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僕はデザイナーになりたい。

現在公開中のドキュメンタリー映画『マルジェラが語る’マルタン・マルジェラ’』を見てきました。僕がファッションの世界に飛び込んだ当時にとにかく筆舌尽くしがたいほどの影響を受けたデザイナー、マルタン・マルジェラのドキュメンタリー映画です。

このマルタン・マルジェラというデザイナーは今まで一度もその素顔をメディアに出したことも無いですし、インタビューも数えるほどしか残っていないというとても匿名性の高いデザイナーです。そんな謎のデザイナーは遂にはほとんどが謎のままファッションの世界から引退してしまいました。

それから10年経った今、彼が自らの言葉で自身の’マルタン・マルジェラ’というブランドについて語るというのだからマルジェラ信者の僕としては見ないわけにはいきません。


見る前にあんなにドキドキした映画はエヴァンゲリオン以外ではこの映画が初めてかも知れませんww


見た感想としてはその匿名性の高さから想像でしか無かったマルタン・マルジェラという人物像は作品中の言葉や語り口調から『意外と普通のおじさんなんや・・・』っていう印象を受けました。これはもちろんいい意味で。クリエイションの独自性から想像していた人物像はもっと気難しい、いわゆるアーティスト肌の人だったんですがなんかちゃんと人間なんやって思いましたww


数々の名作が生まれた理由やその発想に行き着いた理由なんかも一部、語られたりしていて個人的には大満足な内容でした。なんか神様が自分と同じ世界に降りてきてくれたような感じがして見終わった後に涙が出てきてしまいましたww


まだ見ていない人でマルジェラというデザイナーに少しでも興味がある人には強くお勧めしたい映画でした。



そんなマルタン・マルジェラという人は個人的には『これぞファッションデザイナー!』と思っている人です。

自身のアイデアやクリエイションをチームで形にしていく過程やチームを大切にし、メンバーに最大限のリスペクトを持って接している感じとか。


僕の中でのデザイナーという職業の定義は『頭の中で考えているものを他の人が五感で認識できる状態になるまでのすべてを考えて実行、管理する人』です。この定義に照らし合わせると作曲家も漫画家も画家も陶芸家も映画監督も全部デザイナーということになります。

ちょっと話はそれますが、僕はそんなデザイナーの中でも漫画家は別格のデザイナーだと思っています。あくまで『漫画という作品の中で』ではありますが人の見た目や服装、建物や自然の風景、さらには人物の性格や世界の歴史、物理法則や倫理観などありとあらゆるものをデザインすることができる。作品の世界を共有している人にとってはその全部が現実であり事実として認識されますから、もう神様のような存在です。というかすべてを設定して生み出すんですから『ような』では無く神様そのものです。本当に漫画家ってすごいと思います。


話を戻しましょう。


改めて言葉にしておこうと思いますが、僕はファッションデザイナーになりたいと思っています。


今もデザインはしていますし、頭の中にあるものを現実世界に存在する状態になるまでのあれこれを考えて実行しています。しかし今のところ僕が考えたファッションはまだ一度もこの現実世界に存在したことが無い。そう考えると僕はファッションデザイナーを目指して活動しているものの、まだファッションデザイナーにはなれていないんです。

今までも色んなブランドのデザインや企画に関わってきましたが、こういった仕事には必ず担当者や責任者がいてデザインの良し悪しや何をどうするかっていう判断はその人達がやります。そこでほとんどの場合は1stサンプルの段階でチェックが入り、僕が考えたデザインを『材料』にして何らかのアレンジや変更がなされます。その後の僕の仕事はその人が考えているデザインを実現させるためのお手伝い作業になります。こうなるともはや僕が考えることは無く、ただ手を動かすのみ。

『デザイナーの仕事ってそういうもんでしょ。』って意見はごもっともで、クライアントやお客さんがそれを採用するかどうかを決めるのは当然のことだと思っていますし納得もしています。

でもそれは僕の考えるデザイナーでは無いんです。『なんかこれじゃ無いんだよなぁ。もっといいアイデア無い?』って言われてこちらが考えるのであればOKですし、周囲の意見を聞いて自分の意思で変えるのもいいんですが『こう変えなさい』と言われてその通りに変えるとなるとそこにはデザイナーの意思などすでに無く、あるのはデザイナー以外の人の意思です。今自分がやっている仕事は全部このパターン。だから僕は自分をデザイナーだと思ったことは無いし、今まで関わった商品も自分がデザインしたとは1ミリも思っていません。


それでも日々、ファッションデザインについて考えてしまう。


こんな生地でこんなジャケット作ってこんなコーデを組んだらカッコいいやろうなぁとかこんなデザインのパンツって面白いかなとか。考えようと思わずとも考えてしまいます。


そうしてアイデアは頭の中にどんどんたまっていくけどその出口はありません。


1ページ、1ページとスケッチブックはアイデアやメモで埋まっていくけどただそれだけ。


こんな状態がずっと続いています。


ストレスとまでは言いませんが時々『何やってるんやろ』って思ってしまいます。


だから僕は『デザイナーになろう』と思って新しくブランドを始めることにしました。リスクもチャンスも成功も失敗も称賛も罵倒も全部自分の行動の結果です。そこは誰かや何かのせいにしたりすることができない、全部自分の責任というシンプルで厳しいルールが支配する世界。それでも死ぬときに後悔はしたくないのでチャレンジすると決めました。うまくいかなれば借金を背負うことになるでしょう。仕事も無くすかも知れません。今までのように着たい服を買うこともできなくなるかも知れません。それでも『自分はチャレンジした!諦めなかった!』という事実は間違いなく残ります。

改めて考えると怖くなることもあります。

僕が今、20代とかであればそれほどでも無かったかも知れませんが、すでに40を超えた自分がそんなことできるのか。うまくいかなかった時に後の人生はどうなるんだろうか。考えてもどうにもなりませんし、答えがあるわけでも無いので無駄な心配なんですがやっぱりどうしても考えてしまいます。


こんなことはさんざん考えましたし、悩みました。でもでも、やっぱり僕はデザイナーになりたいんです。



僕は今のままでは間違いなくデザイナーにはなれません。


これはほぼ確定事項です。今僕という列車が走っているレールはデザイナーという駅にはつながっていないんです。だったら走っているレールを変えるか、新しくレールを敷くかしかありません。


今回、改めてこんな内容の記事を書いたのはマルジェラの映画を見てその思いが改めて強くなったからです。要するに映画に影響されてモチベーションが爆上がりしたんですww


もはや単純に『ファッションが好き』というよりも強い執着に近い尖った愛情が僕の原動力になっているような気がします。


なんか愚痴っぽい部分もあって読みづらい内容になってしまいました。すいません・・・。


気持ちも新たにできた事ですし、次回からはまたポジティブな内容になると思いますので引き続き宜しくお願いしますね。


今回はこんな感じの決意表明でした!



それではまた!


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とある中年デザイナーの日記
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