のパラ構成には行きにくかったのだが、パラガルドドン自体完璧にやりたくないラインになってしまった。

最初に討伐したときはパラ海2僧だったのに、どうしてそんなに海2を嫌うんだ?(DQM3のベネットの迷セリフ)という幻聴が聞こえてきたが、海2はフレとやってもぶっちゃけ嫌なのに野良でやるとか考えたくもない。フレとパラドドンで遊ぶときはレンを入れるなど海2以外の構成でやっていた気がする。

ちなみに遠タゲ云々は今となってはそれがメリットとして評価されるならやるしかないのかな、と思う。大抵は遠タゲ担当が採用の決め手になるほど評価されないので、海賊が遠タゲを取るのに都合がいい職でも嬉しくない。

なのでその後のパラ構成の中身については良く知らない。ただデスの守りで床の対処が簡単になった事、テンプレが入れ替わって戦法がリセットされたり、賢者が首になったことが原因で、パラドドン自体の寿命が短くなった気がする。界隈は戦法が丸ごと変わったことで、散々遊んだしもういいかな、みたいな雰囲気になっていったように思う。

ゾンビ構成の方も見てみよう。最初期は魔戦魔賢デスという3と同じ構成で討伐されていたものの、難易度は非常に高そうだった。というのも、パラ構成と違って海賊をゾンビ構成に取り入れていなかった為、海賊と魔の火力差が顕著に響いたのだ。

なぜすぐ海賊を入れなかったのかというと、これ以前の海賊は大砲置きにCTがあったのでゾンビは出来なくはないけど研究する人がいなかったアプデ後は海賊の元の人口が少なすぎてゾンビ海賊ができる人材がほとんどいなかったためだと思われる。私はこれまでの物理ボスを全部海賊で倒していたのでゾンビ海賊するスキルは既に持っていたが、最初の頃はパラ構成で忙しかったので『ゾンビ海賊って火力そんなに出ないのかな?』と思っていた。まあ誰かがゾンビ海賊で討伐してやり方が広まると、すぐにゾンビ構成でも魔の代わりに海賊を入れるようになった。

その後ゾンビ構成が簡単になったかというと、ガルドドン3の魔戦賢賢デスと違って海賊に蘇生が無く、黄色以降に床を踏んだあと全滅みたいな負け筋が結構あり、火力が普通のPTでギリギリくらいなのでそこまで簡単ではなかった。

それからは魔戦の代わりにレンを壁にしたり、それにデスデスを入れてみたり、構成を色々いじって遊んだ。ただ、野良のゾンビ構成に行くと魔戦がエルフを飲みまくるのが嫌で、パラ構成と同じく野良で遊べなかった。どうしてこのクソ要素を3から改善してくれなかったのだろう。

デスが再び脚光を浴びたことで、私的不遇武器ランキング第2位の棍(1位はオノ)にも注目が集まる事となる。この武器種、どうしようもなさすぎて誰も使わないせいでヤケクソすぎる性能の武器が実装されていた。特にサターンロッドの行動時10%で聖女はデスの役割とマッチしており、そちらを握る者もあらわれた。

何が言いたいかというと、運営は多分『ちがうの…私棍を使ってほしかったわけじゃないの……!』と思っていそうだ。ゴミ武器カテゴリにヤケクソな性能の武器を実装すると、想定外の使われ方をしてマズい可能性があるわけなので、今後それらには何とも言えない性能の奴しか実装されなくなるだろう。たとえばヘナトライロッドとか。

ガルドドン4はまあまあ遊ばれたと思うが、実装から二か月たった4月位になると飽きの空気が流れ始めた。春なのに。そのころにデデデ構成が発見されてしまう。春風と共に。

最初はデス3人に壁レンというデデデ大王にあやかったネタゾンビ構成だったのだが、レンを抜いて海賊にして囲んだらつよくね?という発想を誰かが思い付き、そして実際強いことが発覚してしまったのである。十字ゾンビの誕生であった。十字軍自体は古代アストルティアの時点で既にあったが、それがガルドドンにも有効だと再発見されたわけだ。さすが結論戦法。

5月にも入るとガルドドン4に完全に飽きてデルメゼ3に戻った気がする。一回飽きてしまうとなぜか遊ぶのに拒否感が出る。念願の海賊で遊べるボスだったはずなのだが、野良では遊びたくないし、一度飽きるとやりたいとも思わなくなった。界隈もデルメゼ3しようぜ!みたいな空気に戻っていった気がする。

ガルドドン4のさらなる凋落は仲間モンスター強化により訪れた。ニードルマンが強すぎて海天ニドニドの方が人間PTより強くなってしまったのである。そこまで仲間モンスターを強化して、運営がどういうつもりなのかは謎だ。しかし人間PTで苦労して攻略するよりも、仲間モンスを入れて囲んで殴ってる方が楽で速いのでは、エンドボス勢が手間をかけて攻略する意欲が失われたのは間違いないだろう。まあ元々ほとんど廃れていたし、この調整で逆にガルドドンに挑戦しようと思った一般プレイヤーもいると思うので、悪い調整と言われても私はピンとこない。

倫理的な問題として表現するなら、サポが人間操作のキャラより強いと、人間同士で組む理由が無くなる。エンドコンテンツが人間同士でPTを組むための遊びである以上、それは問題なはずだ。

このような状況を生み出した仲間モンスター強化、運営がそうするに至った根拠は、Ver7で実装された心アクセにあるのではないだろうか。心を実装して召喚を使えるようにすることで、人間操作の方が強い状況を維持できると運営が考えていたから、仲間モンスターを大胆に強化できた可能性だ。現状では普通にニードルマンの方が強いと思うが、心のレベルが上がると変わるのかもしれない。

フラウソン


忌まわしき奴の番が来てしまった。約1年前、私が長文引退お気持ち表明をnoteに投稿するきっかけとなったボス、フラウソンだ。このボスからシナジー環境にするのでシナジー性の低い海賊はもうエンドボスに入れないぞ、という雰囲気を感じ取って勝手に絶望したので思わず書いてしまった。今は海賊用のまともな装備が全く出ず、ガルドドン4の時から海賊の火力がほぼ上がっていないという現実の方にも絶望している。

マスタークラスの存在理由が咎人攻略用という趣旨の怪文書を書いてきたわけだが、フラウソンはガーディアンにとっての存在理由にあたる。

フラウンソンの特徴はというと、強い。咎人ボスの中では一番だろう。HPも多いし技も厄介だ。属性耐性は光と闇が1倍と露骨にガーディアンと魔剣士を意識した数値になっている。ちなみに耐性低下耐性が低くてFB大が入ってしまうこともあり、初めて物理PTに魔戦が採用されたエンドボスだと思われる。

まずフラウソン固有のギミックを見てみよう。ボルボという爆弾がプレイヤーの誰かをタゲるので、ペネトーレというターゲットの近くに誘導して爆発させる。アウルモッドの項で火力が無くて石を割れないせいで参加できない職がいるみたいな難癖をつけたが、爆弾を誘導するのに職性能は関係ないので誰でも処理できる(どの職でもPTに入れるとは言ってない)。なお乱破を着た職の方がボルボを処理しやすいですよね?みたいなふざけた発想をするゲームクリエイターは嫌いだ。

