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不妊によるカップルの温度差を乗り越えよう (6)「そういう気分にならないのに性交を求められるのがツライ…」

男性の不満④ 「そういう気分になれない日に妻から求められるのがツライ。途中で中折れすると怒り出す。どうすればいいんだろう?」

 妻からすると、妊娠のチャンスはひと月のうち“その日”しかなく、自分が1ヶ月かけて準備してきたことを台無しにされてしまったための怒りと考えられますが、男性には男性の言い分があるでしょう。男性は繊細で、性交がうまくいかないと、「またうまくいかないのではないか」と考えるだけでうまくいかなくなってしまうものです(“予期不安”と言います)。まず、「うまくいかなかったことは僕もとてもつらいけれど、そのことを責められると余計にうまくいかなくなってしまうから、そんなふうには言わないでほしい」と伝えてみましょう。

 そもそもタイミングを取るという考え方に疑問を呈する産婦人科医もいます。本来、性交を週に2~3回していれば、特にタイミングを取る必要はないからです。しかしながら、日本の夫婦の性交頻度は世界でも有数の低さのため、排卵のタイミングで性交をする必要が出てきてしまうのです。しかし仕事で疲れて帰ってきて、排卵日だからと性交するのは気が進まないでしょうし、うまくいかない可能性も高くなってしまいます。疲れて帰宅した二人が、疲れをおして妊活のためにセックスをしようとしてうまくいかなくて喧嘩してしまうなんて、どちらが悪いわけでもないのです。カップルによっては、疲れている夜ではなく、朝にするなどの工夫もよいかもしれません。

 自然妊娠に近いということからタイミング性交は患者さんにとって受け入れやすい方法ではありますが、夫婦関係という観点からは長期間続けない方がよい場合もあります。むしろ人工的と感じても人工授精などの不妊治療に妊娠することは任せ、排卵を気にしない、夫婦の気持ちを大切にした自然な性交を取り戻すことも選択肢に入れてみましょう。


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