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【What if ...シリーズ第1弾】もしもAmazonのPdMになったら:理想のプロダクトを考えてみた

こんにちは!

普段「Laxus」というラグジュアリーバッグの定額シェアリングサービスでPdMをしている、Zackといいます(@REO135671)。今回からしばらく、「もし他社PdMとして転職したらどんなプロダクトを作るか」を考えるシリーズを書こうと思います。
まだ2年目のアソシエイトPdMなので、一種の思考実験として読んでいただければ嬉しいです。

初回はAmazonを取り上げてみます。Amazonのビジョンは「豊富な品揃え」と「世界中で最もお客様を大切にする」です。このビジョンを達成するために、プロダクトマネージャー(PdM)としてどのようなプロダクトを開発するべきかを考えてみます。


プロダクト戦略を描く

ビジョンを達成するためのプロダクト戦略は以下の3つの視点からアプローチします。Netflixの元CPOのGibson Biddle氏が書いたエッセイをもとに考えてみます。

参考記事はこちら。普段の業務でもバイブルにしています。

①お客様を喜ばせる仮説
-どのサイトよりも低価格:常に競合他社よりも低価格を提供し、価格比較の手間を省く。
-すぐ届く:当日配送や翌日配送のオプションを充実させ、配送スピードを強化。
-返品がカンタン:無条件返品や返品プロセスの簡素化を実現。
-豊富な取り扱いで、すぐ見つかる:検索機能の強化と在庫管理の効率化で、ユーザーが欲しい商品をすぐに見つけられる。
-レコメンド:AIによる個別化された商品レコメンドで、ユーザーの興味を引く商品を提案。
-簡単な操作:ユーザーフレンドリーなインターフェースを提供し、購入プロセスをスムーズにする。

②プロダクトをコピーされにくくするための方法
-高い認知率:ブランドの認知度を高め、信頼性を築く。
-返品でき気軽に購入できる:返品ポリシーの改善で、ユーザーが安心して購入できる環境を提供する。
-欲しいと思ったタイミングで、値段が安くなる:ダイナミックプライシングを導入し、ユーザーの購入タイミングに合わせた価格調整を行う。
-物流と配送の最適化:自社物流ネットワークの強化とAIによる配送ルートの最適化で、コスト削減とスピードアップを実現する。

③収益性の高いビジネスを構築するために必要なビジネスモデル実験
-1on1で適切な価格プロモーションを行う:個別化されたプロモーションを実施し、ユーザーごとの最適価格を提案する。
-仕入れ価格を安くする:仕入れルートの多様化と大規模調達でコスト削減を図る。

事業課題を設定する

事業課題を設定する前に、PdMとしてどの指標を追っていくか決めます。いわゆるNSM(ノーススターメトリクス)です。通常KPIのツリー図などで事業進捗を見ることが多いと思いますが、それだとプロダクトがお客様に価値を提供できているか分からないです。なので価値提供できているかを測る指標を決めます。

今回のAmazonの場合、NSMを「Amazon Prime登録者の購入点数」と仮定します。Amazonの利用頻度が高いとprime会員になる確率が高いと思うので、リピーター会員が満足しているかを購入点数で見ます。

prime会員数を増やすには「利用頻度を伸ばす」必要があるので、事業課題を「prime非会員の利用頻度を伸ばす」にします。

事業課題を決めたので、次はprime非会員のお客様の利用頻度が伸びない理由を考えます。

お客様の課題を考える

本来ならN1インタビューや利用状況の定量分析を行って、確からしい仮説を作りますが、今回は僕の体験談をもとに考えてみます(N=1なので説得材料が薄いのは大目にみてください)

まず僕は最近になってAmazonで買い物するようになりました(そもそもECをほぼ利用しません)。もちろんprime会員ではないです。今回ちょっと高めの料理器具を買ったときにprime無料体験してみて、翌日お届けサービスに感動しました(笑)