ここからがボルボギミックの面白い所で、これの爆風をボスにぶつけるとスタン+被ダメージ増の効果が付く。ギミックを利用して味方が有利になれるというのは非常に楽しい。ただし実際は有利になったように見えるだけで、担当者は誘導している間攻撃できないし、ボルボを当ててうまくラッシュをしないと削り切れないHPなのだが、プレイヤーに楽しく感じさせるという手法でそれを誤魔化すのに成功している。ちなみに爆弾処理に失敗して味方が当たるとダメージ量的に普通にしぬ。

また、ボルボの配置やターゲットとペネトーレの位置はランダムなので、毎回違ったパターンでギミック処理をすることになる(ボルボのターゲットは最遠だった気もするが忘れた)。ギミックのランダム性が高いというのは非常に重要な評価点だ。このゲームのボスはランダム性がないとつまらないことは、運ゲーがほぼ無いスコルパイドよりも、運要素が強くクソゲー気味なデルメゼの方が人気な点で明らかだと思う。

さてフラウソンの防御面のギミックを見てみよう。フラウソンはHP超過の連続攻撃を多用してくる。これは賢者の奇跡の雨だけでは防ぐことができない。そこで登場するのがガーディアンの天光の守りだ。雨と天光の、二つのバリアバフを重ね掛けすることでダメージを防ぐギミックが初めてエンドボスに取り入れられた。

ガーディアン以前のアストルティアでバリアバフを同時にかける例はほとんどなかったと思う。ルベランギスのまもりの霧+スクルトとかはあったが、ダメージを減少させる効果を重ね掛けした記憶はない。テンプレPT以外でなら、デルメゼで武のSHT+奇跡の雨+磁界シールドで攻撃を防いでHPリンク無しで倒すみたいな事が出来なくはなかった。バリア全部乗せは流石に難しすぎるのか、運営がこれをさせるボスを作ったことは無いと思う。

運営の中ではメイヴ5で磁界シールドを起用させた時から『磁界シールドと奇跡の雨を組み合わせて攻撃を防がせるアイデアがあるけど、磁界シールド1個だけでも難しいので出来ない』という悩みがあったはずである。そして、それを可能にするために生み出されたのがガーディアンというわけだ。

天光の守りという磁界シールドよりは運用が圧倒的に簡単なバリアバフをガデに与えることで、バリアバフの二重掛けボスの実装が可能になった。

それだけなら別に戦士の真刃でもいいじゃん?という話になるし、実際珍しく真刃が効くので出来るように調整されているのだが、ガーディアンには他にも運営の考えたボスでやりたい夢のギミックの対応札が全部乗せになっている。

例えば不屈の鼓動を使った無敵ギミックもそれの一つだろう。これがどういう発想のスキルなのか邪推すると、FF14のタンク職は全員何かしらの無敵スキルを持っており、無敵でボスのやばい攻撃を防ぐ運用をする。それをDQ10でもやってみたかったのではないだろうか?

ガーディアンは壁役なので、壁の最中にボルボを避けることができない。そこを不屈の鼓動で受け流せば、爆発を防ぎつつボスにデバフを付与できる。ボルボギミックもこのために考えたとしか思えないほどガデの不屈とマッチしている。

ガデにやらせたいことかどうかは少し疑問だが、運営がボスでやってみたかったであろうギミックもフラウソンに搭載されている。マホカンタ呪文反射ゲーだ。フラウソンが呪文で職構成を縛ってくるタイプのボスになったので、ついでに反射ギミックが盛り込まれたと思われる。

そもそも、敵の呪文を無効にしつつ反射してダメージをそのまま跳ね返すなんて呪文は悪用される要素しかないので、ネトゲにホイホイ実装してはいけないと思うの。マホカンタの実装を許可した人は何も考えてなかったので仕方ない。

Ver6より前のアストルティアではマホカンタが悪用されないような調整に苦心していたと思われる。邪神の宮殿の魔勇者の闇の流星が何故か呪文扱いでカンタで跳ね返るみたいな事案が昔あったが、普通に想定外だったらしく修正された。

ところが、エルギオスの実装で別に反射されてエラいダメージが入ってもいいやという調整が初めてされる。ガデがフラウソン実装まで死に職になるのは良く無いからエルギオスで接待してたのかもしれない。ローテの関係でマダンテされるのはほぼ終盤だから悪用されるほど強くもないし。

というわけでガデには退魔の鏡が実装された。しかしこれでフラウソンの呪文に対抗するのは不十分である。連弾なのでマホターンだと貫通して死ぬ可能性が高いためだ。しかし範囲マホカンタにしちゃうと呪文に対して結論防御すぎるのでできなかったのだろう。それにフラウソンはタゲに反射される場合は呪文を使ってこない。4人全員にカンタを掛けても反射戦法はできないのである。

どの職ならカンタ反射戦法ができるかというと、あまりくわしくないけど戦+魔だ。4人PTではなく2人PT。戦士にマホカンタをかけて戦士が魔法を庇うと、フラウソンはカンタの無い魔法に対して呪文を唱え、結果的に全て戦士に当たるのですごい勢いで反射ダメージを与えることができる。思いついた上に現実的に戦える事に気づいた人はすごい。運営がこれで反射戦法が出来るのを見越していたかは謎だが、計算して作っていたなら割とすごい。

話を呪文に戻そう。これまでの咎人ボスは強力なブレスでサブヒーラーをレンに限定する構造になっていた。それが何故フラウソンで呪文に変わったかというと、ブレスだとガデに席を作るのが難しかったからだと思われる。

順を追って考えてみる。ブレスな時点でレンが確定。すると他のアタッカーは特に縛りが無くなるので、火力の高い順に選ばれる。属性が通る仕様なので魔戦と、魔戦との相性でバトか魔剣だろう。ここで天光ギミックがあるのでガデをいれないとめんどくさいという問題が発生するが、魔戦と魔剣なら天光が無くてもやり過ごす方法がある。フラウソンが弱かったら魔剣ではなくガデを入れると思うが、ガデはぶっちゃけ弱い。つまりフラウソンの攻撃がブレスだと、フラウソンが強いせいで火力の低いガデを入れる選択肢が無くなる可能性がある。

でも鎧職は魔侯爵でブレス100にできるから、魔剣ガデ魔戦で全員ブレス100調整でもよかったんじゃない?という説もある。そうすると今度はガデの代わりに戦士を入れようという話が出てくる。もっというとブレスならガデを抜いて海賊入れたほうが火力的に楽じゃない?みたいな話も考えられる。ガデをテンプレに確定させるためには、構成が揺らぐのでは困るのだ。

