RIGHT CLICK SAVE reona396インタビュー 日本語完全版
先日、NFTアートのオンラインマガジン「RIGHT CLICK SAVE」にインタビューが掲載されました。
事前に日本語で回答したものを英語に翻訳していただいており、文章もいい感じにアレンジしていただいています。
日本語で回答した原文を個人noteに掲載していいかお伺いしたところ許可をいただけたので、自分の原稿を掲載します。ありがとうございます…🙇♀️
言いたいことが多すぎてまとまっていないのですが、せっかくなのでお読みいただけると嬉しいです!
クリエイティブコーディングやジェネラティブアート、NFTについて語っています。
(許可をいただくにあたり取り次いでくださったKUMALEONプロジェクトのryuさん、ありがとうございました🙇♀️)
1. ジェネラティブアートを作り始めたきっかけと個人のバックグラウンドとの関係性について教えてください。
大学生時代、サークル活動としてロボコン部に所属していました。
サークルでArduinoの研修を受けたのですが、その際にセンサーデータをグラフとしてプロットするために使ったのがProcessingでした。
「そういえばあのソフト、グラフを描く以外には何に使うのだろう」と疑問に思い、自分で調べ始めたのがクリエイティブコーダーになるきっかけでした。
もともと漫画やアニメが大好きで、絵を見たり描いたりするのも好きなのですが、本当に絵心がなく……それがコンプレックスでした。
そのため、プログラムを入力するだけで様々な絵が描けるクリエイティブコーディングは私にとってとても魅力的でした。
制作した作品はOpenProcessingに投稿してTwitterやブログで発信していました。
ジェネラティブアートを技法として意識しだしたのはたしか大学4年生の頃でしょうか。今から10年くらい前の話になりますね…。
ソフトウェア系の研究室に配属されて「自分の興味のある分野を研究していいよ」という話になったので、Processingを使った研究がしたいと相談しました。
そこでジェネラティブアートの論文を指導教員に探していただき、それを雑誌会で発表したのがジェネラティブアートを意識するきっかけだったと思います。
ランダム性を取り入れた作品はこれ以前にも制作していましたが、言葉や定義として意識しはじめたのがここからかなという感じです。
この当時は「社会に出たらクリエイティブコーディングを仕事にするなんてできないだろうし、公の場でクリエイティブコーディングに関われる最後の機会だろう」と思って研究テーマに選定していました。
それくらい、当時はクリエイティブコーディングはホビーの域を越えないと思っていました。
ビジネスで利用したりお金を稼いだりは難しいものと思い込んでいました。
大学生、大学院生時代を経て、社会に出てからもOpenProcessingやNEORTを中心にジェネラティブアートの投稿を続けました。
幸いにも、仕事としてビジュアルアートに関わる機会を何度かいただきました。
自分が過去にProcessingやp5.jsで制作した作品がベースになった案件もありました。
クリエイティブコーディング自体の広がりも含め、良い方向に進んでいると感じています。
2. 普段行われている、或いは意識されているクリエイティブな創作プロセスについて教えてください。過去にアート制作以外でも「自動化→何かアウトプットを出す作業のシステムづくり」の経験はありますでしょうか?
らくがきするような気持ちで作品を制作しているため、かっちりとしたプロセスがあるわけではないのですが、作品のネタを思いついたらメモをとるようにしています。
最近ではNFTの制作依頼や技術同人誌の頒布などスケジュール管理が必要なタスクが増えてきたので、紙の手帳を使って見通しよく進めるように心がけています。
作業を開始する際に手帳でタスクを整理して、作業を終了する際には進捗状況を記録したり持ち越すタスクを決めたりしています。
手帳でタスク管理することで「最近忙しくてインスタ更新できてないな」という感じで次にやるべきことに気がつくようになるので、これもある意味プロセスとアウトプットかもしれません。
3. ご自身のアートのスタイルや特徴について教えてください。
近年はp5.jsを使って作品を制作しています。
かつてはProcessingをJavaアプレットで投稿していた時代やProcessing.jsで書いていた時代も…。
webで誰でも見られる・触れる作品をたくさん作りたいと考えています。
最近はwebの表現の幅も大きく広がっているのでインタラクティブな作品を作るのが特に楽しいですね〜!
近年、機械学習ライブラリが発展し、ブラウザとwebカメラのみで人体や顔、手の形の推定ができるようになりました。
これはProcessingとKinectやLeap Motionで遊んでいた自分としてはかなりの革命だと思っています!
作品を作る側も見る側も高い機材を購入しなくて済むというのが一番大きいですね。
そして今は時流としてwebカメラのシェア率は高いはずですから…。
機材の設置されている美術館やイベント会場に行かなくても、家から手軽に人体を使ったインタラクティブアートを楽しめるというのは個人的にはものすごくホットな表現だと考えています。
自分の作品にもよく取り入れています!
