10/23 秋の蚊、そしてモノローグ【日記】
昔からよく蚊に刺される体質だ。血液型なのか、血に栄養がたっぷりあるのか、人より多く刺される。真偽は分からないけれど、呼気に含まれる二酸化炭素を感知して人や動物に近づくなんて話もあるから、自分はそれが多いのかもしれない。汗っかきでもあるからこれも何か関係がある気がする。
あと、いたって普通の体臭なのにやたらコバエが身の周りに飛んでくるという話も聞いたことがあるけれど、虫たちは何を思って何倍ものデカさがある人間にわざわざ近づいてくるのだろう。
秋になってもまだ刺されている。最近の酷暑は蚊にも厳しいようで、夏ではなく、秋になってから盛んに活動するようになっているらしい。ニュースで、葉っぱの裏にとまっている様子を暑さを凌いでいるかのように取り上げられていたこともあった。
人間みたいだ。私も夏は外に出ず、クーラーの効いた部屋で過ごしていてばっかりだった。
人間の血を吸うのはメスの蚊だけで、産卵のエネルギーを蓄えるためだと知ってからはむやみに叩き殺すことができなくなった。
何度も払いのけているのに近寄ってくる様子には何か勇気じみたものを感じて、根負けしたような気分になる。
それに自分の体にとまっているのを見つけたときには、もう針が刺さっていてかゆくなることはもう避けられないので、そこから蚊を退治したって意味がない。
まぁ、吸われた後でもそいつを殺せば、産卵が起きず、将来の蚊の数が減って結果的にかゆみに苛まれることは減るのかもしれない。
けれど、これから母になるという生き物の命を簡単には奪えないのが人間ってものだ。別に虫に情けをかけているわけじゃないけれど、そういうことをするのはなんとなく気分が悪い。
運転中にいのししとうりぼうに遭遇したとして「里山を荒らす害獣だな。よし、轢き殺そう」と思いはしないのと一緒だ。猪と人間なら、本来は人間が轢かれる側なのだからこの例えはちょっと変かな。
結局、蚊に刺されて嫌なことは血を吸われることではなく、刺されたところが痒くなることだから、そこをどうにかして欲しい。あと病気を媒介するのも大変だ。その2つだけなんとかしてくれないか。進化の仕方によってはドクターフィッシュみたいに親しまれる未来もあるのではないか。
虫や野生の生き物をいたずらに殺そうとしない姿勢は推奨されるべきものだ。なぜなら、いつ人類がそちら側になってしまうか分からないからだ。
地球や銀河系をビー玉ぐらいに感じるほどの超巨大生物を想像しよう。
この生き物にとって、人類の進退は全くどうでもいい。むしろ、何か臭い物質を放ったり、訳の分からない発射体を定期に出したりしていて目障りに感じる。何かの拍子でその生き物はストレス発散に地球を踏みつぶすことにした。
未曾有の危機を察知した人類は驚異的な進歩を遂げ、地上の技術を集結させ調査に乗り出した。この生物に知性を確認すると、代表者に和睦のメッセージを託した。
「どうか、我々人類を、数千年の命の繋がりをあなたの一瞬の気まぐれで終わらせないで下さい」
生き物の返事はこうだ。
「人類史か。そんなものは知らない。興味も無い。最期に聞くが、お前らは気に食わない虫や邪魔な草花を捨てる時、一度でもそいつらの叫びを気にしたのか?俺はしない」
最後まで読んでくれた人ありがとう。
2024/10/23