そもそも論として、ブレスだと霧や装備で簡単に対応できてしまうので、難易度が下がる。フラウソンはアウルモッドとジェルザークの失敗を受けて咎人としてはとても高難度に設計されているから、難易度を上げるために呪文+連弾の設計にするしかなかったのだろう。また連弾呪文なら1回の攻撃で3人まで的確に頃せるので、一応ゾンビ対策にもなっている。

また、ダメージ減少バフの重ね掛けで防ぐ攻撃というのは計算がとても繊細なので、ボスが弱いと何らかの抜け道やプレイヤーの成長で簡単にガデがいらなくなってしまう。すぐガデがクビにされないように強いボスにする必要性もあった。

そしてフラウソンの呪文はあり得ない位威力が高い。一発で5000ダメージとか呪文100%じゃないなら死んでくださいねという意思表示すぎる。この対策のために、PTメンバーは全員盾持ち且つ魔結界を二回維持する必要がある。ガデが鏡で呪文を一時的に防いでいる間に魔結界を積む、という設計になっているから、なおさらガデを入れさせる圧力になっている訳だ。ルベランギスやアウルモッドに対するレンジャーの枠に、フラウソンではガデを治めようという調整なのだ。

他にフラウソンの難易度を上げている要因として、急襲する吸収とかいうふざけた名前の技がある。これはタゲと周囲にいてつく波動+吸収状態で行動不能になるという重いデバフ効果を与える技だ。この技が問題なのは、遠タゲなので高確率でガラスのようなゾンビ性能の賢者に吸収が当たる事だろう。魔結界が切れると即座に呪文で即死するのに、魔結界2回しんぴの悟り2回奇跡の雨等の防御バフと5回以上のバフをかけ直さないといけなくなる。クソ技である。何でこんな技が許されているのかは、デルメゼ4を見てると何となくわかる。こういうクソ技で無理やり殺しに行かないと面白い(?)ボスにならないからだろう。

たとえば、ランダム要素が無いと毎回同じ戦闘になるのでつまらない。クソ要素が無いと負けは全てプレイヤーの責任になる。そうすると重いので段々遊ぶのが億劫になる。人は適量のクソ要素であれば「今のは運が悪かったからもう1回!!」となぜかムキになってリトライし始める。かの格ゲープロゲーマーの梅原は、バランスが良すぎるゲームは人気が無くて、クソゲーの方がむしろみんなたのしくて遊んでいた、みたいなことを語っていた気がする。素人にはその匙加減は分からないが、プロのゲームクリエイターなら人間が楽しいと感じるギリギリのクソを見極めて調整できるのだろうきっと。

これらの事情を踏まえて、最初のテンプレPTは魔剣ガデ魔戦賢者が主流となった。ガデが鏡を使ったら各人がセルフで魔結界。その後いろいろ頑張って倒す。この魔結界2回というのがかなりの曲者で、うっかり切らしたり死んだりするとその後も魔結界が無いせいで死に続ける負のループに陥ってしまう。つまり一回でもしぬとかなりのデスペナルティを受けることになるので、ミスが許されない。そのせいもあってか初期はかなり難易度が高かった。

ところが、しばらくするとMPブレイクでフラウソンのMP約1万を削り切ると呪文を使ってこなくなることが発覚してしまう。呪文が無ければ魔結界を維持する必要が無くなり、つまりミスしてもある程度ごり押しが効くようになる。ついでに賢者が吸収に弱すぎる問題もかなり緩和される。界隈はバトを入れた方が多分楽だなという認識になり、魔剣さんはテンプレを首になった。とはいえ呪文を封じてもかなり強いボスだった。

運営がMPブレイクの事を把握していたかは謎だ。してたみたいな話がどっかでされた気もする。MPブレイク発覚前はどうにかして火力の無いガデを構成から抜こうとみんな頑張っていたが、発覚後はバトガデ魔戦賢者で構成の動かしようが無くなったので、MPブレイクがある方が運営的には都合がいい気がする。

フラウソンの人気がどうだったかというと、多分強かったおかげでアウルモッドに比べたらかなり長持ちした記憶がある。Ver6の最後が前期・後期制となった影響なのか次のボスが約5か月後だったこともあり、しばらくフラウソンで遊ぶしかなかった事情もあるだろう。

ただしフラウソンのオトマは明確にクソだった。何故かというと、各自が魔結界2回で呪文を防ぐというギミックのせいで、盾を持てない職には参加する権利が無いからだ。バラシュナの時にオトマに参加できない職を作ってはいけないという教訓が生まれたはずだが、何故か生かされなかった。まあウィリーデと比べたらマシだが……。

フラオトマのクソ要素はそれだけではない。フラウソンが普通に強いせいで、オトマにくる職がいわゆるテンプレ4職だらけになってしまった。早く終わるんだからいいじゃんと思われるかもしれないが、毎回同じような職ばかりで毎回同じような戦いになるのでつまらなかった記憶がある。戦闘のプロとだけマッチングするとサンドバッグにして終わりだから、戦闘内容が予想できてしまって面白くないのである。かと言って変なPTになると酷い目に遭うし、強さが極端すぎる。逆に言うと苦戦しても負けない程度の弱さなら何事も許容範囲になるということかもしれない。

最近はフラウソン用の装備を崩したとかの理由だろうか、ガデ以外のテンプレ職はあまり来なくなり、そのせいで結構苦戦するようになってしまった気がする。時間が経つと楽になるんじゃなくて悪化するというのは、コンテンツとして問題があると思う。凶悪すぎる呪文のせいでプレイヤーが多少強くなっても意味がないのが原因なので、オトマで排他的な攻撃を実装するのをやめてほしい。

さてフラウソンの内容について大体書き終わったので、最後の疑問に移りたい。マスタークラスは咎人ボスに最適化した職だと主張してきたが、ガデがそういう性能をしている所にたまたまフラウソンを合わせただけなのでは?という、卵が先か鶏が先かの問題を解かなくてはいけない。

例えば魔剣や海賊なら、何となく強い職業をつくっただけで、これに合わせたボスを綺麗に作ることはできないと思われる。ガルドドン4は海賊用だったように見えるが、これは海賊がたまたまスペックでひき殺せるからそうなっただけで噛み合っているわけではなく、例えば火炎弾ショットを使うとガルドドンに対して有利になる要素とかはない。海賊の技に使い所がよくわからない謎の攻撃技が多いのも、ギミック対応の為に考えられた職では無いからだろう。なので海賊とガルドドンの場合は海賊が先、ということになる。ただし海賊もアンドレアルに対するしびれ弾ショットのような接待技は用意されていた。

ガデの場合は、フラウソンが持っている要素にガデの技が綺麗にはまりすぎる。これはこういう戦闘をするボスというかギミックを先に考えて、それに対する答えを持つ職としてガデをデザインしたという事だ。つまりフラウソンが先。

デルメゼ3の項目でメインヒーラーとバリア能力で連携させないと補助系の職の席が作れない、みたいなことを語ったが、ガデはそのバリア利権を新たに付与された職とも言えるかもしれない。バリア持ちの職の中で使いやすいのがレンと賢者しかいないので、早急に新人バリア職を用意しないと同じようなボスばかり出すことになる事情もある。