なぜAmazonをほぼ使わないのか振り返ると、次の4つにまとまりました。

送料が高い:ECサイトの送料が高いため、日用品や生鮮食品は近くのモールで購入することが多い
頻繁に購入しない商品:モールに置いてない商品(調味料や本・料理器具)をECサイトで購入するが、頻繁には発生しないためprime会員の600円が高い
商品情報の不足:欲しい商品のグラム違いしか置いてなかったり、料理器具などは実際に手に取って確認できないため、実物が見れる店舗を探す
無料で手に入る:本を買いたいと思うけど、図書館で借りる手段もある。短期間で読める本に2,000円を使うのはためらう

解決策(機能やサービス)を考える

お客様の課題が分かったので、最後に施策を考えます。今回大きく4つの課題が出ました。解決策を考えるときは、施策の優先順位をつけるのが大事です。そして「お客さんの欲しいものを実現しない」も鉄則です。

通常、施策の優先順位は「お客さまが課題に直面する頻度」と「課題の深刻さ」の2つで決めます。ですが、今回は利用頻度を伸ばすのが目的なので「お客様が課題に直面する頻度」を重視して決めます。

今回の4つの課題の中で、課題の直面頻度が多いのは①です(ECサイトで買う本・調味料・料理器具はどちらも頻度が少ないため)。

解く課題が決まったので、実際の機能/サービスの企画に移ります。
「送料が高い」ことを解決するなら、例えば地元のモールやスーパーと提携して、Amazonに注文が入ればピッキングして自宅に届ける or 店舗に取り置きするサービスが考えられます。

この機能は、果たしてprime非会員の方の利用促進につながるでしょうか?僕はそう思いません。なぜなら、そもそもECサイトを頻繁に使わない方が生鮮食品を頼むのはハードルが高いからです。仮にこのサービスを始めても、利用されるのは既存のお客様だと思います。
今回の事業目標から逸れてしまうので、違うサービスを考えます。

ここで大事なのは、先ほど書いた「お客さんの欲しいものを実現しない」姿勢です。送料が高いというのは、"(普段近くのモールやスーパーで自分で商品を見て買うより)送料が高い"という意味のはずです。
つまり、「お客さん自身が行ける距離にあるものをわざわざ配達してもらう」のに抵抗あると分かります。またお客さんが行ける=商品を自分で見て決めれる、点がECサイトにないので、その点も不安があると推測できます。

まとめると、

サービスに必要な要素
①お客さん自身が行ける距離にない(いつも使う)日用品や生鮮食品を注文できる
②お客さんが自分の目で確かめられる
③すぐ届き、送料も安い

この3つの要素をなるべく満たしたサービスを考えます。例えば、2つのサービスを考えてみました。特に①は利用されるお客さんの母数が多いと思うので、もし実行するなら①かなと思います。

①いつも行っているモールやスーパーの商品をAmazonで注文すると、そのスーパーの各バイヤーが、置いてある商品から最もいいものを選んで取り置きしてくれるサービス(※お客さんは取り置き完了の通知を受け取ると、そのモールやスーパーに取りに行く)

②Amazonで住んでいる地域の農家さんの野菜を頼むことができ、よく行くモールやスーパーに持ってきてもらうサービス
(※直接農家さんとやり取りすることで、価格を安く抑えることできる+モールやスーパーに出店していない農家さんの野菜に出会える)

①を実行するとしたら、見る指標は「prime非会員のうちサービスを利用した/してない方のその後Amazonの利用頻度」(=一度サービスを利用した方のリテンション率)にします。
もしリテンション率が高ければ、利用している/してないでAmazonの利用頻度に有意な差が生まれるはずです。

ここから、具体的な画面遷移など固めていくフェーズになります。今回は思考実験なので、ここまでにします。

結構長文になりましたが、プロダクト戦略から事業課題・お客さんの課題を設定して、サービスを考えるまで思考を深めることができました。PdMごとで考え方や課題の設定方法など違うと思うので、「こんな考えもできる~」みたいなことあれば教えてください!(自分がどの程度考えられているか、めちゃ知りたいです)

来週も第2弾書こうと思うので、良ければ次回も楽しみにしてください!

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