不妊治療をやめるとき(1)
「不妊治療をやめるとき」と聞いただけで、「そんなことは考えたくない!」と思われるかもしれません。あなたは妊娠するために通院してこられたのでしょうし、妊娠できないことなんて考えてはいけないように感じられるでしょうから。
でも実際は、「このままうまくいかなかったらどうしよう」とか、「治療をがんばってきたのに見通しが立たなくて…いったいいつまで続ければいいんだろう」といった思いも、頭をよぎることがあるのではないでしょうか。
治療を頑張っているときであっても、“治療の終わり”について考えることは、決して悪いことではありません。大切なことですが、終えることを考えたからといって、そのせいで治療がうまくいかなくなるわけでもないのです。まずこのことを正しく理解していだきたいと思います。
さて、「治療をやめるとき」をイメージしてみるとどうでしょうか。想像したくないとは思いますが、「治療を終えているわたし」を頭に浮かべてみていただきたいのです。あなたはどのような姿、また心もちでいるでしょうか?子どもができないことをすべて受け入れ、子ども以外の別の生きがいを見つけて、気持ちも整理された状態になっているでしょうか。
その状態は理想だけれど、とてもそんな風になれるとは思えず、子どもが出来なかったことをずっと引きずる、暗い気持ちの自分しか想像できないかもしれません。
理想的な「気持ちを切り替える」治療のやめ方を目指してしまうと、そう考えられない自分が何か愚かで、こころの小ささを感じてしまうのではないでしょうか。逆に言うと、「気持ちも割り切れないし、別の生きがいなんて見つけられないから、子どもがいる幸せを得られるまで治療を続けていくしかない」と考えていませんか?
(続きます)