ガデがフラウソン用だとしたら、フラウソンが終わった後は席とかあるの?という疑問もわいてくる。私はガデの今後の席は怪しいと思っている。なぜかというと、ガデはとにかく火力がない。フラウソンですら頑張ってクビにしようとしたけどできなかった位なので、よっぽど天光が必須なボスが出ないと声がかかるか怪しい。

ちなみにガデに火力が無い理由は、戦士やパラに火力が無い理由と準ずる。昔戦士の火力が高かったころは、戦士は硬くて火力もあるとかもう全部それだけでいいじゃんという環境になってしまっていた。例えば、ヤリパラが武より火力があったら今でもそれに近い状況になるのはなんとなく察せる。ガデも火力があったらそうなってしまうと思われる。しかし本当に火力が無いと必死で席を外されそうになるのが現実なので、プラーナソードや魔戦との相性を調整してそれなりの火力が出るようにしたのがフラウソンというガデのための舞台だ。

ガデが新たに採用されるボスということは、天光の守りを使って攻撃を防ぐギミックがあるという事だ。しかし天光で軽減できる数値は低いので、奇跡の雨と組み合わせて使うことになる。そうすると新しいボスなのにフラウソンとやることが被るのである。HPリンクやレンの連投などで散々やることが被ってるのに今更気にすることでもない気がするが、賢者が延々登板され続けると僧侶やデスに一生席が回ってこないし、賢者はボス毎にビルドが全く変わってしまうせいで、賢者を使うボスが増えるほど賢者入りのコンテンツに行くのがどんどんめんどくさくなっていく。

更に不味いのが、バリア役としてガデを入れるとガデが壁役となるわけで、他に火力職として武やバトなどを入れると自然と前3になってしまう事だろう。運営は前衛を3人入れる構成をあまり作りたくない気配がある。それをやると補助職の存在意義がどんどん怪しくなるからだろう。なのでガデを入れるときは魔戦かレンなど代わりに後衛ポジションができる職を入れることになるわけだし、現にフラウソンがそうだ。しかし調整を頑張らないと、ガデの素の火力が低いのでシナジーを与えるそれらの職の火力も下がり、その後衛を抜いてバトを入れたほうがいいみたいな話がまた始まってしまう。

さらに問題なのが、新しい咎人ボスを考えたらまたそれ用のマスタークラスが出ているわけで、そのマスタークラスもバリア系の能力持ちだったらガデと併用する可能性は低いと思う。

ただ、とりあえず天光が必須な感じにさえすれば使いやすいバリア持ちとして役割が持てるので、ガデに新たな席ができるかは結局運営の思いつき次第だろう。

デルメゼ4


現行ではDQ10最高難易度のエンドボス、デルメゼ4。

その特徴を一言で称すれば、強すぎ。

デルメゼ4という強すぎるボスを実装してしまったことで、今後実装されるエンドボスはデルメゼ5以外無価値となり、デルメゼを遊べない職に高額な投資をして装備を整えたり、練習したりする意味も無くなってしまった気がする。だがどんなボスを実装してもプレイヤーがデルメゼ3に回帰していった過去を鑑みれば、運営としてもこうするしかなかったのかもしれない。

Ver6.5後期に突然武のツメが強化されてタイガークローオンラインに回帰したり、まものムチがもう強化できねえんだけど仕方なく射程がのびたり、デルメゼ4が実装される気配は事前にしていたが、いつ実装されるかアップデート予定には載っていなかった。しかしVer6ストーリーのあまりの評判の悪さと、実際Ver7までやることないという現状に運営が焦ったのか、Ver6.5後期の後半に突如サプライズ実装された。

実装が決まった後、界隈ではこれがどのくらいの強さになるのかしきりに予想された。バトル勢は他のボスが実装されても次第に飽きてデルメゼ3に戻ってくるのをここ2年ほど繰り返しており、もはやデルメゼにあらずんばエンドボスにあらずという空気すら形成されていた。しかしデルメゼ4が弱いとそれにすら飽きてしまう恐れがある。だが強すぎると倒すどころではない。

弱すぎてすぐ廃れる心配と、強すぎて自分が倒せない心配をみんなしていたわけだ。みんなと言っても、デルメゼ4を遊ぶのはごく一部のバトル勢のさらにごく一部だ。少なくとも運営がコストをかけてフルリメイクして初心者向け!みたいな事をしても逆張りになるだけなので、スコルパイドのようなモーション早回しステータス単純強化でHPがどのくらい高いか、という方向性での予想だった。

実際どのような強化をされたかというと、まず元々0.1倍の属性耐性が0.05倍と更に下がった。つまり魔戦や魔法を入れて何かする別のスタイルのボスになるという大穴は当然なかったわけだ。正直この異常な属性耐性も別にいらなくない?と思うのだが、後で変な戦法が発見されるよりは、デルメゼ3と同じような流れで数年後のデルメゼ5までつなぐために現状維持が基本という事だろう。3と同じ流れを踏襲すれば、最低限の開発コストでボスを使いませる。

それ以外の強化は、火力と守備力が少しアップ。モーションは意外にもスコルパイドのような早回し調整は無く、一部の技が若干早くなった程度。そしてほとんどボスの強さとイコールになるHPは170万で、デルメゼ3から約2.3倍だった。その当時のデルメゼ3で早めの討伐タイムが5分台だったので理論上はHP3倍くらいがあり得た所から、ちょっと多めに減らした感じだろうか。

もちろんステータスだけでなく技も変化があった。サファイアボムの出現間隔と自爆までの時間が強化されたのだ。今まで反転反転を繰り返していれば自爆にはほぼ当たらなかったものが、明確に自爆の周期を意識しないとまともに戦えないレベルで難しくなった。脳内でタイマー処理しながら戦えない凡人は、ルベランギスと同じ理屈の一定周期で音が鳴る不思議な外付けタイマーを使わないと、冗談ではなく一生緑玉に監禁されることになる。ちなみにタイマーを一個しか用意してなくて赤以降はズレて使い物にならなくなるため、そこからは気合いである。組んだ相手がタイマーを使わずに雰囲気で玉を処理しようとしている場合、毎回その人が原因で終わるわけなのでわかってしまう。そんな時は「ああ……ダメなんだな……」と気が遠くなって賽の川原へと戻り還る。

技のダメージも全体的に上がったので、デルメゼ3初期のようにヒーラー僧侶でやると回復量が足りない問題が再燃した。旅芸人を入れようなどという寝言はもはや運営ですら全く考えていないだろう。滴ぶっぱを運営が正式に最適解として推してきたわけだ。滴は弱体されたとはいえ道具ならまだギリギリヒーラー運用が可能な速さだ。あれだけ炎上したのに開き直ってもう一度同じことをするのはどういう神経なのか少し気になるが、デルメゼ3が炎上したのは別に滴が原因ではないということを看破したのかもしれない。

