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あるマダムが経営するカフェの「マーケティング?」

時々会社を抜け出して、ふらっとカフェに行ったりするReplicantです。
と言ってもそんなに頻度が多いわけじゃなく、そのお店に行くのは先輩経営者とのランチの後がほとんどです。


名古屋なのにモーニングサービスがないカフェ

そのカフェはシニアなスレンダーマダムがお一人で運営しているお店です。名古屋で営業しているにもかかわらず、なんと10時から営業開始で、5時終了。「モーニングサービス」はなく、そしてランチもやっていないという振り切った営業形態のカフェです。

マダムはバリスタではありません。
コーヒー豆の焙煎業社に対するこだわりはありますが(この会社じゃなきゃダメとのこと)、コーヒー豆に対するこだわりや、ひき方、淹れ方に関しては、「人にお話しできるほどの蘊蓄は持ち合わせていない」という潔さです。

大きなカウンターと綺麗に並べられた様々なカップ&ソーサーが目を引くおしゃれな店内は、ウッディーな雰囲気の独特な空間となっています。

カウンター越しにいくつものコーヒーカップが並ぶ店内

特徴的なアイスコーヒー

当たり前ですが、夏の時期はアイスコーヒーを提供しています。
このコーヒーが他のアイスコーヒーと異なるのは、写真の通りでかなり手の込んだものとなっているところです。
升にグラスをセットし、その周りをクラッシュアイスで固めた上、コーヒーを凍らせたものをクラッシュしてグラスの中に入れます。これでだけでもかなり手間ですが、そこからはアイスコーヒー用に豆を挽き、コーヒーカップに通常通りドリップした後、一気にグラスに注ぎ入れて完成。
とても手の込んだ美味しいアイスコーヒーなわけです。
このアイスコーヒーの価格が2023年の春まで700円でした。

コメダ珈琲のアイスコーヒーが名古屋ですと500円から550円ぐらいなわけで、それ価格をベースに考えるとこのアイスコーヒーはかなりお高めなわけです。
私たちの場合は二人で行って2000円を出すという感覚ですし、確かにアイスコーヒーは美味しいのですが、それ以外の価値をこのお店に見出しているのであまり価格のことは考えていませんでした。

淹れたてコーヒーを一気にグラスに注いで出来上がり

MEOで客層が変わってくる

そんな昨年の夏のある日、マダムから
「お客様も増えてきて、このアイスコーヒーを入れるのも少々億劫になってきたの」
と、言われました。「ふーん」と思っていると続け様に、
「時間がかかるものとわかっていただけるお客様はいいんですけどね。ほら、最近Replicantさんのせいで、お客様が増えたから・・・」
え??原因は私なのか(笑)
GoogleMapのせいなのよ」
おっと、そういうことなの・・・。
このお店のGoogle Mapのいわゆるビジネスプロフィールの管理者は実は私が担当しています。
良いお店であることは間違いがなく、住宅地にひっそりと佇んでいるので目立ちはしませんが、それでもGoogle MapのMEO狙いの営業電話があるようで、そんな電話の対応をなくすにはどうしたら良いのかを相談された際に、
「ビジネスプロフィールを登録してしまえば少なくとも登録しましょうという勧誘電話はかかってこないんじゃないかな」とアドバイスをしたところ、やって欲しいということになったわけです。

かつてはGoogleローカルガイド活動をしていた際、飲食店縛りをしつつも、ローガルガイドの上位3%と活躍していた私は、そういうことならと持てる知識をフル動員して、ユーザー目線で頑張ってMEOをやってみたのです。
すると今まではお客様の層としては団塊の世代の方々が多い印象でしたが、GoogleMapで検索する年齢層が結果的にこのお店を訪れるようになり、お客様が増えたということのようです。

ゆとりを持って営業したい

団塊の世代の皆さんは価格面にシビアなのか、ほとんどの方がブレンドコーヒーをオーダーするようで、暑い時期にもアイスコーヒーをオーダーされる方は少ないとのことでした。
それがGooglemapの集客のせいで客層が少し変わってしまい、オシャレで手の込んだアイスコーヒーをオーダーする客層が増えてきた、それでマダムの仕事量が増えて大変。←イマココ  という感じのお話です。

てことはなになに、やっぱり私が悪いわけ(笑)
自分の半ば趣味で、MEOを考えてビジネスプロフィールを設定して、せっかくだからと軽くDACP回してみたのが仇になったと(笑)
それは責任を感じちゃうなぁ。じゃあなんとかしないとねぇと、マダムとお話ししつつ一旦お店を後にして、後日仕事の打ち合わせで弊社専務(当時34歳)と社外へ出た際に何気にそのお店に立ち寄り、アイスコーヒーをいただいて会社への帰路に車中で専務から一言ありました。
「社長、あのアイスコーヒーいくら?」
「700円」
「え?そうなの?1000円で良くない?どうせ、社長とかお釣りなんて頭にないでしょ。それに、カフェを探し来店する客なら1000円だったらちょうどいい線引きになって、MAP集客の客層もよくなるんじゃない」
と言われる始末。

値上げして変わった3つのこと

マダムには以前から1000円に上げてしまったらという話を先輩ともしていたんだけれどMEOの結果増えてきた客層の意見が見えてこないため、値上げには抵抗があるようでした。
そんなわけで、30代おしゃれ家族を地で行くような弊社専務の、「アイスコーヒー1000円妥当説」をお話ししたところ、あれだけ考えていたのが嘘のように、
「わかった。1000円に値上げする」ということで、速攻でメニューの価格を訂正してしまったのでした(笑)こちらも慌てて、Google Map上のメニュー写真を差し替えてたりさせていただきましたよ。

あれから1年。シニアの方々は相変わらず夏場でもブレンドコーヒーを召し上がっているようで、若いけれど落ち着いた感じのお客様層が夏場はアイスコーヒーをオーダーしているようです。
マダムからは
・お客様の年齢層が下がってきたこと。
・アイスコーヒーと他のメニューの価格差のバランスが悪いので他も値上げしたこと。
・売上が下がることなくのんびり営業できること

この3つが値上げして変わったことと教えていただきました。

普通に生活をしていたら、出会うことのない人とお店を通じて出会い、お話を伺うことでマイペースで自分の世界が広がっていくことがとても楽しいと、お店を営業する楽しさを語るマダムのお店の「マーケティング?」でした。


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