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雇用保険


概要

・雇用保険は、労働者が失業した場合などに必要な給付を行ったり、再就職を援助する制度(公務員は雇用保険の対象外)。
・雇用保険の保険者は政府で、窓口は公共職業安定所(ハローワーク)である。
 ※労災保険も保険者は政府で、窓口は労働基準監督署。
・対象者:企業の労働者。経営者である社長や役員、個人事業主は原則として加入不可。


保険料

・事業主と労働者で負担(折半ではない)。
 ※健康保険は労使折半、雇用保険は全額事業主。
・保険料率と負担割合は業種によって異なる。


給付内容

  1. 基本手当(求職者給付)

  2. 就職促進給付

  3. 教育訓練給付

  4. 高年齢雇用継続給付

  5. 介護休業給付

  6. 育児休業給付

  7. 高年齢求職者給付金

基本手当

・基本手当とは、失業者(働く意思と能力はあるが、失業している人)に対する給付で、一般に失業保険と呼ばれている。

【基本手当の給付額と給付日数】
・基本手当は、労働者が失業した場合に離職前6か月間の賃金日額の45-80%が支給される(※賃金日額:離職前6か月間に支払われた賃金の総額を180日で割り、1日当たりの賃金額を算出したもの)
・基本手当の給付日数は、失業の理由(自己都合、倒産・解雇等)や被保険者期間、年齢によって異なる。
→以下は覚えておくのが良い(FP1級では表自体を覚える必要あり)
 自己都合による離退職および定年退職の場合は、被保険者の期間が1年以上10年未満で90日、20年以上で150日給付される。倒産・会社都合での解雇の場合は最短でも90日、最長で330日給付される。

失業手当の給付日数(引用元

【受給要件】
・受給要件は、離職前の2年間に被保険者期間が通算12か月以上あること。
 →ちょっと就職してすぐ辞めて失業保険もらって、みたいなズルはできない。
・ただし、倒産・解雇等の場合には、離職前の1年間に被保険者期間が通算6か月以上あること。
【待機期間と給付制限】
・基本手当を受けるには、居住地のハローワークに離職票を提出し、求職の申し込みをする。
・求職の申し込みを行った日(最初の受給資格決定日)から7日間は支給されず、この期間を待機期間と呼ぶ。
・なお、自己都合退職の場合には、待機期間7日間に加え、原則2か月間(最長3か月)は支給されない(給付制限)。
【受給期間(基本手当を受給できる権利の有効期間)】
・離職日の翌日から起算して原則1年間
 
→倒産・解雇の場合は最長で330日受給できるが、受給期間は1年なので早く申請しないともらえない日数が出てくる。
・ただし、受給期間中に病気・ケガ・妊娠・出産・育児などによって30日以上働くことができなくなった場合は最長3年間延長でき、最長4年間となる

就職促進給付

・就職促進給付は、再就職の促進と支援を目的とした給付で、一定の要件を満たした基本手当受給者が再就職した場合やアルバイト等に就業した場合に支給される。
・再就職した場合の給付を再就職手当と呼び、アルバイト等に就業した場合の給付を就業手当と呼ぶ。
 →こういう手当がないと基本手当が貰えるギリギリまで仕事したくなくなるよね。

教育訓練給付

・教育訓練給付は、労働者等が自分で費用を負担して、厚生労働大臣が指定する講座を受講し、修了した場合にその費用の一部が支給される制度。
・教育訓練給付には、一般教育訓練給付金・特定一般教育訓練給付金・専門実践教育訓練給付金がある。
【一般教育訓練給付金】
・給付を受けられるのは、雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めて受給する場合は1年以上)の被保険者が厚生労働大臣指定の一般教育訓練を受講して修了した場合。
・給付額は、受講料等の20%相当額(ただし、上限10万円
【特定一般教育訓練給付金】
・給付を受けられるのは、雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めて受給する場合は1年以上)の被保険者が厚生労働大臣指定の特定一般教育訓練(速やかな再就職および早期のキャリア形成に資する教育訓練)を受講して修了した場合。
・給付額は、受講料等の40%相当額(ただし、上限は年間20万円
【専門実践教育訓練給付金】
・給付を受けられるのは、雇用保険の被保険者期間が3年以上(初めて受給する場合は2年以上)の被保険者が厚生労働大臣指定の専門実践教育訓練を受講して修了した場合。
・給付額は、受講料等の50%相当額(ただし、上限は年間40万円で、給付期間は最長3年
・資格取得の上で、就職に繋がったらプラス20%(ただし、上限は年間56万円
【教育訓練支援給付金】
・専門実践教育訓練給付金を受給できる人で、45歳未満の離職者など。
・給付額は、雇用保険の基本手当相当額の80%が支給される。

教育訓練給付(引用元


高年齢雇用継続給付

・高年齢雇用継続給付は、60歳以降も継続して働く人に対して必要な給付を行い、雇用の継続を促すための制度。
高年齢雇用継続基本給付金高年齢再就職給付金がある。
【高年齢雇用継続給付金】
・基本手当を受給しないで雇用を継続する人に支給される(仕事を辞めずにそのまま働き続ける人)。
・支給対象期間は60歳到達月から65歳まで。
・受給要件は以下。
 ・雇用保険の被保険者期間が5年以上あること
 ・60歳以上65歳未満の被保険者であること
 ・60歳以降の賃金が60歳到達時点の賃金の75%未満であること
・支給額:賃金の最大15%(2025年より減額予定)
【高年齢再就職給付金】
・基本手当を受給後、再就職した人に支給される(いったん退職して新しく再就職した人向け)。
・基本手当の支給残日数が100日以上ある場合に最大2年間支給される。
 支給残日数200日以上→2年間
 支給残日数100日以上200日未満→1年間
・受給要件や支給額は高年齢雇用継続給付金と同様。 

雇用継続給付(引用元


介護休業給付

・家族を介護するために休業した場合で、一定の条件を満たした場合に支給される。
93日を限度に、3回まで支給される。
【受給要件】
・介護休業開始日前2年間に被保険者期間が12か月以上あること
・支給単位期間内の就業日数が10日以下であること
【支給額】休業前の賃金の67%相当額。


育児休業給付

満1歳未満の子(パパ・ママ育休プラス制度を利用する場合には1歳2か月未満の子。また、一定の場合は1歳6か月または2歳未満の子)を養育するために育児休業を取得した場合、休業前賃金の67%相当額(6か月経過後は50%相当額)が支給される。2回まで分けて取得できる。
 ※健康保険の傷病手当金や出産手当金は2/3
 ※労災保険の休業補償給付は6割
【受給要件】育児休業開始日前2年間に被保険者期間が12か月以上あること


高年齢求職者給付

・65歳以上で雇用されている人(65歳以上で新たに雇用される者を含む)が離職した場合(離職前1年間に被保険者期間が通算6か月以上ある場合)に一時金で支給される。
【給付額】
・被保険者期間が1年未満→30日分
・被保険者期間が1年以上→50日分
【待機期間】
7日間
・ただし、自己都合退職の場合には7日間の待機期間に加えて原則2か月間の給付制限がつく。


コメント

 高齢者ばっかりズルいと思う一方で、高齢者の働こうというインセンティブを奪う改悪も進んできており、今後が心配。
 育児休業給付1年間しか貰えないのは、子供が生まれてみると結構悲しい。

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