これは運営の見解ではなく私の予想だが、強さ日替わり制と強すぎるボスおよび滴の相性が最悪だっただけだと思っている。これで負けたら再戦は3日後、という状況で投げる滴は本当にしんどい。それに、デルメゼ3でどういう環境の変化になるのかプレイヤー側が一度体験しているので、プレイヤー側の”覚悟”が完了してしまっていた。また同じ変遷をたどるからそのうち僧侶でも遊べるようになる、との説明というか手法が言わずとも伝わっていたわけだ。デルメゼ3の時点で呆れた人はとっくに引退するかエンドボスやデルメゼに行かなくなっているので、今更文句を言う人はそもそもプレイしないのが分かっているのも、運営が強気に出られた理由だろう。上級者以外の選別が完了した結果、それでもいいからどうしても一回倒したい人向けのボスとして成立してしまったわけだ。いやならやめてもいいんじゃぞというかの迷セリフが身に染みる。

それに運営は完全に滴推奨ボスにしたわけではなく、賢者でも実装当初から倒すことは可能だった。僧侶は実装時はわかんないけどVer7では普通に倒されてた。どうしても滴がいやならそっちでやる選択肢もあったわけだ。だが大半のプレイヤーは道具をヒーラーに選んで賢者を嫌がった上に、道具ヒーラー以外でも現実的に討伐できる現在でも道具がまだ現役なので、もはやプレイヤー側が滴を望んでいる、選んでいると言わざるを得ない。

ここまでくるとデルメゼ3で炎上したのもよくわからなくなってくるが、その時はこの後どうなるか、プレイヤーも運営もわからないのでショック状態だったのだろう。

バランス的にも滴ぶっぱは必ずしも悪いとは言えない。道具は4人PTの補助職としてはもはや死んでおり、ヒーラー以外で役割を持たせるのが難しいからだ。現にデルメゼのヒーラー枠は現在道具・賢者・僧侶でしのぎを削る状況になっており、複数職で遊べることをバランスがいいというのなら、デルメゼ4はそれにあてはまってしまう。

滴への苦情はこれくらいにして、アレの説明がまだだ。極めつけにデルメゼ4の難易度を上げているのはダブルジャッジとかいう霊廟帰還ガチャだろう。これのせいでヒーラー道は別に最強ではなく、むしろ脆弱である。平時から通常攻撃を武闘家に二連打されると帰還待ったなしという時点でちょっと狂っているが、通常絡み以外は滴のおかげで賢者や僧侶より楽なはず。だが道具の一番の脆弱性はダブルジャッジの対処にある。この技はとにかくプレイヤーを勝たせない為だけのクソ技で、道具だとダブジャ前後のボスの硬直が短すぎるせいで回復を合わせるのが困難なのだ。しかし実は賢者か僧侶ならベホマラーが滴より早い為対処しやすいので、盤面の安定性だけ考えるならヒーラーは道具以外の方がいい気がする。一応道具が有利すぎないように調整した結果がクソ技のダブルジャッジなのかもしれない。

そんな脆弱性を抱えてもなぜ道具が選ばれているかというと、道具がヒーラー枠としては一番火力が高く、賢者や僧侶だとバフ切れというよくわからない理由でしぬことがあるので、勝率を重視すると道具になるのだろう。滴のコストと勝率が釣り合ってしまったと言ってもいい。それに、道具は道具ヒーラーが減ると滴の値段が下がってコストが安くなるという変な性質もある。

さてボス側の大体の説明が終わった所で、プレイヤーのテンプレ構成を見てみよう。まもまも武道である。武は言うまでもなくツメだ。以前元気だったヤリ武さんは踊り子が強化されたときにお亡くなりになり、ツメと一緒にヤリも強化されたにもかかわらず、ツメ武によってふたたび永眠した。そのヤリ武を殺害した踊り子さんは一時期デルメゼ3の壁役の地位に上り詰めたのだが、運営がそれに物言いをつけてツメ武の方が踊り子より簡単で火力が少し高いという調整をしたため、スコパから出られなくなった。

運営が何故ツメ武を強化したのかは謎だが、タイガーオンラインに回帰しようという懐古の発想でもあったのだろう。そしておそらく最強アタッカーの踊り子がよみがえり節という凶悪蘇生を使えるのはバトルバランス的に許されないのでそれを処す必要があり、ヤリ武が死んで息をしなくなっていた武をツメ武として蘇生したと思われる。

単純に武の席と踊り子の相対的な弱体というバランス面の問題以外にも理由は考えられる。デルメゼの壁職を挿げ替えると需要を創出できるというライフハックが踊り子強化の際に判明しているので、将来的に他の職を何度か強化してデルメゼ4の壁役を入れ替えるつもりがあるのではないだろうか?

現にまもの新ムチは露骨だった割に、武の新ツメは大した性能ではなく、他の壁職が台頭する余地が残されている。既にその候補は存在しており、運営的にはパラディンをデルメゼの壁候補にするつもりだったのではないだろうか。パラディンは壁職として唯一ダブルジャッジへの完全な解答を持っているので、勝率という点では一考の余地がある。しかし現状ではパラディンに思いのほか火力が無さ過ぎて交代には至っていない。

デルメゼの壁役は壁時の火力がまもより高ければどの職でも成立し、その中で一番火力の高い職が選ばれる。現にデルメゼ3では踊り子が火力を理由に武から席を奪っている。デルメゼ4でもバト・踊り・パラが武の代わりに壁役として討伐しており、実は火力以外は些細な違いということかもしれない。逆に火力が低くなると途端に席が無くなる。

ちなみに、まもより火力が低い壁をいれるなら3人目のまもでも入れて壁にするか、まもまもレンor海賊でもやった方がいいという話になるので、戦士とかガデとかには壁役の席が回ってこない。まあ前衛がまも3人だとまものHPが低すぎて耐久ラインが怪しくなってくるのだが。

デルメゼ4実装から1バージョンが経過し、新武器として露骨なモアクラッシュが実装された。運営的にはボス特攻武器商法は相当美味しいのだろう。考えてみれば、露骨な特攻武器は対象ボスにしか使えないのでバトルバランスに悪影響を与えることなくバザーを活性化させられるのだから、同じ効果を使いまわしてインフレさせないようにしている他の装備の実情と比べたら考えるのも楽そうだ。

それはそうと、さらに次のバージョンでは新防具が追加された。武まも枠以外の装備はほとんど以前の装備のコピペという手抜きっぷりだったのだが、武まも枠だけ族長にチャージ短縮をくっつけたハイパー性能で実装されてしまう。いままで道具抜きの構成をすると武にピオラがなくて辛いという問題への解答かもしれないが、そういうことが言いたいのではない。今回はこの枠の職だけ装備が贔屓されすぎだと思う。これが許されるならミラー上位としっこく上位でも出してほしかった。どういう理由で新装備がこうなったのかは運営にしかわからないが、武まも枠とウィリーデやバラシュナ4でエンドボスが内定している魔法枠以外の職はどうせ使わないから現状維持でいいやみたいな意味合いなのではないだろうか。どうやっても次の防具が出るまでの間にエンドボスの席ができないなら、次の機会にまともな装備を出して需要を煽る方がいい気もしてしまう。

