オッパー!BLACKPINKにみる「YG性」の変容と持続
BLACKPINK、韓国最大といわれるダウンロードサイトのチャートを見ると人気は上々。個人的には「え、B.Pink?!」とか言ってたら実際に、ブラック・ナウンな女子が中にいてびっくりして食い入るようにMVをみてしまいました。
「じぇにやし!別に似てね~し!(ぷ~)」
さて、いろいろと物議を醸しているようなBぴん子さん、争点は(1)女性性の表現の仕方と、(2)金太郎飴な楽曲問題の2つの絡み合いにあるようです。
前者については2曲中の1つ「ボンバイエ」(←猪木っぽいカタカナ化すな!)で登場する「おっぱー!」の掛け声に代表されるような、2NE1で表現されたいた「強い女性像」がすっかり「年上の男におもねるぶりっ子」に<後退>してしまったように見える点にあるでしょう。メンバーのルックスも、YGらしい攻撃性やカッコよさを持ちつつも、「男好きのする」といえそうな美少女揃いという感じです(+カワイイオンナの子好きのオンナの子のファンもきっと増えそう→YGの支持層の拡大)。
ボンバイエの衣装も、YGらしいヒップなアメリカンハイスクール風とはいえ、流行りの「制服風」だというのもポイントですね。
「ベムベムくんとは良いお友達です♡」
ただ、個人的には、2NE1の打ち出す「私こそ1番」という強さの表現が、バラードでの「ほんとは弱い女なの」的な表現によって無効化されてしまっている点が、これまですごく気になっていました。
今回、Bぴんは、逆に「おっぱ~」と猫なで声できゃははと仕掛けてくるところが新鮮で、むしろジェンダー構造を利用しながら男性に交渉をしかけるしなやかな強さがあるようにも感じられました。
小倉千加子はかつて自著『松田聖子論」において、「馬鹿にしないでよ!」と男に突っかかりながらも一方で「日本の母性」を歌い、実生活でもあっさりと歌手をやめて家庭に入った山口百恵に対して、むしろ「誘惑されるポーズの裏で、誘惑してるちょっと悪い子」と、「ぶりっ子」を「使い」ながら男性との対等な交渉の上になりたつ恋愛を歌い、自身も母となりながらも、たゆむことなく一人の女性であり歌手であり続けている松田聖子を評価しました。
今後どうなるかわかりませんが、YG的な「強い女性像」のもつ陥穽を、今回のBぴんが乗り越えるような女性像を提示してくるのであれば、昨今の「清純ガールグループ」への本当の「批評」として面白いことだと思います。
今後、そのあたりがどうなるか。気にしながらステージ展開なども見ていきたいです。
さて、もうひとつ。楽曲面ですが、こちらについては2NE1に限らず、TEDDY=YGサウンドという点で、BBにもiKONにも通ずる金太郎飴サウンドで一切の進歩をみせてないところは、間違いのないところでしょう。
この点、じゃあ進歩することが絶対に必要なのか?と問えば、決してそんなことはないはずで、料理のおいしさに「新しさ」が必要条件ではないのと同じで、音楽も金太郎飴で別にいいのだ、といえるかもしれません。
加えて、「EDM的な刺激的なビープ音による短音リフレイン+歌謡感たっぷりのBメロ(プレコーラス)」の組み合わせは(前者を「クールなモダンR&B的ループ」にかえてもOK)、TEDDYの偉大なる発明品のようなもので、なんやかんやいっても「みんな好きだよねこれ」というのがあるかと思います。
私ぱんちゃの観察では、WINNERの段階では金太郎飴を封印して四苦八苦したけれど、BBのカムバやiKONでは金太郎飴を復活させ、「まだまだいけるヤン」と思ったヤン社長が、今回BPにも適用した、というところなのかな?と思います。
たしかにこの2曲、まさに「テッパン」って感じ。個人的には口笛が好きで、Bメロ的(ここではサビ?)な展開がなくても十分にクールでたまらんのですけれど、このBメロこそがYG=TEDDYなのですよね~(註1)。
なお、メンバー的には、理沙ちゃん(←漢字にするな)も捨てがたいですが、やはりBナウンことじぇにちゃんをしばらくは心で推したいと思います。あとMV的には理沙ちゃんが「口笛」の冒頭でゲーム機をサーキットベンディング(基盤改造)するシーンが好きです。
註1:あのBメロが最も活きるのは、なんといってもパンソリの心得をもつD-LITE擁するBBだと思います。