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240秒の先へ誘う風:OMG"Windy Day"
2000年代後半からのK-POPの活況の要因の一つは、じっくり聴かせるというよりも、ぴしっと3分に楽曲を収め、リピートや次の曲への欲求をがんがんと煽る点。
そうした流れが、ちょっとづつ変わってきているのかも?と感じさせるのが、昨年デビューしたOh My Girl(参考:3分K-POPについての覚書)。
前はアルバム曲に見られただけだったけれど、今回はいよいよ活動曲で堂々の4分越えの楽曲を投入してきましたね。
フォーキーかつオリエンタルな楽曲は、K-POPのナチュラル化、うす味化をさらに推し進めつつ、他方でパワフルさを損なわないような工夫がされていて、とても面白いです(また、GFriendの人気を背景に、パワー感(と色気)をいかに盛るのかにかなり力を注いでいるなあという印象も)。
作曲は、SMへの提供でもおなじみのMaria MarcusとAndreas Oberg。ジャズギタリストでもあるAndreas Obergにしてみるとフォーキーな点がやや以外だけど、スームースなオブリガード的フレーズ(2コーラス目Aメロ終わり)などを聴くと、やっぱりと思ったり。
アラビック(インドという感じは個人的にしない)なフレーズの意外性はあるものの、極端にドラマチックなブリッジが設けられていたりするわけでもなく、基本的な爽やかな小品というイメージ…
…にもかかわらず4分という長尺(K-POPの標準からすれば)になっているのは、ムードや余韻をたっぷり感じさせるような構成によります。
イントロが8小節(2小節単位の4回の繰り返し)でたっぷりと雰囲気をあっためていたり、1コーラス中、サビ(といえるパート)から30小節もあったりするので、2コーラスが終わった時点ですでに3分経過。そしてサビの後半パートをブリッジとして、もう一度サビを繰り返して4分ちょっと。イ・スマン先生に聞かせたら、長い!2分経ったら新しい展開を挿入して聴き手を飽きさせないようにしろ!!と突っ返されるのは間違いありません。
和声的には転調等のドラマチックな展開を用意しているわけはなく、非常に素直でシンプル(Lovelyzと非常に対比的)。このあたりがWMエンタの「洋楽志向」を表しているのも面白いです(註1)。
さて、そんなこんなで、興味があったのは、歌番組でどこまでこの尺をキープできるか?ということ。やはり、さすがに先週は3分に縮まったようで、Mカなどはざっくりという感じ。
2コーラスでバッサリ切って終了。でも、翌日のミューバンでは堂々の原曲。
曲は長きゃいいというものでもなく、むしろすっきりと3分でいかに表現しきるかがポップス職人たちの腕の見せ所で、そこにこだわっている点こそにK-POPのすばらしさがあったともいえます。しかし一方で、3分にこだわるあまり曲想をすぱすぱ切り詰めるやり方に批判もありました。
Windy Dayに対しても、恐らく冗長と感じる人もいれば、ゆっくりと世界観を表現していて良いという人もいることでしょう。
たかが長さされど長さ。
今後もOMGの秘めた革新性が気になります。
なお、OMGが醸成しつつある「色気」成分も非常に気になるのですが、これについては夜な夜な一人でじっくりと検討していきたいと思います(非公開♡)。
註1:例えばソシのIGABが、リズムチェンジをぐるぐると繰り返し、これでもかというドラマチックな展開を演出しているのと、だいぶ異なっています。IGABがある意味「飛び道具的」に長尺になっているのに対して、非常に自然な流れをもつ中で4曲越えをしているのも大きな違いだと思います。