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インピーダンスマッチングとスピーカーのインピーダンス(オーム数)

さて、今回はインピーダンスマッチングを説明します。複数の機器、特にギターアンプとスピーカーを接続する際に必ず注意する概念ですのでしっかり理解しましょう。

インピーダンスマッチングは言葉の意味どおり、ある機器と機器の間を接続する際に不具合がないようとにかくインピーダンスを合わせる作業です。

インピーダンスを合わせると一言で言っても、私の解釈では何となく以下3通りの意味があります。これらは全くの別物ですので混同しないようにしてください。

1. スピーカーアウトに何Ωと表示されたインピーダンスと負荷の合成インピーダンスを同じにする作業

2. プリアンプ同士の接続で、出力インピーダンスに対して入力インピーダンスを十分高く保つ作業、いわゆるローだしハイ受け

3. 高周波回路で反射を防ぐために 50Ω, 75Ωなどとインピーダンスを合わせる作業。

一般的にギタリストが気にするのは 1. だと思います。2. に関してはバッファー の考え方として以前に説明していますのでここでは説明しないことにしますね。3.はオーディオ帯域の信号を扱う上でまず考えることはないでしょう。私も詳しくはありません。

この記事ではこの1.のインピーダンスマッチングについて説明していきます。

正しく行わないと色々具合が悪いどころか、アンプの故障原因にまでなってしまう厄介な作業です。ギタリストはスタジオやライブハウスの機材を使用する際に口すっぱく注意されます。なぜ、このような面倒な作業が発生するかというと、これには以下二つの理由が挙げられます。

「アンプ自体がある決められたインピーダンスの負荷(スピーカー)に合わせて具合のいいように設計されている。」

「スピーカーの合成インピーダンスはケースバイケースで違う。」

ということが原因につきます。

ギターアンプやPA機器に使用するスピーカーユニットやスピーカーキャビネットには必ず「何Ω」とインピーダンス表示があります。これはよくご存知と思います。

ちなみにアンプに表示されているこの4Ω,8Ω,16Ωの値は以前に説明している「出力インピーダンス」ではありませんので、混同しないでくださいね。

特にスピーカーに関してはこの何Ωが意味することを正しく理解しているかたはとても少ないようです。実は私自身20歳くらいの頃は間違えて認識いていました。

まずはここから正しく認識しましょう。

スピーカーユニットそのものに表示されているインピーダンス何Ωは、少しややこしい言い回しにはなりますが、

「スピーカーユニットの下限共振周波数より高い周波数で最小になるインピーダンス値」

です。ちょっと何のとこかよくわからないかもしれません。とりあえず言えることは、決してテスターで測定できる「コイルの直流抵抗値」ではありません。若い頃の私もそうですが、結構間違えて認識されているかたが多いです。

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