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【随想】過走行車の憂鬱

ときおり記事の端っこに映るぼくのクルマ、これスズキのエブリイDA64V、Joinターボの5MTなんですけれど、

購入当時の勇姿

2015年に血眼で探し当てた新古車、あの名機K6Aの最終型、しかもMTが載るこのクルマを手に入れて早9年が経った今、遂にタイトル写真の様に222,222kmに到達したんです。

嬉しいから何度も上げちゃう

定期的なメンテとしては3000km毎のオイル交換と3回に1度のフィルタ交換位、それも整備工場の車検プランで2年間オイル交換タダなのでメンテ費って実質フィルタ代しか掛かってない。あとは10万キロ越えで一度プラグを替えたのと20万キロでクラッチ交換したくらい。なのにタービンブローもせずエンジンも圧縮十分で、今も普通に18km/L以上はマーク出来る燃費を維持しています。交換してるオイルは安物の鉱物油だけど全く問題なし。あ、フロントガラスとリアガラスはどちらも割れて交換しています。飛び石は仕方ないけど結構な痛手でしたね。

コレぞ突貫工事
こんな姿で走ってた事も

丁寧に乗っているわけでも無く毎日7,000rpmかっちり回して走ってるのにこの機関の高調子は、旧車乗りとしては信じられないレベル。昨今の日本車の品質、そしてスズキの素晴らしい技術力にはほんと圧倒されます。

元々は自転車で旅先ロングライド出来ることを目的に車中泊と積載性能から選んだ一台でしたが、乗れば乗るほど過不足なく走れるし荷物も載るので何も不満の無い良き愛車に。この一台で色んな処にお邪魔してるのですが、長距離も楽々こなす性能と燃費なのでいくらでも走って行けちゃう。最近のYouTuberが同型車を手に入れて車中泊仕様に改造してるのも頷けます。

何はともあれこの距離まで無事故無故障で到達出来たことに一安心、これから30万、40万と行ける所まで行ってやろうと思うんです。

って話を周りの人と話してもまず通じないんですよね。クルマの寿命が10万キロだとか、6年乗ったら廃車だとか、夢の様な価値観を持たれている方が多くてクルマの話がうまく出来ないんです。


ここからはあくまでぼくの考え方、「こんなふうに考える奴もいるんだ」なんて感じで気楽に読んでください。

裕福な方々にはどんどん車を乗り換えて経済を回して欲しいなと思います。それがその人の豊かさのみならず、社会を豊かにする原動力にもなるはずです。だけど平均年収458万円(令和4年度国税庁調査)のこの国でそれが普通の価値観だとしたら凄い事です。普通の家庭向けに作られる国産車の価格が400万近傍となっている昨今、年収ぶっ込んでクルマを買うだなんて、冷静に考えてヤバくないですか!?

因みに20年前の平均年収は500万程度、そしてこの頃の国産車の価格は200万前後なんですよ。そう考えるとクルマの値段だけ倍になってる。エライ事です。

話は変わりますが、例えば欧米で売られてる中古車の平均的な走行距離ってご存知でしょうか。大体が10万から20万超は普通、米国なら50万キロってのもよく目にします。そして年式も10年落ちはまだ新しい部類です。一方、海外に出かけると日本ではまず見かけなくなった次の看板を町外れに行くと必ず見掛けるかと思います。

  • transmission & clutch repair

  • rebuilt engine & swap

  • scrap yards

そう、ミッション屋にエンジン屋、そしてジャンクパーツ屋さんですね。基本日本で言うところの過走行車笑ばかりが走ってるので、こういったオーバーホール屋さんがとても賑わっており、また頼りにされています。彼らにとってクルマは生活必需品であり、またかけがいのない資産、だからこそその価値を最大限に絞り出すまでは大事に乗り続けられるんです。

一方この国はと言うと、金もないのに何故か新車を買い換え続けて経済を回す、そして支払いの為に働き続ける、とんでもない負のスパイラルに落ち込んでいる気がしてなりません。

ぼくも技術者の端くれなので、この国がかつては技術立国であったことは十分に承知しています。ただ一方で技術のコモディティ化、モジュール化、電子化が進んだ結果、既に家電業界、半導体業界は崩壊しましたし、自動車も日本以外の国がEV化を進めていること自体が家電同様に日本を攻略し覇権をとる最短の方法であるから、と言う事には皆さんお気付きの通りかと思います。

近くガソリン車は無くなるとまで言われてきましたが、そうなれば擦り合わせ技術で成り立っているこの国の自動車技術が家電の様に屋台骨を失う事に繋がるのは明白です。ただし、フクシマの悲劇以降この国は発電を化石燃料に頼っている現実があるため、どう考えてもEVはサステイナブルじゃない、似非エコでしかありません。

そしてこの発電事情って日本だけでもないんですよね。だからEUは2030年までのガソリン車全廃を撤廃しましたし、米国も言うに及ばずです。むしろ得をするのは誰か!?今家電を牛耳ってるあの国々であろう事は明白かと思われます。

まぁ大して偉そうなことは言えませんが、ぼくはまだまだ内燃機関を乗り続けます。しかも最大限サステイナブルな使い方で。

まずは30万キロ、走ってみましょう!

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