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リクガメの温浴は必要か?&方法解説

 って事で、またまたリクガメネタ(笑)リクガメを飼育する際に、温浴する人としない人が居るわけですが、最近の飼育者さんは結構、温浴派が多いように見受けられます。

 結論を書いちゃうと、正しく飼育していたら、必要ありません。でも、正しく飼育出来ていない人には、かなり有効です。やるかやらないか?で言うとデメリットよりメリットの方が遥かに大きい。

 それでは温浴についてメリットやデメリットを含めて、解説したいと思います。メリットとしては、何のために温浴しているのか?ですよね!

 温浴は日本で流行っていると言いますか、海外では余り見かけない光景なんです。温浴の始まりを紐解くも、それこそ20~30年に輸入されてきたリクガメはほとんどがワイルド=野生からの捕獲個体で、現地で採集&ストックされてある程度、個体数が揃うと輸出される訳です。リクガメは爬虫類で我慢強い生物であるため、ストック中が劣悪な環境であるため、輸入されてきた個体は死亡率が高かったんです。

 で、その死亡率を下げる一つの方法が温浴だったんですね。要は餌や水をろくに貰っておらず、脱水状態になっている個体の水分補給がメインので、輸入時の低体温も同時に緩和させる事ができる方法だったという事です。

 となると、温浴の大きなメリットの一つは、、、

「脱水症状の改善」となります。爬虫類にとっての脱水の影響は短期的には「腎不全」の発症リスクが高くなります。

 二つ目の大きなメリットは、、、

「結石予防」です。脱水すると尿量も減るので結石の形成を促進する事も研究により分かっています。

 その他のメリットとなりますが、温浴による体温の上昇により餌食いが良くなるなどの効果があります。

 では、デメリットは何なのか?と問われると、リクガメの温浴をした方は分かると思うのですが、温浴をするとウンチ💩をします。飲水により腸内の水分含有量が多くなることで排泄が促進されます。何がデメリットになるかと言いますと、本当は腸内をゆっくりと消化されて栄養になるはずの物質が、排泄が促進される事により未消化で排泄されます。特にリクガメは植物食であり、植物の細胞壁であるセルロースは分解されにくい性質を持っており、腸内細菌がその分解を手伝っています。ざっくり大人のリクガメで食べたものが排泄されるまでに1~2週間と言われています。

 しかし、実際に温浴による未消化が成長などに影響があるかどうかの論文は見たことがないのが現状ですが、未消化物の排泄は同化・吸収効率を確実に下げます。

 それでは、初めに書いた結論である「正しく飼育していたら、必要ありません。」と言うのは、メリットである「脱水症状の改善」に関しては、餌の水分含有量を注意し、全身が入れる水場を用意し、皮膚からの水分吸収も含めて適度な湿度、熱中症になるような高温を避けて飼育すれば脱水症状が起こる事はありません。

 さらに結石に関しては水分が予防に非常に大切ですが、カルシウムの過剰など適切な餌料を与えていれば十分に予防できます。→ただし、これが難しいのですが、、、体温の上昇に関してもバスキングスポットなど適切な気温で飼えば良い訳ですね。

 とここまで適切に飼育出来ていれば必要は無いのですが、デメリットは成長の鈍化の可能性が残されていますが、メリットの方が遥かに大きい事がご理解いただけたのではないでしょうか?

 では、実際に温浴の際にの方法と注意事項を列記したいと思います。

① 水温は35℃前後→リクガメの至適体内温度は28~30℃で活動と消化が活発になります。が30℃で温浴をすると水温の低下が早いために少し暖かい温度で温浴します。

② 温浴時間は10~20分程度→飲水と体温の上昇を鑑みると10分で十分であると共に、15~20分と長く温浴すると水温の低下の問題と、排泄する可能性が高くなります。ゲージを綺麗に保つために、排泄させるために温浴するのはリクガメによっては未消化物を排泄させる事になり、体重増加の鈍化を招く可能性があります。ただし、排便をしておらず腸管の詰まりなどが気になる場合は15~20分の温浴が有効です。

③ 容器と深さ:容器は保温性が高く、出来るだけ面積を大きい容器の方が水温低下を防ぐことができます。また深さは顔を引っ込めた時に頭が使っている程度で十分です。たまに全部つかるほどの水深で温浴されている方が居ますが、その時に元気に動きまわります。これが元気な証拠と思っているのは間違いで、溺れそうなのでもがいておりまして、暴れることによりエネルギーを消費する事になります。

④ 注意事項:特に冬場の幼体の温浴時は部屋を暖めていないと冷たい空気を吸うことにより肺炎になる可能性があります。また、水温が28℃以下に冷えないように注意してください。さらに、寄生虫を持っているリクガメと一緒に寄生虫フリーのリクガメを温浴させると感染する可能性があります(特に原生生物)。

 と、温浴のメリットについての解説でした。特に不適切な環境での幼体(200g以下)の飼育では、温浴は生存率を飛躍的に上げる事が出来ます。よって、特に幼体は毎日の温浴は正しく温浴すれば、デメリットよりもメリットの方が大きいので、やって損はなし!と言う事です。


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