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2024年 今年は引っ越し難民が発生しない?訳!

今年は引っ越し難民が発生しない訳

例年3月から4月は、新生活のスタートに伴い引っ越し需要が集中し、「引っ越し難民」と呼ばれる人々が発生する時期だった。しかし、今年はマスコミの報道とは異なり、引っ越し難民の発生の心配はほぼ無いと考える。その理由を、物流経営者の視点と業界の実情から解説する。

1. 需要分散と供給増加

2024年春は、大学入学や就職活動のスケジュール変更、企業の転勤時期の分散化などにより、引っ越し需要が例年よりも平準化している。加えて、コロナ禍の影響でリモートワークが普及し、転勤を伴わない働き方が増えて、ある程度それが定着していることも需要抑制に繋がっている。
現実、24年3月の街中では例年より引っ越し中のトラックを見かけることが、今年は例年より圧倒的に少ない。

一方、供給面では、2024年問題を踏まえ2023年春から一定の中小運送事業者が引っ越し業に新規参入、人員の確保を図っており、供給量が若干増加している。他方、引っ越しの最繁忙期(引っ越し難民を)避けるため、一旦、トランクルームに預けて、4月以降の落ち着いた時期に引っ越す方法も定着し始めた。事実、トランクルーム業界は年々参入企業が増え、その中でも年度末、年度初めが1年で1番忙しい時期と聞く(当社と提携する大手トランクルーム運営会社より)。中にはトランクルーム運営会社自体が運送サービスを直接提供したり、提携する運送会社を紹介してサービスを充実させている。

トランクルームに搬入する軽トラック

デジタコや配車ソフトなど様々なIT技術を活用した効率化や、AIによる自動運転技術の導入など、業界全体の取り組みも活発化して少しずつ効果が出始めている。

2. 早期予約と情報収集

近年、引っ越し難民問題がメディアで取り上げられる機会が増え、多くの人が早めの準備の重要性を認識している。実際に、2024年春の引っ越し予約は例年よりも早く進み、一定の業者はすでに繁忙期の予約枠を埋めているようだ。「引っ越しが出来ない」「引っ越しが例年より高い」とう声も長距離の引っ越し以外は聞かない。
ちなみに長距離(100km以上の移動距離)の引っ越しは例年並みかそれ以上に高騰している。

情報収集の手段も多様化しており、引っ越し一括見積もりサイトや口コミサイトなどを活用することで、自分に合った業者を見つけやすくなっている。また、引っ越し業者の公式ホームページやSNSでは、最新情報やキャンペーン情報などが発信されており、情報収集に役立つ。

3. 料金競争とサービス向上

需要分散と供給増加の影響を受け、引っ越し料金は例年よりも上昇していない。むしろ、競争が激化する中で、今年は顧客獲得のために割引キャンペーンを実施する業者も多い。

価格競争が激しい引っ越し業界


実際に東京に住む友人の子供(大学生)も単身の引っ越しをするにあたり、引っ越し一括見積もりに依頼をしたところ、3月30日、31日の引っ越しにも関わらず、10社以上の引越会社から電話やメールの見積もりがあり、最安値で税込み¥7,700(品川⇒品川間)という金額を提示されたとのこと。年度末にも関わらず競争が激化していることが伺える。
また、付き合いのある準大手の引っ越し会社の管理職は、予約の引き合いが例年より弱いため最繁忙期間体制を例年より2週間以上短縮し、3月25日から4月7日とするとのこと。

荷造り・荷解きサービスや家具の設置・家電の接続サービスなど、付加価値サービスの充実化も進んでいる。顧客満足度向上への意識が高まり、サービス品質の向上も期待できる。

4. 政府・業界の取り組み

国土交通省は、引っ越し難民問題の解決に向け、様々な対策を推進している。2023年には、「引っ越し繁忙期の適正な料金の確保に関するガイドライン」を策定し、料金の透明化や適正化を図っている。

また、業界団体も自主的な取り組みを進めており、ピーク時の需要平準化や予約システムの改善、ドライバーの労働環境改善など、様々な施策を実施している。

トラック 駐車場

5. 2024年以降の展望

2024年春は、需要分散や供給増加などの要因により、引っ越し難民の発生は回避されると考える。しかし、今後も人口動態や社会情勢の変化によって、引っ越し需要は時期やサービス内容等、様々な方向に変動していく可能性がある。

政府・業界は引き続き状況を注視し、必要に応じて新たな対策を検討していく必要があるだろう。また、利用者側も早めの準備や情報収集を心掛け、自分に合った業者を選んで賢く引っ越しを行うことが重要だ。

まとめ

2024年春は、上記のような様々な要因により引っ越し難民の発生は懸念されないと考える。しかし、今後も状況変化に注意を払い、利用者と業界が協力して快適な引っ越し環境を維持していくことが重要となるだろう。

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