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センスはバランスだと感じた展覧会。

先週末は台風一過の素晴らしい晴天となりました。気温も日中は汗ばむ感じではあるものの、蒸し暑さは感じませんしとても過ごしやすくて何か目的を見つけて外に出て行きたくなる気候でした。僕はいつものように海に行っていたんですが富士山がきれいに見えていて波待ちしていてもシチュエーションが最高でめっちゃ気持ちよかったです。夏は夏でもちろん最高なんですが秋は秋の良さがあってここ何日かはそれを全身で感じています。

そんな秋。秋といえば僕にとっては芸術の秋です。この時期は大小色んなギャラリーや美術館で個展や展覧会が開催されていて、どこれを見に行こうか悩んでしまうほど気になる展示ばかりです。

そんな中でも約20年前のいわゆる裏原ブームの最中に知った『FUTURA』というグラフィティアーティストの展覧会がカイカイキキでやっているというの知って行ってきました。彼を知ったその当時から宇宙人のようなキャラクターとスプレーで描かれたどこか幻想的な作品が好きでコラボ商品やフィギュア、記事が載っている雑誌など、多数買ってコレクションしてきました。今でもその熱は下がっておらず、何かと注目しているアーティストの一人です。

最近だとユニクロからTシャツが出ましたし、OFF・WHITEともコラボをしてましたね。OFF・WHITEは高すぎて買えませんでしたけど・・・。

昔から大ファンではあるもののその作品の実物を見たことはほとんどなくて、このニュースを見た時に絶対に2回行くって決めましたww

で、先日その1回目の観覧だったわけですが、実物を見た時に感じた異次元のバランス感覚。色、構図、余白。その全部のバランスがキャンバスの中で張り詰めている感じ。

↓こんな作品たちです。

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感覚としてはバスキアの作品を見た時の感覚に近かったです。

ちなみに僕はバスキアというアーティストがあまり好きではありません。好きでは無いというと言葉が違う気がしますが、文字とキャラクター( ? )が自由に描かれたユニークな作風と彼にしか表現できない色使いや配置のバランスで様々なモチーフが『これしかない!』っていう感じでキャンバス上に描かれている作品は好きです。むしろ大好きです。

ただ、彼の作品からはセンスしか感じません。途方もない超能力のようなセンス。僕がどうやったって到達できない領域で完成しているセンスです。

僕がバスキアが好きでは無いっていうのはそんなセンスを持っている彼に対して嫉妬しているんだと思います。

僕が憧れて憧れて、手に入れたいと思い続けて必死に努力した(つもり)けどついには手が届かなかったセンスを持っている彼はシンプルにうらやまし過ぎるんです。持たざる者の劣等感ですね・・・。

話を戻すと、フューテュラの作品からも似たようなセンスを感じました。

先にも書きましたが、ここでもやっぱりバランスの凄さがその理由ですね。

こういったバランス感覚というのは一朝一夕で身につくものではありませんが稀に生まれながらにそれを持っている人がいます。

いわゆる『天才』という人達で、フューチュラは間違いなくその内の一人です。


通常であればアートやインテリア、ファッションやその他のカルチャーの古今東西の色んなアーカイブを知り、自分の感覚というフィルターを通して手で描いてスケッチブックとかにアウトプットしていく。インプット&アウトプットを途方もない数こなして、こなして。そうしているうちに何となく『気持ちのいい線と気持ちよくない線』が分かってきてバランス感覚というものが出来上がっていきます。もちろんどんな経緯で彼が今の表現、バランス感覚を得るに至ったかは分かりません。もしかしたら手の皮がむけるほどの努力をしていたかも知れません。だとしても僕には絶対に到達できないであろう唯一無二の、芸術として完成度高く成立するバランス感覚を持っている彼の作品をこの目で見れたことは本当にいい刺激になりました。なんかこういうのを見ると絵が描きたくなりますねww



さて、ここからは僕がこの展覧会を見て考えたことをお話したいと思います。

僕は今、ファッションデザイナーを目指しています。


ファッションデザイナーの中にもバスキアやフューチュラなどのアーティストと同じように独自のバランス感覚を持っている方がいます。でも僕にはそんな独自のバランス感覚はありません。少なくても今のところは。

で、僕は考えました。僕が欲しい『独自のバランス感覚』って一体何なのか。

アートと違いファッションデザインにはルールがたくさんあります。人が着れないといけないし、縫えないといけない。かと言って人が着れる形になっていたら何でもOKって訳でも無い。要するに『最低限のルールを正しく守る』ってことが前提で、ファッションデザインはその上でだけ成立するものだと思っています。

僕は日々、色んなものをインプットしてそれを自分のフィルターを通し、咀嚼してアウトプットしているんですが、どうもこの『自分のフィルター』っていうのが全然ショボいし、ルールを正しく守るって事を強く意識し過ぎているような感じです。

仕事は『これをやった方がいい』をやらなくても最低限『これをやったらアウト』をやらなければそれなりの成果が出るものですが、デザインにおいては自分の中の『これをやった方がいい』を作り上げてそれを実行することが重要なのでは・・・?

『これをやった方がいい』というより『これが気持ちいい』という言葉の方がしっくりくるでしょうか。『ここにこんなポケットがあった方が気持ちいい』『丈はこれぐらいの長さの方が気持ちいい』『生地はこんな風合いのものが気持ちいい』みたいな感じ。何となくこれが『独自のバランス感覚』につながっているような気がします。

僕は自分にセンスが無いことをよく知っています。だから言葉を探したりアレンジ方法を決めたり自分の判断基準を理解しようとしたりと、色んな角度からマニュアルとも言えるデザイン方法を作りました。


これは僕が考えて作り出した自分専用のマニュアルなのでそういう意味では『独自のバランス感覚』の一端にはなっていそうです。


改善しないといけないのはこれに固執しすぎて柔軟さを無くしてしまう、堅物な僕のマインドなのでは?時には直感や気分、その他のイレギュラーな発想を活かすことがあってもいいのでは?『なんとなく』を信じてみていいのでは?



そんなことを思いました。



1stコレクションのデザインはすでに完結していて、あとは調整のみ。でも2ndコレクションはまだ言葉を集めいている最中で、いくらでもマニュアルを変えることができるし、進め方も自由自在です。

という訳で、2ndコレクションは試しに一度、自分の直感や気分を信じて進めてみようかと思います。

無いと分かっているセンスも完全にゼロって訳じゃ無いのでそのわずかなセンスに頼ってみようと思います。

『どんな結果になるかはやってみないと分からない』ってよく言いますが、僕の場合は『分かっている』んです。新しくも無いし、ワクワクもしないし、面白さも楽しさもないファッションができ上がるということが。

でもバスキアの作品もフューチュラの作品も人の理解や評価は後からついてきたはずです。最初っから注目されていた訳でも賞賛されていた訳でもありません。


だったら僕もチャレンジする価値はあるのでは無いかと思いました。全部のアイテムの全部のデザインでこれをやってしまうとえらい事になりそうなんで、ここもバランスを見ながら一部だけでも。


なんかまた違う考え方になってきましたね・・・。


でも頑張ります。



それではまた!



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