ちなみに私はまだ一角鬼を買っていない。もうデルメゼ行きたくないのでね。引退お気持ち表明以降もデルメゼ4だけは気になっており、このゲームへの未練というか呪いを断ち切るために頑張って討伐した。海賊で倒したいのが心残りだったのでそれもやった。だけど本当にしんどくて明らかにストレスがかかりまくっていたのは間違いない。かかりつけ医をデルメゼ4を倒した後に受診したら「なんか顔色が良くなったね」と言われたほどである。ストレスが顔まで出てましたか。今でもデルメゼをやっていた頃を思い出すとしんどい。

倒してよかったか悪かったかで言うと、どちらとも言えない。倒したときは嬉しかったけど、もう二度とやらなくていいんだという気持ちが強かった。

そしてこれはデルメゼ3の時から思っていることだが、こんなのと戦わないでスパっと引退したほうがよかったのではと思っているし、4も見ないでやめたほうがよかったのでは?という考えは消えない。

たのしいか楽しくないかで言うと、まものが別に楽しくないし興味もない。武はしんどい。ヒーラーは宗教上の理由でやらない。私がもっと若いころだったら武もしんどくなかっただろうし、ゲームをやってストレスを感じるほどでもなかったと思うが、もうこういうのはいいっす……満足したっす……としか言えない。

ただ、海賊で戦っているときだけは楽しかった。まもまも海の海で楽しいとか言っているわけではない。海賊が塩ムーブすぎてあんまり楽しくないから人気が無いのは私もうすうす承知している。でも武まも海僧でリンク無し後衛ムーブをするデルメゼだけは、デルメゼ楽しいな!と思える瞬間だった。道具入りはもうやりたくないし、勝ち優先で下がってる時のおさんぽまもがぶっちゃけ楽しくない。おさんぽまもよりは海賊の方がずっと面白いと思っている。ボスが動くのでパラ構成での海賊と違って大砲の配置をそれなりに考える必要があり、塩ムーブというわけでもなくやることが多いからだ。これがまもまも海になるとなぜかつまらなくなるのだが、リンク無しの場合は緊張感があってすごく面白い。リンクありと大体同じ事をしてるはずなのにフシギダネ。

それとヒーラーが僧侶のテンプレ構成で自まもをやると、これデルメゼ3に毛が生えただけじゃね?怠くね?という感覚を憶えてしまうというぶっちゃけトークもしておく。初回討伐の道具PTの方が自分の進退を賭けている分変な成分が分泌されてて楽しめる説は否定できない。

こうやって他の構成に文句を垂れて海賊で遊びたいと言ってもそうはならない。海賊の火力が上がるというより下がらなくなればメリットが出るかもしれないが、現実は武・まもの火力がどんどん上がるばかりだ。一方で海賊の方はというと、運営の調整からは海賊の火力をこれ以上上げたくない、何なら下げたいくらいの気持ちがあふれてきている。そりゃそうだろう。無理なことはあきらめて潔くデルメゼをやめるべきである。

デルメゼ4をやってみて感じた、確かなことが一つある。もしデルメゼ4並に強いボスが再び実装されたとしても、私はもう懲りたので次は絶対にやらない。バラシュナ4がどのくらい強いのかが、バトル勢がいま最も気になる事だと思う。あまりに強いと私と同じ発想の人がリタイアして過疎るのではと思うが、弱いとそれはそれで即過疎ってしまいそう。あとバラシュナはランダム要素が少ないので、デルメゼと違ってギリギリ倒せそうな程度に強くする方法も思いつかない。もしすごく強かったら喜んで見学させてもらおう。一度苦行を体験した後だから、すこやかな気持ちで成り行きを鑑賞できそうだ。

ウィリーデ


ウィリーデについてはこの怪文書の2章で語った通りだ。

パラ構成の為のボスであり、魔法を3人入れさせるためにあれこれ手を尽くしている。そしてオトマがとてもクソ。

咎人りゅうおう


最後に紹介するボスは咎人りゅうおうだ。その最大の特徴はエンドボスなのに期間限定イベントなことだろう。なぜそんな調整をするに至ったか考察していこう。

咎人りゅうおうの実装に当たっては、運営が『エンドボスを体験できる機会を作る』みたいなことを言っていた気がする。発想としてはフェスタ・インフェルノに近そうだ。ボスがドラクエ1のボスであるりゅうおうなのも、モデルを使いまわせることはもちろんの事、イベントとしての盛り上がりを意識しての事だろう。

何故マイルドなエンドボスとして既に咎人があるのに、同じような難易度のボスを出すイベントを新たに作る必要性が生まれたのかは、直球で言えば咎人ボスの寿命が短すぎたからだろう。

そもそも咎人シリーズのコンセプトは、デルメゼ3が余りにも難しすぎてバトル中間層の遊ぶコンテンツが無くなってしまったことに起因すると思われる。しかし弱いボスを実装すると今度は上級者が遊ぶボスがいなくなってしまう。ボスをコンテンツ毎に難易度分けすることで、住み分けられるようにしたかったのだろう。

だが実際に咎人ボスを実装すると、みんなすぐ飽きて過疎ってしまうという新たな問題に直面してしまった。大体アウルモッドがいけない気もするが、常闇4や聖守護者3の頃はこんなに早くボスが廃れることは無かった気がする。それに咎人として許されるギリギリまで難易度を上げたフラウソンも結局過疎ってしまった。もはや過疎る理由はボスの難易度云々ではなく、10分戦闘なのが飽きやすいとか、デルメゼがいるからみんなそっちに戻ってしまうとか、景品を集める気にならないとかの、ゲームの構造上の問題と思われる。

私個人としては、咎人は景品のオサレアイテムを取るのに先が長すぎてもういいやと途中で切ってしまうようになった。常闇と聖守護者の頃はレグナード以外頑張って全部集めたんだけどなあ。つよさが1と2しかないせいでアイテムの集まりが悪く感じるとか、3の日だから言っておこうみたいな気持ちにならないのはダークキングや聖守護者と違うところかもしれない。根性で集めようにもどんどん過疎っていく中で続けるのはつらいから、途中でやめるしかないし。

ならやはり強いボスがいいのかと言われれば、デルメゼ4みたいなのを連発するなど運営的には論外だろう。元々の中間層が遊ぶボスがいない問題をまた無視することになってしまう。

そこで運営が思いついたのが、エンドコンテンツを期間限定イベント化するという裏技だろう。何故過疎ってしまうかと言われれば、何らかの理由で遊ぶ理由が無くなるからだが、期間限定にすればその期間内は『限定だから遊んでおくか』というモチベーションが生まれる。ついでに景品もそれなりにいいので参加しても損をしない。りゅうおうたのしい!という意見は非常に多いが、もし常設にしたら速攻で過疎るのは間違いない。それを期間限定にするだけで喜ばれるイベントになるのはエポックメイキングだ。