また、オブジェクトの動きの軌跡を模様として楽しむ作品もよく作っています。
ランダムウォークをはじめとして、ジェネラティブアートの面白さがつまっている表現技法だと感じています。
4. 日本のジェネラティブアート界にいるアーティストとしてご自身の経験を基にどのように感じていますでしょうか?日本ならではの特徴的な部分や今後のジェネラティブアートの発展についてもどのように感じているかぜひ教えてください。
もう10年以上クリエイティブコーディングを続けているので、身につけた経験と知識は広く共有したいです。
現状を見ると、クリエイティブコーディングやジェネラティブアートの知名度はまだまだ低く、それゆえに人・技術・お金の流れがまだまだできあがっていない印象です。
日本は同人活動やコスプレ、ゲーム制作、ハンドメイド雑貨など、創作と表現にまつわることには大きな基盤を持っているので、クリエイティブコーディングもそれらにならってファンを多く獲得できるようなジャンルになれるといいなーと思っています。
そのためには技術や作品を積極的に多方向へ展開していく必要がありそうです。
また、最近では子どものプログラミング教育や大人の学び直しもトレンドなので、そこにもクリエイティブコーディングやジェネラティブアートが入っていけるといいのかもとも考えています。
技術の習得から新しい趣味としての楽しみまで、自身の経験をふまえて伝えられるとより世界が広がりそうだと感じています。
5. コレクターとの関係性についてはいかがでしょうか?日本のコレクターとの関係性、そして海外のコレクターとの関係性はいかがでしょうか。
NFTのご購入を通して、応援してくださっている方がいることを実感しています。
とてもありがたく、嬉しく思います。
ジェネラティブアートを商品として売り出す場合、従来では静止画や動画として切り出すしかありませんでした。
ジェネラティブアートをモチーフにしたTシャツを売ったりもしていますが、それもジェネラティブな出力の1パターンしか表現できませんでした。
NFTによって作品そのものをまるごとお届けできるようになったというのは技術的にも体験的にも興味深いです。
NFTであればすべてのパターンもしくは複数のパターンを好きなだけ生成・販売できるので、コレクターの方にも選択肢を広く提示できるようになったのかなと思っています。
fxhashやCrayon Codesではコレクターの方がどのようなエディションを生成されているか拝見できるので「そのパターンたしかに良い!!」と思う作品もあって楽しいです!
作品を一緒に作っている感じがして好きですね。
6. 個人として、「Web3のこういう側面を変えられる」とお感じになるものはありますでしょうか?
web3の使い方や楽しみ方、魅力が一般にまだまだ伝わっていないのかなと感じています。
言いかえると、web3を活用した世界観をイメージするための材料がまだ足りていない印象です。
例えば、ファッション雑誌は「新商品のチークを使えば血色がよく見えてフレッシュな印象を与えられます!このチークがあれば仕事も人付き合いもうまく進むはず!」という感じで情報を提示して、日常がさらにワクワクするようなイメージを与えてくれます。
そのような個人個人のライフスタイルに対するポジティブな変化を想起させる情報がweb3という分野においては浸透していないかもと思っています。
作品や技術情報を共有していくことで、web3でこんなに面白いことができますよ〜というイメージを広げていきたいです。
TwitterのアイコンとしてNFTアートを設定できる機能がありますが、まさしくあのような具体的な活用例を提案していけるといいですよね!
個人的にはBondeeでバーチャル上に部屋をコーディネートする機能が楽しくて好きなのですが、ユーザが自分の好きな画像をポスターとして貼る機能にNFTアートが導入されたらいいのにな〜と思いました。
NFTアートをバーチャルインテリアにするのが目指すところかもしれませんね!
7. 今後の作品発行や活動について、予定やしたいと考えているものがありましたら教えてください。
クリエイティブコーディングやジェネラティブアートをまだ知らない方にも知ってほしいという思いがあります。
人が集まれば熱気が生まれ、熱気が生まれればお金と技術が集まり、お金と技術が集まればさらに分野として発展すると考えているためです。
今までこの分野と接点がなかった方に振り向いてもらうためにも、これからも技術同人誌を書いたり勉強会で登壇したりといった発信を続けていきたいです。
これまでのプログラミングやアートに対するイメージをちょっとでも変えていければいいな、という思いもあります。
「プログラミングは仕事でやるもの」「プログラミングはお勉強でやるもの」「プログラミングはパソコンオタクがやるもの」「プログラミングは男性がやるもの」「プログラミングは若い人がやるもの」「アートってハイカルチャーでとっつきにくいもの」のような…クリエイティブコーディングやジェネラティブアートは誰にとってもカジュアルで親しみやすい表現方法であれ、と思います。
そのためにも今後も積極的に作品を投稿したり、「楽しい〜!」という気持ちをシェアしたりしていきたいです。
展示にも興味があります!
物理的な展示も楽しそうですし、バーチャルな展示にも興味があります。
メタバース空間上でのバーチャル展示会なんてすごく楽しそうですよね!
というわけでRIGHT CLICK SAVE reona396インタビュー 日本語完全版でした!
クリエイティブコーディングはいいぞ!
Processingとp5.jsとクリエイティブコーディングが大好きです。 めちゃくちゃ元気!