そして実績システムもうまく機能している。こんなの何度も開催したら絶対飽きると思うのだが、毎回違う実績が追加されることでそれを達成する目標も生まれる。ただし防御実績、これだけは最悪だ。オトマで実績をやらせたいなら天獄のような途中で出題してくる方式にしてほしい。

デルメゼ4というりゅうおうとは真逆のコンセプトのボスと近い時期に実装することで、運営的には両コンテンツの参加者数などのデータが取りやすかっただろうし、プレイヤーはりゅうおうで遊んだからデルメゼはいいや……みたいな諦めを与えることもできた気がする。私は断然りゅうおうの方がたのしかった。第二弾も遊びたい。

ところで、私は最初の竜王イベントの時の6分切りは海賊で行った。次の開催時の5分切りはというと、海賊はガルドドン実装からほぼ火力が上がっていないのに武はそれなりに上がったという現実に耐えられず、最初から海賊で行くのを諦めた。海賊入りで5分切り自体は物理的に可能だと思われるが、まあもういいや……。

そろそろボスの中身を見ていこう。りゅうおう自体はなんてことは無いオーソドックスなボスだ。ルベランギスから悪い所(床と属性耐性)を取り除いたような調整かもしれない。

攻撃のギミックはというと、りゅうおうだけの特別なギミックはない。すべて既存の技の組み合わせになっている。ただしりゅうおうのイメージを反映してかブレスがかなり凶悪なので、レンを抜くのは推奨されない。

しかし防御面のギミックには少し重みがある。奇跡の雨を維持しないと連続噛みつきで簡単に死ぬのだ。りゅうおう実装前後ではガルドドン4・フラウソン・デルメゼ4と賢者が連投されており、また賢者かみたいな空気は少し流れている。これもアウルモッドが余りにも弱すぎた反動かも知れない。さすがに次は別のパターンにしてほしい。

ちなみにテンプレ以外の構成をするときは守りの霧の重要さから魔戦を抜くことになるのだが、魔戦を抜くと賢者の奇跡の雨のCTが遅くなるという嫌がらせを他のメンバーに強いることになる。海賊で行くとそうなってしまうので辛い。

りゅうおうは体感でどのくらいの強さかというと、特別強くもないが弱くもない。でもアウルモッドよりは強いかな。一応イベントボスなので倒すのは難しくない程度の強さにして、難易度を上げる部分は5分切り実績などで調整したのもよくできていると思う。

さてりゅうおうイベントを全体的に褒めちぎっているが、一つだけダメな点がある。オトマがクソだし、開催するごとに参加プレイヤーの質が下がっている気がする。

りゅうおうはブレスが非常に強いのだが、そのせいでウィリーデやフラウソンのオトマと似たような欠陥を抱えてしまっている。マッチングでレンジャーがいないと、武等の物理前衛が置物に近くなってしまうのだ。しかもマップが狭くてブレスの範囲が広いせいで、誤魔化しながら戦っていくのも辛い。

それでも最初の開催の時はオトマの難易度はそこまで問題ではなかった気がする。もはや確かめようがないが、上級者層も積極的にオトマを遊んでいたのかもしれない。

ところが第二回開催になると、本来なら慣れている人が揃えば2分台、普通なら5分くらいで倒せるはずのボスなのに、時間ギリギリになったり遅いタイムでの討伐が増えたような気がする。

これは完全に私からの言いがかりだが、オトマに魔法使いが大量にくるようになったせいで火力の平均値がかなり下がってしまったのではないかと思っている。魔法使いでりゅうおうオトマにくるのは初心者だと思われる。短剣魔とか本来は初心者救済用の職として丁度いい性能だったはずなのに、杖の方が強いイメージになってバトル攻略勢が短剣を握らなくなったら、何故か初心者も短剣魔をやめたのが状況を悪化させた気がする。杖は超陣をうまく使いつつ敵の攻撃を防げないと弱いので、短剣よりオトマに向いてないと思う。流行でビルドが変わってしまう魔よりも一貫してオトマ向けな海賊が初心者向け職の地位を確立するべきだったのは間違いない。無理だったが。

初心者が目立つようにみえるということは、逆に言えば上級者がオトマに来なくなったのかもしれない。本当にそうなのかはわからないが、運営なら討伐タイムや勝率の平均がわかるはずなので、それらが悪化しているならどうにかして欲しい。

もう一つまずい点として、オトマの質が下がるとサポと行く方が効率が良くなってしまう。それはぶっちゃけ昔からそうなのだが、仲間モンスター強化以降は許容できないレベルでオトマPTとサポPTの差が開いてしまっている。

オトマで苦戦するより2垢で適当なグッドスタッフPTを組んだ方が楽で早いとなると、オトマに行くのはもはや損である。ある程度バトル慣れしている層にはそのことが知れ渡っているので、そのせいで上級者が来なくなった可能性すらある。このような状況を放置するとオートマッチングコンテンツの崩壊につながるのでは?と疑念を投げかけたい。

こうなってしまった理由はわかりきっている。レンジャーが必須なのにマッチングにいないことがあるのがまず悪い。これはウィリーデやフラウソンにも共通する問題だが、対策必須のボスを用意するけど参加プレイヤー各自に対策を求めるわけではないので、初心者は対策なんか考えないし隠密海賊にもならない。マッチングを制限したくないなら、オートマッチングのボスで対策必須すぎる要素を作ってはいけない。

まありゅうおうやフラウソン程度の強さなら自力で対策できる側の職の持ち味が無くなるし、そもそもブレスが弱くなるとレンジャーがいらなくなってしまう。運営もそう思ってこの問題を放置ながら新しいボスを作り続けるのかもしれない。

もっと根本的な問題を投げかけるなら、ボスの強さに一般プレイヤーがついていけなくなっているのだと思う。ブレスがやばかろうが適当に殴ってれば終わるなら問題にならない。だが思い返してみると、邪神の頃から8人コンテンツでやっていることは変わらない。ボスが即死技をばらまいて、それでしぬ人たちを頑張って起こしてなんとか倒す。今と昔に何の差があるのかと言われれば、火力である。うまい人というのは火力のロスを少なくするし、対策していない人は顕著に火力が低い。つまり、ボスのHPが多くなりすぎたし、上手い人と下手な人の火力も差が開きすぎたので、下振れを引くと昔よりも下にぶれやすくて戦闘が成立しないパターンが増えてきたのだ。プレイヤーのHPも攻撃力も増えているけど、それはうまい人が真面目に運用して初めて効果が出る要素だ。初心者はいまだによくわからない装備で来てジャッジで即死とかするけど、それに対策が出来ないのである。単純なステータスの上昇ではもはや初心者を介護することができない。

ならばプレイヤーにそれをどうにかできる強力な要素でも渡せばいし、その要素は既にある。しかしなぜか心の召喚技は8人PTで使えない。全員が召喚で攻撃すれば8万ダメージくらいにはなるはずで、仲間モンスターと人間の強さに差がありすぎる問題も緩和できるし、なんなら僧侶がイルーシャを出せるなら無駄に天使ループされることも減るかもしれない。咎人4人PTで召喚が使えないのはわかるのだが、8人PTでも使えないせいで召喚自体がパニガルムでたまに出てくる人程度の要素になってしまっているのもある。

調整を諦めるなら、制限時間を20分にする方法もあるが、それはマッチングに失敗したときに酷い思い出を作るだけだ。火力のブレが酷いのが原因なわけで、それならオートマッチング版のボスのHPはもう少し低くすれば解決する。調べたらりゅうおう8人用は64万とか出てきたが、これで時間切れそうになってしまうならもう5万くらい低くていいのでは。本来なら開催の回を重ねるごとに味方側が強くなるから、イベントとして成立させるためにボスのHPも増やして対応することになるはずだが、プレイヤーが別に強くならないのだからしょうがない。


あとがき


最後まで読んでくださってありがとうございます。飛ばして最後だけ見ててもありがとうございます。

なぜかとてつもなく長くなってしまったのでとにかくつかれました。本当は2章までの内容で8月位には出そうと思っていたのだけれど、竜術師についてうまくまとめられないまま、3章を書くことを思いついてしまいました。

過去のボスの事を書いていると思いのほか筆が乗ってしまい、全部書くまでやめられなくなって、気がついたらこんなふうになっていました。

これだけ長いと添削するのも非常にしんどかったです。文章を書くときは支離滅裂になっていないか、他の人が呼んで意味を理解できる内容かどうかをとても心配しているのですが、最後の方は添削が追い付いていないかもしれません。好き勝手に書き捨てるためにしていることなのに、どうして読む人のことを考えているのか、自分でもわかりません。

書いててとにかくしんどかったですが、これだけ長い文章を書いたのは人生で初めての経験です。何か学びにはなったかもしれません。とりあえず、プロの物書きの人達がプロットを作ってから書き始める意味が体で理解できました。最初に構想を練ってから文章を書き始めないと、この怪文書の3章のような後から思いついてはいけない部分が後天的に生えてきてしまい、書き上げきれずに頓挫する可能性が高くなるからです。反省しています。

*後日追記



いただいた意見で気になったものを書き留めておきます。

  • 海賊が人気が無いのは、サポでの用途が限られているせい。サポート仲間
    で人気が出る職じゃないと人口が増えない。

    →確かに旅・バト・魔剣・僧の人口上位4職はサポ需要が非常に高そう。サポを預けると借りられたり需要があったりするなら、初心者も育てる気になるかも。

  • 初心者はそもそも自分以外見えていないから、大砲が壊れても苦痛を感じるどころか、そもそも幻魔や大砲が居なくなっても気が付いていない。コマンド欄だけ見ているからぴかぴか光ったCTを押すだけ。

    →ゲームに慣れていると逆に絶対気が付かないご意見。このレベルだとどうにもできない気がするが、例えばCTで大砲3台出す技があればとりあえず大砲は置いてくれそう…?(届かぬ思い)

  • 砲撃ロックオンの存在理由がよくわからなくなっている。砲撃ロックオン自体が挙動が回りくどいのが、海賊が分かりにくい原因だとおもう。砲撃を当てる目的なら集中砲撃が追加されたからほぼ不要になったし。ダメージを増やしたいなら散弾ショットがあるのに、砲撃ロックオンのせいで使わない技になっている。集中砲撃と絡んだ時の挙動も意味不明。CTありの純粋な火力技に改造する等で海賊の分かりやすさを上げてほしい。

    →砲撃ロックオンが意味不明さを助長しているから思い切って変えるべき、という意見は初めて聞いたしそんな気がしてきました。

  • 海賊の火力の自動性をもっと高める代わりにDPSを少し下げる調整はどうか?との意見もありました。おそらく運営的に放置プレイを助長する調整は本来やりたくないのでしょう。その要因としては邪神のAペチバトなどが昔問題になってりしています。天地だけが特別中の特別という扱いなのだと思います。その天地も一応本体が何かできるように小間使いのような技を渡されているのかもしれません。

  • スコルパイド3の実装でバトルをやる人が増えたと思っていたが、逆だったのか。

    →バトル勢が増えたという意味ではあっているかもしれません。一応メイヴ4の頃からそういう戦闘勢がいた記憶はありますが、物理ボスで突き詰めるタイプの戦闘はスコルパイド3で一気にレベルが引き上げられたと思います。難易度が先鋭化すると競技としては盛り上がるのかもしれません。

    ただ、私の周りのフレの中にも、それまでエンドボスに参加していたのにスコルパイドを機にぱたりとやめた、そのまま引退してしまった、という人が何人かいます。そういう人でもジェルザーク・バラシュナ・咎人ボスなど、簡単なボスの場合は再び挑戦していたりもします。

    ちなみにデルメゼ3の時はバトル勢カウントできる結構身近なフレが1人引退しました。それがあるので、私もその時一緒に引退しておいたほうが、その後のデルメゼでの苦しみを味わわなくて済むから、引退したほうが得だったのでは?と考えてしまうのです。

    本当にバトル勢の人口が増えたか減ったかは運営にしかわかりません。ただ情報発信者は得てしてバトル勢なので、ドラクエの情報を調べているとバトル勢の声が大きく聞こえるようになってくるものです。運営が時々エンドボスの勝率を発表するのは、暗に『バトル人口はそんなにいないから、ボスが簡単でも許してね』というバトル勢へのけん制の為じゃないかなとおもってしまいます。

  • (*本文に書き忘れた事)ウィリーデが4人より8人の方が重くなったことに文句を書いていました。おそらく、運営のテストプレイ中に8人PTの敵が軽いと何らかの問題が発生するから重くする傾向があるのだと思います。現に8人同盟用のボスは基本的にパラじゃないと押せない位の重さであることが多いです。本文はそれでもウィリーデは4人では押せること前提のボスなんだから、8人で戦闘が異様に簡単になるとしてもそれができるように4人と同じ重さの方がよかったんじゃない?という趣旨です。

  • (*自分で思った疑問)バラシュナ3で竜術師が入っていないのは、HPが低すぎてメドローアゲーになっているだけで、推定討伐タイムが19分台の超高難度戦闘なら竜術師を入れたほうが早い可能性が考えられなくもない。

    ただしその場合、『こんな微妙な性能の職業をいれて、バラシュナと相性最悪のやまびこの陣を長時間運用しながら攻撃しないと倒せない』事になるので、バラシュナ4はものすごく高難易度になる可能性が高い。そしてわずかでもタイムに余裕が出てくると、不安定の元である竜術師は首になり、その結果討伐が簡単になったら早い段階でボスが廃れてしまうと思われる。

    どちらにせよ、竜術師は魔法PTに一人はいたほうがいい程度の強化をしないと、席が出来る可能性は怪しいと思う。というかドラゴラムが弱すぎて魔は必殺ゲーなのに竜術師は必殺ゲー出来ないせいで席がないっぽいのは大変不憫。




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